1 / 1
ねこ
しおりを挟む
首輪、しっぽ、猫耳。私は猫、そう鏡の中の自分に言い聞かせる。
今日は土曜日。いつもは仕事で忙しい彼だが珍しく明日も休日であるため、朝から部屋でまったりすることになっていた。これから過ごすひとときに胸をときめかせながら、そっと扉を開けリビングを覗いてみる。ソファの上でクッションを手にくつろぐ彼は全身スウェットというリラックスした格好でぼんやりスマホを眺めていた。
すると何気なく顔をあげた彼とふと目が合う。
「どうしたの?はやくこっちおいで」
隠れて見ていたことがバレたのが恥ずかしくて、もじもじしながらも少し間をあけて隣に座った。
そんな私を見て彼は笑いながら静かに引き寄せ猫耳から髪へと手を滑らす。それがとても心地よく、思わず目を閉じていた。
「いいこだね」
すぐ近くでささやくように発せられた言葉に過敏に反応してしまい、照れて胸に顔をうずめると彼は追い打ちをかけるように言葉を重ねる。
「なに?今日は甘えん坊な猫ちゃんだね」
真っ赤になった顔を隠したくてさらにぎゅっとくっつと少し笑ってまた撫でてくれた。
ぎゅるるるる
しばらくそうしてると急にお腹が鳴った。いたたまれない気持ちをごまかすように知らんぷりしていると
「そろそろ朝ごはんにしようか」
優しくそう言って彼は立ち上がった。一緒に用意するため体を起こそうとしたが
「だーめ。今日は猫ちゃんでしょ。ご主人様が持ってくるまでおとなしくしてて」
という言葉とともにおでこにに唇をおとされる。そういわれてしまうと私はもう何もできない。離れていく唇に名残惜しいような感覚を覚えながら、言われた通りおとなしく待つことにした。
準備を終えた彼はスープとパンを持って
「おまたせ」
と満面の笑みで私の隣に座る。いつも向かい合って食べるため不思議がっていると彼は自分のひざをぽんぽんと叩いた。
「猫は人間の食べ方を知らないでしょ。ぼくが抱っこして教えてあげるよ。」
一瞬きょとんとした後、意味を理解しまたもや顔に熱が集中していく。恐る恐る近づきおとなしく抱っこされる様子を見た彼は、満足そうに頭をなでてくれた。その後は「これは果たして猫なのかなどと考える」などと考える余裕もなくなり、ただひたすらに目の前に差し出される朝食を食べることに集中した。
一口食べるたびに「えらいえらい」とほめられ、その甘い表情に絆されているとだんだんと感覚も麻痺していきこれが自然なのだと思えてくる。そしてとうとう最後の一口であるパンをちぎって口元まで持ってきてくれた時、油断していたのか誤って彼の指までくわえてしまった。あっ、と思ったときにはもう遅い。
「こら。噛んじゃダメでしょ?そんなふうにしつけた覚えはないよ」
途端にまじめな顔になり叱られてしまう。そんなつもりじゃなかったんです。しゅんとなり様子をうかがう私に彼はまじめな顔のまま続けた。
「こういう時どうしたらいいんだっけ?」
その眼差しが怖くなり、目の前に差し出された指を私は必死にぴちゃぴちゃと舐め始める。すると彼はにっこりと笑い
「そうだね。いいこ。」
とほめてくれた。だんだんと自分の体が火照ってきた頃、突然もういいよと言うように指が引き抜かれる。口寂しくなってしまったが、これは噛んでしまったお詫びのためであって自分の欲求をご主人様に押し付けてはいけない。
「じゃ、食べ終わったし食器洗ったり掃除したりしてこようかな」
そう言って食べる前の甘さはどこへやら、急に彼は離れようとする。待って、行かないで、今日は一日いっしょに居てくれるんじゃないの?そんな言葉を飲み込み、彼のそでをひっぱる。
「何?言いたいことがあるならわかるようにしてくれないと伝わらないよ。どうしてほしいの?」
どうしたんだろう。やっぱり怒っているのかな。わがまま言ったら迷惑じゃないかな。そんな不安からオロオロしてしまい視線を床に落とす。
「ごめんね、ちょっと意地悪だったかな。甘えたいときは甘えていいんだよ。ほら、おいで」
私はその言葉と甘い笑みに安心して拡げられた腕に飛び込んだ。首筋に顔を埋め込みぐりぐりと頭をこすりつける。
「ふふっ、ほんとに甘えん坊だね。いいよ、きみの好きにしな」
その言葉にスイッチを押され、先ほどの名残から私は唐突に彼のスウェットをめくりあげて胸をちろちろと舐め始めた。彼は一瞬驚いた表情を見せたがすぐいつも通りに戻った。
「ぼくの猫ちゃんは甘えん坊だなだけでなくエッチなんだね」
私を辱めるようなことを言いながらもただひたすらに頭を優しくなでてくれる。そんな彼を近く感じられるこの瞬間がうれしくて舐め続けていたが、ふと彼の様子が気になり顔をあげてみる。
「もう気は済んだの?エッチな猫ちゃん」
唾液でべとべとな私の口周りを彼は指で拭いながらさらに耳元でささやいた。
「今度はぼくがきみを好きにさせてもらおうかな」
今日は土曜日。いつもは仕事で忙しい彼だが珍しく明日も休日であるため、朝から部屋でまったりすることになっていた。これから過ごすひとときに胸をときめかせながら、そっと扉を開けリビングを覗いてみる。ソファの上でクッションを手にくつろぐ彼は全身スウェットというリラックスした格好でぼんやりスマホを眺めていた。
すると何気なく顔をあげた彼とふと目が合う。
「どうしたの?はやくこっちおいで」
