紅焔の大悪魔

 或る村に双子の姉妹が居ました。
 美しい金髪の姉は生まれながら魔の力を有していました。
 烏羽色の髪の妹は特別な力を何も持っていませんでした。
 けれど、妹はただの村娘にも属せません。
 妹の黒髪には、一束だけ鮮血のように紅い髪が混ざっていたのです。

 騎士が村を訪れます。
 国を護る魔女の力を受け継ぐため、魔の力を持つ娘を捜している、と。
 村長と両親は姉を差し出します。姉は喜んで騎士と共に行きます。

 その様子を屋敷から眺めていた妹は呟きます。
 魔女様、どうか、どうか、わたしの姉を選ばないでください。

 その後、姉が村に戻ることは有りません。
 その後、妹も村に戻ることは有りません。

 力を得た若い娘は、どちらだったのでしょう。
 力を得た若い娘は、どうなったのでしょう。


 これは、存在を否定され続けた少女が綴る物語。
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