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花のprologue.
"花"の序章
しおりを挟む───暗い。
そう思って俺はこの部屋の窓を見てみれば、とっくに夜になっていたらしく、外は真っ暗闇の中土砂降りの雨に襲われていて、時折雷鳴が響いている。
そういえば、あの時もそうだった。
あの時も今みたいに外は暗くて、土砂降りの雨が降っていて、雷も何度も落ちていた。
────あの時も、こんな風に吐き気を催す程の鉄の臭いに包まれて、床には何人かの動かない"人形"が倒れ込んでいた。今現在俺が居るこの場の方が数はかなり多いけども。
とりあえず、帰らないと。
帰って、"あいつ"と話さないといけない。
そう思って俺はしゃがんでいたその場から立ち上がる。
着用していた無駄に裾の長い制服のローブが人形から流れ出た体液を吸い込んでしまっていて少し重く感じた。
けど、気にせずそのまま俺はこの真っ赤に染まった部屋の扉へ向かって歩みを進め始め、丁度中央の辺りでふと立ち止まって足元を見やる。
そこには桃色の髪をした身知った少年が身動きひとつ取らず、この部屋にある"人形"の一つとして横たわっている。
「──、───」
物言わぬ少年に向かってそう呟いて今度こそ俺は真っ直ぐ振り返らず扉に向かう。
───きっと、俺はもう止まれないし、戻れない。目的を果たすその時まで。だって今までその為だけに生きて、努力してきたんだ。
目的の為なら何もかも捨て去ってやる。
プライドも感情も何もかも要らない。この命だって投げ捨ててやる。
───そうして、何もかも終わったあとは──────。
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