厄災の街 神戸

Ryu-zu

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第三章 健斗と美咲と新たな出会い

指導者の目覚め

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健斗は魔法職の子たちの元に歩いていく。

「お疲れ様~」

 『『『ご苦労様でした~』』』

 『しかし、言うだけの事はあったな~』
  『風魔法の威力は凄いもんですねー』

「経験値減ったけど、ごめんな」
 
 『なにゆぅとん、倒せなかったら経験値もあらへんかってんから』
  『そうそう、うちらだけじゃちょっと危なかったしな』

「ま~そう言ってくれると助かるよ」

「お礼と言っちゃ~なんやけど」
「あの弓の子達みたいに浮いてみ~へんか?」

まー食いつくだろうと思って提案してみた。

 『お、お願いしま~す』
  『『う、うちらも教えて欲しいです!』』

よしよし、食いついてきた。これで師匠と呼ばれるかな?

健斗はそんな打算的な心で指導を始める。


「まず、俺に抱かれて浮かないと覚えられないんやけど、それはOK?」
 『『『問題な~し』』』

チラリと美咲の方を見てみたが、弓の子達に何かを一生懸命教えていた。
こっちの様子なんて気にもしていないようだ。

健斗は格闘家の子と魔武闘の子の腰を抱えて飛ぼうとした。


 『う、うちは後回し?絶対に教えてくれるよね?』
「それじゃ~背中に乗る?」
 『りょ、了解~』

3人を抱え風纏で包み込み浮き上がる。

 『うわっ!』『すご~い』『た、高い』

そこまで高く上がらなくても良かったんだが、なんとなく調子に乗ってしまった健斗。

 『お、落ちたら死ぬよなぁ・・・』

魔法職のその言葉で3人はしっかりと健斗にしがみつく。
少し照れくさくなった健斗は饒舌に喋り出す。

「なぁ、今の君たちに足りない物は何かわかる?」

 『レベル?』
「それもやけど、ちゃうな~」

 『スキル?』
「それも大事やけど、ちょっとちゃうなー」

 『根性?』
「あはははははは」

 『『『あっ』』』

健斗が照れ隠しに喋っている間に、3人がスキルを覚えた。

3人共それぞれ少しづつ違う薄い青系統の色を纏い、歓喜の声を上げる。




その様子を、いまだゴミ集積場でへたり込んでいる4人が、強い敵意を向けて見つめる。

 『あいつら・・・・』
『またかっ!』
 『うちらの仲間を次々に取り込みやがって!』




  『個人でそれぞれ色が違うんやな』
「だね、その人のオーラみたいなもんかなーって思ってる」
「けど、俺の分化なら青系だし、あいつの分化なら黄緑系って引継ぎもあるみたい」
「一人だけ、あいつと俺のが混じって紫系になった子がおったけどな」

一通りコントロールのやり方を説明する。

近接職の二人はあまり時間が掛からずに覚えたが、魔法職は少し時間が掛かった。

「後は常時発動させてボチボチと熟練度を上げていってな」

「で、何が足りないかって話の続きね」
「魔武闘の子、分かる?」
  『な、なんで私の職業知ってんの?』

「ん?鑑定スキル持ってるからやけど?」
 『『『あぁ』』』

 『強い人は大体そんなスキルまで持っとうねんなぁ』
「たまたまやで」


「わからんみたいやから、ヒント言うな」

「今回みたいな蹂躙出来ない敵に遭遇した時に絶対に必要なもん」
 『もしかして回復スキル?』

「大正解!」
「実はな、俺らも回復魔法が無いから、もしも手に負えない奴が出てきたらって感じてる」
「それで、今、怪我しとう子がおるから、その子使って回復スキル覚える実験したいんや」

 『それってうちの事?』
「うん、痴漢みたいに触るけど、えぇかな?」

 『どこを?どうやって?』
「一旦、下に降りよか? ぐふふふ」
 『なんか、いやぁぁぁぁ』



駅出口の西側の、スロープの横の数段の階段に座って説明する健斗。

「魔法屋の子の足を4人で両てのひらで包み込んで、心の中で「治れ治れ」としつこいくらいに唱えてみましょう」
「出来れば今の状態を見ながら治った後の状態をイメージすれば尚良いかも知れません」

「実際にまだ治癒魔法を習得してないので、こうやれば出来るんじゃないかと思ってる感じです」

「それでは始めてみましょう」


「足、触るね?」
 『はいっどうぞ』

「・・・・」
 『・・・・・・』
 『・・・・・・』
 『・・・・・・』

(ヒュン)

「おっし!」
 『『『よっしゃ~』』』

2人が治癒魔法の【ヒール】と言うスキルを覚えた。
健斗と魔法職の子は回復魔法の【キュアレ】と【リカバリー】と言うスキルを覚えた。

「覚えるなら治癒のヒールなんだろうと思ってたけど、回復魔法って種類もあるんやね」

「ためしに俺の回復魔法を試させてくれへん?」
 『えぇよ』

「キュアレ!」

魔法屋の傷はみるみるうちに回復していった。

「ヒールと同じかな?」
「もう一回怪我してくれへん?」

 『あ、アホな事いうなよー』
「だよなぁ(笑)」

「それと、君の【リカバリー】ってスキルは、いくつかの状態異常にも効果あるみたいやで」
 『お~うちが活躍できる~♪』
  『うちらのリーダーらが怪我しとうから、あっち行かへん?』

「ん~ あんたらの大将、ずっと俺らに敵意を向けとうからな~」
 『『『そうなん?なんでやろ』』』


「その前にさ~ 近接の二人、ちょっといいかな?」
  『ん?痴漢すんの?』
 『教えた見返りに裸を見せろとか言うんやろ?』

「あはははは したいけど、今は辞めとくわ」
「切り返しってスキルとダッシュってスキル覚えたら幅広く戦えると思うぞ」

「切り返しは、うちのあの子も空中で使ってたけど、まずは地面で覚えたらいい」
   『どうやって?』

「こう、反復横跳びに素早さを重視した感じと着地ですぐ蹴る感じが大事かな」

2人は健斗と同じように左右に急激な横跳びをやってみる。

実は健斗はそんなスキルを覚えてる訳では無かった。
自分もやってるうちに覚えるんじゃないかと目論んでいた。

 (ヒュン)

(お、やったな自分も俊動ってスキルを覚えた)

後ろの方で魔法屋が叫ぶ。
 『おほほ~い!うちも切り返しと駿動と二つも覚えた~』

「物覚えの良い子だなぁ」
 (二つも覚えんなよ~)

「君らは何を覚えたの?」

  『うちは切り返しと蹴闘術って新しい戦闘スキル覚えました♪』
  『私は駿動と風魔法-[風圧]ってのを覚えました』
「みんな優秀だね~ 一つの行動で二つもスキルを覚えるなんて」
 (く、くやしくないくやしくないよー)

「あとは跳躍を覚えよう」

「まず、出来るだけ高くジャンプするだけね」

健斗は跳躍スキルは覚えているので、何も変わらないだろう。

3人共10回ほど強く地面を蹴っていたら超跳躍か跳躍を覚えた。

「それの応用で地面に平行に飛ぶ練習したらダッシュとか縮地みたいなスキルを覚えるはず」

魔武闘の子を呼んで少し話す。残りの二人はダッシュの練習をしている。

「風魔法覚えたって言ってたよね」
 『うん、風圧って風を飛ばすスキル』
「使ってみて、俺に」
 『いいの?結構強そうやけど?』

「どーんとこいっ」

 『風圧ーウィンドプレッシャー

両手で風を押しだすように健斗に向けて両手を動かす。

ブォ~ン

健斗は20mほど飛ばされて、風纏を発動して急ブレーキを掛けて止まった。
ふわふわと元の場所に戻り

「すごい威力だね~」
「色々と使える選択肢の多いスキルだ」
 『えへへへ』
 『かめはめ波撃てるんちゃうかなーって思っとう』
「ははは、あれは気功の部類だと思うけど、もっと圧縮すればいけそうやな」

魔武闘家は褒められて少し良い気分に浸れた。

「それじゃ、今からもう一つ使える風魔法を教えるね」

 『なんでそんなに私らに優しくしてくれるの?』
 『女ばかりのパーティーやから、何か見返り狙い?』

「ははは 今は打算は無いよ」
「戦える人が増えてくれないとこの先どうなる事やらって事なんよ」

「自分らは今時点では強い方だろうけど。まだまだ上には上が居るだろうし」
「それと、敵はモンスターだけじゃないからその辺も気に留めておかないと駄目だよ」

「そういった色々な事を考えていたら、自分らだけが強くなっても駄目だって思ってね」

「まだそんなに遠い先は見据えられないけど、近い未来は考えが至るでしょ?」
「それが戦える人を増やす事」

 『わかりました』
 『『うちらも理解出来ました。そしてその考えに賛同します』』

「それじゃー風魔法の風刃を教えるね」
「魔武闘の子以外は先に風魔法覚えないと無理かも知れないけど」
「氷魔法の子は大きい威力じゃなくて、もっと小さくても良いから、数が撃てるスキルを覚えると戦略も広がると思うよ」

「全員腰に剣を差してるよね。それを抜いて何も無い所に素振りをしてみて」
「こんな風に風の刃が飛ぶようになるはず」

健斗は剣での風刃を見せた。
そして剣を納めて、指での風刃も披露してみた。

ほぉ~と言うため息からすぐに行動に移す3人。



魔武闘の子が真っ先に風刃を飛ばし、続いて魔法屋が自分の属性である氷の刃を飛ばした。

 『うひょ~ これは凄い~』
大喜びの魔法屋であった。

少し遅れて格闘家の子が水の刃を飛ばした。
この子は適正属性が水だったんだろう。
本人も魔法の適性は無いか低いと思っていたから、攻撃魔法を使えた事に大喜びする。



ちょっと偉そうに健斗が3人に向かって叫ぶ。


「俺たちの可能性は無限大なんだよ」


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