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第二章 サイコパス覚醒
サイコパス思考停止
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衣摩が昔話を終えた頃、近くで戦う人影が4つ。
衣摩の話を余所に、風馬はゴブリン退治に性を出していた。
オニヤンマを振り回し、ゴブリン共を屠っていく。
数が少なくなると、体術で倒していく。
反対側では、ゴブリンを2体テイムした麗華が、自分と2体のレベリングに励んでいる。
前回育てたゴブリンは衣摩に殺されたから、今度は簡単に死なないゴブリンを育てたいと思っている。
ほぼほぼゴブリンしか居ない中、見た事も無い聞いたことも無い魔獣がのっそりと現れた。
その容姿は、かなり大きめのセントバーナードの身体に太い足と太い首で、頭部はライオンの鬣のような長毛が頭や顔全体に伸びている。どこに目があるのかわからない。
そして口はかなり下を向いていて、その形はまるでワニの口を短くした様で皮では無く、毛に覆われていた。
風馬が大声で気を付けろと麗華に促したその声を全員が聞き、そしてその大型獣に注目した。
少し距離があったので、絵里は背後の死角から氷の魔法を唱えた。
「雹弾!」
氷の礫がその大型獣に突き刺さる。
ふらついた所へ、麗華が右足で回し蹴りを魔獣の頭部に決める。
返す足で顎辺りに後ろ回し蹴りをぶち込む。
正面を向くと軽くジャンプして、両手を握り、その拳を脳天に打ち込む。
脳震盪を起こしたその魔獣はゆっくりと倒れて行った。
鑑定で見てみると
イーウー(14)
Lv8
種族 【イーウー】 選択
職業 【--】 選択
称号 【--】
基本能力一覧
GMR/MSP
HP 380/47
MP 67/67
STR 108
DEF 82
AGI 166
DEX 46
INT 18
SP/89
基本技能一覧
疾走 超跳躍 風の爪
663/585
何か、中国の新種の動物の様な名前だが、それ以外は分からない。
麗華はその魔獣に近寄っていき、なんとなく毛に触る。
サラサラと触り心地の良い毛並みであった。
頭部から顔面の毛は特に気持ちが良かった。
触り心地が良すぎて、必要以上に撫でまわる。
(ヒュン)
ピクリとも動かない魔獣を見て、皆が近寄ってきた。
「こんな奴、見た事も無いなー」
「うちでもこんなん知らんわ」
「風馬、経験値貰っとき」
『姐さん、ちょっと待ってー』
『白雪麗華の名に措いて命ずる 我が騎獣となり我を運べ!』
『ライド!』
淡い光が麗華の手のひらから零れ落ち、魔獣の身体を包む。
「おっ?ゴブリン以外もテイム出来るようになったんか?」
『ううん、騎獣使役 ってスキルさっき覚えたんやー』
『でも、こいつ死にかけで、もうあかんかもな~』
麗華は氷の礫で穴が開いた身体をさする。
5か所くらい血が流れ出ているので、そこを優しく撫でていた。
(ヒュン)
『あ~』
「どした~?死んだか~?」
『ヒール!!!』
『ヒール』
『ヒール』
「おいっ麗華! お前は~ 回復魔法も覚えたんかぃ!」
その魔獣はゆっくりと起き上がり、自分の置かれている立場を再認識していた。
そして麗華に擦り寄り、言葉を発する。
((我が主よ!わが命、救済せし事、感謝致す))
『『「「「おぉぉぉぉ~ 喋った~」」」』』
スックと立ち上がると、麗華の身長よりもやや高く、背中は大人3人くらいは座れそうな感じだ。
『イーウー、オイラと同じ歳なんやの~』
『乗ってもえぇか~?』
麗華がそう言うと、魔獣はしゃがみ込み麗華が乗りやすい体制を取る。
麗華を乗せて走り出すと、魔獣の身体には大気が絡みつき、そこだけ違う空間のように、まるで大気を纏った空気の固まりが疾走しているように見えた。
あっという間に見えなくなった魔獣達だが、すぐにこちらに向かって疾走してくるのが見えた。
『はっや~ ビックらこくほどすんごい速さやわ~』
麗華は興奮冷めやらぬ様子で語る。
衣摩も絵里もその魔獣の背中や顔を撫でる。
「ほんま、シルクのような触り心地やな~」
「うんうん、なんか気持ちいい」
『麗華よ、やっぱり名前は付けたらんとな―』
『名前か~』
『うちの乗りもんやからな~』
『嫌やったら、また考えるからな?』
『白雪麗華の名に措いて命ずる 汝の名は タク 』
一瞬、魔獣の身体がホワっと光ったように見えた。
((主よ、良き名を感謝致す))
タク(14)
Lv8
種族 【イーウー】 選択
職業 【騎獣飛脚】 選択
称号 【風の使い】
状態 【使役-白雪麗華】
基本能力一覧
GMR/MSP
HP 380/366
MP 67/67
STR 108
DEF 82
AGI 166(+20)
DEX 46
INT 18
SP/89
基本技能一覧
疾走 超跳躍 風の爪 気纏
言語理解 言語操作
663/585
「職業や称号も付いたんやな?」
「スキルも増えとるし」
「んじゃ~誘導は一回切って、大阪に向かおうか」
その辺に居る残りの魔物は、風馬に一掃させる。
「んじゃ~風馬と衣摩は中に入って移動しよっか」
「うちと絵里は疾走や俊足あるから、ある程度タクに付いて行けるやろ」
「うちもタクちゃんに乗って行きたいな~」
『二人位なら平気だって言っとるわ~』
「こいつは、ほんまに緊張感のないやっちゃなー」
衣摩の発言に華那子は少しイラっとしたが、それなら絵里が中に残る、と言い出した。
『絵里よー お嬢を一人で走らすんかい』
『俺は一人で大丈夫やから、一緒に走ったってくれ』
「あいよ、わかった」
風馬と2体のゴブリンがテリトリーの中へと入って行った。
いざ走り出すと、タクの速さは別格だった。
あっという間に数十メートルも引き離された。
「くっそ~ もっと 早く 走れる はずや~」
「ほんま あんたは 負けず 嫌い やのぉ~」
華那子と絵里二人はほぼ同じくらいの速度で走れていた。
(ヒュン)
「おっ?おっ? おおおおおおおおおおおおお!!!」
超高速で飛びながら走っていると、絵里が【飛空】と言う飛行系のスキルを覚えた。
「おっさき~」
華那子を置いて絵里が早い速度で飛んでいく。
「しばくぞ~」
華那子は今まで以上に速力を上げるように足を回転させた。
(ヒュン)
華那子は疾走の上位で【疾駆】と言うスキルを覚えた。
ますます走る速度が上がった。
「くっそ~ そんな スキルと ちゃうんや~」
しばし超高速で走っていると、足の回転より飛びながら走った方が早い事に気づく。
(ヒュン)
「おおおおおおおおおお!!!」
華那子は疾走の上位で【疾風】と言う飛行系スキルを覚えた。
「あんのダボクレー!追いついたるわ~!!」
タクの真上を飛んでいた絵里に追いつき、頭部に肘鉄を食らわせた。
「ほっていきやがって~」
「どっかで待っとこうって、今話してたとこやん」
「痛ったいな~」
「何?飛空?」
「いや、疾風」
「おんなじ様なスキルやのに、やっぱ名前がちゃうんやなぁ~」
「え~なぁ~ 空飛べて~」
衣摩が何か言ってるが、二人はスルーした。
麗華がこっちを向いて何か言ってるので近づいてみると、華那子と絵里はタクの大気の空間の中に取り込まれた。
浮いてるだけで、タクが動けば同じように付いて行く。
「これはおもろいな」
「どんどん人外への道を歩んどんなー」
『なぁ姐さん、おいらも浮遊を極めたらそんな風に飛べるんかな?』
「麗華、今浮遊使ってみ」
「怖いなら最初はタクのタテガミを持っといたらえぇ」
「タク、えぇよな?」
((是非も無し))
「武士か?おまえは(笑)」
麗華は言われるがままにタクの毛を掴んで浮遊を使う。
タクの空間の中に居る限りは座ってても浮いててもタクと同じ速度で移動する。
毛を握っていた手を離すと、タクと同じ速度で浮きながら飛行している格好になった。
「タクー一旦止まってくれへんか」
((了承した))
「絵里―、中から風馬呼んできて」
「麗華と衣摩はタクの気纏の中で浮遊しといてな」
「風馬連れてきたで~」
「んじゃ~飛行訓練開始やー」
華那子の指示で絵里と二人で風馬の両手をそれぞれ持ち、そして空中へ飛び上がる。
『おいおい、お嬢、これは一体何が起こってるんや?』
『二人共、いつの間に飛べるようになったんや』
「こうやって模擬飛行しとったらスキル覚えるかもって実験や」
だが、華那子も絵里も風馬もスピードが上がると、顔が風圧で歪むし痛い。
仕方ないので、タクの気纏空間に逃げ込もうとした時。
(ヒュン)
(ヒュン)
『おっ二つもスキルを覚えたぞ』
雨ヶ崎風馬(58)
Lv8
種族 【新人類】 選択
職業 【旋槍師】 選択
称号 【同族殺し】【殺人鬼】【惨殺者】
状態 【使役-琴南華那子】
基本能力一覧
GMR/USU
HP 563/563
MP 138/138
STR 192/120(+22)[+50]
DEF 102
AGI 201/125(+26)[+50]
DEX 82
INT 30
SP/2
基本技能一覧
天変の槍 空翔 風纏
鑑定 槍術 拳闘術 蹴足術 暗視
耐性一覧
毒耐性
729/558
『風纏』
華那子と絵里を巻き込んで、薄い赤と透明の風が身体にまとわりつく。
『飛行系のスキルをありがとなー』
『今度は俺が返す番やな』
暫く3人で腕を組み飛んでいると、華那子と絵里も風纏を覚えた。
「なんか一気に強ぉ~なった気がするなぁ」
「誰にも負けんくらいに強くならんとな~」
3人は離れて飛んでみた。
華那子の風纏は薄いピンク色で、絵里のそれは風馬より少し黄み掛かった赤色だった。
一方その頃
「座ってんのも楽やけど、これもらっくやな~」
(ヒュン)
『浮遊のスキルが進化しよった!」
白雪麗華(14)
Lv9
種族 【新人類】 選択
職業 【ゴブリンテイマー】 選択
称号 【魔物使い】
状態 【使役-琴南華那子】
基本能力一覧
GMR/USU
HP 338/338
MP 172/172
STR 75[+58]
DEF 80[+50]
AGI 139(+16)
DEX 145(+20)
INT 42
SP/0
基本技能一覧
ゴブリン使役 騎獣使役
鑑定 誘導 浮遊駆 格闘術 夜目
治癒魔法-[ヒール]
1000/989
『浮遊が浮遊駆になったぞー』
「うちは武器の恩恵やから進化とかせぇへんなぁ~」
『武器の熟練度か?上がったら進化するんちゃうけー』
「気長に待つか・・・」
深江の出口辺りを過ぎて芦屋川に差し掛かったところでタクが止まる。
華那子たちも高速道路上に降り立ち正面を見据える。
「な、なんじゃこりゃ?」
「大きすぎてここまで来なけりゃわからんかったな」
『六甲山から神戸港まで続いとんな―』
しばし立ちすくみ、皆の思考が停止した。
そこには半透明で神戸を分かつ大きな壁が立ちふさがっていた。
衣摩の話を余所に、風馬はゴブリン退治に性を出していた。
オニヤンマを振り回し、ゴブリン共を屠っていく。
数が少なくなると、体術で倒していく。
反対側では、ゴブリンを2体テイムした麗華が、自分と2体のレベリングに励んでいる。
前回育てたゴブリンは衣摩に殺されたから、今度は簡単に死なないゴブリンを育てたいと思っている。
ほぼほぼゴブリンしか居ない中、見た事も無い聞いたことも無い魔獣がのっそりと現れた。
その容姿は、かなり大きめのセントバーナードの身体に太い足と太い首で、頭部はライオンの鬣のような長毛が頭や顔全体に伸びている。どこに目があるのかわからない。
そして口はかなり下を向いていて、その形はまるでワニの口を短くした様で皮では無く、毛に覆われていた。
風馬が大声で気を付けろと麗華に促したその声を全員が聞き、そしてその大型獣に注目した。
少し距離があったので、絵里は背後の死角から氷の魔法を唱えた。
「雹弾!」
氷の礫がその大型獣に突き刺さる。
ふらついた所へ、麗華が右足で回し蹴りを魔獣の頭部に決める。
返す足で顎辺りに後ろ回し蹴りをぶち込む。
正面を向くと軽くジャンプして、両手を握り、その拳を脳天に打ち込む。
脳震盪を起こしたその魔獣はゆっくりと倒れて行った。
鑑定で見てみると
イーウー(14)
Lv8
種族 【イーウー】 選択
職業 【--】 選択
称号 【--】
基本能力一覧
GMR/MSP
HP 380/47
MP 67/67
STR 108
DEF 82
AGI 166
DEX 46
INT 18
SP/89
基本技能一覧
疾走 超跳躍 風の爪
663/585
何か、中国の新種の動物の様な名前だが、それ以外は分からない。
麗華はその魔獣に近寄っていき、なんとなく毛に触る。
サラサラと触り心地の良い毛並みであった。
頭部から顔面の毛は特に気持ちが良かった。
触り心地が良すぎて、必要以上に撫でまわる。
(ヒュン)
ピクリとも動かない魔獣を見て、皆が近寄ってきた。
「こんな奴、見た事も無いなー」
「うちでもこんなん知らんわ」
「風馬、経験値貰っとき」
『姐さん、ちょっと待ってー』
『白雪麗華の名に措いて命ずる 我が騎獣となり我を運べ!』
『ライド!』
淡い光が麗華の手のひらから零れ落ち、魔獣の身体を包む。
「おっ?ゴブリン以外もテイム出来るようになったんか?」
『ううん、騎獣使役 ってスキルさっき覚えたんやー』
『でも、こいつ死にかけで、もうあかんかもな~』
麗華は氷の礫で穴が開いた身体をさする。
5か所くらい血が流れ出ているので、そこを優しく撫でていた。
(ヒュン)
『あ~』
「どした~?死んだか~?」
『ヒール!!!』
『ヒール』
『ヒール』
「おいっ麗華! お前は~ 回復魔法も覚えたんかぃ!」
その魔獣はゆっくりと起き上がり、自分の置かれている立場を再認識していた。
そして麗華に擦り寄り、言葉を発する。
((我が主よ!わが命、救済せし事、感謝致す))
『『「「「おぉぉぉぉ~ 喋った~」」」』』
スックと立ち上がると、麗華の身長よりもやや高く、背中は大人3人くらいは座れそうな感じだ。
『イーウー、オイラと同じ歳なんやの~』
『乗ってもえぇか~?』
麗華がそう言うと、魔獣はしゃがみ込み麗華が乗りやすい体制を取る。
麗華を乗せて走り出すと、魔獣の身体には大気が絡みつき、そこだけ違う空間のように、まるで大気を纏った空気の固まりが疾走しているように見えた。
あっという間に見えなくなった魔獣達だが、すぐにこちらに向かって疾走してくるのが見えた。
『はっや~ ビックらこくほどすんごい速さやわ~』
麗華は興奮冷めやらぬ様子で語る。
衣摩も絵里もその魔獣の背中や顔を撫でる。
「ほんま、シルクのような触り心地やな~」
「うんうん、なんか気持ちいい」
『麗華よ、やっぱり名前は付けたらんとな―』
『名前か~』
『うちの乗りもんやからな~』
『嫌やったら、また考えるからな?』
『白雪麗華の名に措いて命ずる 汝の名は タク 』
一瞬、魔獣の身体がホワっと光ったように見えた。
((主よ、良き名を感謝致す))
タク(14)
Lv8
種族 【イーウー】 選択
職業 【騎獣飛脚】 選択
称号 【風の使い】
状態 【使役-白雪麗華】
基本能力一覧
GMR/MSP
HP 380/366
MP 67/67
STR 108
DEF 82
AGI 166(+20)
DEX 46
INT 18
SP/89
基本技能一覧
疾走 超跳躍 風の爪 気纏
言語理解 言語操作
663/585
「職業や称号も付いたんやな?」
「スキルも増えとるし」
「んじゃ~誘導は一回切って、大阪に向かおうか」
その辺に居る残りの魔物は、風馬に一掃させる。
「んじゃ~風馬と衣摩は中に入って移動しよっか」
「うちと絵里は疾走や俊足あるから、ある程度タクに付いて行けるやろ」
「うちもタクちゃんに乗って行きたいな~」
『二人位なら平気だって言っとるわ~』
「こいつは、ほんまに緊張感のないやっちゃなー」
衣摩の発言に華那子は少しイラっとしたが、それなら絵里が中に残る、と言い出した。
『絵里よー お嬢を一人で走らすんかい』
『俺は一人で大丈夫やから、一緒に走ったってくれ』
「あいよ、わかった」
風馬と2体のゴブリンがテリトリーの中へと入って行った。
いざ走り出すと、タクの速さは別格だった。
あっという間に数十メートルも引き離された。
「くっそ~ もっと 早く 走れる はずや~」
「ほんま あんたは 負けず 嫌い やのぉ~」
華那子と絵里二人はほぼ同じくらいの速度で走れていた。
(ヒュン)
「おっ?おっ? おおおおおおおおおおおおお!!!」
超高速で飛びながら走っていると、絵里が【飛空】と言う飛行系のスキルを覚えた。
「おっさき~」
華那子を置いて絵里が早い速度で飛んでいく。
「しばくぞ~」
華那子は今まで以上に速力を上げるように足を回転させた。
(ヒュン)
華那子は疾走の上位で【疾駆】と言うスキルを覚えた。
ますます走る速度が上がった。
「くっそ~ そんな スキルと ちゃうんや~」
しばし超高速で走っていると、足の回転より飛びながら走った方が早い事に気づく。
(ヒュン)
「おおおおおおおおおお!!!」
華那子は疾走の上位で【疾風】と言う飛行系スキルを覚えた。
「あんのダボクレー!追いついたるわ~!!」
タクの真上を飛んでいた絵里に追いつき、頭部に肘鉄を食らわせた。
「ほっていきやがって~」
「どっかで待っとこうって、今話してたとこやん」
「痛ったいな~」
「何?飛空?」
「いや、疾風」
「おんなじ様なスキルやのに、やっぱ名前がちゃうんやなぁ~」
「え~なぁ~ 空飛べて~」
衣摩が何か言ってるが、二人はスルーした。
麗華がこっちを向いて何か言ってるので近づいてみると、華那子と絵里はタクの大気の空間の中に取り込まれた。
浮いてるだけで、タクが動けば同じように付いて行く。
「これはおもろいな」
「どんどん人外への道を歩んどんなー」
『なぁ姐さん、おいらも浮遊を極めたらそんな風に飛べるんかな?』
「麗華、今浮遊使ってみ」
「怖いなら最初はタクのタテガミを持っといたらえぇ」
「タク、えぇよな?」
((是非も無し))
「武士か?おまえは(笑)」
麗華は言われるがままにタクの毛を掴んで浮遊を使う。
タクの空間の中に居る限りは座ってても浮いててもタクと同じ速度で移動する。
毛を握っていた手を離すと、タクと同じ速度で浮きながら飛行している格好になった。
「タクー一旦止まってくれへんか」
((了承した))
「絵里―、中から風馬呼んできて」
「麗華と衣摩はタクの気纏の中で浮遊しといてな」
「風馬連れてきたで~」
「んじゃ~飛行訓練開始やー」
華那子の指示で絵里と二人で風馬の両手をそれぞれ持ち、そして空中へ飛び上がる。
『おいおい、お嬢、これは一体何が起こってるんや?』
『二人共、いつの間に飛べるようになったんや』
「こうやって模擬飛行しとったらスキル覚えるかもって実験や」
だが、華那子も絵里も風馬もスピードが上がると、顔が風圧で歪むし痛い。
仕方ないので、タクの気纏空間に逃げ込もうとした時。
(ヒュン)
(ヒュン)
『おっ二つもスキルを覚えたぞ』
雨ヶ崎風馬(58)
Lv8
種族 【新人類】 選択
職業 【旋槍師】 選択
称号 【同族殺し】【殺人鬼】【惨殺者】
状態 【使役-琴南華那子】
基本能力一覧
GMR/USU
HP 563/563
MP 138/138
STR 192/120(+22)[+50]
DEF 102
AGI 201/125(+26)[+50]
DEX 82
INT 30
SP/2
基本技能一覧
天変の槍 空翔 風纏
鑑定 槍術 拳闘術 蹴足術 暗視
耐性一覧
毒耐性
729/558
『風纏』
華那子と絵里を巻き込んで、薄い赤と透明の風が身体にまとわりつく。
『飛行系のスキルをありがとなー』
『今度は俺が返す番やな』
暫く3人で腕を組み飛んでいると、華那子と絵里も風纏を覚えた。
「なんか一気に強ぉ~なった気がするなぁ」
「誰にも負けんくらいに強くならんとな~」
3人は離れて飛んでみた。
華那子の風纏は薄いピンク色で、絵里のそれは風馬より少し黄み掛かった赤色だった。
一方その頃
「座ってんのも楽やけど、これもらっくやな~」
(ヒュン)
『浮遊のスキルが進化しよった!」
白雪麗華(14)
Lv9
種族 【新人類】 選択
職業 【ゴブリンテイマー】 選択
称号 【魔物使い】
状態 【使役-琴南華那子】
基本能力一覧
GMR/USU
HP 338/338
MP 172/172
STR 75[+58]
DEF 80[+50]
AGI 139(+16)
DEX 145(+20)
INT 42
SP/0
基本技能一覧
ゴブリン使役 騎獣使役
鑑定 誘導 浮遊駆 格闘術 夜目
治癒魔法-[ヒール]
1000/989
『浮遊が浮遊駆になったぞー』
「うちは武器の恩恵やから進化とかせぇへんなぁ~」
『武器の熟練度か?上がったら進化するんちゃうけー』
「気長に待つか・・・」
深江の出口辺りを過ぎて芦屋川に差し掛かったところでタクが止まる。
華那子たちも高速道路上に降り立ち正面を見据える。
「な、なんじゃこりゃ?」
「大きすぎてここまで来なけりゃわからんかったな」
『六甲山から神戸港まで続いとんな―』
しばし立ちすくみ、皆の思考が停止した。
そこには半透明で神戸を分かつ大きな壁が立ちふさがっていた。
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皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
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