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第四章 天使と悪魔
悪魔の眷属 秘書のお仕事
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『おいっなんか嬉しそうな顔だな?』
横を歩く美凪の嬉しそうな顔を見てトオルが聞いてみた。
「いえっちょっと勘違いで、キングは私の事を嫌っておられるのかと思ってたので」
『んっ?俺がなんでお前を嫌うんだ?嫌いなら殺してるだろ、あの男みたいに』
「そ、そうですよね、良く考えれば・・・」
『おまえはちょっと思い込みが激しい所があるのかもな』
『でもそれは、これから俺の秘書として行動するんだから、改善しとけよ』
「は、はいっ申し訳ありません」
小学校の1階の給食室に着くと、そこを管理しているトオルの小学校の同級生に逢った。
『おうっキョメ、こっちにまた1人増えたらしいな?』
「うん、3-1に入室したらしいよ~」
『3-1と言えば元音楽室で、おかしな連中を放り込んでるところじゃないんか?』
「うんw新しい子も何かわからんけど、おかしい子やで」
「それよりも、そちらの女性の方はどちらさんかなぁ?」
トオルの横に佇まう、長身で顔が良く、バランスのとれたスタイルの女性が気になるようだ。
『あぁ紹介しとくよ、この子は俺の専属の秘書の"青空美凪"と言う者だ、今日から中学側の新生事務所の新しい一員になったんや』
「トオル君がやってる業務の事務所?」
『そそ、これから楽になると良いけどなw』
「まぁ今までが一人で任されッきりやったから一人二人でも増えたら楽にはなるやろw」
『あぁやっぱり自分の時間は欲しいしな』
「まぁあんたは昔っから自分の事は後回しにする癖あるからなぁw」
『嫌な癖やな(笑)』
「ト、トオルさん、どういった御関係のお方でしょうか?」
『あぁごめんよ、小中と一緒だった幼馴染みたいな奴だよ、名は・・・』
『忘れた(笑)』
「ひっど~いw」
『たしか?、キョメっだから、興止波子だったようなw』
「良し、正解じゃw」
トオルと仲の良いその女性を羨ましく見つめる美凪の目に、軽い殺意が垣間見える。
だが、先ほどトオルに言われた「秘書としての考え方」に変えていかないと駄目だと思い直す。
(感情だけで行動してはいけない・・・)
そんな美凪の心情を知ってか知らずか、トオルは幼馴染とそのまま別れて3階まで階段を昇る。
『美凪、これから入る部屋はおかしな連中を集めてる所だから、おまえは切れるなよw』
「おかしいって言うのは頭がですか?」
『頭もなんもかもおかしい連中だ(笑)』
『ある意味勇者なのかも知れないけどなw』
部屋に入ると、そこではトランプでなにやら大博打大会が催されていた。
端っこの方では麻雀パイを混ぜるガラガラと言う音が何卓かから響いてくる。
『おーい、今日新しく入った女性って誰かな?』
チラッとこちらを見たが、ほとんどの奴が知らぬ顔をする。
美凪がトオルの顔を覗くが、トオルは首を横に振るだけだった。
(こんな奴ら、生かしておく必要があるのだろうか?)
