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2.エッチなマンガよろしく、ピンク色のブラジャーがほんのり透けてみえている
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彼女が時々男の古本屋にやってくるようになって、数ヶ月が経った。
その日は朝から晴れていたのだが、急に夕立が降ってきた。
男は激しい雨音を聞きながら、通りを急ぐ人々をぼんやり見ていた。誰もいない店内は、外とは打って変わってとても静かだった。古本の湿っぽさとコーヒーが混ざり合ったこの匂いは、男をひどく落ち着かせた。男は半ば夢心地でいると、不意にガラガラと入り口の扉が開き、客が入ってきた。
こんな時に誰だろうと思って入り口に目をやると、そこには彼女がいた。エッチなマンガよろしく、白いシャツが雨で濡れ、ピンク色のブラジャーがほんのり透けてみえている。こんな絵に描いたような「ラッキースケベ」が降ってくるとは。男は笑い出したくなった。
「あっ、あ、雨すごいですね、大丈夫ですか」
男は透けブラを前に緊張で少し吃りながら、勇気を振り絞って声を出した。気持ち悪いと思われたかもしれない。言いながら男は自己嫌悪に陥る。
「ちょっと濡れてしまいました。少し雨宿りさせてください。あ、何か買いますから」
初めて聞いた女の声。思ったよりも低く落ち着いた声だった。
「あの、ふ、服、大丈夫ですか。・・・あの、これで・・・」
男は部屋の奥からタオルを出し、女に渡した。
「あ、お気遣いありがとうございます」
女は何の遠慮もなく、男の差し出したタオルを受け取って濡れた頭をゴシゴシ擦り出した。彼女は、男に何かしてもらうのに慣れているのかもしれない。男は、女の予想外の気さくさを喜ばしく思いながらも、彼女の周りに男の存在を感じ、嫉妬を覚えた。
「あの、あっ、よかったら服、貸しましょうか。お、奥で着替えられます」
「いいんですか。すみません」
女は一度も断ることなく、男の申し出をすんなり受け入れた。男は比較的新しい黒いTシャツを彼女に渡した。これなら、また濡れてしまっても透けることはない。他の男に、彼女の薄ピンクのブラジャーを拝まれることもない。
女を奥の部屋に通すと、男はドアを閉めた。今、自分の部屋の中で、彼女が俺の服に着替えているー。そう思うと、男の中で熱く激ってくるものがあった。
男は女の着替える衣擦れの音を聞き逃すまいと、必死になって耳を澄ませた。だが、激しい雨音に紛れ、その甘美な音は漏れ伝わってはこなかった。
「着替えました」
女は言いながら、ドアを開けて出てきた。Tシャツにスカート姿の彼女は、いつもより少し幼く見える。
何より、自分のTシャツを女の子が着ているという、男にとって奇跡のようなシチュエーションに、眼が眩みそうだった。
ゆったりした男物のTシャツの下であっても、あのおっぱいは存在感を放っている。男は自分の一部が女の肉体を包み込んでいるかのような錯覚に囚われた。
中学校のとき、女子が勝手に自分の席に座って友達と楽しそうにお喋りしている姿を見た時の、あの何とも言えない嬉しいようなむず痒いような心地を思い出した。間接的であれ、どんな形であっても、女子と接点を持ちたかったのだ。男は、そんな鬱屈した青春の1ページを回想していた。
「ありがとうございます。本、買っていきますね」
「えっ・・・あ、はい・・・あ、でも無理に買わなくてもいいですから」
「いえ、ちょうど買いたいと思っていた本があったので」
彼女はそういうと、画集のコーナーへ向かった。
「これください」
それは、アルフォンス・ミュシャの画集だった。パリの美術館で展覧会が開かれた時の図録で、フランスの出版社のものだ。
「ありがとうございます。2500円です」
男は意外と学がある。彼女の選んだ本について、何か気の利いたコメントでもできれば、彼女に感心してもらえて気を惹くことができたかもしれない。だが男はもうこの時点で胸いっぱいで、何も言うことができなかった。
いつの間にか、外はすっかり雨が上がり、みかん色の夕焼けに包まれていた。
「Tシャツ、ありがとうございました。今度お返ししますね」
そういうと彼女はTシャツの下でおっぱいを揺らしながら、颯爽と雨上がりの街へ出ていった。