隠れて見ていたことがバレたのが恥ずかしくて、もじもじしながらも少し間をあけて隣に座った。
そんな私を見て彼は笑いながら静かに引き寄せ猫耳から髪へと手を滑らす。それがとても心地よく、思わず目を閉じていた。
「いいこだね」
すぐ近くでささやくように発せられた言葉に過敏に反応してしまい、照れて胸に顔をうずめると彼は追い打ちをかけるように言葉を重ねる。
「なに?今日は甘えん坊な猫ちゃんだね」
真っ赤になった顔を隠したくてさらにぎゅっとくっつと少し笑ってまた撫でてくれた。
ぎゅるるるる
しばらくそうしてると急にお腹が鳴った。いたたまれない気持ちをごまかすように知らんぷりしていると
「そろそろ朝ごはんにしようか」
優しくそう言って彼は立ち上がった。一緒に用意するため体を起こそうとしたが
「だーめ。今日は猫ちゃんでしょ。ご主人様が持ってくるまでおとなしくしてて」
という言葉とともにおでこにに唇をおとされる。そういわれてしまうと私はもう何もできない。離れていく唇に名残惜しいような感覚を覚えながら、言われた通りおとなしく待つことにした。
準備を終えた彼はスープとパンを持って
「おまたせ」
と満面の笑みで私の隣に座る。いつも向かい合って食べるため不思議がっていると彼は自分のひざをぽんぽんと叩いた。
「猫は人間の食べ方を知らないでしょ。ぼくが抱っこして教えてあげるよ。」
一瞬きょとんとした後、意味を理解しまたもや顔に熱が集中していく。恐る恐る近づきおとなしく抱っこされる様子を見た彼は、満足そうに頭をなでてくれた。その後は「これは果たして猫なのかなどと考える」などと考える余裕もなくなり、ただひたすらに目の前に差し出される朝食を食べることに集中した。
一口食べるたびに「えらいえらい」とほめられ、その甘い表情に絆されているとだんだんと感覚も麻痺していきこれが自然なのだと思えてくる。そしてとうとう最後の一口であるパンをちぎって口元まで持ってきてくれた時、油断していたのか誤って彼の指までくわえてしまった。あっ、と思ったときにはもう遅い。
「こら。噛んじゃダメでしょ?そんなふうにしつけた覚えはないよ」
途端にまじめな顔になり叱られてしまう。そんなつもりじゃなかったんです。しゅんとなり様子をうかがう私に彼はまじめな顔のまま続けた。
「こういう時どうしたらいいんだっけ?」
その眼差しが怖くなり、目の前に差し出された指を私は必死にぴちゃぴちゃと舐め始める。すると彼はにっこりと笑い
「そうだね。いいこ。」
とほめてくれた。だんだんと自分の体が火照ってきた頃、突然もういいよと言うように指が引き抜かれる。口寂しくなってしまったが、これは噛んでしまったお詫びのためであって自分の欲求をご主人様に押し付けてはいけない。
「じゃ、食べ終わったし食器洗ったり掃除したりしてこようかな」
そう言って食べる前の甘さはどこへやら、急に彼は離れようとする。待って、行かないで、今日は一日いっしょに居てくれるんじゃないの?そんな言葉を飲み込み、彼のそでをひっぱる。
「何?言いたいことがあるならわかるようにしてくれないと伝わらないよ。どうしてほしいの?」
どうしたんだろう。やっぱり怒っているのかな。わがまま言ったら迷惑じゃないかな。そんな不安からオロオロしてしまい視線を床に落とす。
「ごめんね、ちょっと意地悪だったかな。甘えたいときは甘えていいんだよ。ほら、おいで」
私はその言葉と甘い笑みに安心して拡げられた腕に飛び込んだ。首筋に顔を埋め込みぐりぐりと頭をこすりつける。
「ふふっ、ほんとに甘えん坊だね。いいよ、きみの好きにしな」
その言葉にスイッチを押され、先ほどの名残から私は唐突に彼のスウェットをめくりあげて胸をちろちろと舐め始めた。彼は一瞬驚いた表情を見せたがすぐいつも通りに戻った。
「ぼくの猫ちゃんは甘えん坊だなだけでなくエッチなんだね」
私を辱めるようなことを言いながらもただひたすらに頭を優しくなでてくれる。そんな彼を近く感じられるこの瞬間がうれしくて舐め続けていたが、ふと彼の様子が気になり顔をあげてみる。
「もう気は済んだの?エッチな猫ちゃん」
唾液でべとべとな私の口周りを彼は指で拭いながらさらに耳元でささやいた。
「今度はぼくがきみを好きにさせてもらおうかな」
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

ホストな彼と別れようとしたお話
下菊みこと
恋愛
ヤンデレ男子に捕まるお話です。
あるいは最終的にお互いに溺れていくお話です。
御都合主義のハッピーエンドのSSです。
小説家になろう様でも投稿しています。




粗暴で優しい幼馴染彼氏はおっとり系彼女を好きすぎる
春音優月
恋愛
おっとりふわふわ大学生の一色のどかは、中学生の時から付き合っている幼馴染彼氏の黒瀬逸希と同棲中。態度や口は荒っぽい逸希だけど、のどかへの愛は大きすぎるほど。
幸せいっぱいなはずなのに、逸希から一度も「好き」と言われてないことに気がついてしまって……?
幼馴染大学生の糖度高めなショートストーリー。
2024.03.06
イラスト:雪緒さま

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる