18 / 72
原作開始前
14:おめでとう、大好き
しおりを挟む
待ちに待ったクロ様の誕生日当日。
俺は目一杯おめかしをして、王宮に来ていた。
というかおめかしさせられた。犯人はマーサだ、あの人こういう時容赦ないんだ。
今はもう、生誕パーティーは終わっている…俺とクロ様の、2人きり。
俺は一足先にクロ様の自室へ赴き、1人緊張しながらブレスレットの入った箱を握り締めている。
あれ、プレゼントってどうやって渡せば良いんだっけ?
普通におめでとうございますかな?大好きですって言った方がいい?
あてもなくうろうろしてしまう。
…実は今日、クロ様と寝る準備をして来た。
既に身体を清め、後ろもある程度解してある。
シャツも素材はいいが前を釦で閉じる簡素な作り、下着も…その、そういうやつ。
だってマーサが!こっちの方が良いって!俺は普通ので良いって言ったのに!
先の事への期待と羞恥で、自然に頰が赤らむ感覚。
きっと耳まで真っ赤だろう…そう考えてる時、ガチャリと部屋の扉が開いた。
「お待たせ、レオ…ごめんね、父上が中々離してくれなくて」
「っい、いえ…そんなに待ってませんから」
あぁ、俺は今ちゃんと笑えているだろうか?
緊張で顔が引き攣ってはいないだろうか?
明らかに、挙動不審になってる気がする。
そんな俺に綺麗な笑みを向けて、クロ様はベッドへ腰掛け衣服を緩め始めた。
手招きされ、従う様にゆっくり近寄ると片手を持ち上げられ、指先にクロ様の唇が触れる。
カッと、一気に体温が上がった様な気がした。
「…それで、さっきからレオが持っているのは何?」
促されるままクロ様の膝の上に向かい合う様に座り、当たり前の質問に黙ってしまった。
どうしよう、どうやって切り出せば良い?
いや、こういう時は意外と普通に渡せば良いんだろうか?
ぐるぐる考え込んでいると、いつの間にか箱をクロ様に取り上げられていた。
返してと声を上げる前に、唇を塞がれた。
「そんなに可愛い顔しても駄目だよ…これ、私へのプレゼントだろう?」
「う…そう、です」
「やっぱり。開けても良いかな?」
あくまで俺の気持ちを優先してくれるクロ様の言葉に、素直に頷いた。
どうか気に入ってくれます様に…そう思いながら綺麗な指先が箱を開けるのを見つめる。
中身を見た瞬間、クロ様の目が軽く見開かれた。
「っこれ…これ、本当に貰っていいのかい?意味は分かってる?」
「分かってます!…分かってるから、特注したんです」
「…ふふ、今までで一番嬉しいプレゼントだ。ありがとう、レオ」
本当に嬉しそうな笑みを浮かべるクロ様に、どうしようもなくときめいてしまう。
右手に嵌めたブレスレットを眺めるクロ様の顔に両手を添え、自分の方へと向かせる。
不思議そうに此方を見上げる碧眼に、思わず自分から唇を重ねた。
一瞬クロ様の身体が強張った後、直ぐ応える様唇を啄まれる。
咥内に侵入しようとする舌先を、素直に受け入れ互いの舌を絡め合った。
くちゅくちゅ、濡れた音が部屋に響く。
「…ん、ふッ…ぁ、」
甘く感じる口付けに、脳みそが溶けそうだ。
クロ様の掌が俺の腰を撫でる、それだけで敏感な身体はぞくぞくと震える。
ゆっくり離された唇を、思わず名残り惜しげに目で追った。
「は…レオ、かわいい…大好き、愛してるよ」
「ん、クロさま…だ、抱いてくださ、い」
最後の方は尻窄みになってしまった。
恥ずかしくて顔を俯かせると、不意に身体が傾ぐ。
気が付いたら、俺はベッドの上に押し倒されていた。
「レオ…痛かったりしたら、ちゃんと教えて。精一杯、優しくするから」
「は、い…クロ様のものに、してください」
「はぁ、レオ…そうやって煽るのはやめようね?」
そう言って笑ったクロ様の瞳には、俺に向けられた情欲に濡れていた。
俺は目一杯おめかしをして、王宮に来ていた。
というかおめかしさせられた。犯人はマーサだ、あの人こういう時容赦ないんだ。
今はもう、生誕パーティーは終わっている…俺とクロ様の、2人きり。
俺は一足先にクロ様の自室へ赴き、1人緊張しながらブレスレットの入った箱を握り締めている。
あれ、プレゼントってどうやって渡せば良いんだっけ?