何だあれは・・・女神か・・・はたまた男を惑わす夢魔か・・・。その姿があまりにも神々しく、男は掌を合わせたい衝動に駆られた。
その日は朝から晴れていたのだが、急に夕立が降ってきた。
男は激しい雨音を聞きながら、通りを急ぐ人々をぼんやり見ていた。誰もいない店内は、外とは打って変わってとても静かだった。古本の湿っぽさとコーヒーが混ざり合ったこの匂いは、男をひどく落ち着かせた。男は半ば夢心地でいると、不意にガラガラと入り口の扉が開き、客が入ってきた。
こんな時に誰だろうと思って入り口に目をやると、そこには彼女がいた。エッチなマンガよろしく、白いシャツが雨で濡れ、ピンク色のブラジャーがほんのり透けてみえている。こんな絵に描いたような「ラッキースケベ」が降ってくるとは。男は笑い出したくなった。
「あっ、あ、雨すごいですね、大丈夫ですか」
男は透けブラを前に緊張で少し吃りながら、勇気を振り絞って声を出した。気持ち悪いと思われたかもしれない。言いながら男は自己嫌悪に陥る。
「ちょっと濡れてしまいました。少し雨宿りさせてください。あ、何か買いますから」
初めて聞いた女の声。思ったよりも低く落ち着いた声だった。
「あの、ふ、服、大丈夫ですか。・・・あの、これで・・・」
男は部屋の奥からタオルを出し、女に渡した。
「あ、お気遣いありがとうございます」
女は何の遠慮もなく、男の差し出したタオルを受け取って濡れた頭をゴシゴシ擦り出した。彼女は、男に何かしてもらうのに慣れているのかもしれない。男は、女の予想外の気さくさを喜ばしく思いながらも、彼女の周りに男の存在を感じ、嫉妬を覚えた。
「あの、あっ、よかったら服、貸しましょうか。お、奥で着替えられます」
「いいんですか。すみません」
女は一度も断ることなく、男の申し出をすんなり受け入れた。男は比較的新しい黒いTシャツを彼女に渡した。これなら、また濡れてしまっても透けることはない。他の男に、彼女の薄ピンクのブラジャーを拝まれることもない。
女を奥の部屋に通すと、男はドアを閉めた。今、自分の部屋の中で、彼女が俺の服に着替えているー。そう思うと、男の中で熱く激ってくるものがあった。
男は女の着替える衣擦れの音を聞き逃すまいと、必死になって耳を澄ませた。だが、激しい雨音に紛れ、その甘美な音は漏れ伝わってはこなかった。
「着替えました」
女は言いながら、ドアを開けて出てきた。Tシャツにスカート姿の彼女は、いつもより少し幼く見える。
何より、自分のTシャツを女の子が着ているという、男にとって奇跡のようなシチュエーションに、眼が眩みそうだった。
ゆったりした男物のTシャツの下であっても、あのおっぱいは存在感を放っている。男は自分の一部が女の肉体を包み込んでいるかのような錯覚に囚われた。
中学校のとき、女子が勝手に自分の席に座って友達と楽しそうにお喋りしている姿を見た時の、あの何とも言えない嬉しいようなむず痒いような心地を思い出した。間接的であれ、どんな形であっても、女子と接点を持ちたかったのだ。男は、そんな鬱屈した青春の1ページを回想していた。
「ありがとうございます。本、買っていきますね」
「えっ・・・あ、はい・・・あ、でも無理に買わなくてもいいですから」
「いえ、ちょうど買いたいと思っていた本があったので」
彼女はそういうと、画集のコーナーへ向かった。
「これください」
それは、アルフォンス・ミュシャの画集だった。パリの美術館で展覧会が開かれた時の図録で、フランスの出版社のものだ。
「ありがとうございます。2500円です」
男は意外と学がある。彼女の選んだ本について、何か気の利いたコメントでもできれば、彼女に感心してもらえて気を惹くことができたかもしれない。だが男はもうこの時点で胸いっぱいで、何も言うことができなかった。
いつの間にか、外はすっかり雨が上がり、みかん色の夕焼けに包まれていた。
「Tシャツ、ありがとうございました。今度お返ししますね」
そういうと彼女はTシャツの下でおっぱいを揺らしながら、颯爽と雨上がりの街へ出ていった。
何だあれは・・・女神か・・・はたまた男を惑わす夢魔か・・・。その姿があまりにも神々しく、男は掌を合わせたい衝動に駆られた。
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