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学園舞踏会 山姥の父が我が母が伯爵を殺したと告発しました
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私はアル様にエスコートされて、会場に入った。
皆からの視線を感じる。お貴族様方は平民の私がアル様の横にいるのに、決していい気はしないだろう。所々から鋭い視線を感じる。
しかし、王妃様から命じられた一部お貴族様は私がアル様の婚約者が良いとか請願しているのだとか。
でも、まあ、平民がそんなのは許されるわけはない。
母にもあれは冗談だから忘れるようにと言われているし。
平民の娘が王太子妃になるなんてあり得ないのだ。学園にいる間だけだ。私は心に刻んでいる。
私は仲良くいるタチアナとクンラートを見つけた。アル様もそちらに向かう。
「シルフィ、めちゃくちゃキレイじゃない」
「タチアナもきれいよ」
私は青いドレスを着たタチアナを褒めた。本当に女王様みたいだ。
はっきり言ってタチアナなら、問題なくアル様の横に立てるのに・・・・。まあ、タチアナのクンラートに対する気持ちを無視すればだけど・・・・。でも、それはそれでなんか少しむっとするんだけど・・・・・
「そのドレスってひょっとして『マルティーナ』のドレスなの?」
タチアナが聞いてくれた。
「そうなの。馬子にも衣装でしょう」
本当に王女様の着るドレスと言われてもわからないような、おしゃれなドレスそのままなのだ。
「あんた元々きれいだから。この衣装があなたを更に映えさせているだけよ」
タチアナは言ってくれるんだけど、
「タチアナの美しさに比べたら、全然ですよね、クンラート様」
せっかく、私がクンラートに振ってあげたのに、ヘタレのクンラートは
「ああ、そうだな」
としか返さないんだけど。男ならもっと褒めろよ。
まあ、この二人が仲良くしているのならそれでいいか。
私は、元々この二人が仲良くなることを目標にしていたので、それは達成されたみたいだ。それで良しとすべきだ。
でも、そろそろ私も母さんみたいに身の丈のあった男性を探さないと。
私がキョロキョロしていると
「何を探しているんだ」
不審そうにアル様が聞いてきた。
「いえ、クラスメートがどこにいるのかなって」
「俺を隣にして他の男を見るのは止めてくれ」
アル様が不機嫌に言う。
げっ、アル様にバレた。私は少し青くなった。
「まあ、我が子もそんなに自分に自信がないのかしら。本当にヘタれね。もっと自分に自信を持ちなさい」
後ろから王妃様が注意してくるんだけど。
それを見て何で侍女がここにいるんだと不審に思っていたクンラートがぎょっとした。やっと王妃様と気付いたのだ。その横にはタチアナの母上もいるし。流石にその恰好なので、どう挨拶したら良いか判らなかったみたいだ。王妃様はそんなクンラートらに首を振られた。
「煩いですね。誰のせいだと思っているのですか。最近いいところを全て目立ちたがり屋の母上に取られているのですよ」
ムッとしてアル様が言い返された。
「まあ、実の母親に嫉妬するなんて、尻の穴の小さな男ね」
ちょっと王妃様の言葉ではないように気がするんだけど。
なんかこの位置とても居づらいんですけど。
絶対に侍女を3人も侍らせている私は変だし、その侍女が我が国最強の女性陣なんですけど。
平民の小娘が三英傑を従えているみたいな感じだ。
絶対に変!
