69 / 82
ぴーちゃんが拐われそうになりました。
しおりを挟む
私達が魔物たちに襲われたと知って直ちに近くの騎士たちか駆けつけてきた。
やってきた先生たちも恐慌状態だった。
そんな中、魔物がぴーちゃんの活躍で逃げていったと知って皆唖然とした。
が、中々信じてもらえなかった。
「私がユニコーンに頼んで追い払ってもらったのです」
マチルダがいい加減なことを言ったが、反論しようとした私をマチルダが必死にウィンクしてきたので、仕方無しに、黙っていた。
あとで理由を聞くと
「ピースケが追い払ったって聞いたら研究所に連れて行かれて、下手したら解剖されてしまうわよ」
私はマチルダの言葉に絶句した。
そんな事許す訳にはいかない。
それにマチルダの言う通りかもしれない。だってこんな可愛いぴーちゃんが追い払ったなんて誰も信じられないし、何か魔物が忌避する特殊な薬液か何かをぴーちゃんが分泌したとか調べられる可能性は十二分にあるのだ。それよりはユニコーンが追い払ってくれたという方が説得力はある。
でも、どう見てもユニコーンはぴーちゃんの下僕と化しているんだけど。
ぴーちゃんが指示すると嫌々ながら従うのだ。
「このようなところにおいておいて、魔物たちに復讐されたら可愛そうですわ。私の家に連れて帰ります」
マチルダはそう言うのだが、そういうふうに指示しているのがお菓子に釣られたぴーちゃんなのだから。
「ピースケ。今度は帝都にある有名なケーキを取り寄せてあげるからね」
「ぴー」
こいつは本当にお菓子で釣られるのだ。
私はむっとしつつ、
「もう、パティにも上げるから」
と言われてなし崩し的になってしまったんだげと。私も悪いかも……
「ピースケ、後はもふもふしたいからフェンリルもペットにほしいわ」
何かマチルダが言っているけれど、こいつはぴーちゃんを自分のペット探しに利用したいためだけに私を家に連れ帰ったのか?
こんな事があってから、女の子にはぴーちゃんが人気になった。
「ピー様。おはようございます」
登校するとレイラに抱きつかれて喜び、
「ああん、私も抱っこしたいです」
ジャネットにも抱きつかれてすっかりご満悦だ。
それにマチルダが許可を取ってくれて、学校の中まで、持ち込み可能にしてくれたのだ。
ジーニーが付いてくれて、校舎の窓側で日向ぼっこして授業中は昼寝しているんだけど。
昼休みは誰が食べさせるか争奪戦になってもう大変な人気だった。
他のクラスも見学に来るし、凄まじい人気だ。
オードリーですら
「ぴー、今までごめんね」
と言って今王都で一番の人気のプリンをピーの分だけ買ってきて上げたくらいだ。
普通、その飼主の私の分も持ってこいよと怒ったのは秘密だ。
「でも、ピーって変なトカゲだよな。黄色い毛並みをしているし、何か偉そうだし」
ブラッドが何か言ってくれたが、ぴーちゃんは可愛いのだ。
私は少しムッとした。
「でも、パティはどこでぴーちゃんの卵を見つけたの?」
ジルが聞いてきた。
「うーん、山の中。おばあちゃんのお使いに行ったら卵が動いていたんだよね。それで抱きついたらぴーちゃんが産まれてきたの」
私は適当に誤魔化した。これなら良いだろう。ジルは折に触れて色々私の昔のことを聞き出そうとするんだけど、誤魔化すのが大変だ。
「ふーん、そうなんだ」
「ジル様。お待たせしました」
そこにエイダが駆けて来たのだ。
ジルの手に自分の腕を巻き付けている。
「エイダ。約束なんてしていたっけ」
ジルはそう言いつつ、さりげなく、腕を外しているが、
「まあ、ジル様ったら。いつか王都のカフェに連れて行ってくれるっておっしゃっていたじゃないですか」
「いや、あれは言っただけで」
ジルは慌てているが、私はホッとした。これ以上色々聞かれたら不味いし。
まだ、私が魔法少女とは知られていないはずだ。さっさと連れて行ってほしい。
「指切りげんまんしました」
エイダはそう言うと胸をジルに押し付けるんだけど。何かそれを見た私は少しむっとした。
「あの娘、胸が大きいわね」
マチルダも言わなくてもいいことを言ってくれるんだけど。
「あなたこそ、婚約者なんだから注意しなくていいの」
私が言うと
「私はあなたに会いに来る名目だけでジルの婚約者になったって言ったでしょ。あいつが誰と付き合おうと全然問題ないのよ。それよりもあんたの方が良いの。ジルはあなたと話したそうにしていたけれど」
マチルダが言ってくれるんだけど、
「これ以上話して、バレたら嫌だから良いのよ」
私が言うと
「ふうーーーん」
何かマチルダが馬鹿にしたように言ってくれるんだけど。何でだ?
そんな時だ。
