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それから
51:ただいま
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かべのむこうから聞こえる、おかあさんの声。
くるしそうに呻いた後、ほかの誰かが応援している。
がんばれ、もうすこし。
だいじょうぶ、レオならきっとできる。
レオってだあれ?
ぼくの問いかけには、だれも答えてくれない。
レオって人にだけおうえんしている。
ずるい、ぼくも応援してほしい!
そう思ってうでを動かすと、おかあさんがうめいた。
もしかして、レオっておかあさんのことなのかな。
よく聞いたら、おうえんしてるのはおとうさん?
おとうさんの近くに、レイチェルおばちゃんもいる。
そっか。
いま、おかあさんはがんばってるんだ。
じゃあぼくも、おかあさんのこと応援しなくっちゃ!
いつもおかあさんは、ぼくがうごくと喜んでくれる。
だからいっぱい、いっぱい動いた。
そしたら少し、あたまの上がしろくひかる。
でぐちかな、ここから出たらおかあさんに会えるのかな。
そうおもって、狭いそこをこじあけた。
いっそうおおきくなる、おかあさんのいたそうな声。
その声にびっくりして、だいじょうぶかなって心配になった。
ごめんねおかあさん、いたいならやめるね。
おかあさんに会いたいけど、いたいのはいやだよね。
「っ…でておいで、はやく…!」
くるしい声にまざってきこえたおかあさんの声。
はやくおいで、そういったの?
ききまちがえじゃ、ない?
ぼく、お外にでていいんだ!
そう思って、もういっかいひかるでぐちにあたまを押し付ける。
おかあさんがいたそうにうめくけど、おとうさんがやさしいこえでぼくをうながす。
「レオ、頑張れ…頭が見えてきたぞ!」
うんしょ、うんしょっ…あたまのてっぺんが、ひんやりとした。
なんだろう、はじめてのかんじ。
いままでおかあさんのおなかのなかは、あったかかったから。
すこしだけ、すーすーする。
「~っあ、はっ…はぁ、はっ…」
くるしそうなおかあさん。
ごめんね、ぼくのせいだよね。すぐ、おそとにでるからね。
はやく、はやくでなくちゃ。
ぼくがでればきっと、おかあさんもとうさんも。
レイチェルおばちゃんも、リオおじちゃんもよろこんでくれるんだ!
ぴかっ。
なにもみえないけど、すごくまぶしいきがする。
いままでまっくらだったのに、いまはすごく白い。
そうおもったら、いっきにぼくのからだは外へでた。
いっぱい、いきをすう。
つぎのしゅんかん、ぼくのくちからおっきなこえがでた!
びっくりして、すこしだまっちゃった。
おかあさん、おかあさん。
やさしいおかあさん、はじめまして。
ぼくがおかあさんのこどもだよ、だいすきなおかあさん。
そっとだれかにだきあげられる。
そのあと、すぐにやわらかいなにかにくるまれた。
ふわふわで、とってもきもちいい!
また、だれかのうでへいどうさせられる。
「あぁ、っ…初めまして、愛しい子」
おかあさんのこえがする。
すぐうえで、おかあさんのこえ。
おかあさん、おかあさん…はじめまして、おかあさん。
「レオ…よく頑張ったね。君も、偉いぞ」
そういってぼくにかたりかけるおとうさんのこえ。
とってもやさしくて、たのもしいこえ。
はじめまして、おとうさん。
(初めましてじゃないよ)
だあれ?
おかあさんとおなじこえがきこえる。
おなじなのに、ちがうこえ。
(…おかえり、俺達の子)
おかえり?
おかえりっていわれたら、おへんじするんだよね。
ぼくしってるよ!おとうさんとおかあさんが毎日してたから!
おぼえてるよ、ただいまって言うんでしょ!
ただいま、ただいまおかあさん。
おとうさん、ただいま。もうひとりのおかあさんも、ただいま!
(っうん、うん…おかえり、愛しい子)
ないてるの?
かなしいのかな、それともどこかいたい?
(ちがうよ、嬉しいんだ…沢山、幸せになってね。レオとクロ様を、君のお父さんとお母さんを宜しくね)
うん、うん。
わかった!ぼくちゃんとしあわせになるよ!
だからもう、なかないで。
(ありがとう…俺はずっと、君達のそばに居るからね)
ふっと、おかあさんに似てるひとのけはいがきえる。
とってもさびしくなって、ないちゃった。
どうして、どうしていなくなっちゃうの?
たくさんないてるぼくを、おかあさんがなだめてくれる。
やさしくゆさぶられて、ねむくなってきた。
おやすみ、おかあさん。
「おやすみ、愛しい子」
ここちよいゆれで、ぼくはすとんとねむりにおちた。
くるしそうに呻いた後、ほかの誰かが応援している。
がんばれ、もうすこし。
だいじょうぶ、レオならきっとできる。
レオってだあれ?
ぼくの問いかけには、だれも答えてくれない。
レオって人にだけおうえんしている。
ずるい、ぼくも応援してほしい!
そう思ってうでを動かすと、おかあさんがうめいた。
もしかして、レオっておかあさんのことなのかな。
よく聞いたら、おうえんしてるのはおとうさん?
おとうさんの近くに、レイチェルおばちゃんもいる。
そっか。
いま、おかあさんはがんばってるんだ。
じゃあぼくも、おかあさんのこと応援しなくっちゃ!
いつもおかあさんは、ぼくがうごくと喜んでくれる。
だからいっぱい、いっぱい動いた。
そしたら少し、あたまの上がしろくひかる。
でぐちかな、ここから出たらおかあさんに会えるのかな。
そうおもって、狭いそこをこじあけた。
いっそうおおきくなる、おかあさんのいたそうな声。
その声にびっくりして、だいじょうぶかなって心配になった。
ごめんねおかあさん、いたいならやめるね。
おかあさんに会いたいけど、いたいのはいやだよね。
「っ…でておいで、はやく…!」
くるしい声にまざってきこえたおかあさんの声。
はやくおいで、そういったの?
ききまちがえじゃ、ない?
ぼく、お外にでていいんだ!
そう思って、もういっかいひかるでぐちにあたまを押し付ける。
おかあさんがいたそうにうめくけど、おとうさんがやさしいこえでぼくをうながす。
「レオ、頑張れ…頭が見えてきたぞ!」
うんしょ、うんしょっ…あたまのてっぺんが、ひんやりとした。
なんだろう、はじめてのかんじ。
いままでおかあさんのおなかのなかは、あったかかったから。
すこしだけ、すーすーする。
「~っあ、はっ…はぁ、はっ…」
くるしそうなおかあさん。
ごめんね、ぼくのせいだよね。すぐ、おそとにでるからね。
はやく、はやくでなくちゃ。
ぼくがでればきっと、おかあさんもとうさんも。
レイチェルおばちゃんも、リオおじちゃんもよろこんでくれるんだ!
ぴかっ。
なにもみえないけど、すごくまぶしいきがする。
いままでまっくらだったのに、いまはすごく白い。
そうおもったら、いっきにぼくのからだは外へでた。
いっぱい、いきをすう。
つぎのしゅんかん、ぼくのくちからおっきなこえがでた!
びっくりして、すこしだまっちゃった。
おかあさん、おかあさん。
やさしいおかあさん、はじめまして。
ぼくがおかあさんのこどもだよ、だいすきなおかあさん。
そっとだれかにだきあげられる。
そのあと、すぐにやわらかいなにかにくるまれた。
ふわふわで、とってもきもちいい!
また、だれかのうでへいどうさせられる。
「あぁ、っ…初めまして、愛しい子」
おかあさんのこえがする。
すぐうえで、おかあさんのこえ。
おかあさん、おかあさん…はじめまして、おかあさん。
「レオ…よく頑張ったね。君も、偉いぞ」
そういってぼくにかたりかけるおとうさんのこえ。
とってもやさしくて、たのもしいこえ。
はじめまして、おとうさん。
(初めましてじゃないよ)
だあれ?
おかあさんとおなじこえがきこえる。
おなじなのに、ちがうこえ。
(…おかえり、俺達の子)
おかえり?
おかえりっていわれたら、おへんじするんだよね。
ぼくしってるよ!おとうさんとおかあさんが毎日してたから!
おぼえてるよ、ただいまって言うんでしょ!
ただいま、ただいまおかあさん。
おとうさん、ただいま。もうひとりのおかあさんも、ただいま!
(っうん、うん…おかえり、愛しい子)
ないてるの?
かなしいのかな、それともどこかいたい?
(ちがうよ、嬉しいんだ…沢山、幸せになってね。レオとクロ様を、君のお父さんとお母さんを宜しくね)
うん、うん。
わかった!ぼくちゃんとしあわせになるよ!
だからもう、なかないで。
(ありがとう…俺はずっと、君達のそばに居るからね)
ふっと、おかあさんに似てるひとのけはいがきえる。
とってもさびしくなって、ないちゃった。
どうして、どうしていなくなっちゃうの?
たくさんないてるぼくを、おかあさんがなだめてくれる。
やさしくゆさぶられて、ねむくなってきた。
おやすみ、おかあさん。
「おやすみ、愛しい子」
ここちよいゆれで、ぼくはすとんとねむりにおちた。
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