使用人の僕とお嬢様の秘められた情事

灯台守

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16.お嬢様との再会

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あの夜から一年。

お嬢様の結婚から、しばらく時間が経ってしまった。しかし、いくら時は過ぎても、お嬢様への想いは消えず、他の女性に恋をする余地は僕に残されていなかった。僕は一日たりとも、お嬢様のことを忘れたことはない。

お嬢様のお兄様のノア様が留学から戻り、アルマ様という美しい奥様を娶った。お二人の仲睦まじい様子が羨ましく、彼らを見ていると時々僕はお嬢様との日々を思い出してしまうのだった。
お嬢様は時々、僕に手紙をよこすことがあった。手紙は簡単な近況報告を綴っただけの素っ気ないものだったが、なぜかミエル様のお気持ちを感じることができ、僕は暖かい気持ちになれた。
しかし、一年経ってもお嬢様がご懐妊したという知らせはなく、そのことが少し気掛かりでもあり、不謹慎ながらある意味で喜ばしくもあった。

そんな日々を過ごす中、僕はアガタさんの幼い息子さんがベランダから落ちそうになるのを助け、右腕を骨折してしまった。ノア様ご夫婦とアガタさんは僕を心配して病院へ付き添ってくださり、僕はそのまましばらく入院することになった。
入院中はいつものように立ち働く必要がないので、初日はたくさん寝てリフレッシュできたが、翌日になると退屈で仕方がなくなってきた。右手が使えないので、本を読むこともできない。ぼーっと窓の外を見たり考え事をしたりする他は、することが本当になかった。

そんな風に無為に過ごしていた僕だったが、ある時、病室にやってきたミエル様の姿を一年ぶりに目にして、今まで眠っていたときめきが蘇ってきたのだった。
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