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親友が寝ていた私の上に飛び乗って起こしてくれました
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次の日の朝、私はゆっくり寝ていようと思ったのだ。
久しぶりの自分の部屋のベッドだったし、今日くらいはゆっくり出来ると思ったのだ。
でも、それは甘かった。
「エリー!」
「ギャッ!」
布団の中にいたのに、私は布団の上に何かが落ちてきて、叩き起こされたのだ。
「セッシー!」
そう、私のベッドの上から飛び乗ってきたのは私の親友のセッシー事、セシール・ブラント侯爵令嬢だった。
でも、侯爵令嬢がいきなり、人の寝込みを襲って、ベッドの上から飛び乗ってくるか?
まあ、これがネス湖の怪獣ならぬ、セシール湖の怪獣セッシーな所以なんだけど……
侯爵家の邸宅はセシール湖という湖に面していて、遊びに行った時に怪獣のお面を被って湖から現れたのが、セッシーなのだ。
私は密かに怪獣セッシーと心の中で呼んでいた。
「エリー、酷いじゃない! サルタルから帰ってきたのならすぐに教えてよ」
ベッドの私の上でセッシーは文句を言った。
「教えてって帰ってきたのは昨日よ、それもサンタルからね」
私は一応セッシーの間違いを修正したのだ。
「それでもよ! 途中からでも文は送れるでしょう」
「なかなか忙しくて」
「何言っているのよ。あなたがいなかったおかげて私はこの3年間本当につまんなかったんだから。判っているの! エリー!」
「判ったから取り敢えず私の上から退いてよ」
「えっ、あなたが謝ったら退いてあげる」
「いや、ちょっと、重いから」
私は扉の入口で呆れて見ているアリスに視線で助けを求めたが、アリスは肩を竦めただけだった。冷たい!
本来貴族の令嬢が他人の寝室に入ってくるなんて出来ないはずなのに、セッシーはいつもやってくれるのだ。騎士も侍女も慣れているからか、慣れるなと叫びたいんだけど、いつもスルーパスで私の寝室まで飛び込んでくるんだけど……
「嫌だ」
本当にセッシーは我儘なのだ。
「判った。ゴメン。だから退いて」
「本当にもう、仕方がないわね」
渋々セッシーは退いてくれた。
こいつ昔に比べたら絶対に重くなっている。そう言ったら倍くらいになって言い返されるから言わないけれど……
「本当に勝手にサルサルなんて辺境の地にあなたが行くから、学園も全然おもしろくなかったわ」
セッシーは文句を機関銃のように話しだしたのだ。セッシーは基本話しだしたら止まらないのだ。いつもこうやって絶対に周りに迷惑をかけている方だと思う。
この調子で学園でもやっていたので、絶対に周りに引かれたのだ。サンタルのことを猿猿なんて言っているし……
「マルクスお義兄様がいたから良かったでしょ」
「マルクス様と一緒だったのは1年だけじゃない。それに学年も2年も離れていたし。お忙しいみたいで、あまり私のことを相手にしてもらえなかったのよね」
そう、何を隠そうとセッシーは3番目のマルクスお義兄様の婚約者なのだ。
まあ、これだけ話をされたらマルクスお義兄様も迷惑だろう。一度私はマルクスお義兄様に婚約者がセッシーで良かったのか聞いてみたのだ。
「うん、あの子は一緒にいると一人で話してくれるから楽だし、内容もエリーゼのあること無いこと面白おかしく話してくれるから良いかなと」
おい! セッシー、マルクスお義兄様に何を話してくれているのだ! 絶対にこいつは誇張して私のことを話してくれているに違いない。でも、そんなのが婚約者になる理由でよいのか?
私はそう思ったのだが、セッシーにしても、マルクスお義兄様の婚約者でいる理由が、私と親戚になれるからとか言うとんでもない理由なんだけど……
4男のフランシスとは血が繋がっているけれど、マルクスお義兄様とは血は繋がっていないと言うと
「何言っているのよ。絶対に親戚になれるわよ。レオン様のあなたを見る目は異常だし」
理由のわからない理由を述べてくれるんだけど。私には全然判らなかった。
「……それに最近はベアトリス様とかが我が物顔で宮殿内をのさばってくれていて、本当にここに来づらかったのよ」
セッシーはまだ話していた。
私は右から左に流しているから良いけれど、真面目にセッシーの話を聞いているのは本当に大変なのだ。
久しぶりの自分の部屋のベッドだったし、今日くらいはゆっくり出来ると思ったのだ。
でも、それは甘かった。
「エリー!」
「ギャッ!」
布団の中にいたのに、私は布団の上に何かが落ちてきて、叩き起こされたのだ。
「セッシー!」
そう、私のベッドの上から飛び乗ってきたのは私の親友のセッシー事、セシール・ブラント侯爵令嬢だった。
でも、侯爵令嬢がいきなり、人の寝込みを襲って、ベッドの上から飛び乗ってくるか?
