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第三章 健斗と美咲と新たな出会い
無責任な奴
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ルームの中で美咲は健斗を揶揄するが、咲姫は特に健斗に嫌悪感や忌避感を覚えることは無かった。
それは、眷属契約の縛りとかでは無く、ただ単に健斗はイチビリだと認識しただけだからだ。
刀を持ち出してクランのメンバーに配る健斗と咲姫。
美咲は母ルナや阿斗の元に行き、三ノ宮クランのメンバーと激論を交わす。
皆が皆、それが楽しくて仕方が無いようだ。
刀を受け取った面々はすぐに試し切りがしたくてウズウズしている。
少しお酒が入った人も刀の餌食になる獲物を探しに出かけると、サバイバー達に告げる。
「酔ってる奴は人に危害を加えない様に気を付けろよ~」
「人間殺しはうちでは御法度やぞ~ 即追放やからな~」
「は~い。気を付けていってきま~す」
自分の住む世界で一体何が起こってるのか分からない状態で、焦燥感だけが膨らんでいった昨日から、少し未来が見えた今の現状に高揚感を隠せない面々だった。
「・・・」
「なぁお酒って禁止した方が良いんじゃない?」
「んっ?何でですか?」
「こんなご時世で酔っぱらってるのは、なんか見た目が悪いし」
「さっきも、真昼間から酒盛りしてる人も居たし」
「唯一の娯楽ですから、禁止ってのは余程の理由が無いと無理ですよ」
「健斗さんは飲まないのかな?」
「いや、夜は飲む事があるけど、昼間っからなんて常識外れやろうって思う」
横に居る咲姫が何かを言いたそうにしているが、あまり出しゃばりでは無いので言葉を控えた。
しかし、そのやり取りを近くで聞いていた美咲が話に割り込んで来た。
「ちょっと待ってな、健ちゃん、それは健ちゃんの中の常識であって、世間一般の常識と言うには、ちょっと違わんかぃ?」
美咲がこちらの話に入ってきたので、討論を楽しんでいた面々もこっちの話に入って来る。
『何?何?なに?」
『昼間っから酒飲むのは常識知らずってか?』
『ここは日本やで?うちかって朝からでも飲むで?』
母ルナがそう言って健斗を責め立てる。
別に面白がって責めているのではなく、ルナは元々朝からでも状況によってビールとか飲むことがある生活スタイルを持っていた。
『旅行やキャンプに行ったら、目が覚めるとまずビール飲むやろ~』
「おう、昔は仕事中でも、夏場は昼飯時にビールは当たり前やったで」
「まぁ旅行やキャンプやったら、朝食と一緒にビールは酒好きなら普通かなぁ」
「そ、それは一部の人で、飲まない人の方が多いやろ?」
「マイノリティが駄目だって言うのは少しあかん考え方だと思いますよ?」
「僕は母を見ているからか、お酒を楽しそうに飲んでる人を常識外れとは思わないですね」
『んっ?なんや?人を酒飲みみたいに』
「酒飲みやろがぁ(笑)」
「で、でも、こんな世界でいざって時に酔ってたら危険やろ?」
「そりゃそうやろうけど、一人で戦ってる訳ちゃうからな~」
「一人じゃないからこそ余計に周りに迷惑かける事もあるやん」
「だからってお酒禁止って話にはならないですよ」
三ノ宮クランの3人は、自分たちのグループの話では無いので、この話には入らない様に心がけていた。だが、自分たちのクランでも同じ事が考えられるので話の行く末を見守っている。
「組織を作っていくならルールは絶対に必要でしょ?」
「これから人も増えていくんだから、きちんとしたルールや規律は守らせるようにしていかないと内部崩壊する恐れもあるしね」
咲空たちローティーン組はお酒の事は良く分からないので、それ以上話に入るつもりは無かった。
だが、健斗の考え方にどうしても賛同できない咲空は口を突っ込む事を躊躇わなかった。
『なぁおっちゃん、一体どんな組織を作りたいんや?軍隊でも作るつもりか?』
