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原作開始前
閑話8.5:黒猫の独白
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彼と初めて出会ったのは、聖ポーリア学園の中等部1年の教室。
偶然席が隣同士だった。第一印象は、綺麗な人だなぁ…だけど。
話してみるととても気さくで、ころころ表情が変わって。可愛らしい人だった。
僕の両親は放任主義で、貴族のマナーよりのびのび自分らしく生きる事を重きに置いていた。
だから僕は、最低限の礼儀作法しか覚えてなくて。
はっきり言って、無礼者だ。
そんな僕にも彼は…レオンハルト・ライラックは、優しく接してくれた。
間違った作法はちゃんと指摘してくれたし、正しく出来れば褒めてくれた。他の貴族は皆、僕を邪険に扱ったのに。
いつのまにか、レオは僕の親友になっていた。
高等部に上がっても僕たちの仲は続き、学園の誰もが僕たちをワンセットだと言った。
それがとても嬉しくて誇らしくて、僕はより一層勉強に力を入れた。レオの隣に立つ人物に相応しくありたかったから。
くだらない事で笑い合って、楽しい事を一緒にして。たまにレオの惚気話を聞いたりして。
僕の親友は、紛れもなくレオだった。
いつも健康で元気なレオが、ある日体調を崩した。
僕の聖属性魔法で治そうか?と聞いたけど、迷惑はかけられないと断られ、医務室に向かうレオ。
珍しく弱っている姿に、とても心配したけど、そんな心配はすぐに吹き飛んでいったんだ。
「ッリオ!俺、俺ッ…おなかに、殿下との子供がいるんだ!」
花が咲くような笑顔を浮かべるレオ。
親友のおめでたい話に、僕も思わず興奮気味になってしまう。
だって、レオとクロムウェル殿下との子供だよ?そんなのこの世で一番可愛らしい赤ちゃんに決まってるじゃないか!
「レオ、おめでとうっ…産まれたら絶対抱かせてね!?一杯可愛がらせて!?」
「うん、うんっ…約束する!リオに一杯可愛がってもらって、国民からも祝福される子に!」
僕たちは抱き合って、互いに喜んだ。
クロムウェル殿下は今、隣国に公務として赴いている。
帰国するのは一ヵ月後らしい…あぁ、殿下の喜ぶ顔が目に浮かぶ。誰よりもレオを愛しているのは、間違いなくクロムウェル殿下なんだ。
本当に楽しみで、赤ちゃんが生まれるのはまだずっと先なのに、その日はなんだか眠れなかった。
レオは明日から安定期に入るまでの期間、流産しないように王宮で安静に過ごすらしい。
国王陛下からの王命だそうだ…あっという間に、学園中に噂は出回った。
数日後、僕が王宮で会ったレオは…変わり果てた姿だった。
雪のように白いのに程よい血色を保っていた肌理の細かい肌は、色が抜け落ちたように青ざめて。
ぷっくりとした可愛らしい桜色の唇は、紫色に。
レオは二度と、その翡翠色の瞳を見せることは無かった。
直接的な原因は、魔力枯渇による生命エネルギーの低下…衰弱死。
僕たちの身体は魔力が無くなった分を生命エネルギーで補うよう出来ている。
だから、よっぽどのことが無い限り魔力がなくなるまで使う事など無い…それこそ、戦争でも起きなければ。
レオの魔力は通常より多い為、魔力が枯渇することなど早々無い。
かなりの高威力の魔法を打ったときでさえ、けろっとしていた…今は身重なのだから、尚更気をつけていた筈だ。
これは明らかに、レオの妊娠を邪魔に思った貴族による暗殺…それも、かなり高位の家柄の。
犯人を見つけ出す、絶対に。
僕がこの手で殺してみせる。レオを…レオとお腹の子の命を奪った奴を、必ず。
これから先、レオがつかむ筈だった幸せを奪った犯人を許しはしない…手足を切って逃げられなくして、死にそうになった時回復魔法で生き永らえさせる。
簡単に死なせてやるものか。
徐々に衰弱していく自分の身体に、レオはどれだけ怯えただろう?
自分ではどうしようもない状況に絶望しただろうか?
今世では必ず、犯人を殺してみせる…だから、待ってて。
「レオンハルト様、お茶がはいりましたよ」
「うん、ありがとう…リオ」
必ず君と可愛い子供の、晴れやかな未来を守ってみせるよ。
愛しい愛しい、僕の大事なご主人様。
偶然席が隣同士だった。第一印象は、綺麗な人だなぁ…だけど。
話してみるととても気さくで、ころころ表情が変わって。可愛らしい人だった。
僕の両親は放任主義で、貴族のマナーよりのびのび自分らしく生きる事を重きに置いていた。
だから僕は、最低限の礼儀作法しか覚えてなくて。
はっきり言って、無礼者だ。
そんな僕にも彼は…レオンハルト・ライラックは、優しく接してくれた。
間違った作法はちゃんと指摘してくれたし、正しく出来れば褒めてくれた。他の貴族は皆、僕を邪険に扱ったのに。
いつのまにか、レオは僕の親友になっていた。
高等部に上がっても僕たちの仲は続き、学園の誰もが僕たちをワンセットだと言った。
それがとても嬉しくて誇らしくて、僕はより一層勉強に力を入れた。レオの隣に立つ人物に相応しくありたかったから。
くだらない事で笑い合って、楽しい事を一緒にして。たまにレオの惚気話を聞いたりして。
僕の親友は、紛れもなくレオだった。
いつも健康で元気なレオが、ある日体調を崩した。
僕の聖属性魔法で治そうか?と聞いたけど、迷惑はかけられないと断られ、医務室に向かうレオ。
珍しく弱っている姿に、とても心配したけど、そんな心配はすぐに吹き飛んでいったんだ。
「ッリオ!俺、俺ッ…おなかに、殿下との子供がいるんだ!」
花が咲くような笑顔を浮かべるレオ。
親友のおめでたい話に、僕も思わず興奮気味になってしまう。
だって、レオとクロムウェル殿下との子供だよ?そんなのこの世で一番可愛らしい赤ちゃんに決まってるじゃないか!
「レオ、おめでとうっ…産まれたら絶対抱かせてね!?一杯可愛がらせて!?」
「うん、うんっ…約束する!リオに一杯可愛がってもらって、国民からも祝福される子に!」
僕たちは抱き合って、互いに喜んだ。
クロムウェル殿下は今、隣国に公務として赴いている。
帰国するのは一ヵ月後らしい…あぁ、殿下の喜ぶ顔が目に浮かぶ。誰よりもレオを愛しているのは、間違いなくクロムウェル殿下なんだ。
本当に楽しみで、赤ちゃんが生まれるのはまだずっと先なのに、その日はなんだか眠れなかった。
レオは明日から安定期に入るまでの期間、流産しないように王宮で安静に過ごすらしい。
国王陛下からの王命だそうだ…あっという間に、学園中に噂は出回った。
数日後、僕が王宮で会ったレオは…変わり果てた姿だった。
雪のように白いのに程よい血色を保っていた肌理の細かい肌は、色が抜け落ちたように青ざめて。
ぷっくりとした可愛らしい桜色の唇は、紫色に。
レオは二度と、その翡翠色の瞳を見せることは無かった。
直接的な原因は、魔力枯渇による生命エネルギーの低下…衰弱死。
僕たちの身体は魔力が無くなった分を生命エネルギーで補うよう出来ている。
だから、よっぽどのことが無い限り魔力がなくなるまで使う事など無い…それこそ、戦争でも起きなければ。
レオの魔力は通常より多い為、魔力が枯渇することなど早々無い。
かなりの高威力の魔法を打ったときでさえ、けろっとしていた…今は身重なのだから、尚更気をつけていた筈だ。
これは明らかに、レオの妊娠を邪魔に思った貴族による暗殺…それも、かなり高位の家柄の。
犯人を見つけ出す、絶対に。
僕がこの手で殺してみせる。レオを…レオとお腹の子の命を奪った奴を、必ず。
これから先、レオがつかむ筈だった幸せを奪った犯人を許しはしない…手足を切って逃げられなくして、死にそうになった時回復魔法で生き永らえさせる。
簡単に死なせてやるものか。
徐々に衰弱していく自分の身体に、レオはどれだけ怯えただろう?
自分ではどうしようもない状況に絶望しただろうか?
今世では必ず、犯人を殺してみせる…だから、待ってて。
「レオンハルト様、お茶がはいりましたよ」
「うん、ありがとう…リオ」
必ず君と可愛い子供の、晴れやかな未来を守ってみせるよ。
愛しい愛しい、僕の大事なご主人様。
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