厄災の街 神戸

Ryu-zu

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第一章 美咲と健斗

指導者の目覚め

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ホームセンターの1階まで降りて行く。

索敵で人が数人いることを察知し、皆に告げる。


「どうする?もしかしたら戦いになるかも知れないけど」

 「とりま話してみてから考えよ」

「二人は一応だけど、後ろから来てね」
  「その後ろから襲われたら・・・」

「大丈夫でしょ?夜目効いてるよね?」
懐中電灯の光がチラチラしてるので、向こうは夜目が効いてないと思う。


美咲に相手が見えたらすぐに"覗き見"するように頼む。


ちょっと距離があるので出来るだけ近づかないで調べよう。


  「あのーすいませんが、出来たら生理用品が欲しいのですが」
 「あーうちも持っときたい」


男性じゃわからない事だったが、平気で言ってくれるのは逆に助かる。

日用品売り場の方に人は居ないから、ゆっくりと売り場を探す。


その前にこの女性二人にリュックを探してあげないと、自分らの背負ったままのリュックにはもうあまり物が入らない。


スーツケースは校庭の真ん中に置いたままだし。

美咲にリュックを持ってくると言って3人から離れる。その間に要るものを探しておいてもらう。


風纏を唱え、足音がしないように進む。
時々1回転して周りに何かが居ないか確認する。


結構ドキドキするのがなんとなく楽しい。

ちょっと感覚がおかしくなって来ているのかも知れないな。



作業服売り場の手前の筋にリュックが少し並べてある。
デザインよりも大きさと機能性を重視しよう。


良さそうなのを二つ掴むと来た通路をそのまま戻って3人のそばに行き、二人にリュックを渡し要るものを詰めていってもらう。


あとは学校に居る、レベルが付いた人たちに武器になるものを持って帰りたいな。

バール、スコップ、大金づち、牛刀、等々。

鈍器はそのままでいいけど、刃物はさやかホルダか入れ物が無いと持ち歩きに困る。



二人に必要品の物色を頼み、美咲を連れて建築材料売り場の方に風に乗っていく。

 「敵のステゲット!」
 「一人はレベル4で職業選択してない。後の3人はみんな3で職業無し」

「ん?ステータスパネル知らないのかな?」

「まあ襲われても負けることは無いだろうから話しかけるか」
 「スキルも攻撃系は持ってないし大丈夫かな」

「敵対しないといいけどな」

じゃないと美咲に人殺しをさせてしまう事になる。



静かに、ゆっくりと近づいていく。

「こんばんわー」
  な、なななにーーー
  ゥワォ~??
  だ、だ、だれじゃー

こちらに懐中電灯を向けてくる。

「驚かせてすいません」
「武器を物色しに来たら先行さんが居たのでお声を掛けさせていただきました」

   「な、なんか体の周りにおかしな渦が巻いとるから気をつけーよ」

こちらを伺いながら仲間に注意勧告をする。

この人がリーダーかな?

手に手に武器を持ちこちらを向き身構える4人。


「あぁ別に敵意は無いですよ」
  「いきなり出て来てそれを信じろと言う方がおかしいだろ」

 「あんたら殺そうと思ってたら声もかけずに襲ってるわ」
 「暗闇の中でなんも見えへんのやろ?うちらはあんたらが見えとったんやから」

「すみません、ちょっと口が悪いけど、本当は良い子なんですよ」
 「えへへ」


健斗達が話し合い?をしてるのを見て、フワフワ飛びながら上空に居た二人が健斗と美咲の後ろに着地する。

 ギャッギャァァーーー

いきなり懐中電灯の光の中に現れた二人に驚きおののく。


「あぁー自分らの仲間です。驚かせてすみません」
   「ごめんなさーい」

「欲しい物そろった?」
  「はい、大体は。あとはまた誰かと来ないとわかりませんね」

   「美咲ちゃんのも取ってきたよ」
 「ありがとね~」


のんきに話す4人を見て向こうの4人も少しだけ警戒を解く。

「ところで、皆さんはどういったお仲間で?」

  「自分らは元々この辺の住人で、今はそこの中学に避難している者です」

「そうですか、私らは六甲道の近くの2号線沿いの中学に避難してるんです」
「武器になるものを少し貰ったら出ていきますよ」

  「別に"自分らの物"じゃないからご自由に」

「じゃぁバールを3本くらいと棒ケレンを2本、あとは外の園芸コーナー見てみます」


すぐそばにあるバールと棒ケレンをリュックの端の隙間に差し込む。

先行者の方々に頭を下げて外に出ていく。


一番最後を歩き、出ていく前に振り返り4人に向かって言う。

「あのーすみませんが、ご自分のステータスって理解してますか?」
言ってる意味が分からないようで首を傾げる。


「ステータスオープンって唱えてみてくれませんか?」

 「健ちゃん、なにしとん?」
「あー先に探しといて。スコップとかも武器になるからね」



その中の一人がステータスオープンと言うと、目の前にステータスボードが浮き上がる。

  「「「「おぉぉぉぉぉ」」」」
 (やっぱり知らなんだなー)


「みなさん、レベル3以上なのですでに職業を覚えていると思います」
「それを選択することでまた強くなりますよ」

「あと、SPと言うのは自分のステータスに割り振る事が出来ます」


  「あ、ありがとうございます」

「あとは避難所に帰ってから、ゲーム好きな人や異世界もの好きな人に聞いてみてください」
「それと、避難するなら住宅地の中の中学より、魚崎浜や灘浜の人口島の方がモンスターも居ないしだだっ広いし良いですよ」

「住宅のないところにモンスターは居ないはずですから」
「それでは、頑張って生き抜いてください」

そう言って外に出ると、2台の車がヘッドライトをつけてこちらを向いている。

「あの車はお仲間さんですか?」

ステータスボードをいつまでも眺めていた3人を置いて、リーダー格の人がこちらに来て答える。
  「はい、2台に分乗してここまでなんとか来ました」


 「健ちゃーん、武器揃ったよー」
「ほいほ~い」

「それじゃ本当にこれで失礼します」

中に居た3人も外に出てきて見送る。
車の中から2人の女性が出てきてリーダー格の男に歩み寄る。

敵意や悪意が無い事を理解したリーダー格の男が頭を下げる。

  「本当に失礼いたしました」
「いえいえ、特に何かあった訳じゃないので大丈夫ですよ」

「それよりも、法が機能してないこの状況ですから、簡単に相手を信用するのは危ないと思います」
  「わかりました。心に留めておきます」


車から出てきた女性に向かって二人が言葉を投げる。
  「ごめんなさいね、アンネ用品だけもらっていくね」

そう言って、リュック以外にも買い物カゴを両手に持ち、その中にはたくさんの生理用品や化粧水や洗顔用品等を色々詰め込んでいる。


何も答えない相手の女性を一瞥して二人は空高く飛び上がる。

  「「「「「「えぇぇぇぇぇぇ~~~」」」」」」

空へ飛んで行くのを見てまたまた驚く。


「それじゃー自分たちも行きます。お元気で」
 「まったね~縁があったらあいましょぉ~」


二人は風を纏い空へと飛んでいく。

口を開けたままの6人がしばらく無言で夜空を見つめる。









 「はぁ~なんやったんやろ、あの人らは」

  「怪物を楽に倒せるようになって、ほんまつよ~なった気でおったけど、あの人ら見てたらまだまだしょぼい雑魚やって理解できたわ」

  「だよなー」

   「戦ってたら簡単に全滅させられてたな」
 「明日からもっともっと強くなれるように頑張ろか!」
  「まずはこのステータスの考察と検証やな」

  「スコップも武器になるとか言ってたから持って帰ろうか」
 「なんか色々と物知りな感じやったね」


   「烏帽子町のとこの中学って言ってたから、車で行けるくらいだね」
  「もっと色々聞いてみたい」

   「車は通れへん道が多いから、通路確保が先決やな」
 「あんな風に飛べたらすぐに行けるんやろうけど」



   「空を自由に飛びたいなー」

 「・・・・・」



  「取り合えず、帰ろか・・・・」
 



    モ~~~ン





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