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第四章 天使と悪魔
天使の要塞
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加奈子を先頭に校舎の正門から外に出て行く天使軍。
「まずは、その【石敷き】と言うスキルを使ってみましょう」
洋路の指示で、加奈子は高校の前の道路を南の海側に向かって立っている。
この道路は、少し斜めに向かって南側に伸びていき、途中でまたまっすぐに南に向かう。
「この道路を石敷きに変えてみて下さい」
『石敷き!!!』
加奈子が道路に手を付き文言を唱えると、アスファルトの道路は手を置いた位置から順々に視覚範囲内で四角いタイル調の石に変化していった。
「へぇ~すんごっ!」
洋路はその石畳を手で触り色々と考察している。
「加奈子さん、今度はこの石敷きを回収できますか?」
『そんなスキルは無いですよぉ~』
「いやいや、無ければ作るんですよw」
加奈子は言われるがままに、石畳に手を付き変化した石を回収してみようと試みる。
(ヒュン)
『あっ!』
『破壊-吸収!』
『石敷き』
『解体-吸収!』
『出来たわぁ~』
満面の笑みで洋路の顔を見る加奈子。
「ほぉ~さすがは加奈子さんですな、そんなに簡単に出来るとは思わなかった」
『うふふっ』
加奈子はちょっと楽しくなってきていた。
加奈子が向いている方向の道路は、石畳が無くなりまた新しい石畳を作って再度吸収した事で足元のアスファルトの道路とは大きな段が出来ている。
今度は後ろを向いて北側の道路を石に変え、そして吸収する事を2回繰り返したら道路は同じ高さになっていった。
そして、砂利道になってしまったのでまた石畳を敷いた。
「それじゃ~今度は学校の前に長い砦を作って貰えますか」
『万里の長城みたいな感じなのかな?』
「イメージはそんな感じで良いと思います。いけるなら学校の周りに作ってみましょう」
加奈子を起点にして、左右に石の砦が次々に組まれていく。
高さが学校の3階ほど、約10mくらいになったところで洋路は一回止めた。
そして、その角に飛び上がりまた再度砦を構築していく。
学校を取り囲むように強固な防壁が出来上がった。
「すごいすごいっ!」
「ほぇ~ ほんまになんでもアリになってきたぞぃw」
砦の中は、幅が2mくらいで、1階、2階、3階と通路になっており、屋上部分は遠見櫓の様になっており、すべての通路は歩いて一周出来る形になった。
入り口用に、西正面、道路に面した方に大きめの2階までの砦を取りつけ、入り口通路として開口し、中を通れるようにした。
「それじゃー今度は校舎を解体吸収して、小屋を繋ぎ合わせて新しい小部屋塔を作っていきましょう」
「が、学校を潰しちゃうの?」
「屋上から順に潰して行けばネコやネズミを傷つけずに出来ると思うよ」
「いやwそう言う意味じゃなくて学校自体を潰すんかって事ね」
「この学校に何か思い入れでもあるんですか?」
「まったくそんなんは無いけど、そのまま教室を部屋にしたらいいんちゃうかな?って」
「まぁ練習も兼ねてって感じやったけど、それなら南側の校舎だけ5階と4階を潰してその上に石小屋作りましょうか?」
「校舎を潰さないとあかん意味は?」
「材料の調達ですよ。材木や鉄筋等の金物も分子レベルに分解して再構築出来るはずだから」
「それで何を作るつもりなん?」
「うんうん」
「一階の入り口に金属と材木で出来た大きな扉を付けたいなって思ってね」
「ほぉ~ 城門みたいなごっついやつか?」
「出来れば魔物の攻撃くらいじゃ壊せない位強いのを作りたいですね」
皆は洋路の構想を黙って見ている事にした。
加奈子は洋路と一緒に南校舎の屋上から徐々に解体していく。