「きゃっ」
ぴーちゃんを抱いていたレイラが走ってきた男に弾き飛ばされたのだ。
男は見たこともない男だった。学園外の人間だ。
その男はレイラからぴーちゃんを取り上げようと手を伸ばしたのだ。
危ない!
私はぴーちゃんに駆け寄ろうとした。
「ギャっ」
しかし、その瞬間、男は腕を抑えて転がったのだった。
そこには怒ったぴーちゃんが仁王立ちしていたのだ。
「ヒィィィ、殺される!」
男は何故かぴーちゃんをめちゃくちゃ恐れていた。
逃げようとしたところを慌てて飛んできた騎士たちに拘束されていた。
「ありがとうぴーちゃん、私を守ってくれたのね」
レイラが感激してぴーちゃんに抱きついていた。
「ぴーーーー」
ぴーちゃんは胸を張って威張っているんだけど
でも、こんな可愛いぴーちゃんを見て、何で魔物もこの男も怖がったんだろう?
私には良く判らなかった。
やってきた先生たちも恐慌状態だった。
そんな中、魔物がぴーちゃんの活躍で逃げていったと知って皆唖然とした。
が、中々信じてもらえなかった。
「私がユニコーンに頼んで追い払ってもらったのです」
マチルダがいい加減なことを言ったが、反論しようとした私をマチルダが必死にウィンクしてきたので、仕方無しに、黙っていた。
あとで理由を聞くと
「ピースケが追い払ったって聞いたら研究所に連れて行かれて、下手したら解剖されてしまうわよ」
私はマチルダの言葉に絶句した。
そんな事許す訳にはいかない。
それにマチルダの言う通りかもしれない。だってこんな可愛いぴーちゃんが追い払ったなんて誰も信じられないし、何か魔物が忌避する特殊な薬液か何かをぴーちゃんが分泌したとか調べられる可能性は十二分にあるのだ。それよりはユニコーンが追い払ってくれたという方が説得力はある。
でも、どう見てもユニコーンはぴーちゃんの下僕と化しているんだけど。
ぴーちゃんが指示すると嫌々ながら従うのだ。
「このようなところにおいておいて、魔物たちに復讐されたら可愛そうですわ。私の家に連れて帰ります」
マチルダはそう言うのだが、そういうふうに指示しているのがお菓子に釣られたぴーちゃんなのだから。
「ピースケ。今度は帝都にある有名なケーキを取り寄せてあげるからね」
「ぴー」
こいつは本当にお菓子で釣られるのだ。
私はむっとしつつ、
「もう、パティにも上げるから」
と言われてなし崩し的になってしまったんだげと。私も悪いかも……
「ピースケ、後はもふもふしたいからフェンリルもペットにほしいわ」
何かマチルダが言っているけれど、こいつはぴーちゃんを自分のペット探しに利用したいためだけに私を家に連れ帰ったのか?
こんな事があってから、女の子にはぴーちゃんが人気になった。
「ピー様。おはようございます」
登校するとレイラに抱きつかれて喜び、
「ああん、私も抱っこしたいです」
ジャネットにも抱きつかれてすっかりご満悦だ。
それにマチルダが許可を取ってくれて、学校の中まで、持ち込み可能にしてくれたのだ。
ジーニーが付いてくれて、校舎の窓側で日向ぼっこして授業中は昼寝しているんだけど。
昼休みは誰が食べさせるか争奪戦になってもう大変な人気だった。
他のクラスも見学に来るし、凄まじい人気だ。
オードリーですら
「ぴー、今までごめんね」
と言って今王都で一番の人気のプリンをピーの分だけ買ってきて上げたくらいだ。
普通、その飼主の私の分も持ってこいよと怒ったのは秘密だ。
「でも、ピーって変なトカゲだよな。黄色い毛並みをしているし、何か偉そうだし」
ブラッドが何か言ってくれたが、ぴーちゃんは可愛いのだ。
私は少しムッとした。
「でも、パティはどこでぴーちゃんの卵を見つけたの?」
ジルが聞いてきた。
「うーん、山の中。おばあちゃんのお使いに行ったら卵が動いていたんだよね。それで抱きついたらぴーちゃんが産まれてきたの」
私は適当に誤魔化した。これなら良いだろう。ジルは折に触れて色々私の昔のことを聞き出そうとするんだけど、誤魔化すのが大変だ。
「ふーん、そうなんだ」
「ジル様。お待たせしました」
そこにエイダが駆けて来たのだ。
ジルの手に自分の腕を巻き付けている。
「エイダ。約束なんてしていたっけ」
ジルはそう言いつつ、さりげなく、腕を外しているが、
「まあ、ジル様ったら。いつか王都のカフェに連れて行ってくれるっておっしゃっていたじゃないですか」
「いや、あれは言っただけで」
ジルは慌てているが、私はホッとした。これ以上色々聞かれたら不味いし。
まだ、私が魔法少女とは知られていないはずだ。さっさと連れて行ってほしい。
「指切りげんまんしました」
