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原作突入中
閑話18.5:彼の思惑
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ルーズレス嬢の、レオへの異常なまでもの執着は知っていた。
知っていたのに咎めなかったのは、他でもないレオが必要ないと言ったから…彼女に、レオに対する悪意はないと分かっているから。
分かっていても不快なものは不快だ。
だってレオは、私の愛する人なのだから。
そう言えばレオは笑って私を抱き締める。
近頃はお互い色々忙しくて、2人きりの時間を中々過ごせない。
ある日、久々のお茶会の時間を削った彼女に殺意を抱いたのは不可抗力だと思って欲しい。
目の前でレオに縋る数人の令嬢。
綺麗な笑みを浮かべ、絶対零度の冷たい空気を生み出すレオ…異様な光景だ。
私は、ここまでレオが他人を軽蔑している姿を見たことがない。少し行きすぎた悪戯だとは思うが、レオは過去にもっと凄い悪戯を我が愚弟から受けている筈なのに。
何が琴線に触れたのだろう?
その答えは、すぐに分かった…本当にレオは、素晴らしい人だ。
「人の物を盗むのは最低で愚かな行為です。たったそれだけと思うでしょうが、少なくとも私貴女達を軽蔑する程度には愚行だと思いますよ…見損ないました
ルーズレス嬢がどれだけ必死にネックレスを探していたと思いますか?茂みに上半身を突っ込んでいたんです…それ位、大切な物だと泣いていました」
一度言葉を区切った後、服の上から胸元の何かを握りしめるレオ。
…私が与えた、サファイアのネックレスだろう。
不思議と心が温まり、優越感が生まれる。そう、彼は既に私のものなんだ…なんて、思考に耽っていたら全て終わったらしい。
レオに腕を引かれるまま、私たちはルーズレス嬢の失せ物が沈んでいるらしい湖へと向かった。
学園には小さな森があり、そこの先に美しい湖が広がる場所がある。
何処か神聖さも感じる湖は、不思議と魔力に満ちていて…身体や心が軽くなるようだ。よし、今度ここでレオとピクニックでもしよう。
「…クロムウェル殿下、少しお話したい事が」
いつのまにか横に来ていたリオに驚かされるが、すぐに平静さを保つ。
リオは様々な訓練を受け、レオの従者や護衛だけではなく密かに影としての役割も果たしている。
実に有能で、彼がレオの側に居てくれて本当に助かる。
「ルーズレス嬢ですが、数日前僕に怪しい事を怒鳴ったんです…何か、あるかも知れません」
リオからの報告を受け、湖に手を翳すレオに視線を向ける。
彼は水と風の2属性持ちだ…此処ではレオの魔法の真価を発揮できるだろう。失せ物なんて直ぐ見つけ出せる。
レオ自身は彼女に危険はないと言っていた。だがリオの報告を聞く限りそうとは言い切れない…難しいところだな。
ざばーん!
不意に大きな音が周囲に響く、思わずその方向へ思いっきり振り向くと、輝く笑顔のレオがいた。
うん、可愛い。
…じゃなくて、レオは一体何を!?
一瞬とてつもなく大きな水柱が上がったのを見た気がしたが…気がしただけだ、私は知らない。
何も見てない聞いてない、レオは何故かぐしょ濡れだけど。
リオのちらりと視線を向けると、重い頷きを一つ。よし、箝口令は敷けた。
「クロ様ー!ネックレス、見つけました!」
きゃっきゃと子供の様にはしゃぐレオは本当に可愛い、可愛いけど加減はして欲しいと切実に思う。
私の火と風魔法の応用で髪や身体を乾かしてやると、素直にお礼を告げるレオ。
ぎゅっと抱き締めると、すぐさま抱きしめ返された。
「んふふ、クロ様良い匂いしますね…」
そう言って腕の中に収まるレオの破壊力は、本当に凄まじい。
ほら見て、リオが尊すぎて悶絶してるよ。
愛しい彼に唇を落とし、そのままのんびり湖を眺める…水柱の件は忘れよう、そうしよう。
いつの間にか昼寝を始めたレオに、思わず頬が緩んでしまった。
知っていたのに咎めなかったのは、他でもないレオが必要ないと言ったから…彼女に、レオに対する悪意はないと分かっているから。
分かっていても不快なものは不快だ。
だってレオは、私の愛する人なのだから。
そう言えばレオは笑って私を抱き締める。
近頃はお互い色々忙しくて、2人きりの時間を中々過ごせない。
ある日、久々のお茶会の時間を削った彼女に殺意を抱いたのは不可抗力だと思って欲しい。
目の前でレオに縋る数人の令嬢。
綺麗な笑みを浮かべ、絶対零度の冷たい空気を生み出すレオ…異様な光景だ。
私は、ここまでレオが他人を軽蔑している姿を見たことがない。少し行きすぎた悪戯だとは思うが、レオは過去にもっと凄い悪戯を我が愚弟から受けている筈なのに。
何が琴線に触れたのだろう?
その答えは、すぐに分かった…本当にレオは、素晴らしい人だ。
「人の物を盗むのは最低で愚かな行為です。たったそれだけと思うでしょうが、少なくとも私貴女達を軽蔑する程度には愚行だと思いますよ…見損ないました
ルーズレス嬢がどれだけ必死にネックレスを探していたと思いますか?茂みに上半身を突っ込んでいたんです…それ位、大切な物だと泣いていました」
一度言葉を区切った後、服の上から胸元の何かを握りしめるレオ。
…私が与えた、サファイアのネックレスだろう。
不思議と心が温まり、優越感が生まれる。そう、彼は既に私のものなんだ…なんて、思考に耽っていたら全て終わったらしい。
レオに腕を引かれるまま、私たちはルーズレス嬢の失せ物が沈んでいるらしい湖へと向かった。
学園には小さな森があり、そこの先に美しい湖が広がる場所がある。
何処か神聖さも感じる湖は、不思議と魔力に満ちていて…身体や心が軽くなるようだ。よし、今度ここでレオとピクニックでもしよう。
「…クロムウェル殿下、少しお話したい事が」
いつのまにか横に来ていたリオに驚かされるが、すぐに平静さを保つ。
リオは様々な訓練を受け、レオの従者や護衛だけではなく密かに影としての役割も果たしている。
実に有能で、彼がレオの側に居てくれて本当に助かる。
「ルーズレス嬢ですが、数日前僕に怪しい事を怒鳴ったんです…何か、あるかも知れません」
リオからの報告を受け、湖に手を翳すレオに視線を向ける。
彼は水と風の2属性持ちだ…此処ではレオの魔法の真価を発揮できるだろう。失せ物なんて直ぐ見つけ出せる。
レオ自身は彼女に危険はないと言っていた。だがリオの報告を聞く限りそうとは言い切れない…難しいところだな。
ざばーん!
不意に大きな音が周囲に響く、思わずその方向へ思いっきり振り向くと、輝く笑顔のレオがいた。
うん、可愛い。
…じゃなくて、レオは一体何を!?
一瞬とてつもなく大きな水柱が上がったのを見た気がしたが…気がしただけだ、私は知らない。
何も見てない聞いてない、レオは何故かぐしょ濡れだけど。
リオのちらりと視線を向けると、重い頷きを一つ。よし、箝口令は敷けた。
「クロ様ー!ネックレス、見つけました!」
きゃっきゃと子供の様にはしゃぐレオは本当に可愛い、可愛いけど加減はして欲しいと切実に思う。
私の火と風魔法の応用で髪や身体を乾かしてやると、素直にお礼を告げるレオ。
ぎゅっと抱き締めると、すぐさま抱きしめ返された。
「んふふ、クロ様良い匂いしますね…」
そう言って腕の中に収まるレオの破壊力は、本当に凄まじい。
ほら見て、リオが尊すぎて悶絶してるよ。
愛しい彼に唇を落とし、そのままのんびり湖を眺める…水柱の件は忘れよう、そうしよう。
いつの間にか昼寝を始めたレオに、思わず頬が緩んでしまった。
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