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原作突入中
42:この世の話
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ゆっくりとレオは語り出す。
俺とレイチェルがこの世界に来た事実、リオの過去。
それはどれも信じられない話で、でも何処か納得もできて。
不思議と胸が締め付けられた。
「あの子は、クロ様や俺よりも強い聖属性の魔力を持っていた。俺は死に際に、強く生きたいと念じたんだ…まだ死にたくない、クロ様と生きたいって」
そう語るレオは、何処か寂しそうな笑みを浮かべる。
二度と、彼自身では叶えられない夢。
「聖属性ってね、癒しの力だと思われているけど…本当は、時間干渉の魔法なんだ。
だから、後天性の傷は治せても、生まれつきの欠陥は治せない…身体の時間を戻して、怪我を失くしているだけだから。
まだ意思を持っていなかったこの子は、俺の強い願いに引っ張られた。
俺の死後数日間、子供の魔力は俺の胎内に留まり続けて…遺体を見に来た、リオに全て流れ込んだ」
漸く出てきたリオの名前。
そうか、きっと聖属性同士相性が良かったんだ…そして、何倍にもなった魔力は…。
「そう、リオの魔力は…死ぬ間際、暴発した。」
驚いて目を見開く。
リオは、死んでいた?何故?
…もしかして、クロ様が。
「君の想像通りだよ。魔王化したクロ様の、王宮への攻撃に巻き込まれたんだ…そこでリオは、一度死んだ」
静かに語るレオ。
リオとあの子、2人分が合わさった聖属性魔法は大きな力となり…弾けた。
世界は巻き戻り、リオは母親の胎内へと還った。
そこで、俺とレイチェルというイレギュラーが迷い込んだ。
「春親とレイチェルは、西暦は違うけど同じ日の同じ時間に死んだんだ…そして、リオも。
君達2人は偶然にもこの世界をよく知り、深く愛し、そして未練となった…だから、世界の爆発に巻き込まれた。」
信じられないけど、信じるしかない。
ある種俺たちは運命共同体なんだ…リオの願いによって、引き込まれた。
きっとリオは、レオの幸せと仲間を望んだ。
自分と一緒に、レオを救ってくれる仲間を。
リオにとって最高の…相棒を。
「俺の魂は爆発に耐えきれなかった…だから健康な君の魂が、器に入り込んだ。偶然に偶然が重なった奇跡だよ…ありがとう」
そうお礼を言うレオは、今にも泣き出しそうで。
思わず俺は、彼を優しく抱き締めていた。
あぁ、君は優しすぎる。
だからこんなにも、愛おしい。
君に出会えて…再会できて、本当によかった。
俺は、自分が思っているよりレオが好きだったみたいだ。
「ありがとう、レオ…俺は君として生きてきて、とても楽しかった。
前世で死んでしまったあの日、悔しくて悲しくて…生きたいっていう願いを、君が叶えてくれた」
「俺じゃない、あの子とリオのおかげで…」
「それは君が、2人に愛されていたからだ。君のおかげなんだよ、レオ」
思ったままを口に出す。
急に泣き出してしまったレオを、俺は抱き締め続けた。
これから先も、君として生き続けたいと…君も一緒に、俺の中で生きようと。
「…うん。じゃあまたね、春親」
そう言って俺の後ろを指さすレオ。
釣られるように振り向くと、白い木製の扉があった。
微かに向こう側から、声が聞こえる。
「…レオ、レオ!早く目を覚ましてくれ!」
愛しい愛しい、クロ様の声。
「レオンハルト様!どうかお応えください…!」
いつも頼れる、リオの声。
「レオ様、レオ様っ…今直ぐ起きてくれないなら、冷水を顔にぶっかけますわ!そうしましょう!」
いつも愉快な…親友のレイチェルの声。
扉の向こうに行けば、きっと俺は目が覚める。
この世界で、レオンハルトとして生きていける。
ゆっくりと扉を開いた瞬間、強く背中を押された。
そのまま体制を崩して扉の中へ転げ落ちる…最後に見えた、レオの泣き顔。
「ありがとう、春親…さようなら」
ぶつん、俺の意識は途絶えた。
俺とレイチェルがこの世界に来た事実、リオの過去。
それはどれも信じられない話で、でも何処か納得もできて。
不思議と胸が締め付けられた。
「あの子は、クロ様や俺よりも強い聖属性の魔力を持っていた。俺は死に際に、強く生きたいと念じたんだ…まだ死にたくない、クロ様と生きたいって」
そう語るレオは、何処か寂しそうな笑みを浮かべる。
二度と、彼自身では叶えられない夢。
「聖属性ってね、癒しの力だと思われているけど…本当は、時間干渉の魔法なんだ。
だから、後天性の傷は治せても、生まれつきの欠陥は治せない…身体の時間を戻して、怪我を失くしているだけだから。
まだ意思を持っていなかったこの子は、俺の強い願いに引っ張られた。
俺の死後数日間、子供の魔力は俺の胎内に留まり続けて…遺体を見に来た、リオに全て流れ込んだ」
漸く出てきたリオの名前。
そうか、きっと聖属性同士相性が良かったんだ…そして、何倍にもなった魔力は…。
「そう、リオの魔力は…死ぬ間際、暴発した。」
驚いて目を見開く。
リオは、死んでいた?何故?
…もしかして、クロ様が。
「君の想像通りだよ。魔王化したクロ様の、王宮への攻撃に巻き込まれたんだ…そこでリオは、一度死んだ」
静かに語るレオ。
リオとあの子、2人分が合わさった聖属性魔法は大きな力となり…弾けた。
世界は巻き戻り、リオは母親の胎内へと還った。
そこで、俺とレイチェルというイレギュラーが迷い込んだ。
「春親とレイチェルは、西暦は違うけど同じ日の同じ時間に死んだんだ…そして、リオも。
君達2人は偶然にもこの世界をよく知り、深く愛し、そして未練となった…だから、世界の爆発に巻き込まれた。」
信じられないけど、信じるしかない。
ある種俺たちは運命共同体なんだ…リオの願いによって、引き込まれた。
きっとリオは、レオの幸せと仲間を望んだ。
自分と一緒に、レオを救ってくれる仲間を。
リオにとって最高の…相棒を。
「俺の魂は爆発に耐えきれなかった…だから健康な君の魂が、器に入り込んだ。偶然に偶然が重なった奇跡だよ…ありがとう」
そうお礼を言うレオは、今にも泣き出しそうで。
思わず俺は、彼を優しく抱き締めていた。
あぁ、君は優しすぎる。
だからこんなにも、愛おしい。
君に出会えて…再会できて、本当によかった。
俺は、自分が思っているよりレオが好きだったみたいだ。
「ありがとう、レオ…俺は君として生きてきて、とても楽しかった。
前世で死んでしまったあの日、悔しくて悲しくて…生きたいっていう願いを、君が叶えてくれた」
「俺じゃない、あの子とリオのおかげで…」
「それは君が、2人に愛されていたからだ。君のおかげなんだよ、レオ」
思ったままを口に出す。
急に泣き出してしまったレオを、俺は抱き締め続けた。
これから先も、君として生き続けたいと…君も一緒に、俺の中で生きようと。
「…うん。じゃあまたね、春親」
そう言って俺の後ろを指さすレオ。
釣られるように振り向くと、白い木製の扉があった。
微かに向こう側から、声が聞こえる。
「…レオ、レオ!早く目を覚ましてくれ!」
愛しい愛しい、クロ様の声。
「レオンハルト様!どうかお応えください…!」
いつも頼れる、リオの声。
「レオ様、レオ様っ…今直ぐ起きてくれないなら、冷水を顔にぶっかけますわ!そうしましょう!」
いつも愉快な…親友のレイチェルの声。
扉の向こうに行けば、きっと俺は目が覚める。
この世界で、レオンハルトとして生きていける。
ゆっくりと扉を開いた瞬間、強く背中を押された。
そのまま体制を崩して扉の中へ転げ落ちる…最後に見えた、レオの泣き顔。
「ありがとう、春親…さようなら」
ぶつん、俺の意識は途絶えた。
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