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帝国第三皇子視点5 パティに近寄ったら古代竜の悪ガキに外に放り出されてしまいました
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俺は夢にまで見たピンクの君がパティだとブラッドの証言を聞いて確信したのだ。
古代竜がパティの言うことを聞いてペットでいるのも彼女がピンクの君であるからだ。
ブラッドもピンクの君に助けられたのだろう。だから必死に彼女の関心をひこうとしているのだ。
最もあの感じでは、パティに相手にされていないと思う。
俺は取り敢えず、昔助けてくれたことに対してお礼を言わねばなるまいと思った。
最もパティ本人は自分がピンクの君である事を隠しているし、俺がお礼を言っても何のことか判らないと無視するかもしれないが……
そう言えばマチルダがパティに構うのも、おそらく、彼女がピンクの君であるのが原因だと思う。マチルダも昔彼女に昔助けてもらったことがあるのだろうか?
取り敢えず、俺は無理やりにならされた婚約者の権利を利用して、婚約者に、いや、あんな女どうでもいいのだが、パティに会いに行った。
「お嬢様は今はお食事中ですが」
でも、わざわざ訪ねた俺に対して執事は嫌味ったらしく言ってくれたのだ。
ちょっと時間が遅すぎたか? でも、ピンクの君に会えると思うといても立ってもいられなかったのだ。
そして、応接で待たされても中々二人は来なかった。
俺は侍女を誤魔化して、マチルダの部屋に案内させたのだ。
「困ります」
侍女はマチルダの部屋の前で、慌てて言った。マチルダの部屋らしきところを見つけて入ろうとしたら止められたのだ。
「良いだろう。私はマチルダ嬢の婚約者なんだから」
「しかし……」
扉の前の騎士も止めようとするが、
「いいわよ。入れて」
マチルダの声に俺はやっと中に入れた。
「申し訳ない、マチルダ嬢、突然お邪魔して」
俺は取り敢えず謝罪した。
「本当ね。いくら婚約者といえども女の部屋に入ってくるのはどうかと思うのだけど」
「申し訳ない。それに何と食事中でしたか?」
俺は更に謝る。
やはりパティはマチルダと同席して食事をしていた。古代竜までもが机の上で食べているのには驚いたが、マチルダもペットが古代竜だというのは判っているということなのだろう。
「ふんっ、知っていたくせに」
マチルダは怒っていた。まあ、この女はどうでも良い。
まあ、俺も立たされたままだったが……
「あんたの分はないわよ」
マチルダは塩対応だ。
「まあ、ジル様、お邪魔のようですから私はこれでお暇しますから」
パティは天使のようなことを言って帰ろうとしてくれた。マチルダと比べて本当にパティは天使だ。でも、俺が話したいのは我儘お嬢様でなくて、パティなのだ。それに可愛いパティをこの悪魔にこれ以上利用させる訳にはいかないだろうということは俺でもわかった。
でも、さすが古代竜、パティが持ち上げても食っている皿を離さないのだ。
「ちょっとぴーちゃん、意地汚すぎ」
パティが注意するがどこ吹く風だ。さすが古代竜だ。
「ぴーちゃん」
パティが怒りの声を上げたら
「ぴーーーー」
この世の終わりみたいな声出すんだけど。
仕方なしにパティが腕を緩めたら、そのまま机に飛びついて、肉をがっつきだしたんだけど……
「本当に飼い主そっくり」
「私はここまで食い意地は張っていないわよ」
マチルダの言葉に怒るパティも可愛くて
「ぷっ」
俺は思わず噴出していた。
むっとしてパティが睨んでくる。
「ごめん、ごめん、あまりにパトリシア嬢のしぐさが可愛くて」
俺はつい言ってしまっていた。
「えっ」
パティが少し赤くなった。
「パティ、あんた、男に免疫なさすぎよ」
「えっ」
マチルダにパティが虐められる。
「この手の男は女を見ればたとえ相手をブスだと思っても『美人ですね』、とか、生意気だと思っても「可愛いですね」っておべっかを使うのよ。それを貴族の令嬢で信じるのは免疫のないあんたくらいよ」
マチルダが余計な事を言ってくれる。
「いや、今のは本心で」
本当に俺の本心なのだ。
「今まで、あんたの事を、こんな地味で女の魅力のないツンとした冷たい女が、どうして、まだ多少は女らしいローズから、ブラッドを奪ったんだろうって不思議に思っていたところで、あんたがピースケとほほ笑ましい食べ物を巡って争っているのを見て少し心が和んだだけよ」
何かマチルダが、本当のことを言ってくれるんだが、俺はパティがピンクの君だとは知らなかっただけだ。知っていたら、そんな事は思わなかった。
「ふんっ、どうせ、私は地味で女の魅力がないですよ」
マチルダの声にパティが拗ねて小声で呟くが、俺はそれも何故か可愛く見えた。
「いや、パトリシア嬢はとても魅力的だよ」
俺はそういうや、思わず、パティの黒いクリクリとした瞳を覗きこんでいたのだ。
パティが真っ赤になる。
俺はそれを間近で見られて、とても幸せだった。
この時までは。
しかしだ。
ダン
という大きな音がして、窓が開くと同時に
俺は何かに襟首を掴まれてその窓の外に放り出されたのだ。
え、え、ええええ!
俺は何が起こったか判らなかった。
ぐさっ
そして次の瞬間には外の植栽に頭から突き刺さっていたのだ。
何が起こったのだ? 何かに放り出された。
でも俺の後ろには、そう言えば生意気な古代竜のガキがいた……
あいつに放り出されたのか?
ジタバタしても誰も助けてくれない。
「おおい、いい加減誰か助けてくれ」
俺は叫んで何とかマチルダの騎士たちに植栽から出してもらった。
遠くの部屋を見ると古代竜のガキが馬鹿にしたように俺を見下して食べ物を食べていた。
「また出直していらっしゃい」という、マチルダの声に頷いて俺は帰ったが、
おのれ、あのクソ竜、絶対に仕返ししてやる!
俺は心に誓ったのだ。
古代竜がパティの言うことを聞いてペットでいるのも彼女がピンクの君であるからだ。
ブラッドもピンクの君に助けられたのだろう。だから必死に彼女の関心をひこうとしているのだ。
最もあの感じでは、パティに相手にされていないと思う。
俺は取り敢えず、昔助けてくれたことに対してお礼を言わねばなるまいと思った。
最もパティ本人は自分がピンクの君である事を隠しているし、俺がお礼を言っても何のことか判らないと無視するかもしれないが……
そう言えばマチルダがパティに構うのも、おそらく、彼女がピンクの君であるのが原因だと思う。マチルダも昔彼女に昔助けてもらったことがあるのだろうか?
取り敢えず、俺は無理やりにならされた婚約者の権利を利用して、婚約者に、いや、あんな女どうでもいいのだが、パティに会いに行った。
「お嬢様は今はお食事中ですが」
でも、わざわざ訪ねた俺に対して執事は嫌味ったらしく言ってくれたのだ。
ちょっと時間が遅すぎたか? でも、ピンクの君に会えると思うといても立ってもいられなかったのだ。
そして、応接で待たされても中々二人は来なかった。
俺は侍女を誤魔化して、マチルダの部屋に案内させたのだ。
「困ります」
侍女はマチルダの部屋の前で、慌てて言った。マチルダの部屋らしきところを見つけて入ろうとしたら止められたのだ。
「良いだろう。私はマチルダ嬢の婚約者なんだから」
「しかし……」
扉の前の騎士も止めようとするが、
「いいわよ。入れて」
マチルダの声に俺はやっと中に入れた。
「申し訳ない、マチルダ嬢、突然お邪魔して」
俺は取り敢えず謝罪した。
「本当ね。いくら婚約者といえども女の部屋に入ってくるのはどうかと思うのだけど」
「申し訳ない。それに何と食事中でしたか?」
