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悪徳財務官視点1 ライバルの娘を襲わせることにしました

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俺の名前はヨハン・ブル 財務省の部長だ。
主に貴族の徴税関係をやっている。貴族共が毎年きちんと税金を国庫に収めさせるのが仕事だ。
でも、貴族共は強かだ。すぐに不正して徴税額を誤魔化そうとするのだ。天候が良くても、天候不順で作柄不作だとか、ちょっと低温だったので取れ高が減っただ、果ては重税を課しすぎて村民が逃散したとか、いろんな言い訳をしてくるのだ。

そんな貴族から徴税するのは大変なのだが、なあに、俺様ほどになるとそんな貴族の相手をするのは朝飯前なのだ。俺様は貴族の不正を見抜くのはうまいのだ。そんな貴族の不正を見つけて指摘してやると、うるさかった貴族たちも急に静かになって従順になってくる。そこを指導してやればよいのだ。

もっとも俺様も悪魔ではない。少し税金をちょろまかすの前に、俺様に付届けさえ持ってくれば、見逃してやらぬこともない。なあに、大半の税務官が多かれ少なかれしていることだ。
そうして多少の私腹を肥やしつつ、俺様は順風満帆に財務官生活を送っていたのだ。


そう、かのバースが入ってくるまでは。このバースは国王の覚えもめでたく、今までの不正を次々と見つけて国庫に納めていくのだ。その上、貴族から金も受け取らない。俺たち財務官にとってどうしようもなく、目障りな存在になったのだ。

しかし、こいつのバックには国王とブールセマ公爵がついているのだ。手を出しようもなかった。

その上、その家内が一部貴族たちにはとても怖れられている存在だったようで、俺が逆らうことを示唆しても、バースの言うことに逆らう貴族はほとんどいないのだ。

本当に目障りな存在だった。



その目障りなバースが今度はなんといきなり子爵位に昇爵するというのだ。

俺には青天の霹靂だった。俺様でもまだ男爵にさえ、なれていないのに。何故だ!

バースが子爵になれば、末は財務卿になるのではないかと言われ始めたのだ。そして、子爵位になれば俺の上司になるのは確実だろう。

こんな奴が上司になるなど、俺には許せなかった。


それに、そのバースのかわいがっている娘が、なんと王太子に気に入られているのだと言う。

こいつが未来の国王の祖父になるなど、許せるわけはなかった。

こいつがしゃしゃり出てきたせいで何度美味しい思いが不意になったことか。
俺はなんとしてでもそれを阻止したかった。


そんな俺には前から親しくしている侯爵家があった。昔、使用人が不正を働いて金を横領していたのを見抜いて教えてやったのだ。コリス・ソーメルス侯爵だ。何でもその娘が、今隣国の王女に振られて、婚約者のいなくなった王太子の婚約者の最有力候補だというのだ。

侯爵はなんとしても娘を王太子妃にしたいみたいだった。

まあ、この侯爵が外祖父になれば俺の出世も約束されるだろう。憎きバースが左遷されるのも確実だ。

侯爵から協力を要請された俺も、手伝うのはやぶさかではなかった。

そういえば俺には最近隣国の伯爵がやたらと接近してくるのだ。その伯爵はこの国にもいろんなつてを持っていて商売を展開したがっていたが、バースらが反対していると言う。一介の財務官風情が交易にまで口出すものではないわ。

俺達はそのバースの娘を痛い目に会わせるために、色々と画策を始めたのだ。

その娘が傷物になってしまえば、王太子妃になるわけにも行くまい。それに都合のいいことに娘はまだ平民で学園には一人で歩いて通っているらしい。

俺たちはその娘を襲わせることにしたのだ。

バースの娘は結構見目麗しいらしい。傷物にしてそのまま隣国に奴隷として差し出せば言うことはない。なんだったら父親のせいでこうなったと思い知らせて、父親を恨ませながら、泣き叫ぶ娘を犯しても良い。隣国に売り飛ばせば二度とこの国に戻ってこれないだろう。
娘のことを心配して憔悴するバースの顔が見れれば俺は言うことはなかった。

俺はニヤけた笑いが止まらなくなっていた。

俺たちは隣国の伯爵にゴロツキを手配させたのだ。
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