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必至に逃げた先に何故か王妃たちが待ち構えていました
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何故、何故変身できない!
私は本当に焦った。
「私の前にひれ伏しなさい!」
再度叫ぶが私の体は何も変わらなかった。変身した衣装があまりにもけばけばしいとか、趣味が悪いとか幼稚趣味だとか私が散々けなしたから神様がへそを曲げてしまったからだろうか? 変身できなくなっていたのだ。私はけなしたことを後悔したが、もう遅かった。
私は完全にテンパッてしまった。
「どうしたのよ。パティ。遊んでいる場合じゃないわよ!」
「変身できないのよ」
マチルダの声に私は呆然と言い返した。
「えっ、そうなの?」
マチルダも驚いたみたいだった。
しかも、今はそれどころではなかった。
「そこの小娘、鬼ばばあとは私のことか」
そこには怒りに髪を振り乱した王妃がいたのだ。
私に完全にバカにされたと思っているのだ。
や、やばい完全に怒らせてしまった。
「おのれ、兵士ども、直ちにこの女たちを殺……」
大声で指示をしようとした王妃に向かってマチルダは丸いものを投げつけたのだ。
「殿下、危ない」
護衛の一人が王妃の前に出る。
その護衛にマチルダの投げたものが当たったのだ。
ピカッ
それは凄まじい光を光って辺り一面を真っ白にしたのだった。
周りが何も見えなくなる。
目眩ましだった。
皆目を押さえている。
でも、使う時は教えてほしかった。私もそれをもろに見てしまったのだ。だから何も見えないんだけど。
「こっちよ」
「ちょっと待ってよ」
「どうしたのよ」
「見えないのよ」
マチルダが叫んでいるが見えないのだ。
「何してるのよ」
マチルダが呆れて、それでも私を引っ張ってくれて、なんとか外に出たのだ。
途中何回も転びそうになりながら。
「早くしてよ。本当にドジね」
「誰が悪いと思っているのよ」
私が文句を言うと
「変身できなくなったあんたでしょ」
そのマチルダの言葉には何も反論できなかった……
でも、文句が言い合えたのもそれまでだった。
外に出た途端に、兵士たちが斬りかかってきたのだ。
「邪魔よ」
マチルダが鉄扇を畳んで殴りつけているんだけど。
何故か、剣より強かった。斬り掛かった兵士が弾き飛ばされた。
「こっちにいたぞ」
他の兵士が叫んで私に斬りかかってきた。
死ぬっ!
私がそう思ったときだ。
ギン!
それをジルが横から剣で受けてくれたのだ。
「ジル!」
私は感激した。
「大丈夫か、パティ」
「ええ、ありがとう」
私は当然のお礼を言ったのだ。
「危ない」
今度はジルが私を引っ張ってくれた。
後ろから兵士が切りかかってきたのだ。
私のいたところに剣筋が走る。
「ギャーーー」
その兵士をどうやって拘束から逃げてきたのかブラッドが斬り払ってくれたのだ。
兵士は血を流して倒れ込む。
「ブラッド」
「ふんっ、ジルだけにいい目は合わせられないぜ」
ブラッドが片目を瞑ってくれた。
しかし、兵士たちは後から後から湧いてくる。
「あなた達何をやっているのよ。こっちよ」
横の通路からマチルダが呼んでくれた。
私達は慌ててその通路に飛び込んだ。
通路は入り組んでいたが流石に横からは誰も出てこない。
後ろから追ってくるだけだった。
途中で何回かジルとブラッドが兵士と戦ってくれた。
私が走り疲れた時だ。
門のようなものがあったので、それをジルとブラッドで閉めてくれた。
私が慌ててかんぬきをかける。
私達はホッと大きくため息をした。
「これでしばらく。敵は来れないはずだ」
「そうよね」
ハアハア息をしながらジルの言葉に私は大きく頷いてジルを見た。
ジルは私に微笑んでいた。
何かジルのイケメンな笑顔がまぶしいんだけど。なんか急に心臓がドキドキする。
「本当だな」
横からブラッドに言われてはっとする。そういえば、ブラッドもいたんだ。
「行くわよ」
前から呆れたようにマチルダが言って歩こうとした時だ。
私達は四方からいきなり光を浴びせられたのだ。
思わず目を押さえる。
「待っていたわよ」
そこには兵士たちを後ろに従えた王妃が不敵な笑みを浮かべて立っていたのだ。
**************************************************************
どうなるパティ?
