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第三章 健斗と美咲と新たな出会い
ボス討伐
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健斗は心の中で少し焦っていた。
絶対的な即死攻撃スキルだと思っていたウォータージャベリンが、熊のボスには即死効果が無かったからだ。
魔風剣は威力はあるが、そのサイズが大きすぎて常時は使えない。
圧縮すれば攻撃力も跳ね上がるが、デュレイが長すぎて実用的ではない。
これからドンドン敵も強くなっていくだろう。
こんな小ボスでここまで手古摺るとは思っていなかった。
絶対的に信頼していたスキルが、実は敵が弱すぎたから即死攻撃出来ていた事に気づかされた。
今まで攻撃に困った事は一度も無かった。
トロール戦の時は美咲との連携があったから圧縮魔風剣を使えた。
だが、このような状況やソロの時に決定打に掛けるのは致命的だ。
グオォォォォォォォ~
大きな熊の大声の咆哮が耳に突き刺さる。
だが、健斗以外は威圧耐性や精神異常耐性を覚えたので、行動阻害はされない。
『オォ~リャ~』
『オリャ~』
「ドリャ~」
硬直し呆ける健斗を余所に、3人の女性たちは大熊にトドメを刺す段階まで来ていた。
妹少女は、目に突き刺さった刀を抜き、両手持ちで猛威を振るう。
長い大きな腕を振り回し、剣士たちを振り払おうと必死に暴れるサーシィベア。
『オリャ~』『オリャ~』「オリャーーー」
女性陣の方が素早さが段違いで高いからか、熊の攻撃は全く当たらない。
ザシュッ
母の長刀が熊の左腕を切り落とした。
二刀流の妹の剣が、開いていた左目を深く切り込み視界を断ち切った。
剣女の刃先が熊の毛皮を切り刻む。
そして肉も切り割き強いダメージを与え、HPを急激に削っていく。
『今や~ トドメ刺すで~』
ドスン、ザシュッ、シュパーン
3人の剣圧に屈したサーシィベアは、その巨体をゆっくりと地面に近づけた。
ドゥ~ン
熊の巨体は地面にひれ伏し、そしてもう動くことは無かった。
『『「おっしゃ~っ」』』
『やったぜ~』
『やったね~』
自分たちの力だけで大熊を倒したことに歓喜し、代わるがわるハイタッチをして喜びを分かち合った。
硬直が解けた健斗も、その輪に入ろうとトコトコと歩み寄っていく。
すでに終わっていた・・・
回廊に戻り5人で輪になって座り、雑談を始める。
お昼にはまだ少し早いが、軽く食事をすることにしようと提案。
冷蔵庫から飲み物と、朝の残りで5人分のサンドウィッチを作り皆に振る舞う。
いつの間にか、調理と料理のスキルが増えていた。
こうなれば、解体系のスキルも覚えたいところだ。
空間スキルのルームも、スキルポイントが貯まってきたので増築や新築と出来る事が増えて少し楽しみであるが、また勝手にやると美咲に怒られるので今は保留している。
妹も今の戦闘で打ち解けて、気軽に会話に参加している。
元々あまり人見知りでは無いのだろう。
戦闘について話が盛り上がってきた所で、健斗は先ほど思った事を切々と語り出した。
しかしみんなからの回答は、健斗が感じている事からは大きく乖離していた事に驚いた。
『健斗さんって、その血まみれの服を見たらわかるけど、さっき死にかけてたよね?』
「うんうん、死にかけてもっともっと強くなりたいって話なら理解できるけど」
『うちみたいなガキが言うのもどうかと思うけど、健斗さんって重い厨2病を患ってるの?」
「え~っと、どうゆう事なんやろか?ちょっと言われてる意味がわからんねんけど」
『んじゃ~聞くけど、さっきのうちらの戦い見てて、しょっぼ~ って思ってたん?』
『必死で熊さん倒そうと頑張ってた姿見て、ダッサ~ って思ってたん?』
『だよな~ あんたの言ってる事ってそうゆぅ事やんな』
「そ、そんなん思う訳ないやん?」
「でもトロイなぁ~とかさっさと殺れよとか思って見てたんやろ?」
『倒すのにいつまで掛かっとんやーって感じかな?』
「ち、違うって、そんなんまったく思ってないって」
今まで黙って聞いていた姉の方がポソッっとつぶやいた。
「結局、俺Tueeeがしたいだけの中2やん」
『だよなぁ、"俺の強さは世界一~"ってのがモットーなんやろうな』
「そ、そんな事、思ってない、と思うけど・・・」
「そういや、剣士なのに剣のスキルが何もないって言ってたけど」
「それって、"俺つえぇぇぇ"のスキルしか使って来てないから発生してないって事やろ?」
『ガキンチョに言われて腹立つかも知れんけど、イチビりって事やんな?』
「おっさんのイチビりってそっちの方がダサいわ」
あまり喋らないくせに、人に悪口をいう時にはノリノリで話す姉であった。
「なぁ俺っておかしいんかな?」
『別におかしかないよ?イチビってる中二病のおっさんてだけやん(笑)』
『「「あはははははは」」』
『大人になれよぉ~ あはははは~』
13歳の子に言われる31歳のイチビるおっさんが一人佇む。
それを見て、突っ込み入れまくって、腹を抱えて笑い楽しむ女性達。
『まぁ一回戻るか?』
「まだ奥に2匹反応があるんやけど、姉ちゃんの方、もうすぐレベル上がるやろ?」
「殺ってしまおうか?」
「ボス級ちゃうんやったら、サクッと殺っちゃおうか」
『その前にさぁ この子らにも風纏を教えたったらもっと戦いやすぅなるんちゃう?』
「その前に健斗さんに剣術教えたれよ~(笑)」
『あはははは。でもうちが覚えたんは二刀流やからあかんなぁ』
「お母ちゃんは長剣斬鉄やし、私は惨倒剣やし あはは」
『ちゃんと毎日剣振っとけよ~、そしたら剣術くらい覚えるやろ!わっはっはー』
まだまだ健斗いじりが止まらない女性陣だった。
風纏を唱え2人を持ち上げると、母や剣女よりもかなり軽かった。
「軽っ」
思わず二人の方を見てしまい、その事を察した剣女に空中で蹴られる。
女性から虐待を受けるのが健斗の趣味のようだ。
2人を抱え、空中に浮き上がる健斗。
姉は普通の柔らかい体型だが、妹は抱いた感じではかなり筋肉質だった。
「咲空ちゃんは何かスポーツやってたんか?」
『主はバスケで、後は軟式テニスやな~』
『一応バスケは1年でレギュラーなんはうちだけやで~』
「ほぉ~凄いなぁ」
「俺も3オン3やけど、ずっとやってたんやで」
『ほんでバッシュ履いとんやな』
『一回勝負したってもえぇで~』
「小娘が~ 俺に勝てるとでも思っとんかぁ~」
『イチビリのおっちゃんに負ける気なんかこれっぽっちも無いわ~ にゃはははっ』
本殿奥の小森に入るとその2体の熊は立ち上がりこちらを見て唸っていた。
かなり小型の熊だ。
鑑定で見てみると、チーキーベアの1歳児だった。
片方の子熊が両腕を上げて威嚇する。
もう片方はグォォォォォォ~っと唸る。
「チーキーベアの子供みたいやなー」
「子供と言っても強そうやなぁ」
「ステータスは高い方やな。レベルも8やしあの悩まされた咆哮持ってるし」
流石の健斗も、これだけ咆哮を使われると耐性を覚えた。
少し前までなら、レベル8のこの手の魔獣には危険な戦いが予想されたが、今の姉を除く3人には楽勝の相手だろう。
姉はレベルこそ子熊より高いが、スキルが風纏しかない状態では勝てないだろう。
子熊と言っても、165㎝はある妹と同じくらいの大きさなので、通常時にこんな奴に遭遇したら逃げ腰になるだろう。
だが、こいつらの倍くらいあるサーシィベアを倒したばかりの3人にはとても頼りなく見える。
姉がポソっとつぶやいた。
「こんな子、ペットに出来たら可愛いなぁ」
「・・・」
「出来るよ・・・」
『『「「え~???」」』』
健斗は久々にドヤ顔が出来た。
絶対的な即死攻撃スキルだと思っていたウォータージャベリンが、熊のボスには即死効果が無かったからだ。
魔風剣は威力はあるが、そのサイズが大きすぎて常時は使えない。
圧縮すれば攻撃力も跳ね上がるが、デュレイが長すぎて実用的ではない。
これからドンドン敵も強くなっていくだろう。
こんな小ボスでここまで手古摺るとは思っていなかった。
絶対的に信頼していたスキルが、実は敵が弱すぎたから即死攻撃出来ていた事に気づかされた。
今まで攻撃に困った事は一度も無かった。
トロール戦の時は美咲との連携があったから圧縮魔風剣を使えた。
だが、このような状況やソロの時に決定打に掛けるのは致命的だ。
グオォォォォォォォ~
大きな熊の大声の咆哮が耳に突き刺さる。
だが、健斗以外は威圧耐性や精神異常耐性を覚えたので、行動阻害はされない。
『オォ~リャ~』
『オリャ~』
「ドリャ~」
硬直し呆ける健斗を余所に、3人の女性たちは大熊にトドメを刺す段階まで来ていた。
妹少女は、目に突き刺さった刀を抜き、両手持ちで猛威を振るう。
長い大きな腕を振り回し、剣士たちを振り払おうと必死に暴れるサーシィベア。
『オリャ~』『オリャ~』「オリャーーー」
女性陣の方が素早さが段違いで高いからか、熊の攻撃は全く当たらない。
ザシュッ
母の長刀が熊の左腕を切り落とした。
二刀流の妹の剣が、開いていた左目を深く切り込み視界を断ち切った。
剣女の刃先が熊の毛皮を切り刻む。
そして肉も切り割き強いダメージを与え、HPを急激に削っていく。
『今や~ トドメ刺すで~』
ドスン、ザシュッ、シュパーン
3人の剣圧に屈したサーシィベアは、その巨体をゆっくりと地面に近づけた。
ドゥ~ン
熊の巨体は地面にひれ伏し、そしてもう動くことは無かった。
『『「おっしゃ~っ」』』
『やったぜ~』
『やったね~』
自分たちの力だけで大熊を倒したことに歓喜し、代わるがわるハイタッチをして喜びを分かち合った。
硬直が解けた健斗も、その輪に入ろうとトコトコと歩み寄っていく。
すでに終わっていた・・・
回廊に戻り5人で輪になって座り、雑談を始める。
お昼にはまだ少し早いが、軽く食事をすることにしようと提案。
冷蔵庫から飲み物と、朝の残りで5人分のサンドウィッチを作り皆に振る舞う。
いつの間にか、調理と料理のスキルが増えていた。
こうなれば、解体系のスキルも覚えたいところだ。
空間スキルのルームも、スキルポイントが貯まってきたので増築や新築と出来る事が増えて少し楽しみであるが、また勝手にやると美咲に怒られるので今は保留している。
妹も今の戦闘で打ち解けて、気軽に会話に参加している。
元々あまり人見知りでは無いのだろう。
戦闘について話が盛り上がってきた所で、健斗は先ほど思った事を切々と語り出した。
しかしみんなからの回答は、健斗が感じている事からは大きく乖離していた事に驚いた。
『健斗さんって、その血まみれの服を見たらわかるけど、さっき死にかけてたよね?』
「うんうん、死にかけてもっともっと強くなりたいって話なら理解できるけど」
『うちみたいなガキが言うのもどうかと思うけど、健斗さんって重い厨2病を患ってるの?」
「え~っと、どうゆう事なんやろか?ちょっと言われてる意味がわからんねんけど」
『んじゃ~聞くけど、さっきのうちらの戦い見てて、しょっぼ~ って思ってたん?』
『必死で熊さん倒そうと頑張ってた姿見て、ダッサ~ って思ってたん?』
『だよな~ あんたの言ってる事ってそうゆぅ事やんな』
「そ、そんなん思う訳ないやん?」
「でもトロイなぁ~とかさっさと殺れよとか思って見てたんやろ?」
『倒すのにいつまで掛かっとんやーって感じかな?』
「ち、違うって、そんなんまったく思ってないって」
今まで黙って聞いていた姉の方がポソッっとつぶやいた。
「結局、俺Tueeeがしたいだけの中2やん」
『だよなぁ、"俺の強さは世界一~"ってのがモットーなんやろうな』
「そ、そんな事、思ってない、と思うけど・・・」
「そういや、剣士なのに剣のスキルが何もないって言ってたけど」
「それって、"俺つえぇぇぇ"のスキルしか使って来てないから発生してないって事やろ?」
『ガキンチョに言われて腹立つかも知れんけど、イチビりって事やんな?』
「おっさんのイチビりってそっちの方がダサいわ」
あまり喋らないくせに、人に悪口をいう時にはノリノリで話す姉であった。
「なぁ俺っておかしいんかな?」
『別におかしかないよ?イチビってる中二病のおっさんてだけやん(笑)』
『「「あはははははは」」』
『大人になれよぉ~ あはははは~』
13歳の子に言われる31歳のイチビるおっさんが一人佇む。
それを見て、突っ込み入れまくって、腹を抱えて笑い楽しむ女性達。
『まぁ一回戻るか?』
「まだ奥に2匹反応があるんやけど、姉ちゃんの方、もうすぐレベル上がるやろ?」
「殺ってしまおうか?」
「ボス級ちゃうんやったら、サクッと殺っちゃおうか」
『その前にさぁ この子らにも風纏を教えたったらもっと戦いやすぅなるんちゃう?』
「その前に健斗さんに剣術教えたれよ~(笑)」
『あはははは。でもうちが覚えたんは二刀流やからあかんなぁ』
「お母ちゃんは長剣斬鉄やし、私は惨倒剣やし あはは」
『ちゃんと毎日剣振っとけよ~、そしたら剣術くらい覚えるやろ!わっはっはー』
まだまだ健斗いじりが止まらない女性陣だった。
風纏を唱え2人を持ち上げると、母や剣女よりもかなり軽かった。
「軽っ」
思わず二人の方を見てしまい、その事を察した剣女に空中で蹴られる。
女性から虐待を受けるのが健斗の趣味のようだ。
2人を抱え、空中に浮き上がる健斗。
姉は普通の柔らかい体型だが、妹は抱いた感じではかなり筋肉質だった。
「咲空ちゃんは何かスポーツやってたんか?」
『主はバスケで、後は軟式テニスやな~』
『一応バスケは1年でレギュラーなんはうちだけやで~』
「ほぉ~凄いなぁ」
「俺も3オン3やけど、ずっとやってたんやで」
『ほんでバッシュ履いとんやな』
『一回勝負したってもえぇで~』
「小娘が~ 俺に勝てるとでも思っとんかぁ~」
『イチビリのおっちゃんに負ける気なんかこれっぽっちも無いわ~ にゃはははっ』
本殿奥の小森に入るとその2体の熊は立ち上がりこちらを見て唸っていた。
かなり小型の熊だ。
鑑定で見てみると、チーキーベアの1歳児だった。
片方の子熊が両腕を上げて威嚇する。
もう片方はグォォォォォォ~っと唸る。
「チーキーベアの子供みたいやなー」
「子供と言っても強そうやなぁ」
「ステータスは高い方やな。レベルも8やしあの悩まされた咆哮持ってるし」
流石の健斗も、これだけ咆哮を使われると耐性を覚えた。
少し前までなら、レベル8のこの手の魔獣には危険な戦いが予想されたが、今の姉を除く3人には楽勝の相手だろう。
姉はレベルこそ子熊より高いが、スキルが風纏しかない状態では勝てないだろう。
子熊と言っても、165㎝はある妹と同じくらいの大きさなので、通常時にこんな奴に遭遇したら逃げ腰になるだろう。
だが、こいつらの倍くらいあるサーシィベアを倒したばかりの3人にはとても頼りなく見える。
姉がポソっとつぶやいた。
「こんな子、ペットに出来たら可愛いなぁ」
「・・・」
「出来るよ・・・」
『『「「え~???」」』』
健斗は久々にドヤ顔が出来た。
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