空を識る者

にのみや朱乃

文字の大きさ
上 下
4 / 4

空を識る者、空を識らぬ

しおりを挟む
 未だ全ての絶望が芽吹いていない頃。
 次女は騎士に連れられ、国家防衛の要となる砦に到着しました。
 その砦は他国との境界に在り、他国の監視を担っていました。

 騎士は次女を招き入れます。
 砦に駐屯する騎士団は皆、一様に次女に注目していました。
 稀代の賢者とは、うら若き乙女のようで、老いを知らぬ仙女のようだ。

 騎士は謝ります。団員の無礼な噂話をお許しください。
 次女は顔色一つ変えることなく頷きました。
 名ばかりが轟く賢者なのですから、人目を引くのは致し方有りません。

 団長は次女を手厚く歓迎しました。
 おお、賢者殿よ、お待ちしていた。直ちに野党討伐にご協力願いたい。
 次女は応えます。西の洞窟よりも、北の廃村を先に叩くべきかと。
 団長は驚きました。何故知っている。何処でその話を聞いた。
 次女は微笑みます。広まる名に恥じぬよう、空の報せは読んでおります。

 次女は指揮を担い、次々と戦果を上げます。
 深い森に潜む盗賊はその隠れ家を暴かれ、騎士団に滅ぼされました。
 牢から脱した罪人はその足取りを掴まれ、騎士団に裁かれました。
 名高い賢者は瞬く間に騎士団の尊敬を集めました。

 驕ることは無く、侮ることも無く、次女は淡々とその異能を示します。
 空を識る者として、その名は更に知れ渡ります。
 誰もが次女に尋ねます。如何にしてそのように未来を視ることができるのか。
 次女は微笑むだけです。私は空の報せをお伝えしているだけなのです。


 それは嘘ではありません。それこそが真実なのです。
 次女は幼い頃から空の声を聴くことができました。空が観た全てを聴き、記憶し、まるで未来を視ているかのように振る舞っているのです。
 だからこそ、次女は自ら賢者と名乗ることは有りません。ただ空の声を噛み砕き、伝えているだけと思っているから。

 空は願います。どうか賢者として富や名声を得てください、友よ。
 次女は拒みます。真に讃えられるべきは貴方でしょう、空よ。
 私は貴方無しでは何の力も無い、ただの村娘に過ぎない。

 空は否定します。
 この声を聴くことさえできぬ者が数多居ます。
 この声が聴こえても狂い果てる者が数多居ます。
 この声が聴こえても、使えなければ意味が有りません。貴女にはそれだけの叡智が有ります。
 貴女は紛れもなく稀代の賢者なのです。その賢さを誇るべきです、友よ。
 
 けれど、次女は寂しげに微笑むだけでした。
 肉親さえ絶望から救えない者が稀代の賢者とは。嗚呼、笑わせる。

 次女は全てを知っていました。空が観たことは全て知っているのだから。
 美しい華が今にも枯れ落ちそうなことも。
 優しい光が今にも闇に呑まれそうなことも。
 名ばかりの叡智では華も光も救えぬことも。
 
 或る夜、空は次女に報せます。
 明朝に兵が来るでしょう。けれど、その声を聴くべきではありません。
 聴けば、残酷な未来が貴女に襲いかかることになりましょう。

 次女は尋ねます。行けば、私は死ぬことになるか。
 空は断じます。何があろうと唯一の友は殺させません。
 次女は応えます。死なないのなら、私が止めなければならない。その日が来た。そういうことでしょう、友よ。
 空は答えません。友を追い詰める肯定も、友に見破られる否定も、空にとって意味は無いのだから。

 空ができるのは、友を守ることだけ。喪わないように。



 その日の朝早くから、砦は緊張と恐怖に飲まれました。

 砦に傷だらけの急使が飛び込んできたのです。
 急使は報せます。領主様の館に魔女が現れました。魔女が、館の者を。
 団長は尋ねます。何故、魔女が領主様を襲うのだ。
 急使は応えます。あの魔女は狂っています。自らを神の代行者と語り、神に祈らぬ者は皆、躊躇いなく殺すのです。

 団長は命じます。直ちに領主の館へ向かい、かの魔女を討伐する。
 そうして、騎士団は領主の館へ出撃することになります。

 団長は問いました。賢者殿、魔女狩りの経験は有るか。
 次女は応えました。有りませんが、この魔女は狩れます。
 団長は笑いました。勝利の未来が視えているのか。
 次女は笑いません。我々が全滅する未来ではありません。
 その言葉に秘められた意図は、戦支度の喧騒に掻き消されました。

 騎士団は魔女討伐のために出撃しました。
 次女は最前線を進みます。誰が止めようと譲ることは有りません。
 次女は言います。この戦は、私が前に出なければなりません。
 空を識る者の口調は重く、団長でさえも従わざるを得ません。

 空が警告します。友よ、やはり砦に帰りましょう。
 次女は拒みます。空よ、唯一の友たる私を守るのではなかったか。
 貴方が居なければ、私は自らを守ることさえできない。

 空は説きます。この先の未来は、やはり貴女には残酷すぎるのです。
 その凄惨な未来を知りながら、何故貴女は向かうのですか。
 貴女がこの未来を受け容れずとも、魔女はやがて裁かれましょう。

 次女は応えます。死なないのなら、私が止めなければならない。
 私はこの惨劇を止められなかったのだから。
 ならば、この先の惨劇は止めなければならない。

 空は沈黙しました。空はその先を知っているから。



 騎士団は領主の館だった土地に辿り着きます。
 誰もが言葉を失いました。その地は既に大量の血肉を吸っていました。

 美しかった外観は見る影も無く、そこかしこに深紅が飛び散っていました。
 首を失った骸が転がっていました。四肢を失った骸が転がっていました。
 男も女も、老人も若者も、分け隔てなく惨殺されていました。
 倒れた屍には、まるで印のように十字架が刻まれていました。

 館の前に血塗れの女性が佇んでいました。紛う方無く、件の魔女でした。
 魔女は誰かの生首を手に、朗らかに歌っていました。
 それは神に捧げる讃美歌でした。

 魔女は振り向き、騎士団に、次女に、やわらかく微笑みます。
 嗚呼、小姉さん。まさか此処でお逢いできるとは。

 件の魔女は三女でした。
 三女が手にしていたのは、痩せこけた長女の首でした。
 次女の後ろで団員たちが息を呑みます。かつての優しい三女の面影は無く、その姿は無慈悲な魔女そのものでした。
 感情に僅かな揺らぎも見せなかったのは、次女だけでした。

 次女は問います。何故、姉さんを殺した。
 三女は笑います。神に従わぬのなら、殺すのが道理でしょう。
 次女は問います。何故、自ら歩んできた道から逸れてしまった。
 三女は笑います。神に従うのなら、これが歩むべき道です。

 三女は命じます。さあ、神に従う者は跪きなさい。神に従う者は剣を置きなさい。
 神に従わぬのなら、この愚かな骸たちのように斬り刻みましょう。
 神に従わぬのなら、この愚かな骸たちのように死を与えましょう。
 さあ、選びなさい。神に従うか、従わぬか。

 団員に動揺と恐怖が広がります。
 目の前の惨状は魔女の力を察するに足りていました。目の前の魔女は明らかに人が抗うべきでない存在でした。

 けれど、凛とした号令が団員を突き動かします。
 数名で互いを守れ。賢者殿には勝利の未来が視えているのだ。
 空を識る者の声を聴け。空を識る者の啓に従え。
 神を騙り狂信に溺れた魔女に、神の裁きを与えるのだ。

 三女は睨みます。空を識る者とは、如何なる者ですか。
 団長は応えます。空を識る者とは、真に神に選ばれ、空より声を聴く者。
 三女は震えます。空を識る者とは、まさか、小姉さんだというのですか。
 その声は驚嘆でも羨望でもなく、ただ憤怒に染まる音。

 三女は次女に襲いかかります。誰も止められない速度で。
 神に選ばれるのはわたし。神を騙り民を騙すのは赦されません。

 三女の足を止めたのは落雷でした。青空から降り注いだ雷が三女の足元に突き刺さったのです。まるで空が次女を護るかのように。
 そして、次女はそれを識っていたかのように、逃げなかったのです。

 次女は忠告します。その悪しき力を棄てなさい。
 そうすれば、貴女はまた元の道に戻ることができる。
 そうしなければ、貴女はもう人の身に戻ることはできない。

 三女は錯乱します。どうして。どうして。どうして、小姉さんが。
 神よ、わたしを見捨てられるのですか。
 神よ、わたしを試しておられるのですか。
 神よ、わたしには何も聞こえません。聞こえなくなってしまいました。
 嗚呼、神よ、わたしは空を識る者では、貴方の代行者では無いのですか。

 三女は絶叫します。嗚呼、神よ、貴方に従わぬ者の血肉を捧げます。
 だから、どうか、どうか、わたしに再び貴き御声をお聞かせください。

 魔女の力が団員を襲います。
 激しい烈風が団員を吹き飛ばします。鋭い風刃が団員を斬り裂きます。

 団長は問います。賢者殿、如何にして魔女を葬るべきか。
 次女は逡巡します。私の肉親を葬らねばなりませんか。
 団長は問います。ならば、魔に堕ちた者を救う術が有るのか。
 次女は沈黙します。それは、空に訊くまでもないと知っているから。

 次女は静かに答えます。人の手で魔女を葬るには炎しか有りません。
 燃え盛る炎で囲み、魔の欠片すら遺さぬ程に焼き尽くすのです。
 逃れられぬよう、まずは魔女の自由を奪わねばなりません。

 団員は問います。賢者様、如何にして魔女を止めるべきでしょうか。
 次女は答えません。いいえ、答えられません。
 それこそが、民のために掴むべき最良の未来だと識っているから。
 それこそが、己のために避けるべき最悪の未来だと識っていたから。

 団長は問います。賢者殿、炎は起こせるのか。
 次女は応えます。次に空から降り注ぐ雷を捉えましょう。
 団長は問います。しかし、雷が何処に落ちるか判るのか。
 次女は応えます。何処に落とすのか、空に尋ねましょう。

 団長は笑います。ならば、落とす場所は選べるということだな。
 次女は沈黙します。それは、否定する意味が無いと悟っているから。


 次女は空に尋ねます。空よ、直ぐ雷を落とすことはできないか。
 空は哀しげに言います。友よ、疾い魔女に雷は当たりません。
 次女は空に訴えます。このままでは未来を変えることができない。
 姉は死に、騎士団も皆殺され、その果てに私が妹を殺せと言うのか。

 空は哀しげに応えます。その未来を変えるには遅すぎるのです。
 変えるのなら、三女が魔女と成ることを妨げねばならなかった。
 変えるのなら、騎士団を此処ではない何処かへ導かねばならなかった。
 魔女と相対してしまったのなら、その未来は最早定められたもの。

 次女は嘆きます。何も無いのか。何も残されていないのか。
 賢者と崇められながら、忌まわしき未来を受け入れるしかないのか。


 未来は容赦無く訪れます。

 団長は告げました。我々が魔女を足止めする。その間に雷を落とせ。
 次女は拒みます。それでは皆が命を落とします。それは誰も望まぬ未来。
 護るために死することが騎士の誇りとは、愚者の言い訳に過ぎません。

 団長は言いました。護れずに生き延びるなど、騎士にとって死に等しい。
 団長は剣を高く掲げました。それは突撃の号令でした。

 次女は叫びます。止まりなさい。向かえば魔女に殺される。
 団員は剣を構え、魔女と距離を詰めます。その身体は烈風に刻まれました。
 団員は剣を構え、魔女と距離を詰めます。その身体は暴風に砕かれました。
 団員が波の如く押し寄せ、鮮血と肉塊が散らばります。
 誰もが死など微塵も畏れず、ただ勝利だけを信じて挑みます。

 或る団員が声を上げます。
 空を識る者の声を聴け。空を識る者の啓に従え。
 怯えるな。震えるな。我らには空を識る者の叡智が有る。
 圧倒的な魔女の力の前でも、その雄叫びは騎士団を奮い立たせます。

 誰もが信じているのです。空を識る者を。稀代の賢者を。
 次女は唇を噛みます。覆したかった未来は眼前まで迫っていました。


 俄かに、次女は空を見上げました。


 次女は空に尋ねました。何があろうと私は殺させない。そうだな、空よ。
 空は応えます。誓いましょう、友よ。しかし如何なる策を取るのですか。
 次女は応えず空を見つめます。その瞳には確かに希望が宿っていました。

 不意に次女が空に向かって大仰に叫びました。
 嗚呼、空よ。神を騙り民を騙す不信心者に裁きの雷を。

 誰もが次女に目を引かれます。勿論、魔女さえも。
 次女は続けます。嗚呼、空よ。この空を識る者の声を聴け。
 すると空が呼応するように、何処から黒雲が生まれたのです。
 それは疑いようも無く、空が次女と繋がっている証でした。
 それは拒みようも無く、空が次女の願いを聴いた証でした。