俺は更に謝る。
やはりパティはマチルダと同席して食事をしていた。古代竜までもが机の上で食べているのには驚いたが、マチルダもペットが古代竜だというのは判っているということなのだろう。
「ふんっ、知っていたくせに」
マチルダは怒っていた。まあ、この女はどうでも良い。
まあ、俺も立たされたままだったが……
「あんたの分はないわよ」
マチルダは塩対応だ。
「まあ、ジル様、お邪魔のようですから私はこれでお暇しますから」
パティは天使のようなことを言って帰ろうとしてくれた。マチルダと比べて本当にパティは天使だ。でも、俺が話したいのは我儘お嬢様でなくて、パティなのだ。それに可愛いパティをこの悪魔にこれ以上利用させる訳にはいかないだろうということは俺でもわかった。
でも、さすが古代竜、パティが持ち上げても食っている皿を離さないのだ。
「ちょっとぴーちゃん、意地汚すぎ」
パティが注意するがどこ吹く風だ。さすが古代竜だ。
「ぴーちゃん」
パティが怒りの声を上げたら
「ぴーーーー」
この世の終わりみたいな声出すんだけど。
仕方なしにパティが腕を緩めたら、そのまま机に飛びついて、肉をがっつきだしたんだけど……
「本当に飼い主そっくり」
「私はここまで食い意地は張っていないわよ」
マチルダの言葉に怒るパティも可愛くて
「ぷっ」
俺は思わず噴出していた。
むっとしてパティが睨んでくる。
「ごめん、ごめん、あまりにパトリシア嬢のしぐさが可愛くて」
俺はつい言ってしまっていた。
「えっ」
パティが少し赤くなった。
「パティ、あんた、男に免疫なさすぎよ」
「えっ」
マチルダにパティが虐められる。
「この手の男は女を見ればたとえ相手をブスだと思っても『美人ですね』、とか、生意気だと思っても「可愛いですね」っておべっかを使うのよ。それを貴族の令嬢で信じるのは免疫のないあんたくらいよ」
マチルダが余計な事を言ってくれる。
「いや、今のは本心で」
本当に俺の本心なのだ。
「今まで、あんたの事を、こんな地味で女の魅力のないツンとした冷たい女が、どうして、まだ多少は女らしいローズから、ブラッドを奪ったんだろうって不思議に思っていたところで、あんたがピースケとほほ笑ましい食べ物を巡って争っているのを見て少し心が和んだだけよ」
何かマチルダが、本当のことを言ってくれるんだが、俺はパティがピンクの君だとは知らなかっただけだ。知っていたら、そんな事は思わなかった。
「ふんっ、どうせ、私は地味で女の魅力がないですよ」
マチルダの声にパティが拗ねて小声で呟くが、俺はそれも何故か可愛く見えた。
「いや、パトリシア嬢はとても魅力的だよ」
俺はそういうや、思わず、パティの黒いクリクリとした瞳を覗きこんでいたのだ。
パティが真っ赤になる。
俺はそれを間近で見られて、とても幸せだった。
この時までは。
しかしだ。
ダン
という大きな音がして、窓が開くと同時に
俺は何かに襟首を掴まれてその窓の外に放り出されたのだ。
え、え、ええええ!
俺は何が起こったか判らなかった。
ぐさっ
そして次の瞬間には外の植栽に頭から突き刺さっていたのだ。
何が起こったのだ? 何かに放り出された。
でも俺の後ろには、そう言えば生意気な古代竜のガキがいた……
あいつに放り出されたのか?
ジタバタしても誰も助けてくれない。
「おおい、いい加減誰か助けてくれ」
俺は叫んで何とかマチルダの騎士たちに植栽から出してもらった。
遠くの部屋を見ると古代竜のガキが馬鹿にしたように俺を見下して食べ物を食べていた。
「また出直していらっしゃい」という、マチルダの声に頷いて俺は帰ったが、
おのれ、あのクソ竜、絶対に仕返ししてやる!
俺は心に誓ったのだ。
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