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第5話

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 クライドは深夜、レイラの部屋へ出向いていった。
 薄暗い部屋の中、彼女は着飾った姿で出迎えた。
 それはあまりに美しく――クライドはごくりと喉を鳴らした。

「レイラ……今日こそ思いを遂げさせてくれるのか……」
「ええ、クライド様……。お待ちしておりました……」

 そして二人はベッドへ倒れ込んだ。
 貪るようにキスをして、体を重ね合わせる。
 お互いの体をまさぐり合い、吐息を漏らした時、彼女が言った。

「クライド様……。カサンドラ様の正体を知りたいでしょう……?」
「いいんだ、レイラ……。あんなやつのこと、忘れたいんだ……」
「でもカサンドラ様とは深い仲だったのでしょう……?」
「もういい……過ぎたことだ……」
「それに、アレクサンドラ様とも恋仲だったと聞きましたが……」

 前の女の話しをされたクライドは微かな怒りを覚えた。

「ああ! 俺はアレクサンドラも、カサンドラも、かつては愛していた! しかし今は君だけだ! それのどこがいけない!」
「きっと私のことも嫌いになりますわ……」
「なる訳ないだろう! もっと自信を持て!」
「――ジシン? ジシンヲモテ?」

 その途端、クライドの目の前がぐにゃりと歪み、眩暈がした。
 ぐるぐると回る世界で、彼はレイラを探して彷徨う。
 すると甘えたような女の声が聞こえてきた。

「ねぇ……大好きな第一王子様ぁ……? 本当に自信を持っていいのぉ……?」
「レ、レイラ……! どこにいるんだ……! どこ……――」

 やがてクライドはひとりの女を見付けた。
 彼はそれをレイラだと思い、服を脱がしにかかる。
 現れた裸体の腹部はわずかに膨らんだ妊婦のものだった――

「私はクライド様の子供を孕んでいます」

 レイラの声がして、クライドが我に返った。気が付くと彼はさっきと同じようにレイラと共にベッドの上に座っている。しかし彼女は膨らんだ下腹部をゆっくりと撫でていた。愛おしそうに腹を撫でる仕草に彼は反吐が出る思いだった。

「ふざけるな! お前はどの男と……――」

 その瞬間、レイラがアレクサンドラになった。

「これはあなたの子です。私は嘘なんて吐いていません」

 次の瞬間、アレクサンドラがカサンドラになった。

「これはあなたの子よぉ! 私としたでしょう?」

 点滅するかのようにアレクサンドラ、カサンドラ、レイラが次々入れ替わる。やがてその光景に耐えられなくなったクライドは汚物を吐きながら失神する。しかし目の前の女達はそれを許さない――聖魔法で彼を回復させる。

 そしてすぐさま妖しい世界に引き込み、彼の精神をいつまでもいたぶっていた。
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