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第四章 天使と悪魔
天使軍 リベンジに行く
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加奈子たちは砦の西門からゾロゾロと出て行き、フィルにゴブリンの巣窟の場所を聞く。
((コノ先ノ市場トイウ所ダ))
深江浜には、中央卸売市場東部市場がある。
広大な敷地の中には、市場と食堂棟等が2つ3つ、専用住宅も60戸くらいの団地が3棟も建っている。
郵便局も備え、近くには青や緑のコンビニもあるし、ホームセンターもすぐ前だ。
この中央市場の中にゴブリンが巣くっている。
『フィル、行くわよ~』
場内に入る入り口から中を見ると、ゴブリンがあちこちに散在していた。
「ここで騒いで散らばってるのを集めましょうか?」
「あのぉ~この子のレベルを付けたいんですが・・・」
「んじゃ~1体捕まえてこようか?」
ゴブリン相手だとどうしても気が緩んでしまう。
常々加奈子に慢心は駄目だと言われているが、その加奈子自身がゴブリンに警戒などしていない。
加奈子は場内に飛び込むのを一旦辞めて外に出た。
そして、すぐ近くに居たゴブリンを攫い、紗衣の眷属のウェアキャットのレベルを付ける事にした。
「んじゃーナーコちゃんいくよぉ~」
叫ばない様に口を押えられたゴブリンに、紗衣の眷属のナーコちゃんが鋭い爪で傷をつける。
そして紗衣がゴブリンを滅する。
ウギャ~ ミギャ~ フギャ~
レベルが付いてウェアキャットの進化が始まった。
土佐犬くらいの大きさの猫だったが、ムクムクと大きくなり、そして人の様に両足が伸びて来る。
腕も伸び、肩甲骨や骨盤が広がっていく、そして完全に人と同じ姿態になった。
人と違うのは、全身を毛が覆い、顔も猫のままだが、やはり全裸で胸や股間がちょっとエッチだ。
「加奈子さん、ちょっとそこのホームセンター行ってきますね~」
『私も行こうかな』
空間倉庫を手に入れた事で、欲しいものを大量に仕入れられる。
『フィル、ちょっと寄り道しても良いかな?』
((是非モ無シ))
フィルの受け答えに笑いながら、全員がホームセンターに歩いて行った。
洋路と麗菜はすぐに戦闘に入りたかったが、加奈子の行動を無視は出来なかった。
一行はホームセンターで物色し終わり、紗衣の眷属のナーコも作業服とジャケットと安全靴を頂戴してきた。
「に、似合うかな?」
『あらあら?、言葉を喋れるんですね』
「そうなんです♪」
「ナーコちゃん、ジャケットよりベストの方が良かったんちゃう?」
「あはは、ガテン系でキメちゃうんかな?w」
これからゴブリンの巣窟を殲滅すると言うのに、みなが浮かれている。
当の加奈子でさえ、ゴブリンに危機感は一切持っていない。
((アルジヨ 少シ気ヲ 引キ締メタ方ガ 良イノデハ ナイカ))
『んっ?特に問題も無い様に思うけど、何かあるのかしら?』
((昨日ヨリ 明ラカニ 雑魚ノ 数ガ 多イゾ))
『多いと言ってもこれくらいなら問題はないでしょ』
フィルは自分が勝手に危惧しているだけなのは分かっているのでそれ以上突っ込まなかった。
市場の入り口から駐車場の方を見ると、駐車スペースや搬入口辺りまで広範囲に薄紫色のゴブリンが満遍なく散置されている。
その数も見えている範囲だけでも300体くらいは居るのだろうか。
「なんかいつも見るごぶりんと色がちゃうねぇ」
「こいつら海ゴブリンって奴ららしいよ~」
『それじゃ~行きますかぁ~』
加奈子と徳太郎が、少し離れて前方に火の絨毯を展開していく。
それを追うように天使軍が広角に駆けて行った。
ドガッ バキッ ボゴーン スッパーンッ
ウギャ~ おりゃ~ グギャ~ どりゃぁぁぁ
危なげなくゴブリンを屠って行く。
ただ、フィルだけは警戒を怠っていない。
それは、昨日殺られたホブゴブリン達の姿がどこにも見えないからだ。
((アルジヨ 何カガ オカシク感ジルゾ))
『ん~確かにこんな奴らならフィルが怪我するのは考えられないわね~』
そんな会話をしつつ、市場の本場の中に入って行く。
だが、そこにも普通のゴブリンが居るだけだ。
30分近く経ち、辺りがほんのりと薄暗くなり始めて来た。
途中で加奈子と徳太郎は食料品の物色をしていた。
超大型の冷凍庫の中には大量の肉が入っている。
(野菜や小麦粉ばかりだったから、お肉はちょっと嬉しいな)
「ここは電気がきとるんやな」
「太陽光発電がまだ生きてるんでしょうね」
「徳さんと明日桜ちゃんや緑ちゃんの配給がもう始まるから一度帰ります?」
『そうねぇ~ もうそんなにゴブリンも残って無いし』
「この死体も砦に持っていったら、ネコちゃんやチューちゃんらのご飯になるね」
天使軍の砦の中には、50匹以上の猫と鼠が飼われている。
『じゃぁ明日の朝一番で回収に来ましょうか』
「は~い」
ゴブリンの死体は空間倉庫に入るのだが、他の食料品も入っているので加奈子はそれを避けた。
そして加奈子たちが敷地内から出ようとした時だった。
北の深江大橋を渡り切って、大声で笑いながらこちらに向かってくる一団が目に入った。
『あれは・・・』
「人間とゴブリンが居るね」
「結構レベルが高いホブゴブリンが居るよ」
「あれっ?ステが見れないのも居る」
『ほんとだわ、あの赤いゴブリン、真っ白でステも何も見えない』
「あの人間はなんなんやろ?」
「レベルは低いけど、先頭歩いとるしなぁ」
『あの赤いゴブリン、人化率がかなり高いね』
「あの青いゴブリンと色違いって感じがする」
「ほんとね、顔だけ見たら人間にしか見えないし」
「なかなか可愛い顔してんやんw」
「アイドルみたいな顔しとんなぁ~」
2人の人間と赤いゴブリン、そして大きな武器を携えたホブゴブリンやジャイアントゴブリン。
赤と緑と紫の混合ゴブリン軍が何故か不気味だ。
臨戦態勢を取って迎える天使軍に、とっくに気が付いているはずなのにまだ笑っている。
『みんな、気を付けてね』
「まぁゴブリンだけみたいやしね」
「とは言え、レベル20代後半のホブゴブリンは簡単に倒せんじゃろ、気ぃつけよ」
天使軍はほとんどがLv20を少し超えている。
一番低いあやかでさえ、レベル20だ。
先ほどレベルが付いたばかりのナーコがまだ15ではあるが、急成長だろう。
そのレベルと今までゴブリンに手古摺った事がまったく無いので危機感が沸いて来ない。
ゴブリン軍団が郵便局の手前から市場に入ったすぐ後に大声で叫ぶのが聞こえた。
「なんじゃこりゃ~」
「アソコニ居ル人間ノ仕業ダロウ」
「おいっ!おまえらちょっとこっちこいっ!!!」
加奈子たちに向かって赤いゴブリンと人間の女性が大声で吠える。
「ふんっ、たかがゴブリンの分際で」
「あははっこりゃ殺り甲斐があるやっちゃでぇ~」
女と数人のホブゴブリンが突っ込んできた。
「お~いっ美羽~ 雑魚やからって気ぃ抜くなよ~」
「な、なんやてぇ~誰が雑魚やねんっ!」
「行きましょかっ」
麗菜と洋路もゴブ軍に向かって突っ込んでいくので、加奈子と徳太郎も戦闘態勢に入った。
『火絨毯!!!』
「よっしゃ~ 火撒!!!」
「ほぉ~?やるやん?まぁうちらもちょっとは出来るってとこ見せんとなぁw」
「氷の台地!!!」
その美羽と言う女が手をかざすと、炎で包まれた絨毯が氷で覆われて火が消えていく。
そして、先頭で突っ込んできた麗菜と洋路の足を凍らせる。
「あっ!」
「お~りゃ~死んどけぇ~」
「れ、麗菜さ~ん」
美羽は飛び上がり、上段から氷の槍を振り下ろす。
「グランキオ!」
ガッキーン
麗菜のカニの爪の様な双突の槍がゴブ軍の女の氷の槍の攻撃を防ぐ。
『紗衣さんとあやかさんは後ろで待機、明日桜ちゃんと緑ちゃんはそこで待機!』
『レンとジンガも一緒にそこで待機しといて』
『フィルは左に徳さんは麗菜さんの後ろから援護、私は右から行く!』
『GO~』
天使軍にとって初めて戦闘らしい戦闘が始まった。
今までの蹂躙するだけの、戦闘とさえ言えない戦い方とは全く違う。
「あ、あかん、ちょっとビビっとる」
「ウォンッ!!!」
ジンガが明日桜を鼓舞する。
フィルの目の前に長槍を持ったホブゴブリンが立ちふさがった。
「おやおや、昨日のオオカミじゃないか?」
「ほぉほぉまだ生きとったんか?」
{みんな、相手は氷の属性、待機組も全員火魔法で攻撃して}
加奈子は眷属通信でみんなに指示を送る事にした。
言葉で喋るよりも念話に近い眷属通信の方が早いからだ。
「 火の雨!!!」
ファミリー員の新しいスキルだったのをパクったものをさっそく使った。
「ファイアーボール」「ファイアジャベリン」
「ファイアバレット」「ファイアストーム」
「ファイアブレス」「ファイアボム」
『ファイアーカーペット』
今度は全開で火の絨毯をゴブリンや女の足元で展開した。
その温度は、ざっと考えて1400℃に達しているだろう。
全員の火魔法が雨あられの様に敵に飛んで行く。
相乗効果で益々温度が上がっている事だろう。
天使軍はその程度の温度ならみんな耐性を持っているので問題ない。
氷が溶けた麗菜と洋路がユニーク武器で襲い掛かる。
「まぁほっといても死ぬだろうけど、生意気な口をきいた代償は払って貰おう」
麗菜はカニ槍で女を叩っ斬ろうとしたが、炎の中で女が反撃してきた。
「はぁ~?」
「ダボがぁ~死んどけ~」
「ペライシャ」
美羽の両手に、氷の大剣が現れた。
金色の握柄に孔雀の羽の様な鍔に氷色の左右対称の幅広両刃で真ん中がくびれている、女体を思わせるファンタジーソード、美羽のお気に入りの逸品だ。
見ていると、ファイアボールやファイアジャベリンやファイアバレットが女に直撃している。
なのにまったくダメージを受けている様子が無い。
他のホブゴブリンも、加奈子の火の絨毯の中で普通に戦っている。
「きゃぁぁぁぁぁぁ~」
余所見気味に周りを見てた麗菜に対し、女の大剣が上半身に大きな斬り跡を刻み込んだ。
((コノ先ノ市場トイウ所ダ))
深江浜には、中央卸売市場東部市場がある。
広大な敷地の中には、市場と食堂棟等が2つ3つ、専用住宅も60戸くらいの団地が3棟も建っている。
郵便局も備え、近くには青や緑のコンビニもあるし、ホームセンターもすぐ前だ。
この中央市場の中にゴブリンが巣くっている。
『フィル、行くわよ~』
場内に入る入り口から中を見ると、ゴブリンがあちこちに散在していた。
「ここで騒いで散らばってるのを集めましょうか?」
「あのぉ~この子のレベルを付けたいんですが・・・」
「んじゃ~1体捕まえてこようか?」
ゴブリン相手だとどうしても気が緩んでしまう。
常々加奈子に慢心は駄目だと言われているが、その加奈子自身がゴブリンに警戒などしていない。
加奈子は場内に飛び込むのを一旦辞めて外に出た。
そして、すぐ近くに居たゴブリンを攫い、紗衣の眷属のウェアキャットのレベルを付ける事にした。
「んじゃーナーコちゃんいくよぉ~」
叫ばない様に口を押えられたゴブリンに、紗衣の眷属のナーコちゃんが鋭い爪で傷をつける。
そして紗衣がゴブリンを滅する。
ウギャ~ ミギャ~ フギャ~
レベルが付いてウェアキャットの進化が始まった。
土佐犬くらいの大きさの猫だったが、ムクムクと大きくなり、そして人の様に両足が伸びて来る。
腕も伸び、肩甲骨や骨盤が広がっていく、そして完全に人と同じ姿態になった。
人と違うのは、全身を毛が覆い、顔も猫のままだが、やはり全裸で胸や股間がちょっとエッチだ。
「加奈子さん、ちょっとそこのホームセンター行ってきますね~」
『私も行こうかな』
空間倉庫を手に入れた事で、欲しいものを大量に仕入れられる。
『フィル、ちょっと寄り道しても良いかな?』
((是非モ無シ))
フィルの受け答えに笑いながら、全員がホームセンターに歩いて行った。
洋路と麗菜はすぐに戦闘に入りたかったが、加奈子の行動を無視は出来なかった。
一行はホームセンターで物色し終わり、紗衣の眷属のナーコも作業服とジャケットと安全靴を頂戴してきた。
「に、似合うかな?」
『あらあら?、言葉を喋れるんですね』
「そうなんです♪」
「ナーコちゃん、ジャケットよりベストの方が良かったんちゃう?」
「あはは、ガテン系でキメちゃうんかな?w」
これからゴブリンの巣窟を殲滅すると言うのに、みなが浮かれている。
当の加奈子でさえ、ゴブリンに危機感は一切持っていない。
((アルジヨ 少シ気ヲ 引キ締メタ方ガ 良イノデハ ナイカ))
『んっ?特に問題も無い様に思うけど、何かあるのかしら?』
((昨日ヨリ 明ラカニ 雑魚ノ 数ガ 多イゾ))
『多いと言ってもこれくらいなら問題はないでしょ』
フィルは自分が勝手に危惧しているだけなのは分かっているのでそれ以上突っ込まなかった。
市場の入り口から駐車場の方を見ると、駐車スペースや搬入口辺りまで広範囲に薄紫色のゴブリンが満遍なく散置されている。
その数も見えている範囲だけでも300体くらいは居るのだろうか。
「なんかいつも見るごぶりんと色がちゃうねぇ」
「こいつら海ゴブリンって奴ららしいよ~」
『それじゃ~行きますかぁ~』
加奈子と徳太郎が、少し離れて前方に火の絨毯を展開していく。
それを追うように天使軍が広角に駆けて行った。
ドガッ バキッ ボゴーン スッパーンッ
ウギャ~ おりゃ~ グギャ~ どりゃぁぁぁ
危なげなくゴブリンを屠って行く。
ただ、フィルだけは警戒を怠っていない。
それは、昨日殺られたホブゴブリン達の姿がどこにも見えないからだ。
((アルジヨ 何カガ オカシク感ジルゾ))
『ん~確かにこんな奴らならフィルが怪我するのは考えられないわね~』
そんな会話をしつつ、市場の本場の中に入って行く。
だが、そこにも普通のゴブリンが居るだけだ。
30分近く経ち、辺りがほんのりと薄暗くなり始めて来た。
途中で加奈子と徳太郎は食料品の物色をしていた。
超大型の冷凍庫の中には大量の肉が入っている。
(野菜や小麦粉ばかりだったから、お肉はちょっと嬉しいな)
「ここは電気がきとるんやな」
「太陽光発電がまだ生きてるんでしょうね」
「徳さんと明日桜ちゃんや緑ちゃんの配給がもう始まるから一度帰ります?」
『そうねぇ~ もうそんなにゴブリンも残って無いし』
「この死体も砦に持っていったら、ネコちゃんやチューちゃんらのご飯になるね」
天使軍の砦の中には、50匹以上の猫と鼠が飼われている。
『じゃぁ明日の朝一番で回収に来ましょうか』
「は~い」
ゴブリンの死体は空間倉庫に入るのだが、他の食料品も入っているので加奈子はそれを避けた。
そして加奈子たちが敷地内から出ようとした時だった。
北の深江大橋を渡り切って、大声で笑いながらこちらに向かってくる一団が目に入った。
『あれは・・・』
「人間とゴブリンが居るね」
「結構レベルが高いホブゴブリンが居るよ」
「あれっ?ステが見れないのも居る」
『ほんとだわ、あの赤いゴブリン、真っ白でステも何も見えない』
「あの人間はなんなんやろ?」
「レベルは低いけど、先頭歩いとるしなぁ」
『あの赤いゴブリン、人化率がかなり高いね』
「あの青いゴブリンと色違いって感じがする」
「ほんとね、顔だけ見たら人間にしか見えないし」
「なかなか可愛い顔してんやんw」
「アイドルみたいな顔しとんなぁ~」
2人の人間と赤いゴブリン、そして大きな武器を携えたホブゴブリンやジャイアントゴブリン。
赤と緑と紫の混合ゴブリン軍が何故か不気味だ。
臨戦態勢を取って迎える天使軍に、とっくに気が付いているはずなのにまだ笑っている。
『みんな、気を付けてね』
「まぁゴブリンだけみたいやしね」
「とは言え、レベル20代後半のホブゴブリンは簡単に倒せんじゃろ、気ぃつけよ」
天使軍はほとんどがLv20を少し超えている。
一番低いあやかでさえ、レベル20だ。
先ほどレベルが付いたばかりのナーコがまだ15ではあるが、急成長だろう。
そのレベルと今までゴブリンに手古摺った事がまったく無いので危機感が沸いて来ない。
ゴブリン軍団が郵便局の手前から市場に入ったすぐ後に大声で叫ぶのが聞こえた。
「なんじゃこりゃ~」
「アソコニ居ル人間ノ仕業ダロウ」
「おいっ!おまえらちょっとこっちこいっ!!!」
加奈子たちに向かって赤いゴブリンと人間の女性が大声で吠える。
「ふんっ、たかがゴブリンの分際で」
「あははっこりゃ殺り甲斐があるやっちゃでぇ~」
女と数人のホブゴブリンが突っ込んできた。
「お~いっ美羽~ 雑魚やからって気ぃ抜くなよ~」
「な、なんやてぇ~誰が雑魚やねんっ!」
「行きましょかっ」
麗菜と洋路もゴブ軍に向かって突っ込んでいくので、加奈子と徳太郎も戦闘態勢に入った。
『火絨毯!!!』
「よっしゃ~ 火撒!!!」
「ほぉ~?やるやん?まぁうちらもちょっとは出来るってとこ見せんとなぁw」
「氷の台地!!!」
その美羽と言う女が手をかざすと、炎で包まれた絨毯が氷で覆われて火が消えていく。
そして、先頭で突っ込んできた麗菜と洋路の足を凍らせる。
「あっ!」
「お~りゃ~死んどけぇ~」
「れ、麗菜さ~ん」
美羽は飛び上がり、上段から氷の槍を振り下ろす。
「グランキオ!」
ガッキーン
麗菜のカニの爪の様な双突の槍がゴブ軍の女の氷の槍の攻撃を防ぐ。
『紗衣さんとあやかさんは後ろで待機、明日桜ちゃんと緑ちゃんはそこで待機!』
『レンとジンガも一緒にそこで待機しといて』
『フィルは左に徳さんは麗菜さんの後ろから援護、私は右から行く!』
『GO~』
天使軍にとって初めて戦闘らしい戦闘が始まった。
今までの蹂躙するだけの、戦闘とさえ言えない戦い方とは全く違う。
「あ、あかん、ちょっとビビっとる」
「ウォンッ!!!」
ジンガが明日桜を鼓舞する。
フィルの目の前に長槍を持ったホブゴブリンが立ちふさがった。
「おやおや、昨日のオオカミじゃないか?」
「ほぉほぉまだ生きとったんか?」
{みんな、相手は氷の属性、待機組も全員火魔法で攻撃して}
加奈子は眷属通信でみんなに指示を送る事にした。
言葉で喋るよりも念話に近い眷属通信の方が早いからだ。
「 火の雨!!!」
ファミリー員の新しいスキルだったのをパクったものをさっそく使った。
「ファイアーボール」「ファイアジャベリン」
「ファイアバレット」「ファイアストーム」
「ファイアブレス」「ファイアボム」
『ファイアーカーペット』
今度は全開で火の絨毯をゴブリンや女の足元で展開した。
その温度は、ざっと考えて1400℃に達しているだろう。
全員の火魔法が雨あられの様に敵に飛んで行く。
相乗効果で益々温度が上がっている事だろう。
天使軍はその程度の温度ならみんな耐性を持っているので問題ない。
氷が溶けた麗菜と洋路がユニーク武器で襲い掛かる。
「まぁほっといても死ぬだろうけど、生意気な口をきいた代償は払って貰おう」
麗菜はカニ槍で女を叩っ斬ろうとしたが、炎の中で女が反撃してきた。
「はぁ~?」
「ダボがぁ~死んどけ~」
「ペライシャ」
美羽の両手に、氷の大剣が現れた。
金色の握柄に孔雀の羽の様な鍔に氷色の左右対称の幅広両刃で真ん中がくびれている、女体を思わせるファンタジーソード、美羽のお気に入りの逸品だ。
見ていると、ファイアボールやファイアジャベリンやファイアバレットが女に直撃している。
なのにまったくダメージを受けている様子が無い。
他のホブゴブリンも、加奈子の火の絨毯の中で普通に戦っている。
「きゃぁぁぁぁぁぁ~」
余所見気味に周りを見てた麗菜に対し、女の大剣が上半身に大きな斬り跡を刻み込んだ。
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