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プロローグ
無能の烙印
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俺はさっき言われたことを聞き返してしまった。
「さ、最悪?どういうことだ。ランクFで最弱なのはわかる。だが、なぜ魔術師という職業も最悪になるんだ?」
そうだ。ランクは最弱かもしれない。
けど、職業まで最弱ってことはないはずだ。だって魔術師なんだぞ。強そうなイメージしかないわ。
「魔術師が最悪な理由ですか…そうですね。簡単に言いますと需要がないし、何より特徴がないからですね」
「と、特徴がないだと。なんでだ?魔法が使えるという特徴があるじゃんか」
「魔法は基本的に職業に関係なく扱うことができます。なので、基本魔法系統の職業は他に比べて特徴が無くなるというわけです。しかし、賢者など最高職になると魔法を使える域が常人のはるか上にいくから別ですが……しかし、魔術師になると話は別です。魔術師は魔法はその人の才能にもよりますが基本的に中級までしか扱うことができません。中級までなら常人にも頑張れば使えるレベルなのです。なので魔術師は私達からこう言われています。《最弱職》と。そしてあなたはその上にランクFですからね、《無能の魔術師》がお似合いですね」
さっきまでの礼儀正しい態度は消え、明らかにこちらを見下すような態度に変化した。
そうだ、忘れていた。ここは異世界だ、だから人も向こうと違うと勝手に思い込んでいた。
だが、人間は人間なのだ。どこの世界にいようが、人間とは、汚く醜く卑怯な生き物なのだ。だからこそ、いじめは存在するし、弱者には生きにくい世の中になっているのだ。
そして、目の前にいるスリト王もヴァニラ王妃もミルラ王女だってそんな人間なのだ。
俺の後ろにいるクラスの連中だってさえそうなのだ。
「まあ、こっちの事情で呼び出しているので、最低限のもてなしはします。しかし、それ以上はしません。いいですか」
ここで断ってしまったらどうなるのだろうか。きっと俺には用はないはずだ。
ならば、捨てたほうがいいと思っているに決まっているはずだ。
それでも生かそうとしているのはなぜか。きっとクラスの中にいる俺を庇って反抗する人を出さないためか。ならばここは、
「はい、何の問題もありません。ありがとうございます」
これが正解のはずだ。
「全員を終わったようだな。明日からは訓練を開始したいと思う。今日はこのくらいにして、ここの部屋に戻るように。部屋までの案内は、そこにいるメイドたちに頼んである。一人一人に専属メイドをつけているから、そのように。それでは、解散」
そういい残して、スリト王たちは部屋から出ていった。残った俺たちとクラスメイトは、現状に混乱していたが、専属メイドたちが動き始め、みんなのところに行っている。
そして、俺のところにも一応来たようだった。そのメイドは、明らかに周りのメイドたちと違っていた。それは、頭の上に猫耳がついているのだ。
「わたしが、サトウさんの専属メイドのメリィです。よろしくお願いいたします」
「こちらこそよろしくお願いします。えっと、メリィさんでいいですか?」
「私たちはメイドに敬語は必要ありません。普段通りの話し方で構いません。それとさん付けもいりません」
「分かりました……いや、わかった。これでいいか」
「ええ、構いません」
そんなやりとりをしたあと、俺たちは自分たちの部屋へと案内された。
自分の部屋に着いてから驚いた。俺たちの部屋なんてどうせ小さなものだろうと思っていたのだが、
「めちゃくちゃでけぇじゃねぇか!」
「どうかなさいましたか?」
「えっと、いや、なんでもない」
おっと、こころの声が漏れてしまったようだな。気を付けねば。
部屋を見渡して見ると、教室並みの広さはあった。いくらなんでもこれは大きすぎる。こんな広い部屋を一人で使うとか、気が引けるなー。
「何かありましたら、机の上に置いてあるベルを鳴らしてください。いつでも駆けつけますので。それでは、失礼いたしました」
それだけを言い残して、メリィは部屋から出ていった。
「まあ、とりあえず風呂入って寝るとするか……」
その後、言葉通りに風呂に入ってから、寝ようとベッドに寝転がって今日起こった出来事について考えていた。
「これは、夢じゃないんだよな……明日から俺は、どうなってしまうんだろうな。まあ、明日のことは、明日また考えるとするか。とにかく寝よ」