まあ、これがネス湖の怪獣ならぬ、セシール湖の怪獣セッシーな所以なんだけど……
侯爵家の邸宅はセシール湖という湖に面していて、遊びに行った時に怪獣のお面を被って湖から現れたのが、セッシーなのだ。
私は密かに怪獣セッシーと心の中で呼んでいた。
「エリー、酷いじゃない! サルタルから帰ってきたのならすぐに教えてよ」
ベッドの私の上でセッシーは文句を言った。
「教えてって帰ってきたのは昨日よ、それもサンタルからね」
私は一応セッシーの間違いを修正したのだ。
「それでもよ! 途中からでも文は送れるでしょう」
「なかなか忙しくて」
「何言っているのよ。あなたがいなかったおかげて私はこの3年間本当につまんなかったんだから。判っているの! エリー!」
「判ったから取り敢えず私の上から退いてよ」
「えっ、あなたが謝ったら退いてあげる」
「いや、ちょっと、重いから」
私は扉の入口で呆れて見ているアリスに視線で助けを求めたが、アリスは肩を竦めただけだった。冷たい!
本来貴族の令嬢が他人の寝室に入ってくるなんて出来ないはずなのに、セッシーはいつもやってくれるのだ。騎士も侍女も慣れているからか、慣れるなと叫びたいんだけど、いつもスルーパスで私の寝室まで飛び込んでくるんだけど……
「嫌だ」
本当にセッシーは我儘なのだ。
「判った。ゴメン。だから退いて」
「本当にもう、仕方がないわね」
渋々セッシーは退いてくれた。
こいつ昔に比べたら絶対に重くなっている。そう言ったら倍くらいになって言い返されるから言わないけれど……
「本当に勝手にサルサルなんて辺境の地にあなたが行くから、学園も全然おもしろくなかったわ」
セッシーは文句を機関銃のように話しだしたのだ。セッシーは基本話しだしたら止まらないのだ。いつもこうやって絶対に周りに迷惑をかけている方だと思う。
この調子で学園でもやっていたので、絶対に周りに引かれたのだ。サンタルのことを猿猿なんて言っているし……
「マルクスお義兄様がいたから良かったでしょ」
「マルクス様と一緒だったのは1年だけじゃない。それに学年も2年も離れていたし。お忙しいみたいで、あまり私のことを相手にしてもらえなかったのよね」
そう、何を隠そうとセッシーは3番目のマルクスお義兄様の婚約者なのだ。
まあ、これだけ話をされたらマルクスお義兄様も迷惑だろう。一度私はマルクスお義兄様に婚約者がセッシーで良かったのか聞いてみたのだ。
「うん、あの子は一緒にいると一人で話してくれるから楽だし、内容もエリーゼのあること無いこと面白おかしく話してくれるから良いかなと」
おい! セッシー、マルクスお義兄様に何を話してくれているのだ! 絶対にこいつは誇張して私のことを話してくれているに違いない。でも、そんなのが婚約者になる理由でよいのか?
私はそう思ったのだが、セッシーにしても、マルクスお義兄様の婚約者でいる理由が、私と親戚になれるからとか言うとんでもない理由なんだけど……
4男のフランシスとは血が繋がっているけれど、マルクスお義兄様とは血は繋がっていないと言うと
「何言っているのよ。絶対に親戚になれるわよ。レオン様のあなたを見る目は異常だし」
理由のわからない理由を述べてくれるんだけど。私には全然判らなかった。
「……それに最近はベアトリス様とかが我が物顔で宮殿内をのさばってくれていて、本当にここに来づらかったのよ」
セッシーはまだ話していた。
私は右から左に流しているから良いけれど、真面目にセッシーの話を聞いているのは本当に大変なのだ。
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