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王国襲撃編

無惨な惨劇

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SSランクのモンスターが現れたことは俺たちに動揺を与えた。

まず、本来モンスターは人間と同じでSランクが最高である。
だが、ごく稀に存在しているのである、その上の存在というものが。
今回のオーガもそうだが、SSランクのモンスターとなると、たった一体いるだけで街ひとつを落とすことができると言われている。
そんなモンスターが目の前に現れたのだ。冷静でいられるほうが難しい。

兵士たちはオーガの存在を確認すると、逃げ戸惑い始めた。
オーガの近くにいた兵士たちは一瞬のうちに殺られていた。
格が明らかに違うのだ。

「後退だ!後退しろ!」

リアル団長の口から後退の指示がでる。
俺たちと兵士たちは急いで城を目指して後退をした。
しかし、それでも逃げ遅れた人もいて次々と殺られていく。俺たちは何もする事が出来なかった。
ただただ逃げることしか出来なかった。

城に逃げ込んだ俺たちと兵士の生き残りは急いで、この城を捨てる準備を始めた。
その時、ちょうど俺と賢一以外のクラスメイトたちが揃っていた。

「俺はSランクの勇者だ!あんなモンスター余裕で倒してみせる!」

「私たちだってSランクなのよ!御剣くんに続いて!」

そう言いクラスの連中はSSランクのオーガに勝負を挑みに行った。

あいつら!自分たちをゲームかなんかの主人公と勘違いしてないか!?ここで死ねば、生き返ることなんてできずに死ぬんだぞ!勝てるわけないだろ!

御剣はオーガの正面に立ち剣を構えた。

「一撃で決めてやる!いくぞ!《聖剣よ!我が望みに答え力を示せ!エクスカリバー!》」

御剣の持っている剣が光に包まれ巨大な剣となり、オーガに向かって振り下ろした。激しい衝撃音とともに土埃が舞う。

「大したことない相手だったな。SSランクのモンスターも俺には勝てないんだよ」

御剣や他のクラスメイトたちは倒した気でいた。
実際に手応えがあったからこそ自信があるのだろう。
しかし、視界が晴れてそこにいたのは、無傷な状態のオーガだった。

「ウオオオオオッ」

オーガは叫びながら御剣たちに襲いかかった。
御剣たちは予想外の出来事に反応することができなかった。
そして、御剣を含む半数以上のクラスメイトたちが吹き飛び、そのまま倒れてしまった。

そして、その中にいた露切さんに腕が振り下ろされる瞬間には俺の足はすでに動いていた。

《適応レベルMAXが加速レベルMAXに変化します》

才能スキルが発動し、いつもの十倍以上のスピードで駆け抜けて露切さんを抱えて避けた。

「おい!意識ある奴らで周りにいる人たちを抱えて逃げろ!俺がそれまでの時間を稼ぐ!もう絶対に誰も死なせない!」

俺はそう言い、オーガに向かった。
御剣たちは急いでこの場から逃げようと必死になって、城へと向かっていく。
だが、急いでいてもダメージを負っているため、本来のスピードの十分の一以下のスピードでしか移動できていない。
なら、ここで俺がオーガを長時間留めておく必要がある。
だが、相手は自分の格上の格上であるSSランクのモンスターなのである。
時間を稼ぐといってもそう長くは持たないのは、目に見えて分かる。
それでもみんなを守るためにここから先には絶対にいかせないと思いオーガへと向かっていく。

「最強のオーガに最弱なりの力、見してやるよ!《クリエイト、ソード》」

俺は剣を出せるだけ造り出して、オーガに剣放ち、斬りかかった。

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