無能と呼ばれた魔術師の成り上がり！！

魔法学園グリモアール編

打倒黒騎士

　マサトの攻撃魔法をもろに喰らった黒騎士は何事もなかったかのように立ち上がっていた。
　黒騎士はマサトの方を向くと、猛スピードでマサトに斬りかかる。
　ガキンッと剣と剣のぶつかり合う鈍い音が響く。

「ライト、助かった！」

「礼はいいからさっさとどけ！」

　ライトはすぐに二刀流で黒騎士と何合か打ち合い距離を取った。
　マサトはライトが黒騎士と打ち合っている隙を見て距離を取った。

「どうするライト。このままじゃジリ貧だぞ」

　マサトの言葉に反応して、ミルラ王女もライトの方を向いて困ったような顔をする。
　ライトは二人の顔を交互に見るとひとつ大きなため息をついた。

「はあ、わかった。ここからは俺一人でやる」

「はあ！？いや、それは……」

「まあ、最後まで話は聞け。別にお前らが足手まといだからってわけじゃない。俺があの黒騎士相手にどこまでやれるか試したいんだ」

「…………はあ、わかりました。でも危なくなったら逃げてくださいね」

「おう！そんときは任したぜ」

　ライトは二人にそう言うと黒騎士に一人で歩いていく。

「《クリエイト　干将・莫耶》」

　ライトは歩きながら神器を創造した。
　干将・莫耶、黒と白、陰と陽といった具合に相反する印象を与える双剣として有名な中国の名剣である。

《双剣術レベルMAX発動》

　スキルが発動したのを感じると黒騎士へと突撃していく。
　しかし、スキルが発動していても黒騎士は平然とライトの動きについていく。
　ライトはひとつ黒騎士の攻撃を弾くと一旦距離を取った。

「はあ、やっぱスキルだけじゃ無理かー。しゃねぇ。疲れるけど魔術を使うしかないか。ふう、《身体強化魔術発動》」

　ライトが身体強化の魔術を発動させると赤い光がライトの体を包み込んだ。
　その瞬間ライトはさっきのスピードを優に越えた動きで攻めていく。
　黒騎士は先ほどまではライトと攻防一体を繰り広げていたが、今は防戦一方であった。
　黒騎士にどんどんライトの攻撃が入っていくが決定打にはなっていなかった。

「攻撃力が足りないなら増やせばいい！《身体強化魔術・剛力》」

　ライトが魔術を使うとライトの攻撃の一つ一つに凄みが増し、その攻撃を受け止めていた黒騎士の剣がついに砕けてしまった。
　ライトは無防備になった黒騎士に止めの一撃を放った。

「《付与魔術　光属性付与》そして、《神器解放、干将・莫耶》」

　すると、ライトの握っていた双剣は光り輝きだし、一振りの剣となった。
　そして、そのままライトは黒騎士を一刀両断し、倒したのだった。
　黒騎士は真っ二つに斬られると跡形もなく消えていった。

「やったか……」

「すげえ！やっぱりお前はすごいな！」

「お兄ちゃん！やりましたよ！」

　黒騎士が完全に消えたのと同時にマサトとミルラ王女はライトのところに向かった。

「はあ、なんとか勝てたよ」

「みたいだな」

「これでこのダンジョンもクリアですね♪」

　ミルラ王女は笑いながらそう言うと、ライトは安心してしまったのかその場に座り込んでしまった。

「あれ？足に力が入んねぇ」

「大丈夫ですか？お兄ちゃん、立てますか？」

「ちょっと無理そうだな」

「なら、少し休憩していくかー」

　ライトの近くにマサトとミルラ王女も座り込んだ。
　そんな二人を見ているとやっと勝ったんだなって思い安心すると、まぶたが重くなるのを感じるとそのままその場で意識が落ちていった。