厄災の街 神戸

Ryu-zu

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第三章 健斗と美咲と新たな出会い

無責任の極み

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あまりに取り込もうとしない生名を見かねて、大和が自分が取り込もうかと提案している。
風呂上がりの兎月も、それなら自分が、と言っている。
なにやらダチョウ俱楽部のギャグの様になってきたが。

しばらく悩んだ後に、健斗が生名に言った。
健斗まぁ気が引けるなら、そちらでアイテムを見つけた時に返してくれたら良いですよ」
咲姫物々交換の先払いって事でどうですか?」

そこまで話を詰めて、やっと生名は取り込むことに同意した。
最終的には、美咲やサバイバーや咲空に言われてモジモジしながらも宝珠を取り込んだ。

統括者我が身に宿り 我が力となれ」

軽く文言を唱え、インベントリが生名のスキルとして取り込まれる。

使ってみると、ステータスボードとは違うパネルがあらわれた。
早速、余っている刀を健斗から貰い、保存領域インベントリに入れてみる。

健斗色々と要検証ですね」
生名颯太が嬉しそうな顔でインベントリをいじくっている間に健斗は咲空に向かって話しかけた。

健斗咲空~おまえにはこれを授けよう!」

健斗は双剣の指輪を咲空に手渡した。
 『なにこれ?』
健斗鑑定あるんやから、自分で見てみ」

 『おぉ~~これはお母ちゃんみたいなやつやな』
指輪の真ん中に銀ベースに青色の筋がぐるりと一周している。もう一つは同じように緑色の筋がグルリと入っている同型色違いの指輪だった。

 『おっちゃん、めてっ』
咲空は指輪をジッと眺めてから健斗にめて欲しいと頼んだ。
健斗は咲空の思惑など理解せずに指輪をめてやろうとしている。

「どこの指がえぇ?」
 『薬指~』

健斗は本当に何も考えずに咲空の左右の薬指に指輪を嵌める。
嵌めた後は、自然に咲空の指の太さに馴染む。

健斗それ、別個にそれぞれ名前つけたら別々に呼び出しやすいで」

 『こんなんどうしたん?』
「おかんの宝箱から出た奴で、大剣と交換してもらった」
 『えぇぇぇぇ?おっちゃん、あの大剣気に入ってたんちゃうの?』
「今は咲姫と交換したこれがあるからな」

健斗はそう言って剣斧を装備した。

剣斧〔薙雲なぐも〕[所有者:庄内健斗]技能付与 成長度技能覚醒 SSRユニークウェポン
[収納時自動修復]-[装着時、体力、腕力、5%アップ]

25㎝程のリングが重なって棒状になったような握柄にぎりつかつばは無く、刀身は細身のスペードを半分にして上下に半分ずらした様に上下で両面に斧部がある両刃剣斧。
柄は濃い赤、刀身は濃い茶色で斧部は薄い水色、長さは1.3mほどで、大剣よりは短いがそれでも長い方だろう。先が尖っているので、突槍としても使えそうだ。

健斗は、大剣も良かったが、この剣斧をかなり気に入った。
早くこれで魔物を蹂躙したいと思っている。


双剣の指輪〔蒼翠そうすい〕[所有者:星城咲楽]称号付与 成長度技能覚醒 SSRユニークウェポン
[収納時自動修復]-[装着時、素早さ、防御、5%アップ]

赤いなめし革を巻いた握柄に、ワシが両羽を広げた様な青みがかったツバで、刀身は青く輝き、刃の部分は銀色に輝いている両刃の剣。もう1本は全く同じ形で、薄い青緑のツバに刀身が緑色に輝いている。

咲空はキッチンの横の、昼間に寝ていたマットレスの上で双剣を携えてその美しさに見惚れている。
(あぁ~早く振り回したいなあ~)

強格闘家しかし、健斗さんらは色々と凄すぎますね」
統括者ですね~ 良く次から次にそんな装備を手に入れられますね~」

健斗いや、空中から能々よくよく見てたら宝箱を見つけられますよ」
健斗自分が見つけたのは、どっちもビルや駐車場の屋上やったし」



美咲はぁ~良いお湯やったぁ」

美咲だけが先に上がってきた。
冷蔵庫から炭酸飲料を取り出し、頭をタオルでゴシゴシと擦りながらキッチンの椅子に座る。

髪を乾かし終わった千里からドライヤーを借りて、自分の髪を乾かす。


千里咲空ちゃんと咲宙は一緒に次入る?」
千里がそう言いながらペットボトル片手にキッチンから応接間に入りソファーに座る。

 『うちらは垂水に行ってからでも入れるし、後でいいよ』
千里あぁそうやなぁ、んじゃ圭ちゃん咲姫さんら入る?」
千里は飛翔クランの調理女と咲姫達に問いかけた。

健斗いや?咲空さくら咲宙はなびは生田川のクランに入ってもらうつもりやけど?」

咲宙おいっ!おっさん、ちょい待て」
健斗の唐突な発言に怒りを露わにする姉咲宙はなび

千里ちょっと!二人に着いて来いって言ったのは健斗さんよなぁ?」
 『うちらは住んでる橘通りで生きるって言ったのに、駄目だって言ったのはおっちゃんやろ』

美咲・・・」

風呂から上がった母ルナも健斗を責める。
『はぁ~風呂はえぇなぁ。ホンマ気持ちよかったのに・・・』

『なぁうちも楠公なんこうさんで聞いてたけど、咲空ちゃんがお礼言って別れようとしたのを引き留めて、面倒は俺が見るみたいな事言ってたのはあんたやで?
それを勝手にうちらのクランに入れるって、この子らの意思や考えは無視なんか?
それよりなにより、無理やり引き連れて来てうちらに丸投げって、あまりにもあんたの行動は無責任の極みちゃうか?』

健斗極みって・・・
でも、中学生の女の子が二人で生きていくなんて難しいやろ?
だから生田川のクランに連れて行ったら良いかなって思って誘ったんやで」

『だったら最初からうちらと姉妹二人にその話するべきやったんちゃうか?』
 『そやっおっちゃんが来いって言うからうちはおっちゃんのパーティーに入るもんやと思って着いて来てたんやで?それをいつもの得意の見殺しにするんかぁ?』

健斗いやっ、見殺しってそんなつもりは無いし・・・」

美咲・・・・」

千里あんたの勝手な思惑で住んでる地域から離されて、おまけにうちらに押し付けてどっか行くって、ホンマに究極の無責任野郎やなぁ?
あぁ、サクラちゃんに咲宙、あんたらが嫌いやとかクランに要らんとかって話ちゃうで、この人の行動を責めてるだけやからな」
咲宙そんなん言われんでもわかっとうわ!千里とお母おかんがえぇ人やってのは知っとる」

千里、ルナ・・・ なんかあんたに褒められると背筋がこそばゆいわ(笑)」

健斗ほらっおまえら仲えぇし」
千里おいっ!それとこれとはまったくちゃう話やからな、混同すんなよ!」

美咲・・・・・」

咲宙うちはこっちのクランでえぇんやけど、咲空がおっさんに着いて行きたいんやで」

健斗そんなんあかんって。姉妹がバラバラになるんはあかんよ」

咲宙なめとんかっ!ふざけんなっ!そんな状態を作ったんはおっさんやろがぁ~!!!

・・・

・・・

うちは、お母おかんや千里と一緒にりたいんや・・・
うちなんか性格がねじれた子やのに、二人はいつも笑ってかまってくれたん・・・
一緒にって、心が気持ちいいんや~

そやけど、咲空はうちとは気持ちがちゃうんやから・・・


どないしたらえぇんや~」

「うっうっ」

「うわぁ~ん」

大粒の涙をこぼして姉咲宙がそこにしゃがみ込んだ。
その背中を千里がそっと優しく撫でる。
千里のその顔にも貰い泣きでうっすらと涙があふれて来た。

そして健斗に対して強い怒りが沸々と沸いて来る。
千里人の人生、あんたの勝手な思惑でいじくりまわして、楽しいんかぁ~」

美咲・・・・・・」

咲空あんなぁ、うちと姉ちゃんは血がつながって無いんよ。
うちのおかんと姉ちゃんのお父さんが昔再婚したんや』

咲空が自分たちの、他人が知らなくても良い話を、自分がカミングアウトしなくてはここが収まらないと考えての事だった。

咲空元々おかんもお父さんも子供が好きじゃなかったのもあるんやけど、なんでもズケズケ言う姉ちゃんと、うちのおかんとおばあとまったく反りが合わなかったん。
逆に、お父さんはうちにまったく関心を示さずに、ほとんど会話した事も無いんよ。
おじいだけは二人を可愛がってくれてたんやけど、身体が悪かったからなぁ。』

咲空は一気に捲くし立てた。

咲空だから、二人が離ればなれになっても、寂しいけどお互いに理解は出来るんよ』

『まぁ死に別れる訳ちゃうしな』
咲空さっき、死に掛けたけどw」

健斗それならなお一層姉妹の絆を大事にせなあかんやん」

バッチーン

健斗は頭を思いっきりはたかれた。

美咲健ちゃん、いい加減にしとけや~。
なんであんたはそんなに無責任で自己中でイチビリなんやっ!」

健斗えっ?俺なんかおかしい?」

飛翔クランと三ノ宮クランの面々の顔を見て聞くが、皆健斗がおかしいと言う。
奥の咲姫のパーティーメンバーの方に顔を向けたが、やっぱり皆、首を横に振る。

美咲あんなぁ、夕べも誰一人として健ちゃんに同意する人らなんだやろ?
今も誰一人として健ちゃんを庇う人が居ないって事はあんたがかなりおかしいって事や
え~かげん気づけやっ!これからは何か行動するならまずそばの誰かに相談しろっ!」
健斗・・・」

美咲んで、さくらさんやったっけ?あんたはこれからどないしたいんや?」

 『うっ、うちはおっちゃんと一緒にやっていきたい』
 『・・・』
 『ゆっ指輪も薬指にめてもろたしな』
ハニカミながら咲空が左の手をみんなに見せた。

『あはははははは、そりゃもう一生面倒見てもらわなあかんなぁ(笑)』
全員おぉ~ご婚約おめでとうございますw」
千里ハーレム化が進んどうなぁw」

みんな、指輪のいきさつは見ていたので健斗を揶揄して楽しんでいるようだ。

健斗み、美咲と咲空はキャラかぶっとうし・・・」




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