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第一話
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第一王子の婚約者、公爵令嬢のアリアが孕んだ。
この知らせが学園を駆け巡ったのは夏季休暇を終えたばかりの九月。学園はアリア妊娠の話題で持ちきりになった。すぐさま何人かの生徒が教室を覗きに向かうと、暗い顔をしたアリアが教室へ入っていくのが見えた。そのお腹は随分膨らんでおり、妊娠しているのが目に見えて分かる――事実、妊娠四ヶ月目であった。
何人かの令嬢は無遠慮に“誰の子供?”と尋ねた。するとアリアは悲しい顔をして首を振った。そんな様子を見た人々は様々な憶測をし始めた。アリアは強姦されたのではないか? または王子と婚前交渉をしたのではないか? いいや、きっと男と密通して子供ができたんだ! そんな風評の中にアリアはひとり立ち尽くしていた。
その数日後、アリアは婚約者の第一王子イェールからある宣言を受けた。
学園の集会にて、イェールは壇上に立って叫んだ。
「俺を裏切り、子を孕んだ挙句、よくも王家にこんな恥知らずの手紙を書いたな! お前みたいなアバズレは婚約破棄だ! 国外追放だ!」
生徒達は騒然とし、一体どんな手紙を送ったのかと口にする。
しかしその手紙はアリアにとって身に覚えのないものだった。
内容は“私、アリアはイェール様に犯され、子を孕みました。どうか責任を取って下さい”というものである。その内容を知らされたアリアは絶句して、自分の妹ウィリアを見た。ウィリアはただニタニタと笑っているだけだった。
そしてアリアは本当に婚約破棄と国外追放の処分を受けた。
あれは王子の場当たり的な発言かと思われたが、すでに国王が許可したものだった。誰の目からも明らかにアリアが孕んでいること、強姦を否定するイェールが魔法判定で嘘を吐いてなかったこと、イェールと王家を脅すような手紙が送られてきたこと、その三つからアリアは罰を受けた。
やはりアリアは男と密通していたのだ。
アリアはとんだアバズレだ、王子を裏切るなんて。
あんな女は国外追放されるのが妥当だ! そのまま野垂れ死ね!
そんな悪口が人々の間で囁かれた。
しかしアリアを追放してから三日後――
ある怪奇現象が起きたことで、事態は大きく覆る。
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やはりアリアは男と密通していたのだ。
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あんな女は国外追放されるのが妥当だ! そのまま野垂れ死ね!
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