9 / 62
王国襲撃編
無謀な挑戦
しおりを挟む
ひとつ、昔の話をしようと思う。
俺こと佐藤光には、二つ下のかわいい妹がいた。いた、そう過去形なのである。
名前は佐藤恵、クラスであまり友達を作らなかった俺と違い、クラスの人気もので友達じゃない子はいないくらいだった。
兄妹の仲は他がどうなのか分からなかったが、悪い方ではなかったと思う。恵が将来の夢はお兄ちゃんのお嫁さんと言ってたくらい仲がよかった。……ん?兄妹で結婚はできない?千葉県民の人の中にはそんな人たちもいるから全然セーフだ。
まあ、それなりに幸せな日々を送っていた俺たちだった。しかし、ある日事件が起こった。
普段俺と恵は学校の帰りはいつも一緒だった。けど、その日は先生に捕まり、居残りをするはめになってしまい恵は一人でかえってしまった。そして、事件は起こった。
通り魔だったらしい。後ろから心臓をナイフでひと刺しだったらしい。そして、恵は亡くなった。
俺はその時のことをものすごく悔やんだ。なぜ一緒に帰ってやれなかったのかと、どうして守れなかったのかと、何度も何度も悔やんだ。
そして、俺は誓った。自分の大切な人だけでも守ってみせると。もう絶対誰も死なせやしないと、確かに誓ったんだ。
俺の今目の前には大型モンスターであるオーガがいる。ランクの差は歴然としている。このまま戦っても勝ち目はないだろう。けれど、今俺の後ろには守らなくちゃいけない人がいる。賢一に夏希に露切さん。そして、なぜかミルラ王女の顔も思い浮かんだ。
気持ちだけで圧倒的な力の差はどうにもならない。けれど、別に倒さなくてもいいのだ。ただ逃げきるまでの時間稼ぎをすればいいだけの話なのだから。
「こっちは一発一発の威力が小さいから何度も攻撃しないといけないってのに、俺は一発当たっただけで死ぬからな。相手の攻撃は全て避けて、自分の攻撃は全て当てる!」
オーガが繰り出してくるパンチを走りながら全力で避けて、すぐさま剣を最大の十本を造り出して攻撃をする。それをずっと繰り返していた。
そして、そろそろ逃げきっただろうと後ろを振り返ると、城に魔法が展開されているのに気付き、驚いた。そして、城はそこから消えてしまった。きっと転移魔法を使って逃げたのだろう。
だが、俺の逃げ場は無くなってしまった。城に戻ることもできない、このオーガからも逃げきることのできる自信はない。ならば、どうすればいい。ここで生き残ることのできる方法を探しだせ!
けれど、何度も何度も考えても同じ方法しか思い付かなかった。それは、現状でもっとも現実的で、そして、俺にとっては最悪な方法だった。
「結局、こいつを倒すことができないと現状、生き残ることは無理だろう。ならば、やるしかない!」
そして、俺は再びオーガと向き合った。
俺こと佐藤光には、二つ下のかわいい妹がいた。いた、そう過去形なのである。
名前は佐藤恵、クラスであまり友達を作らなかった俺と違い、クラスの人気もので友達じゃない子はいないくらいだった。
兄妹の仲は他がどうなのか分からなかったが、悪い方ではなかったと思う。恵が将来の夢はお兄ちゃんのお嫁さんと言ってたくらい仲がよかった。……ん?兄妹で結婚はできない?千葉県民の人の中にはそんな人たちもいるから全然セーフだ。
まあ、それなりに幸せな日々を送っていた俺たちだった。しかし、ある日事件が起こった。
普段俺と恵は学校の帰りはいつも一緒だった。けど、その日は先生に捕まり、居残りをするはめになってしまい恵は一人でかえってしまった。そして、事件は起こった。
通り魔だったらしい。後ろから心臓をナイフでひと刺しだったらしい。そして、恵は亡くなった。
俺はその時のことをものすごく悔やんだ。なぜ一緒に帰ってやれなかったのかと、どうして守れなかったのかと、何度も何度も悔やんだ。
そして、俺は誓った。自分の大切な人だけでも守ってみせると。もう絶対誰も死なせやしないと、確かに誓ったんだ。
俺の今目の前には大型モンスターであるオーガがいる。ランクの差は歴然としている。このまま戦っても勝ち目はないだろう。けれど、今俺の後ろには守らなくちゃいけない人がいる。賢一に夏希に露切さん。そして、なぜかミルラ王女の顔も思い浮かんだ。
気持ちだけで圧倒的な力の差はどうにもならない。けれど、別に倒さなくてもいいのだ。ただ逃げきるまでの時間稼ぎをすればいいだけの話なのだから。
「こっちは一発一発の威力が小さいから何度も攻撃しないといけないってのに、俺は一発当たっただけで死ぬからな。相手の攻撃は全て避けて、自分の攻撃は全て当てる!」
オーガが繰り出してくるパンチを走りながら全力で避けて、すぐさま剣を最大の十本を造り出して攻撃をする。それをずっと繰り返していた。
そして、そろそろ逃げきっただろうと後ろを振り返ると、城に魔法が展開されているのに気付き、驚いた。そして、城はそこから消えてしまった。きっと転移魔法を使って逃げたのだろう。
だが、俺の逃げ場は無くなってしまった。城に戻ることもできない、このオーガからも逃げきることのできる自信はない。ならば、どうすればいい。ここで生き残ることのできる方法を探しだせ!
けれど、何度も何度も考えても同じ方法しか思い付かなかった。それは、現状でもっとも現実的で、そして、俺にとっては最悪な方法だった。
「結局、こいつを倒すことができないと現状、生き残ることは無理だろう。ならば、やるしかない!」
そして、俺は再びオーガと向き合った。
0
お気に入りに追加
215
あなたにおすすめの小説

