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原作突入中
閑話21.5:ヒロインの困惑
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「リオーネの婚約者になってもらいたい」
確かにそう、レオは言った。
待って、婚約者?主人公の?今や主人公の面影のない腹黒みたいな感じになってるリオの?
絶対に無理!
そう言おうとしたけど、レオの優しい笑顔に何も言えなくなる。
ぐぅ、顔が好みすぎる…。
私は前世からずっとクロレオ推しで、今だってそれは変わらない。
寧ろ生でクロレオ拝めて毎日幸せだ。
リオは何故かレオの従者で、レオの前だけは忠犬みたいな顔している。
私が突っかかっていくのが相当気に入らないみたいで、時折遠くから殺気まで感じるくらいだ。
でも、レオの幸せの為ならと頑張ってきた。
そんなレオからの、思いもよらない提案に挙動不審になる。
「確かに私、婚約者は居ませんわ…でも、リオーネ様がその話を受けてくれるとは思えません」
「そうだね。今までの行動でリオの君に対する好感度はマイナスと言っても過言じゃない…だけど、それがもしプラスになったら?」
首を傾げるレオと同じ様に、自分も首を傾げる。
どうしよう、さっぱり分からない…だって中身はただの日本人のお婆ちゃんだ。
貴族教育での知識はあるが、応用はさっぱりなんだよね。
そんな私に、レオは苦笑を浮かべる。
あ、その顔可愛い…やっぱりレオが一番好きだなぁ。
「…リオが君を心から信用し、少しでも愛してくれれば前世の話を信じてくれる。
現段階で重要なのはリオの動向…彼は、数少ない聖属性魔法の使い手だからね」
「なるほど!アルファスト殿下より先に心を奪ってしまえと言う事ですわね!」
「まぁ、そんな感じかな」
さすがレオ、頭がいい!
そうよね、私がリオと懇意にしてれば第二王子ルートに行かない筈…でも、犯人は結局レオに目を付けるんじゃない?
だって、クロムウェル殿下が王位を継ぐのを嫌がってるんだもの。
気づいてしまった私は、レオをじっと見つめる。
「狙われるのは、俺だけで良いんだ…君もリオも、狙われて欲しくないしね。
アルファスト殿下は俺の味方だし、心配ないよ」
違う、そうじゃない。
私が心配してるのは貴方なのに…何で、そんな平気そうで居られるの?
花いとにおいて、死んでしまうのはレオとクロムウェル殿下だけなのに。
「…俺ね、クロ様が好きだよ。この気持ちは誰にも負けないと思う…だからあの人の子供を産みたいし、生涯支え続けたい」
静かに語り始めるレオ。
その瞳には、生に対する執着が見えた気がして安心した。
この人は、死ぬつもりなんて微塵もないんだ。
「だから、必ず犯人を見つけて逃げる前に裁きたい…例えそれが王族であったとしても」
この時、私は分かってしまった。
何故花いとの本編内で、犯人が語られなかったのか。
…何故、クロムウェル殿下が王宮を攻撃したのか。
何故殿下が、絶望したのか。
分かったけれど、分かりたくなかった。
でもその推理は私の勝手な妄想で、証拠なんてひとつもない。
寧ろ、証拠がないから分からなかったんだ。
だいぶ冷めた紅茶を、ぐびっと一気に飲み干す。
そんな私を見て、レオがきょとんと首を傾げた…その顔可愛い写真撮りたい。
「安心なさいませ!犯人は絶対私が改心させますわ!こう見えても心に訴えかけるのは得意ですの!」
前世で、不良だった孫を改心させた時の事を思い出す。
誰だって、心から寄り添えば改心できるのだから。
「…うん。頼りにしてるよ、レイチェル」
そう言ったレオは、眩しそうに目を細める。
余りにも破壊力の高い顔の良さに、くらりと目眩を覚えるも踏ん張ってまっすぐに立つ。
「私は、レイチェル・ルーズレス!レオンハルト・ライラック様に忠誠を誓い、生涯を掛けてお仕えいたします」
そう言って、スカートの両端を掴み綺麗な礼をする。
レオは涙ぐんだ声で、一言呟いた。
「…ありがとう、レイチェル」
貴方の幸せの為ならば、例えこの身果てようとも!
満面の笑みを浮かべて顔を上げる、クロレオの幸せの為に私は今まで生きてきた。
今も昔もそれは変わらない、前世で出来なかった事を今世でできる事を誇りに思う。
いつか貴方のお子様を抱く日まで、私は精進致します!
確かにそう、レオは言った。
待って、婚約者?主人公の?今や主人公の面影のない腹黒みたいな感じになってるリオの?
絶対に無理!
そう言おうとしたけど、レオの優しい笑顔に何も言えなくなる。
ぐぅ、顔が好みすぎる…。
私は前世からずっとクロレオ推しで、今だってそれは変わらない。
寧ろ生でクロレオ拝めて毎日幸せだ。
リオは何故かレオの従者で、レオの前だけは忠犬みたいな顔している。
私が突っかかっていくのが相当気に入らないみたいで、時折遠くから殺気まで感じるくらいだ。
でも、レオの幸せの為ならと頑張ってきた。
そんなレオからの、思いもよらない提案に挙動不審になる。
「確かに私、婚約者は居ませんわ…でも、リオーネ様がその話を受けてくれるとは思えません」
「そうだね。今までの行動でリオの君に対する好感度はマイナスと言っても過言じゃない…だけど、それがもしプラスになったら?」
首を傾げるレオと同じ様に、自分も首を傾げる。
どうしよう、さっぱり分からない…だって中身はただの日本人のお婆ちゃんだ。
貴族教育での知識はあるが、応用はさっぱりなんだよね。
そんな私に、レオは苦笑を浮かべる。
あ、その顔可愛い…やっぱりレオが一番好きだなぁ。
「…リオが君を心から信用し、少しでも愛してくれれば前世の話を信じてくれる。
現段階で重要なのはリオの動向…彼は、数少ない聖属性魔法の使い手だからね」
「なるほど!アルファスト殿下より先に心を奪ってしまえと言う事ですわね!」
「まぁ、そんな感じかな」
さすがレオ、頭がいい!
そうよね、私がリオと懇意にしてれば第二王子ルートに行かない筈…でも、犯人は結局レオに目を付けるんじゃない?
だって、クロムウェル殿下が王位を継ぐのを嫌がってるんだもの。
気づいてしまった私は、レオをじっと見つめる。
「狙われるのは、俺だけで良いんだ…君もリオも、狙われて欲しくないしね。
アルファスト殿下は俺の味方だし、心配ないよ」
違う、そうじゃない。
私が心配してるのは貴方なのに…何で、そんな平気そうで居られるの?
花いとにおいて、死んでしまうのはレオとクロムウェル殿下だけなのに。
「…俺ね、クロ様が好きだよ。この気持ちは誰にも負けないと思う…だからあの人の子供を産みたいし、生涯支え続けたい」
静かに語り始めるレオ。
その瞳には、生に対する執着が見えた気がして安心した。
この人は、死ぬつもりなんて微塵もないんだ。
「だから、必ず犯人を見つけて逃げる前に裁きたい…例えそれが王族であったとしても」
この時、私は分かってしまった。
何故花いとの本編内で、犯人が語られなかったのか。
…何故、クロムウェル殿下が王宮を攻撃したのか。
何故殿下が、絶望したのか。
分かったけれど、分かりたくなかった。
でもその推理は私の勝手な妄想で、証拠なんてひとつもない。
寧ろ、証拠がないから分からなかったんだ。
だいぶ冷めた紅茶を、ぐびっと一気に飲み干す。
そんな私を見て、レオがきょとんと首を傾げた…その顔可愛い写真撮りたい。
「安心なさいませ!犯人は絶対私が改心させますわ!こう見えても心に訴えかけるのは得意ですの!」
前世で、不良だった孫を改心させた時の事を思い出す。
誰だって、心から寄り添えば改心できるのだから。
「…うん。頼りにしてるよ、レイチェル」
そう言ったレオは、眩しそうに目を細める。
余りにも破壊力の高い顔の良さに、くらりと目眩を覚えるも踏ん張ってまっすぐに立つ。
「私は、レイチェル・ルーズレス!レオンハルト・ライラック様に忠誠を誓い、生涯を掛けてお仕えいたします」
そう言って、スカートの両端を掴み綺麗な礼をする。
レオは涙ぐんだ声で、一言呟いた。
「…ありがとう、レイチェル」
貴方の幸せの為ならば、例えこの身果てようとも!
満面の笑みを浮かべて顔を上げる、クロレオの幸せの為に私は今まで生きてきた。
今も昔もそれは変わらない、前世で出来なかった事を今世でできる事を誇りに思う。
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