厄災の街 神戸

Ryu-zu

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第一章 美咲と健斗

自営業?

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「ステータスオープン」

一息ついて美咲が先に唱えた。

 「およよ~」
「誰やねん!」

 「職業の選択が出来るようになっとう」
「おぉーやっとかー」

 「武闘家と舞闘師と拳闘士の3択」
「舞闘師ってあんまり聞かんな」
 「舞闘師にしよう」

「なんで?」

 「なんとなく舞うって漢字が気に入った」
 「舞いながら闘うカワイー少女~」

「“師”はどこ行ってん!」




二ツ石 美咲(19)
Lv3

種族 【新人類】 選択
職業 【舞闘師】 選択
称号 【--】
基本能力一覧

GMR/SPE

HP 32/32
MP 14/14

STR 28
DEF 33
AGI 41(+13)
DEX 23
INT 14

SP/22

基本技能一覧
      風舞 
      扇風脚 超跳躍 覗き見 爪操術
64-1/40+0


「ちょっと強なった感じやなー 風舞とか素早さ重視の職業って感じだね」
 「んじゃー次、健ちゃん」

この短時間で、すっかりちゃん付けで呼ぶことにも呼ばれる事にもお互いが慣れてしまった感じだ。
いつものように、美咲のステをスマホで撮り保存する。


「ステータスオープン」


「こっちも職業選択できる」

 「Lv3で職業就くのかな?」
「そんな感じがするね」

「剣闘士と魔剣士の2択だ。おぉー称号が付いてるよ!」
「風切の刃。なんかカッコいい」

「迷わず魔剣士やな」
 「なんで?」

「ん?魔法って憧れるやん?それと剣を掛け合わせるんやで?」

 「たんなる魔剣使いってだけかも知れんで」

「い~や、魔法剣士のこっちゃで」

 「中2かよっ」
「ポチッ」


庄内 健斗 (31)
Lv 3
種族 【新人類】選択
職業 【魔剣士】選択
称号 【風切の刃】
基本能力一覧

GMR/PRE

HP 29/29
MP 16/16

STR 37
DEF 31
AGI 28(+5)
DEX 23
INT 15(+8)

SP/21

基本技能一覧
       魔風剣 超跳躍 
       風魔法-[風纏]        
64-0/38+0


「ほ~ら~」
「魔風剣覚えたし~風魔法覚えたし~」
「素早さと知力に補正付いたし~」

ボゴッベゴッ

「いって~。なんで蹴るねん!」
 「なんかむかついたから」

「ガキか~」
 「中2よりゃ大人じゃ~」

膝でお尻をなんども蹴られたが、特に痛みはない。

「称号ってどうやったら付くんやろうな?」
 「あほみたいにかたなブンブン振り回しとったらえ~んちゃうか」

「そんなんで風魔法付くか?」
 「ブンブン風吹いとったわ」

なぜかご機嫌斜めな美咲ちゃん。


なんとなくレベルが上がってスキルや職業とか付いてきたらゲームの様で楽しくなってきた。

レベルをもっと上げたいなーと考え出した。

マンションの4階にはうじゃうじゃゴブリンが居る。

あいつらを上手く倒していけばそこそこレベルが上がるんじゃないか。

美咲にそれを言うと
 「やろ~やろう」

と大はしゃぎで賛成してくれた。
機嫌も直ったようで良かった良かった。

「ちょろいな」

 「なんやて?」
「作戦立てよか」
 「なにがちょろいねん!」

飛びついてきて首に腕を巻き付けてきた。

そのままヘッドロックされて倒されかける。

 「誰の何がちょろいんやって?」
「ご、ゴブリン倒すのってちょろいなって話やん」

 「ちっ! 中2病やからな!しゃーない、許したる」

笑いながら毒吐く美咲。



まずは、5階と4階の間の階段から数体ずつおびき寄せて徐々に数を減らしていこう。
そのためには、中間の踊り場にバリケードを作ろうと。

「鍵が開いてる部屋に入って、家具とか持ってくるか」

 「不法侵入するんやねー」

「脳天チョップって知ってるか~」
 「いややぁぁぁ」

そう言いながら頭を隠す美咲。


手分けしてカギが開いてる部屋を探す。

5階に3件開いてる部屋があったが、タンスや水屋を置いてる家が1件しかなかった。
最近はタンス置かないんやな。

水屋も最近はカップボードに代わっていってるし。

美咲くらいの歳なら水屋って言葉自体知らない。
早い話が食器戸棚の別称だ。

タンスとかを出す前に廊下に横たわる遺体達を開いてる部屋に運び込む。

5階では7人のご遺体を収めた。

タンスを二人で持ち上げたが、思いのほか軽くて驚いた。

「やっぱりレベルが上がったからかな」
 「まだ3やけどねー」
「それでも常人とは比べもんにならんくらい力付いとるよ」

えっさえっさとタンスを運び出し、テーブルや本棚、その中の本や雑誌も運び出し踊り場にセットする。

タンスは背板を外し、引き出しを下の方だけ全部抜いてバリケードの一番前に置く。

その隙間から青龍刀で突いたり切ったり安全に討伐出来るように。

タンスを倒されないようにL字に別のタンスを置き、上に重さのある本棚に本と雑誌を入れ込んで、テーブルをタンスのこちら側に立てかける。

万が一の場合は本棚ごと向こうに落として圧殺を狙う。

L字にしたタンスの裏には、1体だけギリギリ通れる隙間を作り、入ってきた奴から美咲が殲滅していく作戦だ。

4階のゴブリン達、こっちからは見えてるんだから向こうからも多分見えてるだろうに、1体として上に上がってくる奴は居ない。

もしかしたら上を見ないんだろうか?


吹き抜けの一番下は落下物事故が起こらないように立ち入り禁止になってるが、ゴブリンは満員電車のように沢山入り込んでいる。
所々で戦いが発生してるから、何日かほっとけば居なくなるんじゃないかと思う。

でもその前に上から冷蔵庫とか投げ落としたら結構な数を減らせるんじゃないかな。



「5階の3件から出してきた冷蔵庫をまずは投げ入れてみよう」
「それでもしも経験値が取れたら上に上がって開いてる部屋の冷蔵庫を片っ端から投げ入れてみよう」

中型の冷蔵庫なら60Kgほどだから、今の2人なら持ち上げて投げ落とすくらいは簡単に出来ると思う。

亡くなってる人のステータスを見てもらったら、STRは2とか3だった。
男性でも5しかなかったので、力持ちと言われる人でも10は無いだろう。

「美咲ちゃん、ゴブリンのステータス見て書いてくれへん?」
 「ちょっと待ってねー」

『覗き見』でゴブリンのステータスを見ていく。
そして家具を持ち出した部屋にあったノートとボールペンで奴らのステータスを書いてもらう。

 「こんな感じやわ」


ゴブリン(5)
Lv 2

種族 【ノルゴブリン】選択
職業 【--】選択
称号 【--】
基本能力一覧

GMR/MNL

HP 11/11
MP 2/2

STR 11
DEF 7
AGI 3
DEF 8
INT 1

SP/5

基本技能一覧
       
24/16



「思ったよりはステ高かったんやなー」
 「HP低いからほぼ1撃ちゃう?」

「まぁ1対1なら負けることは無いんやろうけど」

 「でも、5歳で殺人鬼ってどうなんよ」
「ほんま世も末やな」
 
 「とりま、冷蔵庫投げてみる?」
「やろか」
 「2人で投げよーね」

5階のアルミ柵の上から1個目の冷蔵庫を二人で両端を持ち、真ん中めがけて投げ落とす。

  ウギャァァァー
  ピギャッ
  グギャァァァ
  グォォォォ
  ・・・・・

ゴブリン達は阿鼻叫喚の地獄の入り口を見る。

すぐに2個目も投げ入れる。
バウンドして広範囲を殲滅していく。

(ヒュン)(ヒュン)(ヒュン)(ヒュン)

(ヒュン)
「ちょっと気分悪ーいなー」
 「うん、なんか吐き気する・・・」

 「でもレベル上がったのはわかる」

「レベルアップ酔いって事かな?」

 「ん?レベルアップ酔い?」

「急激にレベルが上がった時に、身体が能力アップに馴染むのに感覚が追いつかないから、酔ったみたいな感覚に襲われるって事象ね」

3個目の冷蔵庫も投げ入れてステータスを見るとレベルが結構上がってた。


庄内 健斗 (31)
Lv 8
種族 【新人類】選択
職業 【魔剣士】選択
称号 【風切の刃】
基本能力一覧

GMR/PRE

HP 181/181
MP 99/99

STR 125
DEF 111
AGI 103(+15)
DEX 67
INT 81(+24)

SP/109

基本技能一覧
       魔風剣
       超跳躍 風魔法[風纏] 
729-11/546+6


「3桁超えのステが出てきたなー」



二ツ石 美咲(19)
Lv 8
種族 【新人類】 選択
職業 【舞闘師】 選択
称号 【--】

基本能力一覧

GMR/SPE

HP 285/285
MP 53/53

STR 115
DEF 147
AGI 187(+38)
DEX 88
INT 36

SP/130

基本技能一覧
      風舞 
      扇風脚 超跳躍 覗き見 爪操術
729-23/570+6


「ん~ 同じ経験値だと思ったけど、差がついてるね」
 「うちが可愛いから?」
「チョーップ」

「ステータスも差が出てる事を考えたら、多分成長補正が掛かってるんだろうね」
 「どんなふうな?」
「ん~~  わからん(笑)」

 「あれ?」
「どした?」

 「このSPってステータスに振れるよ?」
 「ステの数字のとこクリックしたら±のゲージが出るよ」

「SPってスキルポイントじゃなかったんや。ステータスポイントか」

「振るのちょっと待ってね」
 「うん、何に振っていいかわからんし」

「今、ステが偏ってるからしばらく様子みようか」

「それに、今のステで負けそうなゴブリン居ないしね」

二人で顔を見合わせ大笑いする。


何がそんなにおかしいのかもわからない。
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