使用人の僕とお嬢様の秘められた情事

灯台守

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4.弄ばれた桃色の絹

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翌朝、お嬢様は何事もなかったかのように、いつものクールな表情でティーカップを口に運んでいた。
僕は昨夜の出来事が夢であったような気がしていた。僕があまりにもお嬢さまに夢中になっているから、あんな淫らな夢を見てしまったのだと。

だが、お嬢様の寝乱れたベッドのシーツの中から出てきた「あるモノ」を見て、僕は昨日の出来事が夢ではなかったことを知った。
それは、お嬢様の大切な部分を覆う絹の下着ーもっと直接的な言葉で言えば「パンティ」ーだった。恐る恐る手に取ってみると、それは使用済みらしく、薄桃色の生地に濡れて乾いた跡があった。
ベッドメイキングは僕の仕事なのだが、今までお嬢様はそのようなモノをベッドに置き去りにすることは一度たりともなかった。朝、洗濯係の女中に脱いだお召し物は全部渡しているはずだから。
その下着を目にした途端、お嬢様は僕が覗いていたことも、すべて気がついていたのだと悟った。僕はミエル様の美しくクールな仮面の下に、熱く淫らな娼婦のような素顔が隠れていたことに驚き、思わず作業の手を止めて呆然とした。
・・・今、お嬢様は、乗馬のお稽古でしばらくここには帰ってこない。僕は咄嗟に考えを巡らし、置き去りにされた下着を自分のジャケットの内ポケットに素早く突っ込んだ。
本来ならば、洗濯係の女中さんにそれを渡すべきであって、決して自分のモノにしていい訳がない。お嬢様の最もプライベートな所有物を我が物にしようだなんて、決して許されることではない。
見つかれば、クビになるどころではないかもしれない。お嬢様に心の底から蔑まれるだろう。冷たい視線を浴びながら、惨めな一生を送るのだろう。しかし、お嬢様の軽蔑の眼差しを想うと、僕はなぜか興奮を覚えた。
昨夜のお嬢様の大胆なお姿と、僕を見下すお嬢様の氷のような表情が交互に脳裏にちらついて、僕はどうにかなってしまいそうだった。
「ジュールさん、終わりましたか」
女中のアガトさんの声で、僕ははっと我に帰った。
「あっ、もう少しです」
「じゃあ終わったら、ちょっと手伝ってくださらない?照明を変えたいんだけど、私じゃ背が届かなくて」
「はい、もちろん」
僕は心を無にするように努めながら、淡々とベッドメイキングをこなした。
その日もいつもと同じように、僕は自分の仕事を全うした。
ただ、内心ではやはりお嬢様の表情を気にしながら、内ポケットにしまった例のモノを常に意識し続けていた。
僕は、お嬢様の使用済みの下着を隠し持った、怪しからぬ使用人なんです・・・。
僕は心の中で詫びながら、お嬢様のお食事を給仕したり、お茶を注いだりした。僕の気持ちとは裏腹に、お嬢様はいつになく美しく見えた。ミエル様は、女性としての悦びを知っているのだ・・・そう思ってお嬢様を見ると、何とも色っぽく、悩ましい姿をしていた。
明るい日差しの下、艶やかな髪は光に透け、美しい瞳は憂いを帯び、白いブラウスに包まれた乳房はたおやかなカーブを描き、腰つきはしなやかな柳を思わせた。この美しい女神を穢してみたいという気持ちと、反対に死ぬほど彼女に苦しめられたいという矛盾した気持ちが、僕の中で渦巻いていた。

その夜、すべての職務を終え自室に戻りシャワーを浴びた僕は、今朝発見した例のモノを、改めて検分してみた。
一日中ポケットに押し込められていた哀れなお嬢様のパンティはクシャクシャになってしまっていたが、その滑らかな絹の手触りに、僕は唾を飲み込んだ。そっと中を開き、お嬢様の秘裂が当たっていたと思われる部分をじっと見つめ、それから鼻を近づけて匂いを嗅いだ。
・・・それは「雌」の匂いがした。雄が惹きつけられてしまう類の、何とも言えない甘酸っぱい芳香が、僕の鼻腔をくすぐった。その部分を舐めてみると、淡く潮の味がした。我慢ができなくなった僕は、硬くなった自分自身を取り出し、匂いを嗅いだり舐ったりしながら、夢中になってしごいた。
ああ、お嬢様の穢れを知らない体を、思う存分に味わいたい!
ドクドクと熱い液体が溢れ、どうにもならない気だるさに襲われると、僕は美しく高貴な女性を穢してしまったことへの、激しい自己嫌悪に苛まれた。
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