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第四章 天使と悪魔
悪魔の数え唄
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「一かけ二かけ三かけて~」
ボンッ!ボンッボンッ!ボンッボンッボンッ!
「死賭けて命欠けて亡魂掻け~」
ボンボンボッゴ~ンッ!ボンボンボンボッガンボッガンッ!
「七転八倒、苦死んで~」
ドドドドドンドンドドドドドンッドッスンドッゴーン
大海が唱える惡手玉スキルの数え歌を謳う度に、闇球が敵に向かって飛んで行く。
目視で見つめる敵に命中率はほぼ100%。
そして威力は抜群である。
闇属性の耐性など持っている生き物はほとんど居ないからだ。
「ご主人様、面白い様にレベルが上がって行きます~」
藤浜は少し焦っていた。
レベルのアドバンテージなど低レベルでの10差程度しか無かったのだから、今の勢いなら追い抜かされるかも知れない事をかなり危惧している。
この猿が経験値が高い事はもう分かっている。
取り敢えずもっともっと数を狩らないと!
『下の方はなかなか騒がしいが楽しそうだな』
横では紅蓮の大剣を振り回しエアエイプを倒している剣士が戦っている。
宙に浮いて。
「キング、やはり浮遊スキルは取って良かったです」
大剣剣士なので浮遊とかは要らないだろうと思っていたが、この狩場では宙に浮くことはかなりのアドバンテージを取れる。
エイプは身軽で垂れ下がったロープや網を上手に使い、上へ下へと縦横無尽に駆け回る。
最初は数が多かったので、闇雲に戦っても倒せてたが、俊敏で知能も高くレベルも素早さも高いエイプはなかなか倒せない。
浮遊を取得したおかげで、エイプの機動力に対抗できている。
リーは、その素早さと忍者スキルで確実に1体づつ倒していく。
スキルの風身術は、風を身に纏わせ浮遊と同じように空中に浮き動けるスキルである。
風纏の様な機動力は無いが、それに準ずる物である。
トオルも自分の眷属達とこうやってる事がとても楽しい。
だが楽しんでばかりは居られない。
今後この世界で自分達の立ち位置を構成するためには、やらないといけない事はまだまだ多い。
まずは誰をも蹂躙出来る位の力を手に入れないといけない。
小一時間ほど狩りを続けていると、もう目線に入って来るエアエイプは居なくなった。
『お~い、一回ここに集まろかぁ~』
猿が支配していた最上階である40階の廊下でトオルが下に居る眷属達に声を掛けた。
40階から上にはもう人も魔物も存在を確認できなかった。
『どうやらこの階にエイプのボスが居るみたいやな』
藤浜はここに来るまでに各階の索敵を済ませて来た。
「下にも何件か魔物の気配を感知しましたけど」
『あぁあれは多分エイプの繫殖場だな、全滅させず、また増えたら狩るようにしないとな』
「経験値稼ぎの猿養殖ですね」
「観察スキルで詳細見ると、繁殖率が高く成長も早いってなってます」
「この魔物は経験値が高いみたいで、ゴブリン7~8体倒すよりエイプ1匹のが上ですね」
「あぁそれはわかるな、俺の眷属がもうレベル20超えてるし」
ほんの1時間半ほど前にレベル付きになったばかりの﨡井戸大海が、先陣4人に追いつかんばかりのレベル急上昇だった。
覚言う藤浜も、今朝レベルが付いたばかりで、半日でレベル26まで上がっているのは驚異的な速さである事を自覚出来ていない。
トオルもなんとか4天王3人よりは高いレベルで居るが、このままではすぐに抜かされるだろう。
すでに成長率が超早熟のレイン・リーには抜かれている。
だが、そんなに焦っていないし拘っていないのは、トオルは自分が強くなるよりも眷属達が強くなって欲しいと考えている。自分を守る盾になって貰わないと困るからだ。
軍師と言う職業上、後衛のまだ後方で指揮するため、強い前衛、強い後方支援が出来るパーティーを組まなくてはならない。
トオル自身が矢面に立つ構想は全くない。
その為の操れる僕が欲しかったが、今は仲間意識が強くなってしまった。
