推しは未来の魔王様！？

原作突入中

32:傷痕＊

「…ふふ。子供を作る準備ができてえらいね、レオ」


ゆっくりと唇が離れ、互いの唇を繋ぐ銀の糸がふつりと切れた。
濡れる後孔の縁を指先でなぞりながら、俺を褒めるクロ様。その褒め言葉がたまらなく気持ちいい。


にゅぷぷ、ゆっくりと胎内に指が挿入される。


「…っあ、う、」


肉壁を拡げるように擦り上げられ、堪らず声が漏れ出てしまう。
俺の胸元に落とされた唇が、徐々に首筋へ上がってくる。最終的に上腕に辿り着き、熱い舌先がとある箇所を舐める。
シャスイン嬢に、付けられた傷痕。


「まだ、少し痕が残ってるね…許せない」


クロ様の瞳にチラつく憎しみに、思わず息を呑む。
そんな俺の姿を見て、クロ様はすぐに柔らかな笑みを浮かべた…良かった、いつもの彼だ。
不意に指を引き抜かれ、驚きから身体を跳ねさせる。


ぴと、後孔へ熱い何かが当てがわれた。


「あ…クロ、さま…」
「レオ…挿れるよ」


こくりと頷くと、ゆっくりクロ様のそれが侵入してくる。
指とは比べ物にならない圧迫感。ある程度行為に慣れてきたものの、未だに少しだけ苦しい。
俺を気遣うようゆっくりと腰を進ませるクロ様…その優しさに、胸がぎゅうと締め付けられる。


「～あ、ッ…はい、ったぁ…」


とん、奥の窄まりに先端が触れる。
根元までしっかり飲み込んだ下腹部を、無意識に撫でた。
見上げると、欲に濡れる瞳とかち合う。


ぞくぞくと背筋が震えた。


この人が俺に欲情している事実に、どうしようもなく興奮する。
俺の、俺だけの愛しい人。
月明かりで輝く銀髪の、美しい人。


「レオ、レオっ…私の、レオンハルト…！」
「は、あぁっ…クロさま、あッ…」


中を擦られる度に漏れ出る淫らな嬌声。
恥ずかしさより快楽が勝り、クロ様を求める気持ちが止まらない。
不意に首筋に走る小さな痛み。所有痕を残されたのだとすぐに気づいた。


首元に埋まる頭を掻き抱く。
応えるように最奥を突かれ、快感で背が反れた。
その瞬間腰を掴まれ、ぐいとクロ様の方へ引き寄せられる…深く繋がる強い刺激に、視界がちかちかと光った。


「あ、だめッ…も、いっ…」
「は…いいよ、レオ…全部私に見せて…っ、」


絶頂が近い事を伝えれば、笑みを向けられ許可が出される。
その後すぐにぐちゅん、最奥を突き上げられ熱の先端がぐりぐりと窄まりに押し付けられた。
受け止めきれない強い快楽に、呆気なく精を放つ。


いつもより絶頂後の余韻が長い。


そんな事をぼんやり考えていたら、不意に律動が再開された。
達したばかりの身体を遠慮なく揺さぶられる。
行き過ぎた快楽に何も考えられない…ただただ気持ちいい。


「かわいい顔…レオ、私のことが好き？」
「ひぁ、あッ…すき、すきですっ…だいすき、」


クロ様の問いかけにこくこくと頷く。
それ以外の回答なんて無い、貴方が一番で唯一だ。
それを伝えようと、後ろを強く締め付けた。


「…っ、は…私も好きだよ、愛してる…レオ、ッ！」


より一層激しくなる律動に、甘さを増す嬌声。
部屋に響く互いの肌が打つかる音と淫らな水音…全ての要素が、興奮材料にしかならない。
クロ様と繋がれている幸福に満たされる。


「あ、また…また、いっ…～～ッ！」
「レオ、レオッ…！」


再び俺が絶頂した後、ぐりと腰を押し付けるクロ様。
最奥で弾けた熱に、クロ様も達したのだと察する…胎内を満たす精に、満足感が広がった。


唇が重なり、咥内を舌で嬲られる。
両腕を首に回し口付けに応えれば、未だ挿入したままの自身が再び熱を取り戻し始めた。
あぁ、今夜は寝かせてくれそうにないな…。


心の奥の妙に冷静な部分が、そう言った気がした。