エイダはそう言うと胸をジルに押し付けるんだけど。何かそれを見た私は少しむっとした。
「あの娘、胸が大きいわね」
マチルダも言わなくてもいいことを言ってくれるんだけど。
「あなたこそ、婚約者なんだから注意しなくていいの」
私が言うと
「私はあなたに会いに来る名目だけでジルの婚約者になったって言ったでしょ。あいつが誰と付き合おうと全然問題ないのよ。それよりもあんたの方が良いの。ジルはあなたと話したそうにしていたけれど」
マチルダが言ってくれるんだけど、
「これ以上話して、バレたら嫌だから良いのよ」
私が言うと
「ふうーーーん」
何かマチルダが馬鹿にしたように言ってくれるんだけど。何でだ?
そんな時だ。
「きゃっ」
ぴーちゃんを抱いていたレイラが走ってきた男に弾き飛ばされたのだ。
男は見たこともない男だった。学園外の人間だ。
その男はレイラからぴーちゃんを取り上げようと手を伸ばしたのだ。
危ない!
私はぴーちゃんに駆け寄ろうとした。
「ギャっ」
しかし、その瞬間、男は腕を抑えて転がったのだった。
そこには怒ったぴーちゃんが仁王立ちしていたのだ。
「ヒィィィ、殺される!」
男は何故かぴーちゃんをめちゃくちゃ恐れていた。
逃げようとしたところを慌てて飛んできた騎士たちに拘束されていた。
「ありがとうぴーちゃん、私を守ってくれたのね」
レイラが感激してぴーちゃんに抱きついていた。
「ぴーーーー」
ぴーちゃんは胸を張って威張っているんだけど
でも、こんな可愛いぴーちゃんを見て、何で魔物もこの男も怖がったんだろう?
私には良く判らなかった。
10
私の絶賛発売中の書籍化作品はこちら
『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/302627913
7月5日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。

表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。
この次の新作はこちら
『転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/497818447
前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。もう二度と会う訳はないと思っていたのに……
お気に入りに追加
209
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です

【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。
112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。
愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。
実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。
アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。
「私に娼館を紹介してください」
娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──

【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

妹に婚約者を奪われたので妹の服を全部売りさばくことに決めました
常野夏子
恋愛
婚約者フレデリックを妹ジェシカに奪われたクラリッサ。
裏切りに打ちひしがれるも、やがて復讐を決意する。
ジェシカが莫大な資金を投じて集めた高級服の数々――それを全て売りさばき、彼女の誇りを粉々に砕くのだ。

塩対応の公子様と二度と会わないつもりでした
奏多
恋愛
子爵令嬢リシーラは、チェンジリングに遭ったせいで、両親から嫌われていた。
そのため、隣国の侵略があった時に置き去りにされたのだが、妖精の友人達のおかげで生き延びることができた。
その時、一人の騎士を助けたリシーラ。
妖精界へ行くつもりで求婚に曖昧な返事をしていた後、名前を教えずに別れたのだが、後日開催されたアルシオン公爵子息の婚約者選びのお茶会で再会してしまう。
問題の公子がその騎士だったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる