蝉の声

 夏の風物詩とも言える蝉。朝早くから鳴く蝉を眺めながら、彼女は語る。
 あれって、昔死んだ武士の怨念の声なんだよ。
 憎い、辛い、痛い、熱い。そう叫んでるの。

 窓の外から見える電柱に蝉が止まった。
 あ、ほら、あれとか。彼女はそう言ってその蝉を指した。

 これは、ほんの少しだけ蝉が怖くなるかもしれない話。
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