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第一章 美咲と健斗
生きるためには仕方ない
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コンビニの中に入ると、商品棚はどこも空っぽだった。
外の駐車場や店内の通路には人の遺体、ゴブリンの死体もいくつか転がっている。
やっぱり進化したがそのまま殺された感じの遺体が2~3体ある。
店舗の中にはもう目ぼしいものがなかったが、バックヤードに入ってみると手つかずの商品が積み上げられていた。
缶詰、菓子、パン類、水のペットボトルなどを手分けして持ち出す。
また取りに来るため、バックヤードへの入り口を棚や机でふさいでおいた。
ごめんなさい、感謝しています。
一度学校に戻り、自分たちが連れてきた人たちに食べ物と飲み物を渡す。
彼らは西棟の3~4階部分を使わせてもらう事になった。体育館だ。
在校者は教室だけの北側の本校舎に避難している。
20ほどある教室にグループごとに分かれて避難している。
体育館のように広い場所は一括で管理がしやすいが、プライベートな空間が無いため避難民にストレスが溜まる。
これは大震災で培った大切な経験からくる配慮だ。
もう宵闇がそこまで迫っている時間帯だ。夜は真っ暗になるため早く寝てほしい。
だが、こんなことがあった一日の終わりに安眠など出来るはずもないだろう。
校庭に4人で集まる。手には菓子パンとヌルい缶コーヒーを持っている。
健斗のスーツケースに入っている生ものを先に処分しなければならないが、それは夜食にしようと皆で決めた。
まだ夜回りにはちょっと早いので、二人が巡回して二人は合間を見て仮眠をとることにした。
「リョウケンさん、ちょっといいですか?」
「はい?どうしました?」
「風纏、習得してみませんか?」
「え~? いやーぜひぜひお願いします」
「それよりも、さん付け辞めて下さい」
「いやーでも礼儀としてやっぱり呼び捨てはしにくいです」
「自分は健斗さんが居なけりゃこんな力も付けられてませんでした」
「師匠のように思ってますから」
「まぁそう言われると悪い気はしないですね」
「じゃぁいきなりは無理かもなので、徐々にそうしていきます」
「お願いします」
取得のための条件を話す。
「健斗さんになら抱かれても良いです」
「・・・・・」
「へ、へんな意味じゃないですよー」
まぁいいかっ。
リョウケンを抱きしめ風纏を唱える。そしてそのまま上空に舞い上がる。
「おぉ~」
「このまま浮遊してたら多分覚えると思うのですが」
そう言って横を見ると、わらびを抱いた美咲がいた。
「あははははははは。なにしとんじゃ」
「リョウケンさんばかり贔屓してズルいです」
わらびが目尻を釣り上げて健斗に物申す。
「わらびちゃんはうちが育てる!」
鼻息荒く美咲が言う。
まーたしかにレベルもリョウケンの方が上になったし、索敵のスキルも覚えたし。
ほどなくしてリョウケンは風纏を覚える。
コントロールの仕方を教えて、もう少し上空に上がり身体から離す。
一方わらびはなかなか風纏を覚えない。
美咲がムッキーとか言ってるが、すでに風纏のコントロールを身に付けたリョウケンから遅れる事、数十分。
いまだに覚えない。
もう周りは真っ暗だ。
「なんでやろ~?」
「ちょっと代わろか?」
「え~健ちゃん、わらびちゃんを抱きたいからって何ゆーとん?」
ボコッ
「もしかしたら美咲は俺のコピーやからかも知れない」
「行動発生系って言ってたやん」
「多分美咲の熟練度があがったらコピーさせれるんじゃないかとも思ってる」
美咲に近づき、わらびに了承を得てお姫さま抱っこをする。
いやいや深い意味などないし厭らしい気持ちもない はず。
とは言え、首に片腕を回してきて息使いが聞こえるほど間近に顔があるし、なんと言ってもこの子の顔は可愛い。
美咲の時はこんな気持ちにならなかったのに・・・
しばし抱き合って浮かんでいると風纏のスキルを覚えて、物覚えの良いわらびは自由自在に飛び回る。
「やっぱり色がちゃうね~」
リョウケンは透明度の高い青、わらびは薄い紫色をしている。
辺りはもう闇の色に染められて、遠くでモンスターの叫ぶ声が聞こえる。
北校舎の3階の窓から、健斗達の空中遊泳を眺める視線がいくつかある。
3人が風纏で遊んでるのを見つつ、一人でかなり上空まで上がってみた。
神戸の街は真っ暗だった。
だが大阪方面や紀伊和歌山の方には霞が掛かっているが、灯りが煌々とともっている。
隣の市の芦屋辺りも明るい模様。
反対側を見ると、淡路島も明石市方面も灯りだけが見える。
(停電してるのは神戸だけか)
「健ちゃーん、ちょっとわらびちゃんのレベリングしてきたらあかん?」
「あっそれなら自分も付いていきたいです」
「いいよー、しばらく俺一人で巡回しとくわ」
「でも公園はゴブリン多かったから気をつけろよ」
「りょ~かい!油断は禁物 は心に刻んでるよ」
「リョウケンもわらびさんも無理はしないでね。命大事に!」
「「はいっ!」」
3人は南公園の方に飛んでいく。
(風纏ってスピードは出ないけど、結局飛べるから飛行系スキルの分類だなー)
上空から近くにゴブリンが居ないことを確認して校庭に降りる。
大の字で寝転んで空を見上げる。
月も星もすごく綺麗に見える。
満月ならもう少し明るかったんだろうな~と思う。
今日は三日月だ。
(ヒュン)
おっ?
ステータス画面を見ると 夜目 と言うスキルが増えていた。
確かに赤外線画面のようにはっきりと周りが見える。
これはこれから便利になるな。
しばらく寝転んでると複数の足音が聞こえてきた。
「あの~すいません」
その前から接近してきてるのは感知してたけど、悪意が感じられないので放置していた。
ガバっと起き上がり振り向いて返事をする。
「はいっ?どうしましたか?」
「すいません、僕らでも能力は手に入れられますか?」
そこには10台後半くらいの少年2人少女4人と30代くらいの女性2人と50歳は超えてるだろうと言う男性が立っていた。
「なぜですか?」
「こんな事態になって、戦う力が欲しいと思ったんです」
(いい傾向だな)
「力は手に入るけど、もう元の人間らしい生き方は無理になるかもしれませんよ?」
「今を生きれないなら未来も無いでしょう」
年配の男性が言う。うんうん説得力があるね。この言葉、どっかで使わせてもらおう。
「力は思うより簡単に手に入るけど、本当に覚悟はありますか?」
「覚悟をしてみんなここにきてますよ」
少年の一人が答えた。
「戦うという事は、生きてる者を殺す事なんですよ」
「場合によっては人間も殺す事があるかも知れません」
(なんか、俺って偉そうになったよなー)
自分の態度になんとなくクッソ生意気な若造を想像して笑えてきた。
中身は30超えてるけど見かけは20歳くらいなんだし。
覚悟も出来てるって話なので、わらびとリョウケンに話をした同じ事を伝える。
「それと、レベル3になると職業が発生する事が多いです。」
「まだ検証例が少ないので確定では無いですが、今のところ全員Lv3で職業発生しています」
「スキルは行動発生系みたいなので、欲しいスキルがあれば、その行動を繰り返しすれば覚えれるかと思います」
9人も居ればここの学校を守ることは大丈夫だろうからさっさとレベルをつけてしまおう。
「それでは少し待っててくださいね」
上空に飛び上がりゴブリンを探す。
近辺に見当たらなかったので南公園まで様子見がてら行ってみよう。
公園に行ってみたら3人と、もう一人戦ってるのが見えた。
美咲の近くに降りて聞いてみる。
「あの人は?」
「ここで一人で戦ってて、死にそうだったから助けたった」
ドヤ顔で言う美咲がなんか可愛い。
見た目じゃもう実年齢がわからないが、身軽な女性の様だ。
「ちょいとゴブリン1体もらっていくよー」
「レベル付け?」
「そそ、先行して避難してる人が9人も訪ねてきたよ」
「うちも行こか?」
「なら、ちょっとここの数減らしておこうか」
そう言って刀を抜いて風刃を人が居ない方向に数発撃つ。
バタバタと多数のゴブリン達が倒れていく。
上空に上がりだいたいの戦況を把握する。
まぁもう100体も居ないくらいに見えるし、3人でも大丈夫かな。
わらびは嬉々として戦ってるし、リョウケンは危なげなく立ち回っている。
もう一人の人も自分の命は守れてるみたいだから大丈夫でしょう。
レベリングをしているのかな?
良く見ると、公園北側の道路には、何人かが戦いを見つめている。
半日以上経ったし、そろそろ状況把握して、能力を手に入れる人々も増えて来たんだろう。
美咲と片手づつゴブリンの腕を持ち上空に飛び上がる。
「さっきなー 夜目ってスキルおぼえた」
「あっうちも暗視ってスキル覚えたよ」
「どんなん?」
「暗くても良く見える」
「俺のもそうやけど、景色や人に色は付いとらんね」
「おんなじやで」
「名前が違うだけで同じ効果のスキルなんやろか」
楽し気に何気ない会話をするこの二人の人間に拉致され、今まさに空を飛んでいるゴブリンはどんな気持ちなんだろう。
外の駐車場や店内の通路には人の遺体、ゴブリンの死体もいくつか転がっている。
やっぱり進化したがそのまま殺された感じの遺体が2~3体ある。
店舗の中にはもう目ぼしいものがなかったが、バックヤードに入ってみると手つかずの商品が積み上げられていた。
缶詰、菓子、パン類、水のペットボトルなどを手分けして持ち出す。
また取りに来るため、バックヤードへの入り口を棚や机でふさいでおいた。
ごめんなさい、感謝しています。
一度学校に戻り、自分たちが連れてきた人たちに食べ物と飲み物を渡す。
彼らは西棟の3~4階部分を使わせてもらう事になった。体育館だ。
在校者は教室だけの北側の本校舎に避難している。
20ほどある教室にグループごとに分かれて避難している。
体育館のように広い場所は一括で管理がしやすいが、プライベートな空間が無いため避難民にストレスが溜まる。
これは大震災で培った大切な経験からくる配慮だ。
もう宵闇がそこまで迫っている時間帯だ。夜は真っ暗になるため早く寝てほしい。
だが、こんなことがあった一日の終わりに安眠など出来るはずもないだろう。
校庭に4人で集まる。手には菓子パンとヌルい缶コーヒーを持っている。
健斗のスーツケースに入っている生ものを先に処分しなければならないが、それは夜食にしようと皆で決めた。
まだ夜回りにはちょっと早いので、二人が巡回して二人は合間を見て仮眠をとることにした。
「リョウケンさん、ちょっといいですか?」
「はい?どうしました?」
「風纏、習得してみませんか?」
「え~? いやーぜひぜひお願いします」
「それよりも、さん付け辞めて下さい」
「いやーでも礼儀としてやっぱり呼び捨てはしにくいです」
「自分は健斗さんが居なけりゃこんな力も付けられてませんでした」
「師匠のように思ってますから」
「まぁそう言われると悪い気はしないですね」
「じゃぁいきなりは無理かもなので、徐々にそうしていきます」
「お願いします」
取得のための条件を話す。
「健斗さんになら抱かれても良いです」
「・・・・・」
「へ、へんな意味じゃないですよー」
まぁいいかっ。
リョウケンを抱きしめ風纏を唱える。そしてそのまま上空に舞い上がる。
「おぉ~」
「このまま浮遊してたら多分覚えると思うのですが」
そう言って横を見ると、わらびを抱いた美咲がいた。
「あははははははは。なにしとんじゃ」
「リョウケンさんばかり贔屓してズルいです」
わらびが目尻を釣り上げて健斗に物申す。
「わらびちゃんはうちが育てる!」
鼻息荒く美咲が言う。
まーたしかにレベルもリョウケンの方が上になったし、索敵のスキルも覚えたし。
ほどなくしてリョウケンは風纏を覚える。
コントロールの仕方を教えて、もう少し上空に上がり身体から離す。
一方わらびはなかなか風纏を覚えない。
美咲がムッキーとか言ってるが、すでに風纏のコントロールを身に付けたリョウケンから遅れる事、数十分。
いまだに覚えない。
もう周りは真っ暗だ。
「なんでやろ~?」
「ちょっと代わろか?」
「え~健ちゃん、わらびちゃんを抱きたいからって何ゆーとん?」
ボコッ
「もしかしたら美咲は俺のコピーやからかも知れない」
「行動発生系って言ってたやん」
「多分美咲の熟練度があがったらコピーさせれるんじゃないかとも思ってる」
美咲に近づき、わらびに了承を得てお姫さま抱っこをする。
いやいや深い意味などないし厭らしい気持ちもない はず。
とは言え、首に片腕を回してきて息使いが聞こえるほど間近に顔があるし、なんと言ってもこの子の顔は可愛い。
美咲の時はこんな気持ちにならなかったのに・・・
しばし抱き合って浮かんでいると風纏のスキルを覚えて、物覚えの良いわらびは自由自在に飛び回る。
「やっぱり色がちゃうね~」
リョウケンは透明度の高い青、わらびは薄い紫色をしている。
辺りはもう闇の色に染められて、遠くでモンスターの叫ぶ声が聞こえる。
北校舎の3階の窓から、健斗達の空中遊泳を眺める視線がいくつかある。
3人が風纏で遊んでるのを見つつ、一人でかなり上空まで上がってみた。
神戸の街は真っ暗だった。
だが大阪方面や紀伊和歌山の方には霞が掛かっているが、灯りが煌々とともっている。
隣の市の芦屋辺りも明るい模様。
反対側を見ると、淡路島も明石市方面も灯りだけが見える。
(停電してるのは神戸だけか)
「健ちゃーん、ちょっとわらびちゃんのレベリングしてきたらあかん?」
「あっそれなら自分も付いていきたいです」
「いいよー、しばらく俺一人で巡回しとくわ」
「でも公園はゴブリン多かったから気をつけろよ」
「りょ~かい!油断は禁物 は心に刻んでるよ」
「リョウケンもわらびさんも無理はしないでね。命大事に!」
「「はいっ!」」
3人は南公園の方に飛んでいく。
(風纏ってスピードは出ないけど、結局飛べるから飛行系スキルの分類だなー)
上空から近くにゴブリンが居ないことを確認して校庭に降りる。
大の字で寝転んで空を見上げる。
月も星もすごく綺麗に見える。
満月ならもう少し明るかったんだろうな~と思う。
今日は三日月だ。
(ヒュン)
おっ?
ステータス画面を見ると 夜目 と言うスキルが増えていた。
確かに赤外線画面のようにはっきりと周りが見える。
これはこれから便利になるな。
しばらく寝転んでると複数の足音が聞こえてきた。
「あの~すいません」
その前から接近してきてるのは感知してたけど、悪意が感じられないので放置していた。
ガバっと起き上がり振り向いて返事をする。
「はいっ?どうしましたか?」
「すいません、僕らでも能力は手に入れられますか?」
そこには10台後半くらいの少年2人少女4人と30代くらいの女性2人と50歳は超えてるだろうと言う男性が立っていた。
「なぜですか?」
「こんな事態になって、戦う力が欲しいと思ったんです」
(いい傾向だな)
「力は手に入るけど、もう元の人間らしい生き方は無理になるかもしれませんよ?」
「今を生きれないなら未来も無いでしょう」
年配の男性が言う。うんうん説得力があるね。この言葉、どっかで使わせてもらおう。
「力は思うより簡単に手に入るけど、本当に覚悟はありますか?」
「覚悟をしてみんなここにきてますよ」
少年の一人が答えた。
「戦うという事は、生きてる者を殺す事なんですよ」
「場合によっては人間も殺す事があるかも知れません」
(なんか、俺って偉そうになったよなー)
自分の態度になんとなくクッソ生意気な若造を想像して笑えてきた。
中身は30超えてるけど見かけは20歳くらいなんだし。
覚悟も出来てるって話なので、わらびとリョウケンに話をした同じ事を伝える。
「それと、レベル3になると職業が発生する事が多いです。」
「まだ検証例が少ないので確定では無いですが、今のところ全員Lv3で職業発生しています」
「スキルは行動発生系みたいなので、欲しいスキルがあれば、その行動を繰り返しすれば覚えれるかと思います」
9人も居ればここの学校を守ることは大丈夫だろうからさっさとレベルをつけてしまおう。
「それでは少し待っててくださいね」
上空に飛び上がりゴブリンを探す。
近辺に見当たらなかったので南公園まで様子見がてら行ってみよう。
公園に行ってみたら3人と、もう一人戦ってるのが見えた。
美咲の近くに降りて聞いてみる。
「あの人は?」
「ここで一人で戦ってて、死にそうだったから助けたった」
ドヤ顔で言う美咲がなんか可愛い。
見た目じゃもう実年齢がわからないが、身軽な女性の様だ。
「ちょいとゴブリン1体もらっていくよー」
「レベル付け?」
「そそ、先行して避難してる人が9人も訪ねてきたよ」
「うちも行こか?」
「なら、ちょっとここの数減らしておこうか」
そう言って刀を抜いて風刃を人が居ない方向に数発撃つ。
バタバタと多数のゴブリン達が倒れていく。
上空に上がりだいたいの戦況を把握する。
まぁもう100体も居ないくらいに見えるし、3人でも大丈夫かな。
わらびは嬉々として戦ってるし、リョウケンは危なげなく立ち回っている。
もう一人の人も自分の命は守れてるみたいだから大丈夫でしょう。
レベリングをしているのかな?
良く見ると、公園北側の道路には、何人かが戦いを見つめている。
半日以上経ったし、そろそろ状況把握して、能力を手に入れる人々も増えて来たんだろう。
美咲と片手づつゴブリンの腕を持ち上空に飛び上がる。
「さっきなー 夜目ってスキルおぼえた」
「あっうちも暗視ってスキル覚えたよ」
「どんなん?」
「暗くても良く見える」
「俺のもそうやけど、景色や人に色は付いとらんね」
「おんなじやで」
「名前が違うだけで同じ効果のスキルなんやろか」
楽し気に何気ない会話をするこの二人の人間に拉致され、今まさに空を飛んでいるゴブリンはどんな気持ちなんだろう。
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