そこに入口あたりが騒がしくなった。
陛下が到着されたみたいだ。
そして、その横には白髪の紳士と山姥とその母がいる。
という事は白髪の紳士は侯爵様か。
白髪の紳士が何か陛下に言っているが、陛下は首を振って取り敢えず、壇上に向かって歩いてこられた。
白髪の紳士ら一行が私達の対になる位置に来る。どうやらそこは高位貴族らがいるところみたいだった。
紳士らの鋭い視線が私に突き刺さった。絶対に平民の女がアル様の横にいるのはおかしいという怒りの視線だ。
怖いんだけど。
それから守るようにアル様が間に入ってくれて、私はホっとした。
学園長が国王陛下にペコペコ頭を下げている。
相変わらず、強いものには学園長は弱いみたいだ。
そして、学園長の開会の長々とした挨拶が始まった。
いい加減に飽きたところで
「本日はこの国の国王陛下にお越し頂いております。陛下からお言葉を賜りたいと存じます。陛下、宜しくお願い致します」
やっと長々した挨拶が終わって、陛下が壇上に立たれた。
「この王立学園の生徒諸君、並びに父兄の皆へ。今日のこの晴天の日に、学園舞踏会に招いてもらって、誠に嬉しく思う。この王立学園の生徒諸君は、将来このロンド王国の中枢を担う重要な人材だ。これからパーティーなどに招待されることも多いだろう。今日はまずその練習という意味もあるので、日頃の成果を十二分に発揮してもらいたい。もっとも学園の中なので、そこまで窮屈に考える必要はないのだが」
そう言うと陛下は微笑まれた。思わず一部のものはホッとした表情をする。私もそうだ。
「それと、報告だが、この学園の卒業生であり、我が腹心のアントン・バースが、近々子爵位を叙爵されることが決まった。」
その言葉に聴衆が騒がしくなる。
陛下の言葉に私は固まってしまった。そうなんだ、決まったんだ。って待て、今、陛下の腹心って言葉が聞こえたんだけど。父様って陛下の腹心だったの?
私が驚愕した時だ。
「陛下、お待ち下さい」
そこへいきなり、反対側にいた白髪の紳士が陛下の声を遮ったのだ。
「どうした、コリス、余はまだ話の途中なのだが」
「お怒りはごもっともでございますが、昨日、そのアントンの家内がマデロン・クライエンホフ伯爵を殺したのです。そのような者の夫を子爵位に叙爵するなどもってのほかではありませんか」
侯爵の言葉は参加者を混乱の渦に叩き込んだのだった。
皆からの視線を感じる。お貴族様方は平民の私がアル様の横にいるのに、決していい気はしないだろう。所々から鋭い視線を感じる。
しかし、王妃様から命じられた一部お貴族様は私がアル様の婚約者が良いとか請願しているのだとか。
でも、まあ、平民がそんなのは許されるわけはない。
母にもあれは冗談だから忘れるようにと言われているし。
平民の娘が王太子妃になるなんてあり得ないのだ。学園にいる間だけだ。私は心に刻んでいる。
私は仲良くいるタチアナとクンラートを見つけた。アル様もそちらに向かう。
「シルフィ、めちゃくちゃキレイじゃない」
「タチアナもきれいよ」
私は青いドレスを着たタチアナを褒めた。本当に女王様みたいだ。
はっきり言ってタチアナなら、問題なくアル様の横に立てるのに・・・・。まあ、タチアナのクンラートに対する気持ちを無視すればだけど・・・・。でも、それはそれでなんか少しむっとするんだけど・・・・・
「そのドレスってひょっとして『マルティーナ』のドレスなの?」
タチアナが聞いてくれた。
「そうなの。馬子にも衣装でしょう」
本当に王女様の着るドレスと言われてもわからないような、おしゃれなドレスそのままなのだ。
「あんた元々きれいだから。この衣装があなたを更に映えさせているだけよ」
タチアナは言ってくれるんだけど、
「タチアナの美しさに比べたら、全然ですよね、クンラート様」
せっかく、私がクンラートに振ってあげたのに、ヘタレのクンラートは
「ああ、そうだな」
としか返さないんだけど。男ならもっと褒めろよ。
まあ、この二人が仲良くしているのならそれでいいか。