『返事がないなら、そいつだけ食事の配給は無いよぉ~』
「ちょっと待っといてな」
麻雀卓の一つにその女は居た。
「ほいほい、うちが新人やで」
トオルは名前と年齢を聞いたが、多分全部嘘だろう。
それでも一応登録だけはしとかないと配給を配れない。
『その名前は今後ここでのあなたの固有名詞になりますので、忘れないようにね』
「はははっ」
トオルはそう言い放って部屋を出た。
(この女・・・)
『今日入ったばかりなのに、ずっと前から居た様な溶け込み方やなw』
「キング、何故あんな連中を囲ってるんですか?」
『まぁそのうち使い道があるかも知れないからなw』
本当にそのうちレベルでも付けてレベリングにでも使うつもりのトオルだった。
『それじゃーウエストに出かけるか』
いつもなら中学と4番街の間の道、6番街の前を通って西に抜けていくのだが、今日は小学校から南の道、すなわち9番街、8番街、7番街の前を通り西に抜けていく通りを行く事にした。
小学校の校門を飛び越えると、そこは9番街と8番街の間くらいになる。
9番街は静かだが、8番街は戦闘の声がする。
「キング、誰かが戦ってるようですが?」
『ここの住人さんだろうね』
「手伝いますか?」
『様子を見てからかな、まぁこんな近くの場所で獲物は狩れないからなぁ』
「獲物?魔物じゃなくてですか?」
『獲物w』
8番街の1階を覗くと、そこでは知らない数人がゴブリン狩りをしていた。
『お~い君らはどこのクランかファミリーなんだい?』
「はいっ?そこの中学校の3階のファミリーやけど?」
攻撃の手を止めて麗菜がトオルの問いに答える。
『3階?戸弩力の所の新人かい?』
「あぁはいはいっ戸弩力さんは仲間やで」
『戸弩力の仲間?そんな話は聞いていないが?』
だが良く見ると、今朝見た加奈子の眷属と同じような威風堂々とした赤い大きなオオカミが居た。
トオルと目が合うと少し会釈したように見えた。
『あぁもしかして加奈子の仲間か?』
「あ、加奈子さんをご存じやねんね」
「うちら加奈子さんの眷属やで~」
『そっか~ で?その加奈子はどこに?』
「ちょっと野暮用で中学に帰ってるよ」
「トオルさん、こちらの方々は?」
『あぁ藤浜んとこのファミリーの客人?かな』
『ま~怪我せんように気を付けて頑張ってな』
「あ~ありがとね~」
「キング、あのような暴虐のふるまいをお許しになっても良いのですか?」
『美凪は本当に気が短いなぁw』
「いえ、うちのメンバーなら誰が聞いても殺りたい気持ちになると思います!」
『俺の姉の眷属だよ、ちょっと調子にのってる感じはするが、まぁ気にするほどちゃうわ』
「お、お姉さまですか。それはすみませんでした・・・」
『いやいや、前にも言ったがもう家族の縁は切ってるから問題ないよ』
『でも美凪はもう少し気を長く持てよ(笑)』
「すみません・・・」
8番街を後にして、隣の7番街に差し掛かると凄い気配が漂っている。
「キング、これは・・・」
『あぁかなり強い連中が居るな、殺って行くか?』
「時間がよろしいのなら」
まだ時間は12時50分を少し回った所だ。
『まぁ今日は下見みたいなもんだから、道草食うのは全然問題ないぞ』
トオルと美凪は7番街の方に行こうとしたら後ろから大声を掛けられた。
「あんたら~そこはレベル高い魔物がおるから行かん方がえぇで~」
『あ~ありがとな』
トオルはそう言いながら軽く手を振って7番街の中へと入って行った。
7番街は東に口が開いたコの字の様に戸数のあるマンションが8棟ほど並んでいる。
「麗菜さん、あの人ら7番街に行っちゃいましたよ?」
「一応警告はしたからな、後は本人の責任や」
麗菜たちはまだ8番街を狩りつくして無いが、加奈子に言われたので中学校に戻って行った。
『ほぉ~初めて見る奴らばかりやな』