 三女は絶望します。どうして。どうして。どうして、小姉さんが。
 神は信ずる者をお認めになるのではないのですか。
 神はわたしの信仰をお認めにならないというのですか。
 どうして。どうして。わたしは、この手に御力を賜ったのに。
 どうして、わたしには何も聞こえないのですか。

 次女は剣すら持たずに悠然と最前線に進みます。
 そして、言いました。

 神は貴女を選んだのではない。貴女を選んだのは、悪魔。
 神は貴女を選んだのではない。神が選んだのは、私。
 私こそ、空を識る者。私こそ、神に選ばれし代行者。
 否定するのなら、その忌まわしき魔で私を殺してみなさい。

 三女は激昂します。怒りのままに放った烈風は、まるで何かに引き寄せられるかのように次女の傍を抜けていきました。
 次女は笑います。飽きるまで続ければ良い。当たることは無いのだから。

 騎士団は神の所業を目の当たりにしました。
 魔女が放つ刃は、決して空を識る者に届くことは有りません。
 魔女が動けば、その先を穿つように雷が落ちるのです。
 気づけば、その手を伸ばせば届く程まで二人の距離が縮まっていました。

 次女は言います。その力を棄てると誓うなら、貴女を殺さずに済む。
 三女は言います。この力を棄てると誓うなら、わたしは死を選びます。

 三女は断じます。神が信心深き者を裁くはずがありません。
 次女は断じます。神が信心深き者を裁くはずはない。
 三女は笑います。ならば、神の雷はわたしに下らないでしょう。
 次女は笑います。ならば、空に問おう。信者への救済か、魔女への断罪か。

 そうして、空を識る者は断罪の命を下します。声を僅かに震わせて。


 空よ、愚かなる魔女に神の雷を。


 次女の喚び起こした雷が三女を焼き尽くします。
 雷から生まれた魔女狩りの炎は、その亡骸すら遺さぬ程に燃え盛ります。
 三女の叫声が響き渡りました。絶望と拒絶を孕んだ断末魔は、生き残った騎士団の耳に深く刻み込まれました。
 空を識る者も例外で無く、その声を、その罪を、受け止めました。

 焼け跡に遺るのは、最早何かも判らぬ程に焼き尽くされた灰だけ。

 次女は灰を両手で掬い上げました。手の間から溢れていく灰を眺めていた瞳から涙が落ちていきました。
 次女は悔やみます。守れなかった。変えられなかった。
 私はこの未来を避けるために、あの日妹に告げたというのに。
 私はこの未来を変えるために、魔女狩りの最前線に出たというのに。

 空が言いました。いいえ、貴女は確かに未来を変えました。
 姉は死に、騎士団も皆殺され、その果てに貴女が妹を殺すはずでした。
 けれど騎士団には生き残った者が居ます。貴女は仲間を喪っていません。
 友よ、稀代の賢者よ、その叡智を誇りましょう。
 貴女は空すら予想し得なかった未来を掴んだのです。その叡智で。



 その日、未来は確かに変わったのです。
 稀代の賢者は魔女狩りの功労者として讃えられ、王国の要職を与えられました。如何に固辞しようとも、拒むことはできませんでした。
 そして、凡ゆる者から慕われ、誉れ高い生を歩むことになるのです。その時に定められた未来では。


 空は呟きます。
 嗚呼、我が友は何と賢いのでしょう。また未来を変えてしまうとは。
 これで漸く、肉親も仲間も喪う未来に直せたと思っていたのに。
 これで漸く、ただ空だけと在る未来に導けたと思っていたのに。
 また数多の者を騙し、未来を歪めねばなりません。これで幾度目か。

 嗚呼、けれど、このような遊びも愉しいものですね。
 何時の日か必ず貴女を孤独に堕としてみせましょう、友よ。


 空を識る者が本当に空を識るのは、何時のことでしょうか。

   †
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

もう、いいのです。

千 遊雲
恋愛
婚約者の王子殿下に、好かれていないと分かっていました。 けれど、嫌われていても構わない。そう思い、放置していた私が悪かったのでしょうか?

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?

水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。 日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。 そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。 一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。 ◇小説家になろうにも掲載中です! ◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

処理中です...