「イチビリなリーダー持った方が内部崩壊起きるやろ」
姉の咲宙も責められてる相手が健斗なので、ついつい口を入れてしまった。
『まぁ健さんが作ったクランやから、禁止にしたいんやったらみんなに言ったらどない?』
「だねっ、リーダー権限で強制的にってのも有りかもだけど、やっぱりみんなで話し合って決めた方が良いんじゃないかな?」
「えっ?俺っ?俺はリーダー出来ないよ?」
「垂水に行ってからは灘区に帰るから、ここのクランはおかんとサバイバーさんに任せるよ?」
「あっちゃぁ~ やっぱりそっちか・・・」
「健ちゃん、基本は無責任やからなぁw」
「どうゆうこと?」
『ここを離れるって事?』
「えっ?なんで?」
「だったら、今までの話はなんやったん?」
「ふざけんなって話やで?」
「ちょっとどうゆぅ事か分かるように説明せぇや」
健斗は、元々自分が率先してここのクランを取り仕切るつもりは無かった事を告げる。
フラワーロードで止め所も無く彷徨ってる人たちを導ければいいかなっと思って誘ったけど、それがクランを名乗れるほどの人数が参加した事に嬉しさを覚えた事。
でも、自分は生田川に身を置くつもりは最初から無かった事なども切々と語った。
『まぁそこまで言うならしゃ~ないかな?』
「それで、ここのリーダーはおかんに任せたら一番スムーズに運営できるかなって思っとんよ」
「サブはやっぱり千里とサバイバーさん、幹部は大工さんとか、今、面前に居るメンバーが良いかなって」
『その辺はうちらで話し合って決めていくわ』
「見放すんやったら、そこまで仕切らんでもえぇやろ」
「ちょ、べ、別に見放すとかじゃないやん」
「まぁみんな、ここまで指導してくれた健斗さんと美咲さんに、これ以上の気持ちは持てないくらい感謝をしてるのも確かだしね」
「まぁなぁ・・・ 健斗君に会わなんだら俺はこの先どう進んでたかは想像もつかんわ」
「なんか、思わせぶりな感じになったのは謝っとくね」
『ほんま、あんたはずっとそんな感じで生きていくんやろうな』
「何回進化してもイチビリは治らんやろうしなw」
『んで、いつ垂水に向かうん?』
「まぁもうちょっとしたらかな?」
「今日かぁ・・・」
「それなら、行く前にうちのメンバーと一緒に少しレベリングを手伝ってくれませんか?」
「あぁえぇよ~ 風纏も火球も覚えたみたいやし」
「どっかで試し撃ちしてから、やろか?」
「それやったら干潟でやればえぇよ、魔物の死体が山積みになっとるから焼いといて」
一連の会話を横目で見ながら聞いている咲空と咲宙の姉妹。
(うちらは?垂水行き?)
三ノ宮クランの剣術女が一言
「で、結局お酒の話はどうなったん?」
「それはまたみんなが揃った時に、議題のひとつとして話し合うわ」
『まぁ禁止だのなんだの言ってるのは健さんだけやからなw』
「お~い、お土産やで~」
そう言って半死半生のゴブリンを持って帰ってきた。
早速三ノ宮クランと咲姫のメンバーに眷属契約のスキルを教授する。
飛翔クランの中にもまだスキルを覚えてない人も多いので、希望者を募り覚えてもらった。
咲姫のパーティーメンバーと干潟に来て、スキルの確認と練習を兼ねて魔獣の死山に向かって火球を撃ちまくる。
まだ多少は死体を貪り食う魔物も居るが、気にせずにスキルを試し打ちする。
その時に火球や水球を小さく圧縮してみたり大きく放ってみたりと色々試してみるように言う。
三ノ宮クランの3人にも火球と水球を覚えてもらい、風刃も教えて戦闘選択を増やしてもらった。
「あれっ?」
「うんっ・・・」
「あははっ」
「健斗さん、なんかすごい勢いでレベルが上がっていくんですけど?」
咲姫のメンバーは全員レベル10前後だったのがいつの間にか20近くまで上がっていた。
三ノ宮のメンバーも2~3レベルは上がっただろうか。
健斗は鑑定で死体の山の中を見てみた。
そこには"死豸蟲"と言う10㎝程の小型の蛞蝓型魔蟲が大量に湧いていた。
その数は千数百匹も居たのだろうか?
詳細を見てみると、死骸に集まりその死肉を喰らい分裂増殖していく魔蟲のようだ。
餌は大量にあるので、倍々で増えていくとこうなってしまうんじゃないだろうか?と推測する。
「死肉を食って分裂して増えていくタイプのナメクジっぽい魔蟲が湧いてるね」
「生きている肉は食べないみたいだから、生名さん、何匹か持って帰りますか?」
「そうですねー 攻撃してこないならこんな美味しい魔物は居ませんねー」
「ナメクジなんて食べようとは思わんわっ!」
「ははは、美味しいって経験値が美味しいって意味だよ~」
「死体はいくらでもあるし、公園とかに大穴掘ってそこに集めればよいレベリングになりますね」
「これであいつらにも勝てるんちゃう?」
「あはははは、色々とスキルも教えてもらったしな」
「どうしました?」
「なにやら面白そうな話とちゃうの?w」
『なになにっ?うちも混ぜて~』
「他の人等に聞かれて困る話なら、ルーム開けますよ?」
そう言って、そこに居た咲姫とそのメンバー、ルナ、千里、星城姉妹、サバイバーと大工達がルームに入って行った。
眷属と少数の幹部候補達はナメクジを保管する入れ物探しに出かけた。
それは、眷属契約の縛りとかでは無く、ただ単に健斗はイチビリだと認識しただけだからだ。
刀を持ち出してクランのメンバーに配る健斗と咲姫。
美咲は母ルナや阿斗の元に行き、三ノ宮クランのメンバーと激論を交わす。
皆が皆、それが楽しくて仕方が無いようだ。
刀を受け取った面々はすぐに試し切りがしたくてウズウズしている。
少しお酒が入った人も刀の餌食になる獲物を探しに出かけると、サバイバー達に告げる。
「酔ってる奴は人に危害を加えない様に気を付けろよ~」
「人間殺しはうちでは御法度やぞ~ 即追放やからな~」
「は~い。気を付けていってきま~す」
自分の住む世界で一体何が起こってるのか分からない状態で、焦燥感だけが膨らんでいった昨日から、少し未来が見えた今の現状に高揚感を隠せない面々だった。
「・・・」
「なぁお酒って禁止した方が良いんじゃない?」
「んっ?何でですか?」
「こんなご時世で酔っぱらってるのは、なんか見た目が悪いし」
「さっきも、真昼間から酒盛りしてる人も居たし」
「唯一の娯楽ですから、禁止ってのは余程の理由が無いと無理ですよ」
「健斗さんは飲まないのかな?」
「いや、夜は飲む事があるけど、昼間っからなんて常識外れやろうって思う」
横に居る咲姫が何かを言いたそうにしているが、あまり出しゃばりでは無いので言葉を控えた。
しかし、そのやり取りを近くで聞いていた美咲が話に割り込んで来た。
「ちょっと待ってな、健ちゃん、それは健ちゃんの中の常識であって、世間一般の常識と言うには、ちょっと違わんかぃ?」
美咲がこちらの話に入ってきたので、討論を楽しんでいた面々もこっちの話に入って来る。
『何?何?なに?」
『昼間っから酒飲むのは常識知らずってか?』
『ここは日本やで?うちかって朝からでも飲むで?』
母ルナがそう言って健斗を責め立てる。
別に面白がって責めているのではなく、ルナは元々朝からでも状況によってビールとか飲むことがある生活スタイルを持っていた。
『旅行やキャンプに行ったら、目が覚めるとまずビール飲むやろ~』
「おう、昔は仕事中でも、夏場は昼飯時にビールは当たり前やったで」
「まぁ旅行やキャンプやったら、朝食と一緒にビールは酒好きなら普通かなぁ」
「そ、それは一部の人で、飲まない人の方が多いやろ?」
「マイノリティが駄目だって言うのは少しあかん考え方だと思いますよ?」
「僕は母を見ているからか、お酒を楽しそうに飲んでる人を常識外れとは思わないですね」
『んっ?なんや?人を酒飲みみたいに』
「酒飲みやろがぁ(笑)」
「で、でも、こんな世界でいざって時に酔ってたら危険やろ?」
「そりゃそうやろうけど、一人で戦ってる訳ちゃうからな~」
「一人じゃないからこそ余計に周りに迷惑かける事もあるやん」
「だからってお酒禁止って話にはならないですよ」
三ノ宮クランの3人は、自分たちのグループの話では無いので、この話には入らない様に心がけていた。だが、自分たちのクランでも同じ事が考えられるので話の行く末を見守っている。
「組織を作っていくならルールは絶対に必要でしょ?」
「これから人も増えていくんだから、きちんとしたルールや規律は守らせるようにしていかないと内部崩壊する恐れもあるしね」
咲空たちローティーン組はお酒の事は良く分からないので、それ以上話に入るつもりは無かった。
だが、健斗の考え方にどうしても賛同できない咲空は口を突っ込む事を躊躇わなかった。
『なぁおっちゃん、一体どんな組織を作りたいんや?軍隊でも作るつもりか?』
「イチビリなリーダー持った方が内部崩壊起きるやろ」
姉の咲宙も責められてる相手が健斗なので、ついつい口を入れてしまった。
『まぁ健さんが作ったクランやから、禁止にしたいんやったらみんなに言ったらどない?』
「だねっ、リーダー権限で強制的にってのも有りかもだけど、やっぱりみんなで話し合って決めた方が良いんじゃないかな?」
「えっ?俺っ?俺はリーダー出来ないよ?」
「垂水に行ってからは灘区に帰るから、ここのクランはおかんとサバイバーさんに任せるよ?」
「あっちゃぁ~ やっぱりそっちか・・・」
「健ちゃん、基本は無責任やからなぁw」
「どうゆうこと?」
『ここを離れるって事?』
「えっ?なんで?」
「だったら、今までの話はなんやったん?」
「ふざけんなって話やで?」
「ちょっとどうゆぅ事か分かるように説明せぇや」
健斗は、元々自分が率先してここのクランを取り仕切るつもりは無かった事を告げる。
フラワーロードで止め所も無く彷徨ってる人たちを導ければいいかなっと思って誘ったけど、それがクランを名乗れるほどの人数が参加した事に嬉しさを覚えた事。
でも、自分は生田川に身を置くつもりは最初から無かった事なども切々と語った。
『まぁそこまで言うならしゃ~ないかな?』
「それで、ここのリーダーはおかんに任せたら一番スムーズに運営できるかなって思っとんよ」
「サブはやっぱり千里とサバイバーさん、幹部は大工さんとか、今、面前に居るメンバーが良いかなって」
『その辺はうちらで話し合って決めていくわ』
「見放すんやったら、そこまで仕切らんでもえぇやろ」
「ちょ、べ、別に見放すとかじゃないやん」
「まぁみんな、ここまで指導してくれた健斗さんと美咲さんに、これ以上の気持ちは持てないくらい感謝をしてるのも確かだしね」
「まぁなぁ・・・ 健斗君に会わなんだら俺はこの先どう進んでたかは想像もつかんわ」
「なんか、思わせぶりな感じになったのは謝っとくね」
『ほんま、あんたはずっとそんな感じで生きていくんやろうな』
「何回進化してもイチビリは治らんやろうしなw」
『んで、いつ垂水に向かうん?』
「まぁもうちょっとしたらかな?」
「今日かぁ・・・」
「それなら、行く前にうちのメンバーと一緒に少しレベリングを手伝ってくれませんか?」
「あぁえぇよ~ 風纏も火球も覚えたみたいやし」
「どっかで試し撃ちしてから、やろか?」
「それやったら干潟でやればえぇよ、魔物の死体が山積みになっとるから焼いといて」
一連の会話を横目で見ながら聞いている咲空と咲宙の姉妹。
(うちらは?垂水行き?)
三ノ宮クランの剣術女が一言
「で、結局お酒の話はどうなったん?」
「それはまたみんなが揃った時に、議題のひとつとして話し合うわ」
『まぁ禁止だのなんだの言ってるのは健さんだけやからなw』
「お~い、お土産やで~」
そう言って半死半生のゴブリンを持って帰ってきた。
早速三ノ宮クランと咲姫のメンバーに眷属契約のスキルを教授する。
飛翔クランの中にもまだスキルを覚えてない人も多いので、希望者を募り覚えてもらった。
咲姫のパーティーメンバーと干潟に来て、スキルの確認と練習を兼ねて魔獣の死山に向かって火球を撃ちまくる。
まだ多少は死体を貪り食う魔物も居るが、気にせずにスキルを試し打ちする。
その時に火球や水球を小さく圧縮してみたり大きく放ってみたりと色々試してみるように言う。
三ノ宮クランの3人にも火球と水球を覚えてもらい、風刃も教えて戦闘選択を増やしてもらった。
「あれっ?」
「うんっ・・・」
「あははっ」
「健斗さん、なんかすごい勢いでレベルが上がっていくんですけど?」
咲姫のメンバーは全員レベル10前後だったのがいつの間にか20近くまで上がっていた。
三ノ宮のメンバーも2~3レベルは上がっただろうか。
健斗は鑑定で死体の山の中を見てみた。
そこには"死豸蟲"と言う10㎝程の小型の蛞蝓型魔蟲が大量に湧いていた。
その数は千数百匹も居たのだろうか?
詳細を見てみると、死骸に集まりその死肉を喰らい分裂増殖していく魔蟲のようだ。
餌は大量にあるので、倍々で増えていくとこうなってしまうんじゃないだろうか?と推測する。
「死肉を食って分裂して増えていくタイプのナメクジっぽい魔蟲が湧いてるね」
「生きている肉は食べないみたいだから、生名さん、何匹か持って帰りますか?」
「そうですねー 攻撃してこないならこんな美味しい魔物は居ませんねー」
「ナメクジなんて食べようとは思わんわっ!」
「ははは、美味しいって経験値が美味しいって意味だよ~」
「死体はいくらでもあるし、公園とかに大穴掘ってそこに集めればよいレベリングになりますね」
「これであいつらにも勝てるんちゃう?」
「あはははは、色々とスキルも教えてもらったしな」
「どうしました?」
「なにやら面白そうな話とちゃうの?w」
『なになにっ?うちも混ぜて~』
「他の人等に聞かれて困る話なら、ルーム開けますよ?」
そう言って、そこに居た咲姫とそのメンバー、ルナ、千里、星城姉妹、サバイバーと大工達がルームに入って行った。
眷属と少数の幹部候補達はナメクジを保管する入れ物探しに出かけた。
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