「そうですね、コボルトにリザードマンにクロコダイルウォーリア?」
『リザードナイトってのも強そうだぞ、いけるか?』
「アームド!」
美凪の前に4つの魔法陣が縦に並んだ。
それを美凪が通り抜けると全身アーマーに包まれた。
「ドゥンケル!」
深紅の大剣が美凪の右手に現れる。
『俺も変身装備あったらなぁw』
「キングはどの様なのが好みですかー」
『まぁ俺に道化や巫女はあわんやろw』
『やっぱりおまえの全身鎧でアンドロイドみたいな化粧っ気のないのがえぇかな』
「お、お揃いは良いかもですね」
『ほら、来たぞ』
素早さの高いリザードナイトに、足の速いコボルトが数体突っ込んできた。
美凪は怯まずそのまま集団に突っ込んでいった。
『おぉおぉ無茶しよるなぁw』
トオルは笑いながら、魔通鞄から刃渡り50㎝ほどの剣鉈を取り出す。
鉈と言っても、知らない人が見たら重そうな剣にしか見えないだろう。
『それじゃ~俺もいきますか』
トオルは剣鉈を右手に持ち、走ってくるリザードナイトに向かい身構える。
横を歩く美凪の嬉しそうな顔を見てトオルが聞いてみた。
「いえっちょっと勘違いで、キングは私の事を嫌っておられるのかと思ってたので」
『んっ?俺がなんでお前を嫌うんだ?嫌いなら殺してるだろ、あの男みたいに』
「そ、そうですよね、良く考えれば・・・」
『おまえはちょっと思い込みが激しい所があるのかもな』
『でもそれは、これから俺の秘書として行動するんだから、改善しとけよ』
「は、はいっ申し訳ありません」
小学校の1階の給食室に着くと、そこを管理しているトオルの小学校の同級生に逢った。
『おうっキョメ、こっちにまた1人増えたらしいな?』
「うん、3-1に入室したらしいよ~」
『3-1と言えば元音楽室で、おかしな連中を放り込んでるところじゃないんか?』
「うんw新しい子も何かわからんけど、おかしい子やで」
「それよりも、そちらの女性の方はどちらさんかなぁ?」
トオルの横に佇まう、長身で顔が良く、バランスのとれたスタイルの女性が気になるようだ。
『あぁ紹介しとくよ、この子は俺の専属の秘書の"青空美凪"と言う者だ、今日から中学側の新生事務所の新しい一員になったんや』
「トオル君がやってる業務の事務所?」
『そそ、これから楽になると良いけどなw』
「まぁ今までが一人で任されッきりやったから一人二人でも増えたら楽にはなるやろw」
『あぁやっぱり自分の時間は欲しいしな』
「まぁあんたは昔っから自分の事は後回しにする癖あるからなぁw」
『嫌な癖やな(笑)』
「ト、トオルさん、どういった御関係のお方でしょうか?」
『あぁごめんよ、小中と一緒だった幼馴染みたいな奴だよ、名は・・・』
『忘れた(笑)』
「ひっど~いw」
『たしか?、キョメっだから、興止波子だったようなw』
「良し、正解じゃw」
トオルと仲の良いその女性を羨ましく見つめる美凪の目に、軽い殺意が垣間見える。
だが、先ほどトオルに言われた「秘書としての考え方」に変えていかないと駄目だと思い直す。
(感情だけで行動してはいけない・・・)
そんな美凪の心情を知ってか知らずか、トオルは幼馴染とそのまま別れて3階まで階段を昇る。
『美凪、これから入る部屋はおかしな連中を集めてる所だから、おまえは切れるなよw』
「おかしいって言うのは頭がですか?」
『頭もなんもかもおかしい連中だ(笑)』
『ある意味勇者なのかも知れないけどなw』
部屋に入ると、そこではトランプでなにやら大博打大会が催されていた。
端っこの方では麻雀パイを混ぜるガラガラと言う音が何卓かから響いてくる。
『おーい、今日新しく入った女性って誰かな?』
チラッとこちらを見たが、ほとんどの奴が知らぬ顔をする。
美凪がトオルの顔を覗くが、トオルは首を横に振るだけだった。
(こんな奴ら、生かしておく必要があるのだろうか?)
『返事がないなら、そいつだけ食事の配給は無いよぉ~』
「ちょっと待っといてな」
麻雀卓の一つにその女は居た。
「ほいほい、うちが新人やで」
トオルは名前と年齢を聞いたが、多分全部嘘だろう。
それでも一応登録だけはしとかないと配給を配れない。
『その名前は今後ここでのあなたの固有名詞になりますので、忘れないようにね』
「はははっ」
トオルはそう言い放って部屋を出た。
(この女・・・)
『今日入ったばかりなのに、ずっと前から居た様な溶け込み方やなw』
「キング、何故あんな連中を囲ってるんですか?」
『まぁそのうち使い道があるかも知れないからなw』
本当にそのうちレベルでも付けてレベリングにでも使うつもりのトオルだった。
『それじゃーウエストに出かけるか』
いつもなら中学と4番街の間の道、6番街の前を通って西に抜けていくのだが、今日は小学校から南の道、すなわち9番街、8番街、7番街の前を通り西に抜けていく通りを行く事にした。
小学校の校門を飛び越えると、そこは9番街と8番街の間くらいになる。
9番街は静かだが、8番街は戦闘の声がする。
「キング、誰かが戦ってるようですが?」
『ここの住人さんだろうね』
「手伝いますか?」
『様子を見てからかな、まぁこんな近くの場所で獲物は狩れないからなぁ』
「獲物?魔物じゃなくてですか?」
『獲物w』
8番街の1階を覗くと、そこでは知らない数人がゴブリン狩りをしていた。
『お~い君らはどこのクランかファミリーなんだい?』
「はいっ?そこの中学校の3階のファミリーやけど?」
攻撃の手を止めて麗菜がトオルの問いに答える。
『3階?戸弩力の所の新人かい?』
「あぁはいはいっ戸弩力さんは仲間やで」
『戸弩力の仲間?そんな話は聞いていないが?』
だが良く見ると、今朝見た加奈子の眷属と同じような威風堂々とした赤い大きなオオカミが居た。
トオルと目が合うと少し会釈したように見えた。
『あぁもしかして加奈子の仲間か?』
「あ、加奈子さんをご存じやねんね」
「うちら加奈子さんの眷属やで~」
『そっか~ で?その加奈子はどこに?』
「ちょっと野暮用で中学に帰ってるよ」
「トオルさん、こちらの方々は?」
『あぁ藤浜んとこのファミリーの客人?かな』
『ま~怪我せんように気を付けて頑張ってな』
「あ~ありがとね~」
「キング、あのような暴虐のふるまいをお許しになっても良いのですか?」
『美凪は本当に気が短いなぁw』
「いえ、うちのメンバーなら誰が聞いても殺りたい気持ちになると思います!」
『俺の姉の眷属だよ、ちょっと調子にのってる感じはするが、まぁ気にするほどちゃうわ』
「お、お姉さまですか。それはすみませんでした・・・」
『いやいや、前にも言ったがもう家族の縁は切ってるから問題ないよ』
『でも美凪はもう少し気を長く持てよ(笑)』
「すみません・・・」
8番街を後にして、隣の7番街に差し掛かると凄い気配が漂っている。
「キング、これは・・・」
『あぁかなり強い連中が居るな、殺って行くか?』
「時間がよろしいのなら」
まだ時間は12時50分を少し回った所だ。
『まぁ今日は下見みたいなもんだから、道草食うのは全然問題ないぞ』
トオルと美凪は7番街の方に行こうとしたら後ろから大声を掛けられた。
「あんたら~そこはレベル高い魔物がおるから行かん方がえぇで~」
『あ~ありがとな』
トオルはそう言いながら軽く手を振って7番街の中へと入って行った。
7番街は東に口が開いたコの字の様に戸数のあるマンションが8棟ほど並んでいる。
「麗菜さん、あの人ら7番街に行っちゃいましたよ?」
「一応警告はしたからな、後は本人の責任や」
麗菜たちはまだ8番街を狩りつくして無いが、加奈子に言われたので中学校に戻って行った。
『ほぉ~初めて見る奴らばかりやな』
「そうですね、コボルトにリザードマンにクロコダイルウォーリア?」
『リザードナイトってのも強そうだぞ、いけるか?』
「アームド!」
美凪の前に4つの魔法陣が縦に並んだ。
それを美凪が通り抜けると全身アーマーに包まれた。
「ドゥンケル!」
深紅の大剣が美凪の右手に現れる。
『俺も変身装備あったらなぁw』
「キングはどの様なのが好みですかー」
『まぁ俺に道化や巫女はあわんやろw』
『やっぱりおまえの全身鎧でアンドロイドみたいな化粧っ気のないのがえぇかな』
「お、お揃いは良いかもですね」
『ほら、来たぞ』
素早さの高いリザードナイトに、足の速いコボルトが数体突っ込んできた。
美凪は怯まずそのまま集団に突っ込んでいった。
『おぉおぉ無茶しよるなぁw』
トオルは笑いながら、魔通鞄から刃渡り50㎝ほどの剣鉈を取り出す。
鉈と言っても、知らない人が見たら重そうな剣にしか見えないだろう。
『それじゃ~俺もいきますか』
トオルは剣鉈を右手に持ち、走ってくるリザードナイトに向かい身構える。
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