私は、元々この二人が仲良くなることを目標にしていたので、それは達成されたみたいだ。それで良しとすべきだ。
でも、そろそろ私も母さんみたいに身の丈のあった男性を探さないと。
私がキョロキョロしていると
「何を探しているんだ」
不審そうにアル様が聞いてきた。
「いえ、クラスメートがどこにいるのかなって」
「俺を隣にして他の男を見るのは止めてくれ」
アル様が不機嫌に言う。
げっ、アル様にバレた。私は少し青くなった。
「まあ、我が子もそんなに自分に自信がないのかしら。本当にヘタれね。もっと自分に自信を持ちなさい」
後ろから王妃様が注意してくるんだけど。
それを見て何で侍女がここにいるんだと不審に思っていたクンラートがぎょっとした。やっと王妃様と気付いたのだ。その横にはタチアナの母上もいるし。流石にその恰好なので、どう挨拶したら良いか判らなかったみたいだ。王妃様はそんなクンラートらに首を振られた。
「煩いですね。誰のせいだと思っているのですか。最近いいところを全て目立ちたがり屋の母上に取られているのですよ」
ムッとしてアル様が言い返された。
「まあ、実の母親に嫉妬するなんて、尻の穴の小さな男ね」
ちょっと王妃様の言葉ではないように気がするんだけど。
なんかこの位置とても居づらいんですけど。
絶対に侍女を3人も侍らせている私は変だし、その侍女が我が国最強の女性陣なんですけど。
平民の小娘が三英傑を従えているみたいな感じだ。
絶対に変!
そこに入口あたりが騒がしくなった。
陛下が到着されたみたいだ。
そして、その横には白髪の紳士と山姥とその母がいる。
という事は白髪の紳士は侯爵様か。
白髪の紳士が何か陛下に言っているが、陛下は首を振って取り敢えず、壇上に向かって歩いてこられた。
白髪の紳士ら一行が私達の対になる位置に来る。どうやらそこは高位貴族らがいるところみたいだった。
紳士らの鋭い視線が私に突き刺さった。絶対に平民の女がアル様の横にいるのはおかしいという怒りの視線だ。
怖いんだけど。
それから守るようにアル様が間に入ってくれて、私はホっとした。
学園長が国王陛下にペコペコ頭を下げている。
相変わらず、強いものには学園長は弱いみたいだ。
そして、学園長の開会の長々とした挨拶が始まった。
いい加減に飽きたところで
「本日はこの国の国王陛下にお越し頂いております。陛下からお言葉を賜りたいと存じます。陛下、宜しくお願い致します」
やっと長々した挨拶が終わって、陛下が壇上に立たれた。
「この王立学園の生徒諸君、並びに父兄の皆へ。今日のこの晴天の日に、学園舞踏会に招いてもらって、誠に嬉しく思う。この王立学園の生徒諸君は、将来このロンド王国の中枢を担う重要な人材だ。これからパーティーなどに招待されることも多いだろう。今日はまずその練習という意味もあるので、日頃の成果を十二分に発揮してもらいたい。もっとも学園の中なので、そこまで窮屈に考える必要はないのだが」
そう言うと陛下は微笑まれた。思わず一部のものはホッとした表情をする。私もそうだ。
「それと、報告だが、この学園の卒業生であり、我が腹心のアントン・バースが、近々子爵位を叙爵されることが決まった。」
その言葉に聴衆が騒がしくなる。
陛下の言葉に私は固まってしまった。そうなんだ、決まったんだ。って待て、今、陛下の腹心って言葉が聞こえたんだけど。父様って陛下の腹心だったの?
私が驚愕した時だ。
「陛下、お待ち下さい」
そこへいきなり、反対側にいた白髪の紳士が陛下の声を遮ったのだ。
「どうした、コリス、余はまだ話の途中なのだが」
「お怒りはごもっともでございますが、昨日、そのアントンの家内がマデロン・クライエンホフ伯爵を殺したのです。そのような者の夫を子爵位に叙爵するなどもってのほかではありませんか」
侯爵の言葉は参加者を混乱の渦に叩き込んだのだった。
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