ガリレオキャットを下の階に追いやりながら、紗衣たちが居る3階に誘導して上階を潰していった。
「んで、この上に小屋のスキルで城っぽく作っていきますか」
北校舎と南校舎の連絡橋を作り、南校舎の4階の床を石敷きにしてその上に石組で新しい校舎まがいの物を作っていく。
加奈子は何か工作をしているようでかなり楽しい気持ちだ。
そして、洋路の存在意義を見出し始めた。
学校を要塞化する事に夢中になって、本筋のフィルのリベンジを全員が忘れている。
要塞が出来上がり、南校舎の上にはお城の様な砦を作った。
その時に、石系魔法の砦の上位【城塞】を覚えた。
城門を作る時に[建造魔法]という分野のスキルも覚えた。
戦闘に直接の成果は出ないが、かなり有用なスキルが増えていく事に加奈子は歓喜している。
『洋路、本当にありがとねぇ~』
「いえいえ、まだまだこれから色々とやっていきますよ」
そう言いながら、また呼び捨てにされたのは何故なのか思い悩む。
(まぁいっかw)
砦の頂上から周りを見回す紗衣以外の一同。
学校の東側はグラウンドになっていた。
かなり広い広場になって居るので、もしもここを拠点にするなら、この広場に城を建てたい。
そんな加奈子の希望を否定するものは居ない。
広場の山側に清酒の工場があった。
菱に剣という老舗の酒造会社だが、ここは日本最大の反社組織とは関係が無いのだろうか?
同じ神戸で菱の代紋を掲げているのは単なる偶然なんだろう。
「あれっ?あの建物って精米所って出て来るよ?」
明日桜がそう言うのでみんなが鑑定で見ると清酒工場内の南側の大きな建物は精米所になっている。
『ちょっと行ってみようか?』
「まぁ清酒はお米から作るからな」
「へぇ~そうなんやぁ」
「しらんかったぁ」
「お米あったらいいなぁ~もう何日食べてないやろ・・・」
精米所の中には、予想以上に大量のお米があった。
袋が破れて中のお米がこぼれている場所を見ると、普段見かける米よりもかなり大粒だった。
「お酒に使うお米と普段の美味しいお米はまったく違うんよ」
「お米って食べるやつだけやないんや~」
「この大きめのお米を削って削って、普通のお米よりも小さくなるんやで」
「ほぇぇ~」
「へぇ~、でもなんでお米を削るん?」
「お米の美味しさは、米粒の表面付近にあるタンパク質と糖質で決まるんよ
そやけど、お酒にするお米はタンパク質と糖質があったら雑味がでるらしいんや
だから、食べて美味しいお米と美味しいお酒になるお米は違うんよ」
「おこめに違いは無い様に思うけど、ちゃうんやね」
「食ったら分かるけど、お酒用に精米されたんはちょっと味がないんやで」
『でもまぁ贅沢は言えないので、どちらも仕舞っておきましょう』
「精米した後の、この粉は米粉やからこれも食料になるで」
『じゃぁ全部空間倉庫に入れて帰りましょうか』
数年分くらいの大量のお米を仕入れられた事は大きな収穫だった。
『紗衣さん、パートナーは決まりましたか?』
加奈子たちは清酒工場から高校に戻って来ていた。
「あっおかえりなさい、みなさん」
「おかあさん、まだ決めかねてたんだね(笑)」
「1匹だけ、ちょっとおかしな子を見つけたんです」
そう言って紗衣が抱いてる子を見てもサイズが大きいだけの普通のトラ柄で、名前を付けるならマイケルとなる事が多いだろうと思われる猫だった。
いや、令和の時代にそれは無いか…
だが、鑑定で見た時に出てきた種族が[ウェアキャット]だったので洋路が声をあげた。
「ウェアウルフやウェアタイガーの様に人化する種族ですよ」
紗衣の両手がピクっとした。
「決めた~この子に決めたっ」
紗衣は数時間かけてやっと眷属を手に入れた。
レベルはまだ付いてないが、ウェアキャットが紗衣の眷属になった。
紗衣にスリスリと寄り添うその姿を、変顔をしてるのかと言うくらいに崩れた顔で見つめる紗衣。
麗菜が時計を見ると、もう17時を少し回っていた。
「加奈子さん、フィルのリベンジは?」
『あっあぁ・・・そ、そろそろ行きましょうか?』
「まずは、その【石敷き】と言うスキルを使ってみましょう」
洋路の指示で、加奈子は高校の前の道路を南の海側に向かって立っている。
この道路は、少し斜めに向かって南側に伸びていき、途中でまたまっすぐに南に向かう。
「この道路を石敷きに変えてみて下さい」
『石敷き!!!』
加奈子が道路に手を付き文言を唱えると、アスファルトの道路は手を置いた位置から順々に視覚範囲内で四角いタイル調の石に変化していった。
「へぇ~すんごっ!」
洋路はその石畳を手で触り色々と考察している。
「加奈子さん、今度はこの石敷きを回収できますか?」
『そんなスキルは無いですよぉ~』
「いやいや、無ければ作るんですよw」
加奈子は言われるがままに、石畳に手を付き変化した石を回収してみようと試みる。
(ヒュン)
『あっ!』
『破壊-吸収!』
『石敷き』
『解体-吸収!』
『出来たわぁ~』
満面の笑みで洋路の顔を見る加奈子。
「ほぉ~さすがは加奈子さんですな、そんなに簡単に出来るとは思わなかった」
『うふふっ』
加奈子はちょっと楽しくなってきていた。
加奈子が向いている方向の道路は、石畳が無くなりまた新しい石畳を作って再度吸収した事で足元のアスファルトの道路とは大きな段が出来ている。
今度は後ろを向いて北側の道路を石に変え、そして吸収する事を2回繰り返したら道路は同じ高さになっていった。
そして、砂利道になってしまったのでまた石畳を敷いた。
「それじゃ~今度は学校の前に長い砦を作って貰えますか」
『万里の長城みたいな感じなのかな?』
「イメージはそんな感じで良いと思います。いけるなら学校の周りに作ってみましょう」
加奈子を起点にして、左右に石の砦が次々に組まれていく。
高さが学校の3階ほど、約10mくらいになったところで洋路は一回止めた。
そして、その角に飛び上がりまた再度砦を構築していく。
学校を取り囲むように強固な防壁が出来上がった。
「すごいすごいっ!」
「ほぇ~ ほんまになんでもアリになってきたぞぃw」
砦の中は、幅が2mくらいで、1階、2階、3階と通路になっており、屋上部分は遠見櫓の様になっており、すべての通路は歩いて一周出来る形になった。
入り口用に、西正面、道路に面した方に大きめの2階までの砦を取りつけ、入り口通路として開口し、中を通れるようにした。
「それじゃー今度は校舎を解体吸収して、小屋を繋ぎ合わせて新しい小部屋塔を作っていきましょう」
「が、学校を潰しちゃうの?」
「屋上から順に潰して行けばネコやネズミを傷つけずに出来ると思うよ」
「いやwそう言う意味じゃなくて学校自体を潰すんかって事ね」
「この学校に何か思い入れでもあるんですか?」
「まったくそんなんは無いけど、そのまま教室を部屋にしたらいいんちゃうかな?って」
「まぁ練習も兼ねてって感じやったけど、それなら南側の校舎だけ5階と4階を潰してその上に石小屋作りましょうか?」
「校舎を潰さないとあかん意味は?」
「材料の調達ですよ。材木や鉄筋等の金物も分子レベルに分解して再構築出来るはずだから」
「それで何を作るつもりなん?」
「うんうん」
「一階の入り口に金属と材木で出来た大きな扉を付けたいなって思ってね」
「ほぉ~ 城門みたいなごっついやつか?」
「出来れば魔物の攻撃くらいじゃ壊せない位強いのを作りたいですね」
皆は洋路の構想を黙って見ている事にした。
加奈子は洋路と一緒に南校舎の屋上から徐々に解体していく。
ガリレオキャットを下の階に追いやりながら、紗衣たちが居る3階に誘導して上階を潰していった。
「んで、この上に小屋のスキルで城っぽく作っていきますか」
北校舎と南校舎の連絡橋を作り、南校舎の4階の床を石敷きにしてその上に石組で新しい校舎まがいの物を作っていく。
加奈子は何か工作をしているようでかなり楽しい気持ちだ。
そして、洋路の存在意義を見出し始めた。
学校を要塞化する事に夢中になって、本筋のフィルのリベンジを全員が忘れている。
要塞が出来上がり、南校舎の上にはお城の様な砦を作った。
その時に、石系魔法の砦の上位【城塞】を覚えた。
城門を作る時に[建造魔法]という分野のスキルも覚えた。
戦闘に直接の成果は出ないが、かなり有用なスキルが増えていく事に加奈子は歓喜している。
『洋路、本当にありがとねぇ~』
「いえいえ、まだまだこれから色々とやっていきますよ」
そう言いながら、また呼び捨てにされたのは何故なのか思い悩む。
(まぁいっかw)
砦の頂上から周りを見回す紗衣以外の一同。
学校の東側はグラウンドになっていた。
かなり広い広場になって居るので、もしもここを拠点にするなら、この広場に城を建てたい。
そんな加奈子の希望を否定するものは居ない。
広場の山側に清酒の工場があった。
菱に剣という老舗の酒造会社だが、ここは日本最大の反社組織とは関係が無いのだろうか?
同じ神戸で菱の代紋を掲げているのは単なる偶然なんだろう。
「あれっ?あの建物って精米所って出て来るよ?」
明日桜がそう言うのでみんなが鑑定で見ると清酒工場内の南側の大きな建物は精米所になっている。
『ちょっと行ってみようか?』
「まぁ清酒はお米から作るからな」
「へぇ~そうなんやぁ」
「しらんかったぁ」
「お米あったらいいなぁ~もう何日食べてないやろ・・・」
精米所の中には、予想以上に大量のお米があった。
袋が破れて中のお米がこぼれている場所を見ると、普段見かける米よりもかなり大粒だった。
「お酒に使うお米と普段の美味しいお米はまったく違うんよ」
「お米って食べるやつだけやないんや~」
「この大きめのお米を削って削って、普通のお米よりも小さくなるんやで」
「ほぇぇ~」
「へぇ~、でもなんでお米を削るん?」
「お米の美味しさは、米粒の表面付近にあるタンパク質と糖質で決まるんよ
そやけど、お酒にするお米はタンパク質と糖質があったら雑味がでるらしいんや
だから、食べて美味しいお米と美味しいお酒になるお米は違うんよ」
「おこめに違いは無い様に思うけど、ちゃうんやね」
「食ったら分かるけど、お酒用に精米されたんはちょっと味がないんやで」
『でもまぁ贅沢は言えないので、どちらも仕舞っておきましょう』
「精米した後の、この粉は米粉やからこれも食料になるで」
『じゃぁ全部空間倉庫に入れて帰りましょうか』
数年分くらいの大量のお米を仕入れられた事は大きな収穫だった。
『紗衣さん、パートナーは決まりましたか?』
加奈子たちは清酒工場から高校に戻って来ていた。
「あっおかえりなさい、みなさん」
「おかあさん、まだ決めかねてたんだね(笑)」
「1匹だけ、ちょっとおかしな子を見つけたんです」
そう言って紗衣が抱いてる子を見てもサイズが大きいだけの普通のトラ柄で、名前を付けるならマイケルとなる事が多いだろうと思われる猫だった。
いや、令和の時代にそれは無いか…
だが、鑑定で見た時に出てきた種族が[ウェアキャット]だったので洋路が声をあげた。
「ウェアウルフやウェアタイガーの様に人化する種族ですよ」
紗衣の両手がピクっとした。
「決めた~この子に決めたっ」
紗衣は数時間かけてやっと眷属を手に入れた。
レベルはまだ付いてないが、ウェアキャットが紗衣の眷属になった。
紗衣にスリスリと寄り添うその姿を、変顔をしてるのかと言うくらいに崩れた顔で見つめる紗衣。
麗菜が時計を見ると、もう17時を少し回っていた。
「加奈子さん、フィルのリベンジは?」
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