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夜をひとり歩く――ああ、街が燃えていく光景は美しい。
攻め入った魔物達が次々と家を焼いているのだ。
人々は泣き喚き、逃げ惑っている。
「でもこのままじゃ罪のない人まで巻き込まれるわ……」
力の戻った今なら、善き人間も悪しき人間も見分けられる。
私は清浄なオーラを持った善人へ向けて、無数の守護を放つ。すると善人達の周りには魔物や悪人に襲われない結界が生まれた。これで善人達だけは生き残るだろう。
それにしても手元に戻ってきた力は守護という行為により増幅したらしい。
襲ってくる魔物は飴のように溶けていくし、目が合った悪人は次々発狂していく。
とても気分がいい。罪のない人を不当に苦しめるやつらは皆消えてしまえ。
「――ノア」
その時、背後から声がした。
聖なる気配。きっと聖獣に違いない。
そっと振り返ると、そこには予想外の姿があった。
「あなた、誰……?」
そこには美しい男性が立っていた。
褐色の肌、夜色の髪、星の瞳――全てが整い過ぎている所為か人間には見えない。
そう、あまりに神々しいその印象から連想するのはやはり聖獣。
「まさか……あなた聖獣なの……?」
「その通り。私はずっと君に語りかけていた聖獣だ。名をルキと言う」
聖獣――いや、ルキはそう言ってわずかに微笑んだ。
しかし彼はすぐに厳しい表情となって、こう続ける。
「君には本当に迷惑をかけた。無理を言って国を守ってもらった挙句、あんな目に遭わせてしまって……全ては私の責任だ。何なりと罰を下してほしい」
「そ、そんな……あなたは国を守ろうとしただけでしょう……?」
「しかし君には相当な負担をかけた。良ければ私の力を半分差し出そう」
その言葉に私は首を横に振った。
ルキは悪くない。罰を受ける必要なんてないのだ。
「いらないわ。その力で他の人を守ってあげて」
「他の人か……私は君の前にしか姿を現していないんだけどな……」
「え?」
魔物達の砲撃で、ルキの声がよく聞こえなかった。
私が聞き返すと、相手は少しだけ笑ってこう尋ねる。
「ノア、私の住む場所へ来ないか?」
「あなたの住む場所? もしかして神界かしら?」
「いいや、他の聖獣や妖精が住む楽園のような場所だ。きっと気にいるだろう」
楽園――それは何度も夢見た場所。
行けるなら行ってみたいけど、いいのだろうか。
ルキの顔を伺いつつ悩んでいると、相手が破顔した。
「どうやら気持ちは決まってるみたいだね。さあ、行こうか」
攻め入った魔物達が次々と家を焼いているのだ。
人々は泣き喚き、逃げ惑っている。
「でもこのままじゃ罪のない人まで巻き込まれるわ……」
力の戻った今なら、善き人間も悪しき人間も見分けられる。
私は清浄なオーラを持った善人へ向けて、無数の守護を放つ。すると善人達の周りには魔物や悪人に襲われない結界が生まれた。これで善人達だけは生き残るだろう。
それにしても手元に戻ってきた力は守護という行為により増幅したらしい。
襲ってくる魔物は飴のように溶けていくし、目が合った悪人は次々発狂していく。
とても気分がいい。罪のない人を不当に苦しめるやつらは皆消えてしまえ。
「――ノア」
その時、背後から声がした。
聖なる気配。きっと聖獣に違いない。
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「あなた、誰……?」
そこには美しい男性が立っていた。
褐色の肌、夜色の髪、星の瞳――全てが整い過ぎている所為か人間には見えない。
そう、あまりに神々しいその印象から連想するのはやはり聖獣。
「まさか……あなた聖獣なの……?」
「その通り。私はずっと君に語りかけていた聖獣だ。名をルキと言う」
聖獣――いや、ルキはそう言ってわずかに微笑んだ。
しかし彼はすぐに厳しい表情となって、こう続ける。
「君には本当に迷惑をかけた。無理を言って国を守ってもらった挙句、あんな目に遭わせてしまって……全ては私の責任だ。何なりと罰を下してほしい」
「そ、そんな……あなたは国を守ろうとしただけでしょう……?」
「しかし君には相当な負担をかけた。良ければ私の力を半分差し出そう」
その言葉に私は首を横に振った。
ルキは悪くない。罰を受ける必要なんてないのだ。
「いらないわ。その力で他の人を守ってあげて」
「他の人か……私は君の前にしか姿を現していないんだけどな……」
「え?」
魔物達の砲撃で、ルキの声がよく聞こえなかった。
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「いいや、他の聖獣や妖精が住む楽園のような場所だ。きっと気にいるだろう」
楽園――それは何度も夢見た場所。
行けるなら行ってみたいけど、いいのだろうか。
ルキの顔を伺いつつ悩んでいると、相手が破顔した。
「どうやら気持ちは決まってるみたいだね。さあ、行こうか」
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