厄災の街 神戸

Ryu-zu

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第四章 天使と悪魔

悪魔軍 隠密に長けた奴

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22階は岩だらけで草も生えていないし空も少しドンヨリとしている。

リーと佐助はトオルから貰った風纏を使ってみた。

佐助おぉ~これは凄い!!!」
リーこれは使えるね!」

今までの浮遊系のスキルの中ではダントツで戦闘向きのスキルだった。

特にこの岩の荒れ地マップでは、無いと有るとでは段違いに効率が変わるくらいだ。

岩マップでは、茶色い肌のイディゴブリンがメインで、初の飛翔系のハーピーが登場してきた。
岩に蔓延るハチュ系のトカゲっぽいのやフナムシのような岩蟲も居る。

ロックマンと言うゴーレムの様な岩石魔神も現れた。
佐助とリーの剣技や魔法ではほとんどダメージは与えられなかったが、拳や蹴りの攻撃は高いダメージを与えた。


佐助時間があったら、あのハーピーを眷属にしたいな」

リーまぁまた次の入場の時にな、今日は連れて歩くのはしんどいしね」

サクサクと先に進む。



23階は打って変わって、大草原のマップだった。
地平線まで腰高の草が生え拡がり、所々に木々が固まった小森が見受けられる。

登場モンスターも、自然系の魔獣や特に魔蟲は種類が多い。
手こずったのは、全身カッチカチのアーマードクリケットと言うキリギリス系のバッタ魔蟲だ。

二人の剣技では、その硬い装甲をぶち抜けなかった。
たまたま飛んで跳ねたところを下から突き刺したのが唯一の攻略法だった。

リーもうあれだね、剣だの槍だのの単一スキルじゃ対応できない奴らが増えて来るね」
佐助攻撃にも多様性が求められるって事ですな」

リーまぁ上に上がったらみんなに注意喚起しておこう」


あとはここも特に問題もなく通り過ぎる。



24階は海岸マップ。

延々と続く砂浜とマングローブの森と登りきれない異常に高い岩山。
岩山がマップの限界点を担っているのだろう。


出て来る魔物は、水生魔獣やカニの様な魔獣、ヘビ系やワニのようなハチュ系や両生類系の魔獣も増えて来る。


各階は、変化に飛んだマップで、その特徴に合ったモンスターが登場する。

一体、誰がそんなプログラムを組んだのか不思議で仕方ない。



リー佐助はレベルいくつになった?」
佐助あっ・・・ もう32になってました・・・」

リーももうレベル35になったところだったので、そろそろ切り上げようかと提案してきた。

佐助ちょっと狩りが楽しくて本筋の依頼を遂行する事を忘れてましたねw」

リーんじゃ上がろうか」
佐助その前に、新しい職業と進化のツリーが出ました」

リー進化ぁ?どんなん?」


佐助エアエイプ、ダークキャビ、ハヌマット」
リーダークキャビ?ハヌマット?聞いたこと無いね~」

佐助ん~ハヌマットは猿神ハヌマーンの最下位種って感じかな?
斉天大聖せいてんたいせい 孫悟空になれるかも(笑)」
佐助ダークキャビは闇系の猩々しょうじょう、大型の闇属性の類人猿かな」

リーどれにするの?」
佐助隠密系で行くならダークキャビ、戦闘系で行くならハヌマットって感じだね」
佐助どっちも人化率50%くらいだから、今の猿っぽいのは無くなるかな・・・」

佐助主はどれが良いと思いますかな?」
リーん~戦闘系も良いけど、私とペアならやっぱり隠密系かなぁ」

佐助了解!」

佐助は迷った挙句ダークキャビに進化する事を決めた。
元よりエアエイプを選択する思考は欠片も無かった。


ウッ

ウギャ~

ギャァァァァァァ~



進化の苦痛が始まった。

リーは温かい目で見つめるだけだった。


メキメキと音を立てて佐助の容姿が変わっていく。

グッギャァァァァァァ~


普通の進化よりも時間が長い。

ハァハァハァ・・・

それまでモンキーサイズのエアエイプだったのが、尻尾も無くなり足が伸び背骨が伸び肩甲骨が広がり、類人猿と言うよりも猿人のようだ。
背筋も伸びて姿勢が良くなった。

人化率50%と言うのは、毛深い猿っぽい人顔の男といった感じになっている。
体躯はやはり、顔、背中や腕、足などは濃く毛深いが、胸、股間、尻などは毛が薄い。

180㎝ほどもある、リーよりも少し背も高くなっていた。

ハァハァハァ・・・

リーそんなに大きくなったら、もう私の肩に乗れないやんw」
佐助あははははっ 残念ですけど、主と同じ目線で物が見れるのが嬉しいです・・・」

佐助は、またじんわりと涙ぐむ。


佐助(23)
Lv32
種族 【ダークキャビ】 選択
職業 【隠遁士】【暗穏師あんのんし】 選択
恩恵 【成長率上昇】【経験値UP】
称号 【闇に溶け込む者】【レア変異種】
状態 【眷属化-レイン・リー】
   【深成長】
基本能力一覧
GMR/MSU++
HP 12894/8305(+4589)
MP 11668/7079(+4589)

STR 2454/1143(+1311)
DEF 3020/1709(+1311)
AGI 5999/2841<+1563>(+1311)(+10%)
DEX 2893/1048<+534>(+1311)
INT 2858/859<+688>(+1311)
SP/1888
基本技能一覧
      言語理解 言語操作 眷属契約 召喚(闇)
      双剣 疾走のバンダナ 双剣術 短剣術 隠蔽
      隠密剣 駿動 機敏 跳躍 索敵 隠密 
      風魔法-[微風]-[風纏]
      闇影魔法-[影縫い]-[影纏]-[影遁]-[影移動]
耐性一覧      
    風圧耐性 衝撃耐性 精神支配耐性 物理耐性       
32129/34137



佐助なんか・・・ 急に強くなっちゃいましたね・・・」
リーまぁそれは良いけど・・・ パンツ履けよ(笑)」

エイプの時は目立たなかった物が、身体と共に大きくなった事と毛が薄くなった事でやたらブラブラとしているのが目立つ。

取り敢えず佐助は、疾走のバンダナを腰に巻き、イチモツを隠した。

二人あはははははははは」



リーしかし、私もだけど、素早さが異常だね~w」
佐助俺は素早さと防御に特化してますね」

リー眷属を持った事で、補正が凄い事になってるわ」
佐助もう美凪に勝ってるでしょうねw」


佐助色々と称号も付いたし、闇召喚とかなんでしょう?
影魔法とかも覚えてるし、知力に補正も付いたし・・・

ちょっとまともな感じになりましたかね~?」

リーまともと言うか、強いんじゃない?」




佐助召喚(闇)!!!」

2人の前に、闇の眷属が現れた。

真っ黒な一反木綿いったんもめんのような姿、銀色の瞳に鼻口は見当たらない。
少し長い手には黒い霧がまとう魔剣が握られている。
名をジャドと言う。

佐助ジャド、おまえは永久に俺の眷属になるのか?今回だけ?」
闇の眷属我は主の影となり盾となる、主の御霊が今世から消滅するその時まで」

佐助の顔がほころんだ。

ジャドは佐助の影に潜み、必要な時には顕現する。
そして、ジャドが眷属になった事で影魔法の効果が上昇した。

新しい影魔法の[影投気](影を実体化してクナイの様に投擲するスキル)を覚えた。
新しい影魔法の[影銃](指先から影弾丸を発射するスキル)を覚えた。

佐助まだもう1体召喚できるなぁ・・・

  召喚(闇)!!!」

2体目の闇の眷属が召喚された。

真っ黒な猫型で、やはり瞳は銀色をしている。
尻尾は3本に分かれているくらいで、普通の黒猫の様にしか見えない。
名はウェイズと言う。

佐助ウェイズよ、俺の呼びかけに良く答えてくれた」
ウェイズ我を今世に呼び出してくれた主に感謝する」

リーその子のステが全く見れないけど、何か防御張ってるの?」
ウェイズ自分は鑑定遮断のスキルを持っている故、主以外には見えないと思う」

リー何か特別な魔法とか使えるの?」
ウェイズ自分は支援と妖術と幻術に長けていると思う、だが強い攻撃は出来ない」

佐助バフもデバフも両方使えるみたいですな、良い子だ」

リージャドは攻撃系、ウェイズは支援系、上手くまとまったね」

佐助の影の中にはジャドが、肩にはウェイズがチョコンと座っている。



リー私も召喚術か精霊術、取ろうかなぁ・・・」

「・・・」


リーよしっ取ろうw」
佐助あるじも常駐眷属が欲しくなったって事かなw」

ウェイズ大主よ、ここで召喚するとここで存在する物しか召喚出来ぬぞ」
リーんっ? でもあんたらは? このダンジョンに存在するの?」

ウェイズ我が主の技能スキルの召喚範囲が、我らの住むスヴァルトアールヴヘイムとヘルヘイムに限定されておるので、逆にそれ以外に存在するモノを呼び出す事はあたわない」

リー召喚範囲かぁ~ 美凪やキングの眷属神に聞いてからにするか」


リーは今すぐの召喚を諦めて、暫く佐助の新しいスキルの使い勝手や効能を検証した後で地上に戻る。


佐助主はセカンドジョブを何にしたんですか?」
リーまだ決めてないよ」

佐助は少し職業の選択を誤ったかなと思いながらダンジョンを後にする
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