そのままベッドで意識が落ちていった。
「さ、最悪?どういうことだ。ランクFで最弱なのはわかる。だが、なぜ魔術師という職業も最悪になるんだ?」
そうだ。ランクは最弱かもしれない。
けど、職業まで最弱ってことはないはずだ。だって魔術師なんだぞ。強そうなイメージしかないわ。
「魔術師が最悪な理由ですか…そうですね。簡単に言いますと需要がないし、何より特徴がないからですね」
「と、特徴がないだと。なんでだ?魔法が使えるという特徴があるじゃんか」
「魔法は基本的に職業に関係なく扱うことができます。なので、基本魔法系統の職業は他に比べて特徴が無くなるというわけです。しかし、賢者など最高職になると魔法を使える域が常人のはるか上にいくから別ですが……しかし、魔術師になると話は別です。魔術師は魔法はその人の才能にもよりますが基本的に中級までしか扱うことができません。中級までなら常人にも頑張れば使えるレベルなのです。なので魔術師は私達からこう言われています。《最弱職》と。そしてあなたはその上にランクFですからね、《無能の魔術師》がお似合いですね」
さっきまでの礼儀正しい態度は消え、明らかにこちらを見下すような態度に変化した。
そうだ、忘れていた。ここは異世界だ、だから人も向こうと違うと勝手に思い込んでいた。
だが、人間は人間なのだ。どこの世界にいようが、人間とは、汚く醜く卑怯な生き物なのだ。だからこそ、いじめは存在するし、弱者には生きにくい世の中になっているのだ。
そして、目の前にいるスリト王もヴァニラ王妃もミルラ王女だってそんな人間なのだ。
俺の後ろにいるクラスの連中だってさえそうなのだ。
「まあ、こっちの事情で呼び出しているので、最低限のもてなしはします。しかし、それ以上はしません。いいですか」
ここで断ってしまったらどうなるのだろうか。きっと俺には用はないはずだ。
ならば、捨てたほうがいいと思っているに決まっているはずだ。
それでも生かそうとしているのはなぜか。きっとクラスの中にいる俺を庇って反抗する人を出さないためか。ならばここは、
「はい、何の問題もありません。ありがとうございます」
これが正解のはずだ。
「全員を終わったようだな。明日からは訓練を開始したいと思う。今日はこのくらいにして、ここの部屋に戻るように。部屋までの案内は、そこにいるメイドたちに頼んである。一人一人に専属メイドをつけているから、そのように。それでは、解散」
そういい残して、スリト王たちは部屋から出ていった。残った俺たちとクラスメイトは、現状に混乱していたが、専属メイドたちが動き始め、みんなのところに行っている。
そして、俺のところにも一応来たようだった。そのメイドは、明らかに周りのメイドたちと違っていた。それは、頭の上に猫耳がついているのだ。
「わたしが、サトウさんの専属メイドのメリィです。よろしくお願いいたします」
「こちらこそよろしくお願いします。えっと、メリィさんでいいですか?」
「私たちはメイドに敬語は必要ありません。普段通りの話し方で構いません。それとさん付けもいりません」
「分かりました……いや、わかった。これでいいか」
「ええ、構いません」
そんなやりとりをしたあと、俺たちは自分たちの部屋へと案内された。
自分の部屋に着いてから驚いた。俺たちの部屋なんてどうせ小さなものだろうと思っていたのだが、
「めちゃくちゃでけぇじゃねぇか!」
「どうかなさいましたか?」
「えっと、いや、なんでもない」
おっと、こころの声が漏れてしまったようだな。気を付けねば。
部屋を見渡して見ると、教室並みの広さはあった。いくらなんでもこれは大きすぎる。こんな広い部屋を一人で使うとか、気が引けるなー。
「何かありましたら、机の上に置いてあるベルを鳴らしてください。いつでも駆けつけますので。それでは、失礼いたしました」
それだけを言い残して、メリィは部屋から出ていった。
「まあ、とりあえず風呂入って寝るとするか……」
その後、言葉通りに風呂に入ってから、寝ようとベッドに寝転がって今日起こった出来事について考えていた。
「これは、夢じゃないんだよな……明日から俺は、どうなってしまうんだろうな。まあ、明日のことは、明日また考えるとするか。とにかく寝よ」
そのままベッドで意識が落ちていった。
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