普通におめでとうございますかな?大好きですって言った方がいい?
あてもなくうろうろしてしまう。
…実は今日、クロ様と寝る準備をして来た。
既に身体を清め、後ろもある程度解してある。
シャツも素材はいいが前を釦で閉じる簡素な作り、下着も…その、そういうやつ。
だってマーサが!こっちの方が良いって!俺は普通ので良いって言ったのに!
先の事への期待と羞恥で、自然に頰が赤らむ感覚。
きっと耳まで真っ赤だろう…そう考えてる時、ガチャリと部屋の扉が開いた。
「お待たせ、レオ…ごめんね、父上が中々離してくれなくて」
「っい、いえ…そんなに待ってませんから」
あぁ、俺は今ちゃんと笑えているだろうか?
緊張で顔が引き攣ってはいないだろうか?
明らかに、挙動不審になってる気がする。
そんな俺に綺麗な笑みを向けて、クロ様はベッドへ腰掛け衣服を緩め始めた。
手招きされ、従う様にゆっくり近寄ると片手を持ち上げられ、指先にクロ様の唇が触れる。
カッと、一気に体温が上がった様な気がした。
「…それで、さっきからレオが持っているのは何?」
促されるままクロ様の膝の上に向かい合う様に座り、当たり前の質問に黙ってしまった。
どうしよう、どうやって切り出せば良い?
いや、こういう時は意外と普通に渡せば良いんだろうか?
ぐるぐる考え込んでいると、いつの間にか箱をクロ様に取り上げられていた。
返してと声を上げる前に、唇を塞がれた。
「そんなに可愛い顔しても駄目だよ…これ、私へのプレゼントだろう?」
「う…そう、です」
「やっぱり。開けても良いかな?」
あくまで俺の気持ちを優先してくれるクロ様の言葉に、素直に頷いた。
どうか気に入ってくれます様に…そう思いながら綺麗な指先が箱を開けるのを見つめる。
中身を見た瞬間、クロ様の目が軽く見開かれた。
「っこれ…これ、本当に貰っていいのかい?意味は分かってる?」
「分かってます!…分かってるから、特注したんです」
「…ふふ、今までで一番嬉しいプレゼントだ。ありがとう、レオ」
本当に嬉しそうな笑みを浮かべるクロ様に、どうしようもなくときめいてしまう。
右手に嵌めたブレスレットを眺めるクロ様の顔に両手を添え、自分の方へと向かせる。
不思議そうに此方を見上げる碧眼に、思わず自分から唇を重ねた。
一瞬クロ様の身体が強張った後、直ぐ応える様唇を啄まれる。
咥内に侵入しようとする舌先を、素直に受け入れ互いの舌を絡め合った。
くちゅくちゅ、濡れた音が部屋に響く。
「…ん、ふッ…ぁ、」
甘く感じる口付けに、脳みそが溶けそうだ。
クロ様の掌が俺の腰を撫でる、それだけで敏感な身体はぞくぞくと震える。
ゆっくり離された唇を、思わず名残り惜しげに目で追った。
「は…レオ、かわいい…大好き、愛してるよ」
「ん、クロさま…だ、抱いてくださ、い」
最後の方は尻窄みになってしまった。
恥ずかしくて顔を俯かせると、不意に身体が傾ぐ。
気が付いたら、俺はベッドの上に押し倒されていた。
「レオ…痛かったりしたら、ちゃんと教えて。精一杯、優しくするから」
「は、い…クロ様のものに、してください」
「はぁ、レオ…そうやって煽るのはやめようね?」
そう言って笑ったクロ様の瞳には、俺に向けられた情欲に濡れていた。
139
お気に入りに追加
2,126
あなたにおすすめの小説

ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる