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原作開始前
14:おめでとう、大好き
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待ちに待ったクロ様の誕生日当日。
俺は目一杯おめかしをして、王宮に来ていた。
というかおめかしさせられた。犯人はマーサだ、あの人こういう時容赦ないんだ。
今はもう、生誕パーティーは終わっている…俺とクロ様の、2人きり。
俺は一足先にクロ様の自室へ赴き、1人緊張しながらブレスレットの入った箱を握り締めている。
あれ、プレゼントってどうやって渡せば良いんだっけ?
普通におめでとうございますかな?大好きですって言った方がいい?
あてもなくうろうろしてしまう。
…実は今日、クロ様と寝る準備をして来た。
既に身体を清め、後ろもある程度解してある。
シャツも素材はいいが前を釦で閉じる簡素な作り、下着も…その、そういうやつ。
だってマーサが!こっちの方が良いって!俺は普通ので良いって言ったのに!
先の事への期待と羞恥で、自然に頰が赤らむ感覚。
きっと耳まで真っ赤だろう…そう考えてる時、ガチャリと部屋の扉が開いた。
「お待たせ、レオ…ごめんね、父上が中々離してくれなくて」
「っい、いえ…そんなに待ってませんから」
あぁ、俺は今ちゃんと笑えているだろうか?
緊張で顔が引き攣ってはいないだろうか?
明らかに、挙動不審になってる気がする。
そんな俺に綺麗な笑みを向けて、クロ様はベッドへ腰掛け衣服を緩め始めた。
手招きされ、従う様にゆっくり近寄ると片手を持ち上げられ、指先にクロ様の唇が触れる。
カッと、一気に体温が上がった様な気がした。
「…それで、さっきからレオが持っているのは何?」
促されるままクロ様の膝の上に向かい合う様に座り、当たり前の質問に黙ってしまった。
どうしよう、どうやって切り出せば良い?
いや、こういう時は意外と普通に渡せば良いんだろうか?
ぐるぐる考え込んでいると、いつの間にか箱をクロ様に取り上げられていた。
返してと声を上げる前に、唇を塞がれた。
「そんなに可愛い顔しても駄目だよ…これ、私へのプレゼントだろう?」
「う…そう、です」
「やっぱり。開けても良いかな?」
あくまで俺の気持ちを優先してくれるクロ様の言葉に、素直に頷いた。
どうか気に入ってくれます様に…そう思いながら綺麗な指先が箱を開けるのを見つめる。
中身を見た瞬間、クロ様の目が軽く見開かれた。
「っこれ…これ、本当に貰っていいのかい?意味は分かってる?」
「分かってます!…分かってるから、特注したんです」
「…ふふ、今までで一番嬉しいプレゼントだ。ありがとう、レオ」
本当に嬉しそうな笑みを浮かべるクロ様に、どうしようもなくときめいてしまう。
右手に嵌めたブレスレットを眺めるクロ様の顔に両手を添え、自分の方へと向かせる。
不思議そうに此方を見上げる碧眼に、思わず自分から唇を重ねた。
一瞬クロ様の身体が強張った後、直ぐ応える様唇を啄まれる。
咥内に侵入しようとする舌先を、素直に受け入れ互いの舌を絡め合った。
くちゅくちゅ、濡れた音が部屋に響く。
「…ん、ふッ…ぁ、」
甘く感じる口付けに、脳みそが溶けそうだ。
クロ様の掌が俺の腰を撫でる、それだけで敏感な身体はぞくぞくと震える。
ゆっくり離された唇を、思わず名残り惜しげに目で追った。
「は…レオ、かわいい…大好き、愛してるよ」
「ん、クロさま…だ、抱いてくださ、い」
最後の方は尻窄みになってしまった。
恥ずかしくて顔を俯かせると、不意に身体が傾ぐ。
気が付いたら、俺はベッドの上に押し倒されていた。
「レオ…痛かったりしたら、ちゃんと教えて。精一杯、優しくするから」
「は、い…クロ様のものに、してください」
「はぁ、レオ…そうやって煽るのはやめようね?」
そう言って笑ったクロ様の瞳には、俺に向けられた情欲に濡れていた。
俺は目一杯おめかしをして、王宮に来ていた。
というかおめかしさせられた。犯人はマーサだ、あの人こういう時容赦ないんだ。
今はもう、生誕パーティーは終わっている…俺とクロ様の、2人きり。
俺は一足先にクロ様の自室へ赴き、1人緊張しながらブレスレットの入った箱を握り締めている。
あれ、プレゼントってどうやって渡せば良いんだっけ?
普通におめでとうございますかな?大好きですって言った方がいい?
あてもなくうろうろしてしまう。
…実は今日、クロ様と寝る準備をして来た。
既に身体を清め、後ろもある程度解してある。
シャツも素材はいいが前を釦で閉じる簡素な作り、下着も…その、そういうやつ。
だってマーサが!こっちの方が良いって!俺は普通ので良いって言ったのに!
先の事への期待と羞恥で、自然に頰が赤らむ感覚。
きっと耳まで真っ赤だろう…そう考えてる時、ガチャリと部屋の扉が開いた。
「お待たせ、レオ…ごめんね、父上が中々離してくれなくて」
「っい、いえ…そんなに待ってませんから」
あぁ、俺は今ちゃんと笑えているだろうか?
緊張で顔が引き攣ってはいないだろうか?
明らかに、挙動不審になってる気がする。
そんな俺に綺麗な笑みを向けて、クロ様はベッドへ腰掛け衣服を緩め始めた。
手招きされ、従う様にゆっくり近寄ると片手を持ち上げられ、指先にクロ様の唇が触れる。
カッと、一気に体温が上がった様な気がした。
「…それで、さっきからレオが持っているのは何?」
促されるままクロ様の膝の上に向かい合う様に座り、当たり前の質問に黙ってしまった。
どうしよう、どうやって切り出せば良い?
いや、こういう時は意外と普通に渡せば良いんだろうか?
ぐるぐる考え込んでいると、いつの間にか箱をクロ様に取り上げられていた。
返してと声を上げる前に、唇を塞がれた。
「そんなに可愛い顔しても駄目だよ…これ、私へのプレゼントだろう?」
「う…そう、です」
「やっぱり。開けても良いかな?」
あくまで俺の気持ちを優先してくれるクロ様の言葉に、素直に頷いた。
どうか気に入ってくれます様に…そう思いながら綺麗な指先が箱を開けるのを見つめる。
中身を見た瞬間、クロ様の目が軽く見開かれた。
「っこれ…これ、本当に貰っていいのかい?意味は分かってる?」
「分かってます!…分かってるから、特注したんです」
「…ふふ、今までで一番嬉しいプレゼントだ。ありがとう、レオ」
本当に嬉しそうな笑みを浮かべるクロ様に、どうしようもなくときめいてしまう。
右手に嵌めたブレスレットを眺めるクロ様の顔に両手を添え、自分の方へと向かせる。
不思議そうに此方を見上げる碧眼に、思わず自分から唇を重ねた。
一瞬クロ様の身体が強張った後、直ぐ応える様唇を啄まれる。
咥内に侵入しようとする舌先を、素直に受け入れ互いの舌を絡め合った。
くちゅくちゅ、濡れた音が部屋に響く。
「…ん、ふッ…ぁ、」
甘く感じる口付けに、脳みそが溶けそうだ。
クロ様の掌が俺の腰を撫でる、それだけで敏感な身体はぞくぞくと震える。
ゆっくり離された唇を、思わず名残り惜しげに目で追った。
「は…レオ、かわいい…大好き、愛してるよ」
「ん、クロさま…だ、抱いてくださ、い」
最後の方は尻窄みになってしまった。
恥ずかしくて顔を俯かせると、不意に身体が傾ぐ。
気が付いたら、俺はベッドの上に押し倒されていた。
「レオ…痛かったりしたら、ちゃんと教えて。精一杯、優しくするから」
「は、い…クロ様のものに、してください」
「はぁ、レオ…そうやって煽るのはやめようね?」
そう言って笑ったクロ様の瞳には、俺に向けられた情欲に濡れていた。
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