厄災当初のイラついた感情も今では薄まっているし、ここ数年で一番心に余裕と安定感がある事は自覚している。
今なら姉加奈子と二人っきりになっても普通に姉弟の会話が出来るだろう。
だからと言って家族の縁を取り戻したい訳では無い。
『エイプのボスはどうする?倒しても養殖は出来るかも知れないし』
「養殖を目的にするのなら倒さずに番人にしておきましょう」
「そうですね、自分ら以外にも、エアエイプの経験値が美味しいと知ってる奴も居るだろうし、ボスが居ればそうそう狩られないでしょう」
『そのボスはこの階から移動できないみたいだな』
非常階段はプルトップ式のノブだから、まだ開けれるだけの学習はしていないようだし、この40階の吹き抜けに掛かる防護ネットは綺麗なままだ。きっとPP素材の網を切れなかったのだろう。
35階の吹き抜けに掛かっていたのは、後から追加したもので、落下物防止の為だけに釣りつけられた物であまり強度は無かったのだろう。
『飛べる奴はここのネットを上手に切り刻んでくれるか?』
ボスが下層階に移動できるようにすれば、ここの養殖場も上手く機能するようになるだろう。
30階から40階までの30mと各階の部屋とで数百くらいのコロニーは作れるだろう。
『藤浜~ついでに上層に何か居ないか調べといてくれ』
「わかりましたー」
藤浜はまだ宙に浮けないヒロミを抱きかかえ40階以上の階を索敵で調べ上げていく。
「ん~もう誰も何も居ないみたいだな」
「でもゴブリンの死体がゴロゴロ転がってますね」
「だな、ここだけ戦いがあったみたいな気がするけど、空飛べる奴?」
「ここの住人がゴブリンを倒して外に出て行った?」
「あっ、索敵って覚えました、あっ飛跳ってスキルも覚えました」
「ふっ、俺を追い抜かんとする勢いだなw」
﨡井戸大海(48)
Lv22
種族 【新人類】 選択
職業 【道化師】 選択
恩恵 【道化門】
称号 【バトン操者】
状態 【眷属化-藤浜武人】
基本能力一覧
GMR/USU
HP 4698/3207(+1491)
MP 3171/1680(+1491)
STR 955/529(+426)
DEF 833/407(+426)
AGI 1047/621(+426)
DEX 1016/590(+426)
INT 772/346(+426)
SP/611
基本技能一覧
道化服
駿動 跳躍 索敵 飛跳
道化術-[惡手玉]-[黒ィ傘]-[大黒棒]
┗[暗黒刃]
12167/11864
「なんか、黒棒を振り回し殴ってたら、大黒棒になりました」
今までは細めの棒の先に丸い重量のあるボールが付いていたトワリングバトンだったが、ドラムメジャーバトンに昇格すると、長さも2倍くらいになり、縦ラインが入った黒い重めのボールに、反対側の石鎚は細長い三角錐で、突槍にも使えそうだ。
「キング、上はもう人も魔物も居ないようですが、ゴブリンの死体がゴロゴロしてました」
『そっか、その死体は出来るだけで良いから、下に落としてエイプの餌にでもしようか』
トオルを退けた5人で上階に転がるゴブリンの死体を下に投げ入れる。
死体を一掃した5人は、今度は各部屋のドアを開けていく。
30階の各部屋の玄関ドアを90℃以上に開けて持ち上げる。
そしてドアを丁番から抜き外し非常階段に持っていく。
31階も同じようにドアを外し非常階段に運び込む。
そして32階、33階と回って行く。
そのすべての玄関ドアを30階の非常階段の出入り口の前に並べていく。
扉の前の踊り場は3畳くらいとさほど広くは無いので幅いっぱい高さいっぱいまで積み上げられた。
そこから階段にドンドン積み上げていく。
ヒロミの提案で冷蔵庫も運び入れ階段に積み上げて通れなくしていく。
「こんなもんでえぇかな」
猿たちがプルトップのノブを開けられたとしても31階よりも下に降りれないように踊り場から踊り場まで隙間なく重量物で埋め尽くした。
『これで数日か数週間後にまたレベリングに来よう』
「はいっ!」
ボンッ!ボンッボンッ!ボンッボンッボンッ!