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私は本当に焦った。
「私の前にひれ伏しなさい!」
再度叫ぶが私の体は何も変わらなかった。変身した衣装があまりにもけばけばしいとか、趣味が悪いとか幼稚趣味だとか私が散々けなしたから神様がへそを曲げてしまったからだろうか? 変身できなくなっていたのだ。私はけなしたことを後悔したが、もう遅かった。
私は完全にテンパッてしまった。
「どうしたのよ。パティ。遊んでいる場合じゃないわよ!」
「変身できないのよ」
マチルダの声に私は呆然と言い返した。
「えっ、そうなの?」
マチルダも驚いたみたいだった。
しかも、今はそれどころではなかった。
「そこの小娘、鬼ばばあとは私のことか」
そこには怒りに髪を振り乱した王妃がいたのだ。
私に完全にバカにされたと思っているのだ。
や、やばい完全に怒らせてしまった。
「おのれ、兵士ども、直ちにこの女たちを殺……」
大声で指示をしようとした王妃に向かってマチルダは丸いものを投げつけたのだ。
「殿下、危ない」
護衛の一人が王妃の前に出る。
その護衛にマチルダの投げたものが当たったのだ。
ピカッ
それは凄まじい光を光って辺り一面を真っ白にしたのだった。
周りが何も見えなくなる。
目眩ましだった。
皆目を押さえている。
でも、使う時は教えてほしかった。私もそれをもろに見てしまったのだ。だから何も見えないんだけど。
「こっちよ」
「ちょっと待ってよ」
「どうしたのよ」
「見えないのよ」
マチルダが叫んでいるが見えないのだ。
「何してるのよ」
マチルダが呆れて、それでも私を引っ張ってくれて、なんとか外に出たのだ。
途中何回も転びそうになりながら。
「早くしてよ。本当にドジね」
「誰が悪いと思っているのよ」
私が文句を言うと
「変身できなくなったあんたでしょ」
そのマチルダの言葉には何も反論できなかった……
でも、文句が言い合えたのもそれまでだった。
外に出た途端に、兵士たちが斬りかかってきたのだ。
「邪魔よ」
マチルダが鉄扇を畳んで殴りつけているんだけど。
何故か、剣より強かった。斬り掛かった兵士が弾き飛ばされた。
「こっちにいたぞ」
他の兵士が叫んで私に斬りかかってきた。
死ぬっ!
私がそう思ったときだ。
ギン!
それをジルが横から剣で受けてくれたのだ。
「ジル!」
私は感激した。
「大丈夫か、パティ」
「ええ、ありがとう」
私は当然のお礼を言ったのだ。
「危ない」
今度はジルが私を引っ張ってくれた。
後ろから兵士が切りかかってきたのだ。
私のいたところに剣筋が走る。
「ギャーーー」
その兵士をどうやって拘束から逃げてきたのかブラッドが斬り払ってくれたのだ。
兵士は血を流して倒れ込む。
「ブラッド」
「ふんっ、ジルだけにいい目は合わせられないぜ」
ブラッドが片目を瞑ってくれた。
しかし、兵士たちは後から後から湧いてくる。
「あなた達何をやっているのよ。こっちよ」
横の通路からマチルダが呼んでくれた。
私達は慌ててその通路に飛び込んだ。
通路は入り組んでいたが流石に横からは誰も出てこない。
後ろから追ってくるだけだった。
途中で何回かジルとブラッドが兵士と戦ってくれた。
私が走り疲れた時だ。
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「本当だな」
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思わず目を押さえる。
「待っていたわよ」
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私の絶賛発売中の書籍化作品はこちら
『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/302627913
7月5日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
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