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それから
49:立太子式
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あの事件から数ヶ月。
今では地面も見え辛いくらいに大きくなったお腹の中では、すくすくと子供が育っている。
臓器が押し上げられて苦しいけど、我慢だ。
そんな中今日行われる行事は、クロ様の立太子式。
クロ様が正式に、王太子になる。
厳かな雰囲気に包まれる広間に、思わず息を呑み込んだ。
「…今此処に、第一王子クロムウェルを王太子に任命する。時期国王候補として、励ように」
陛下の声が低く響き渡る。
恭しく跪くクロ様の頭の上に、この国に代々伝わる王太子専用の冠が乗せられた。
立ち上がったクロ様と、一瞬だけ目があった。
ふっと、クロ様の両眼が緩められる。
然しそれも一瞬の事で、すぐに王太子としての顔に変わった。
タイミングを見計らったようにとんとんと、お腹を蹴られる。
驚いて腹部を見下ろすと、また蹴られた。
まるでクロ様の立太子を祝っているように。
思わず笑みが浮かんでしまう。
そっとお腹を撫でていれば、俺の少し後ろに控えていたレイチェルが首を傾げる。
後でこの事を報告してやろう、そう心に決めて笑顔のままクロ様の姿を見続けた。
「…レオ、気分はどう?辛かったらちゃんと言うんだよ」
立太子式終了後。
クロ様より少し早めに部屋に戻って休んでいれば、数分後に勢いよく扉が開かれる。
開口一番に俺を心配する言葉に、思わず笑った。
「俺は大丈夫です…クロ様、立太子式お疲れ様でした」
俺がそう言えば、安心したように微笑むクロ様。椅子に座る俺のお腹に額を付け、慈しむように撫でられた。
その仕草が可愛くてくすぐったくて、くすくす笑ってしまう…顔を上げたクロ様は、少し拗ねていた。
「良いじゃないか、愛おしくて堪らないんだ…少しずつお腹が大きくなる度に、早く会いたくなる」
耳をつけ目を瞑ったクロ様の頭を撫でる。
俺だって早くこの子に会いたい…無事に元気に、生まれてきてほしい。
この人は、俺よりずっとこの子に会いたがっているんだろう。
生まれたら心底甘やかしそうだ。
「…クロ様、俺も頑張ります。だから、お仕事頑張ってくださいね」
そう言うと、また拗ねたように顔が上げられた。
今は仕事の話はしたくないようだ…俺は陛下から、クロ様に念押ししておくよう言われただけなんだけど。
まぁ、仕方ないか。今は2人だけの時間をゆっくり過ごそう。
「ふふ、半分は冗談です…好きなだけお腹の音聞いてて良いですから」
「本当?私の奥さんは心が広いな」
そう言って無邪気に笑うクロ様。
再びお腹に耳を付けて音を聞き始めた…とん、軽くお腹を蹴られる。
クロ様もその音を聞いたのか、嬉しそうな笑い声が聞こえた。
うちの子はとてもファンサービスが良いらしい。
いつもタイミングよくお腹を蹴ってくれる…立太子式然り、今然り。
ふと、俺の顔に影がかかる。
いつのまにかクロ様が立ち上がっていたらしい。
不思議に思って見上げると、柔らかな唇が重なった。
驚いて瞬きをすると、揶揄うように笑われてしまう…うわ、その顔かっこいいな。
ぼんやりクロ様に見惚れていると、仕返しのように顔中に唇が落とされた。
「わ、ちょ…急に何するんですか、もう」
「ふふ、今更照れてるの?レオはいつだって可愛いね…大好きだよ」
そう言って俺を抱きしめるクロ様。
心地の良い体温に、思わずうっとりと目を瞑る。
ぽこん。俺達を揶揄うように、再びお腹を蹴られてしまった。
今では地面も見え辛いくらいに大きくなったお腹の中では、すくすくと子供が育っている。
臓器が押し上げられて苦しいけど、我慢だ。
そんな中今日行われる行事は、クロ様の立太子式。
クロ様が正式に、王太子になる。
厳かな雰囲気に包まれる広間に、思わず息を呑み込んだ。
「…今此処に、第一王子クロムウェルを王太子に任命する。時期国王候補として、励ように」
陛下の声が低く響き渡る。
恭しく跪くクロ様の頭の上に、この国に代々伝わる王太子専用の冠が乗せられた。
立ち上がったクロ様と、一瞬だけ目があった。
ふっと、クロ様の両眼が緩められる。
然しそれも一瞬の事で、すぐに王太子としての顔に変わった。
タイミングを見計らったようにとんとんと、お腹を蹴られる。
驚いて腹部を見下ろすと、また蹴られた。
まるでクロ様の立太子を祝っているように。
思わず笑みが浮かんでしまう。
そっとお腹を撫でていれば、俺の少し後ろに控えていたレイチェルが首を傾げる。
後でこの事を報告してやろう、そう心に決めて笑顔のままクロ様の姿を見続けた。
「…レオ、気分はどう?辛かったらちゃんと言うんだよ」
立太子式終了後。
クロ様より少し早めに部屋に戻って休んでいれば、数分後に勢いよく扉が開かれる。
開口一番に俺を心配する言葉に、思わず笑った。
「俺は大丈夫です…クロ様、立太子式お疲れ様でした」
俺がそう言えば、安心したように微笑むクロ様。椅子に座る俺のお腹に額を付け、慈しむように撫でられた。
その仕草が可愛くてくすぐったくて、くすくす笑ってしまう…顔を上げたクロ様は、少し拗ねていた。
「良いじゃないか、愛おしくて堪らないんだ…少しずつお腹が大きくなる度に、早く会いたくなる」
耳をつけ目を瞑ったクロ様の頭を撫でる。
俺だって早くこの子に会いたい…無事に元気に、生まれてきてほしい。
この人は、俺よりずっとこの子に会いたがっているんだろう。
生まれたら心底甘やかしそうだ。
「…クロ様、俺も頑張ります。だから、お仕事頑張ってくださいね」
そう言うと、また拗ねたように顔が上げられた。
今は仕事の話はしたくないようだ…俺は陛下から、クロ様に念押ししておくよう言われただけなんだけど。
まぁ、仕方ないか。今は2人だけの時間をゆっくり過ごそう。
「ふふ、半分は冗談です…好きなだけお腹の音聞いてて良いですから」
「本当?私の奥さんは心が広いな」
そう言って無邪気に笑うクロ様。
再びお腹に耳を付けて音を聞き始めた…とん、軽くお腹を蹴られる。
クロ様もその音を聞いたのか、嬉しそうな笑い声が聞こえた。
うちの子はとてもファンサービスが良いらしい。
いつもタイミングよくお腹を蹴ってくれる…立太子式然り、今然り。
ふと、俺の顔に影がかかる。
いつのまにかクロ様が立ち上がっていたらしい。
不思議に思って見上げると、柔らかな唇が重なった。
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ぼんやりクロ様に見惚れていると、仕返しのように顔中に唇が落とされた。
「わ、ちょ…急に何するんですか、もう」
「ふふ、今更照れてるの?レオはいつだって可愛いね…大好きだよ」
そう言って俺を抱きしめるクロ様。
心地の良い体温に、思わずうっとりと目を瞑る。
ぽこん。俺達を揶揄うように、再びお腹を蹴られてしまった。
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