「死賭けて命欠けて亡魂掻け~」
ボンボンボッゴ~ンッ!ボンボンボンボッガンボッガンッ!
「七転八倒、苦死んで~」
ドドドドドンドンドドドドドンッドッスンドッゴーン
大海が唱える惡手玉スキルの数え歌を謳う度に、闇球が敵に向かって飛んで行く。
目視で見つめる敵に命中率はほぼ100%。
そして威力は抜群である。
闇属性の耐性など持っている生き物はほとんど居ないからだ。
「ご主人様、面白い様にレベルが上がって行きます~」
藤浜は少し焦っていた。
レベルのアドバンテージなど低レベルでの10差程度しか無かったのだから、今の勢いなら追い抜かされるかも知れない事をかなり危惧している。
この猿が経験値が高い事はもう分かっている。
取り敢えずもっともっと数を狩らないと!
『下の方はなかなか騒がしいが楽しそうだな』
横では紅蓮の大剣を振り回しエアエイプを倒している剣士が戦っている。
宙に浮いて。
「キング、やはり浮遊スキルは取って良かったです」
大剣剣士なので浮遊とかは要らないだろうと思っていたが、この狩場では宙に浮くことはかなりのアドバンテージを取れる。
エイプは身軽で垂れ下がったロープや網を上手に使い、上へ下へと縦横無尽に駆け回る。
最初は数が多かったので、闇雲に戦っても倒せてたが、俊敏で知能も高くレベルも素早さも高いエイプはなかなか倒せない。
浮遊を取得したおかげで、エイプの機動力に対抗できている。
リーは、その素早さと忍者スキルで確実に1体づつ倒していく。
スキルの風身術は、風を身に纏わせ浮遊と同じように空中に浮き動けるスキルである。
風纏の様な機動力は無いが、それに準ずる物である。
トオルも自分の眷属達とこうやってる事がとても楽しい。
だが楽しんでばかりは居られない。
今後この世界で自分達の立ち位置を構成するためには、やらないといけない事はまだまだ多い。
まずは誰をも蹂躙出来る位の力を手に入れないといけない。
小一時間ほど狩りを続けていると、もう目線に入って来るエアエイプは居なくなった。
『お~い、一回ここに集まろかぁ~』
猿が支配していた最上階である40階の廊下でトオルが下に居る眷属達に声を掛けた。
40階から上にはもう人も魔物も存在を確認できなかった。
『どうやらこの階にエイプのボスが居るみたいやな』
藤浜はここに来るまでに各階の索敵を済ませて来た。
「下にも何件か魔物の気配を感知しましたけど」
『あぁあれは多分エイプの繫殖場だな、全滅させず、また増えたら狩るようにしないとな』
「経験値稼ぎの猿養殖ですね」
「観察スキルで詳細見ると、繁殖率が高く成長も早いってなってます」
「この魔物は経験値が高いみたいで、ゴブリン7~8体倒すよりエイプ1匹のが上ですね」
「あぁそれはわかるな、俺の眷属がもうレベル20超えてるし」
ほんの1時間半ほど前にレベル付きになったばかりの﨡井戸大海が、先陣4人に追いつかんばかりのレベル急上昇だった。
覚言う藤浜も、今朝レベルが付いたばかりで、半日でレベル26まで上がっているのは驚異的な速さである事を自覚出来ていない。
トオルもなんとか4天王3人よりは高いレベルで居るが、このままではすぐに抜かされるだろう。
すでに成長率が超早熟のレイン・リーには抜かれている。
だが、そんなに焦っていないし拘っていないのは、トオルは自分が強くなるよりも眷属達が強くなって欲しいと考えている。自分を守る盾になって貰わないと困るからだ。
軍師と言う職業上、後衛のまだ後方で指揮するため、強い前衛、強い後方支援が出来るパーティーを組まなくてはならない。
トオル自身が矢面に立つ構想は全くない。
その為の操れる僕が欲しかったが、今は仲間意識が強くなってしまった。
厄災当初のイラついた感情も今では薄まっているし、ここ数年で一番心に余裕と安定感がある事は自覚している。
今なら姉加奈子と二人っきりになっても普通に姉弟の会話が出来るだろう。
だからと言って家族の縁を取り戻したい訳では無い。
『エイプのボスはどうする?倒しても養殖は出来るかも知れないし』
「養殖を目的にするのなら倒さずに番人にしておきましょう」
「そうですね、自分ら以外にも、エアエイプの経験値が美味しいと知ってる奴も居るだろうし、ボスが居ればそうそう狩られないでしょう」
『そのボスはこの階から移動できないみたいだな』
非常階段はプルトップ式のノブだから、まだ開けれるだけの学習はしていないようだし、この40階の吹き抜けに掛かる防護ネットは綺麗なままだ。きっとPP素材の網を切れなかったのだろう。
35階の吹き抜けに掛かっていたのは、後から追加したもので、落下物防止の為だけに釣りつけられた物であまり強度は無かったのだろう。
『飛べる奴はここのネットを上手に切り刻んでくれるか?』
ボスが下層階に移動できるようにすれば、ここの養殖場も上手く機能するようになるだろう。
30階から40階までの30mと各階の部屋とで数百くらいのコロニーは作れるだろう。
『藤浜~ついでに上層に何か居ないか調べといてくれ』
「わかりましたー」
藤浜はまだ宙に浮けないヒロミを抱きかかえ40階以上の階を索敵で調べ上げていく。
「ん~もう誰も何も居ないみたいだな」
「でもゴブリンの死体がゴロゴロ転がってますね」
「だな、ここだけ戦いがあったみたいな気がするけど、空飛べる奴?」
「ここの住人がゴブリンを倒して外に出て行った?」
「あっ、索敵って覚えました、あっ飛跳ってスキルも覚えました」
「ふっ、俺を追い抜かんとする勢いだなw」
﨡井戸大海(48)
Lv22
種族 【新人類】 選択
職業 【道化師】 選択
恩恵 【道化門】
称号 【バトン操者】
状態 【眷属化-藤浜武人】
基本能力一覧
GMR/USU
HP 4698/3207(+1491)
MP 3171/1680(+1491)
STR 955/529(+426)
DEF 833/407(+426)
AGI 1047/621(+426)
DEX 1016/590(+426)
INT 772/346(+426)
SP/611
基本技能一覧
道化服
駿動 跳躍 索敵 飛跳
道化術-[惡手玉]-[黒ィ傘]-[大黒棒]
┗[暗黒刃]
12167/11864
「なんか、黒棒を振り回し殴ってたら、大黒棒になりました」
今までは細めの棒の先に丸い重量のあるボールが付いていたトワリングバトンだったが、ドラムメジャーバトンに昇格すると、長さも2倍くらいになり、縦ラインが入った黒い重めのボールに、反対側の石鎚は細長い三角錐で、突槍にも使えそうだ。
「キング、上はもう人も魔物も居ないようですが、ゴブリンの死体がゴロゴロしてました」
『そっか、その死体は出来るだけで良いから、下に落としてエイプの餌にでもしようか』
トオルを退けた5人で上階に転がるゴブリンの死体を下に投げ入れる。
死体を一掃した5人は、今度は各部屋のドアを開けていく。
30階の各部屋の玄関ドアを90℃以上に開けて持ち上げる。
そしてドアを丁番から抜き外し非常階段に持っていく。
31階も同じようにドアを外し非常階段に運び込む。
そして32階、33階と回って行く。
そのすべての玄関ドアを30階の非常階段の出入り口の前に並べていく。
扉の前の踊り場は3畳くらいとさほど広くは無いので幅いっぱい高さいっぱいまで積み上げられた。
そこから階段にドンドン積み上げていく。
ヒロミの提案で冷蔵庫も運び入れ階段に積み上げて通れなくしていく。
「こんなもんでえぇかな」
猿たちがプルトップのノブを開けられたとしても31階よりも下に降りれないように踊り場から踊り場まで隙間なく重量物で埋め尽くした。
『これで数日か数週間後にまたレベリングに来よう』
「はいっ!」
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