ウォーキング・オブ・ザ・ヒーロー!ウォークゲーマーの僕は今日もゲーム(スキル)の為に異世界を歩く
まったりー
ファンタジー
主人公はウォークゲームを楽しむ高校生、ある時学校の教室で異世界召喚され、クラス全員が異世界に行ってしまいます。
国王様が魔王を倒してくれと頼んできてステータスを確認しますが、主人公はウォーク人という良く分からない職業で、スキルもウォークスキルと記され国王は分からず、いらないと判定します、何が出来るのかと聞かれた主人公は、ポイントで交換できるアイテムを出そうとしますが、交換しようとしたのがパンだった為、またまた要らないと言われてしまい、今度は城からも追い出されます。
主人公は気にせず、ウォークスキルをゲームと同列だと考え異世界で旅をします。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

スライムばかり食べてた俺は、今日から少し優雅な冒険者生活を始めます。
いけお
ファンタジー
人違いで異世界に飛ばされてしまった佐藤 始(さとう はじめ)は、女神システィナからとりあえず悪い物を食べて死ななければ大丈夫だろうと【丈夫な胃袋】と【共通言語】を与えられ放り出されてしまう。
出身地不明で一銭も持たずに現れた彼を怪しんだ村の住人達は簡単な仕事の紹介すら断る有様で餓死が目の前に迫った時、始は空腹のあまり右手で掴んだ物を思わず口に入れてしまった。
「何だこれ?結構美味いぞ」
知らずに食べていた物は何とスライム、弱って死ぬ寸前だった始を捕食しようと集まっていたのだった。食べられると分かった瞬間スライム達がごちそうに早代わり、始のスライムを食べる生活が始まった。
それから数年後、農作物を荒らすスライムを食べて退治してくれる始をいつの間にか村人達は受け入れていた。しかし、この頃になると始は普通のスライムだけの食生活に飽きてしまい誰も口にしない様な物まで陰でこっそり食べていた・・・。数え切れない程のスライムを胃袋に収めてきたそんなある日の事、彼は食べたスライム達からとんでもない能力を幾つも手に入れていた事に気が付いた。
始はこの力を活かす為に町に移住すると、悪徳領主や商人達が不当に得た金品を奪う冒険者生活を始めるのだった・・・。
仕事中の空いている時間に物語を考えているので、更新は不定期です。また、感想や質問にも出来る限り答えるつもりでいますが回答出来ない場合も有ります。多少の強引な設定や進行も有るかもしれませんが、そこは笑って許してください。
この作品は 小説家になろう ツギクル でも投稿しております。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

神様の願いを叶えて世界最強!! ~職業無職を極めて天下無双する~
波 七海
ファンタジー
※毎週土曜日更新です。よろしくお願い致します。
アウステリア王国の平民の子、レヴィンは、12才の誕生日を迎えたその日に前世の記憶を思い出した。
自分が本当は、藤堂貴正と言う名前で24歳だったという事に……。
天界で上司に結果を出す事を求められている、自称神様に出会った貴正は、異世界に革新を起こし、より進化・深化させてほしいとお願いされる事となる。
その対価はなんと、貴正の願いを叶えてくれる事!?
初めての異世界で、足掻きながらも自分の信じる道を進もうとする貴正。
最強の職業、無職(ニート)となり、混乱する世界を駆け抜ける!!
果たして、彼を待っているものは天国か、地獄か、はたまた……!?
目指すは、神様の願いを叶えて世界最強! 立身出世!
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

クラスまるごと異世界転移
八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。
ソレは突然訪れた。
『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』
そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。
…そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。
どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。
…大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても…
そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

念動力ON!〜スキル授与の列に並び直したらスキル2個貰えた〜
ばふぉりん
ファンタジー
こんなスキルあったらなぁ〜?
あれ?このスキルって・・・えい〜できた
スキル授与の列で一つのスキルをもらったけど、列はまだ長いのでさいしょのすきるで後方の列に並び直したらそのまま・・・もう一個もらっちゃったよ。
いいの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる