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友だちが魔物に襲われました

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私達は学園に集合すると馬車の移動で『聖なる森』に向かったのだ。馬車は班ごとに乗ることになっていて、私達は女の子だけの八人で乗っていた。

聖なる森は王都の北に広がっている美しい森で、貴重な薬草や、美しい花々が咲き誇るお花畑があることで有名らしかった。
そのさらに先は魔の森で魔物が多くいるそうであったが、聖なる森には何故か入って来ないのだそうだ。

「なんでも、『聖なる森』にはユニコーンがいて、木々を浄化して、魔物が近づかないそうですわ」
伯爵家の令嬢であるジャネットが言った。
「えっ、そうなんですの? ユニコーンって真っ白で光り輝くばかりに美しいっていう神獣ですよね」
子爵家の令嬢のレイラも目を輝かせて言った。
「そうなんだ。そんなにきれいなら、一度でいいから見てみたいわ」
私が言うと、
「ふんっ、ユニコーンは処女にしか近寄って来ないのよ。あなた、処女じゃないでしょ」
いきなりオードリーがとんでもないことを言い出すんだけど。

「何言っているのよ。私は正真正銘の処女よ」
私は大声で叫んでいた。

「えっ」
皆、驚いた顔をする。
「ちょっと、パティ、声大きいですわ」
レイラが注意してくれた。
そうだった、私は真っ赤になった。なんてことを大声で叫んでしまったのだろう。

「でも、あなた、ローズ様からブラッドリー様を寝取ったって」
ジャネットが赤くなっていってくれるけれど、

「そんな訳ないでしょ」
私が赤くなって否定する。

「ジャネット、パティ見たらわかるじゃない。この子はどう見てもおぼこよ」
マチルダが私を馬鹿にして言ってくれた。
「そうよね。胸もないし、女らしくもないし、どうやってブラッドリー様を寝取ったのか不思議だったのよ」
ジャネットも平然と失礼な事を言ってくれるんだけど……
「そうよ。この幼女体系のパティに女の魅力を感じて手を出すなんて余程の変人かロリコンよ」
「えっ、じゃあブラッドリー様ってロリコンなの?」
「えっ、そうなの?」
「ショック」
みんな好きな事を言ってくれるんだけど。

「ちょっと私は本当に処女だからね」
私がむっとして反論するが、

「判ってるって。だってこの子、赤ちゃんはコウノトリが運んでくるって言っているのよ」
マチルダがとんでもないことを言ってくれるんだけど。

「うそ!」
「男と女の事、何も知らないのね」
「信じられない」
今度は皆で馬鹿にしてくれるんだけど。私も前世の保健の授業でちゃんと聞いたわよ。男と女が何をするかは。

「ちょっと、私もセックスの事は知っているわよ」
ムッとして私が言うと
「セックスですって」
「ちょっと、パティ、あからさますぎ」
皆キャーキャー言って馬鹿にしてくれるんだけど。
それがきっかけで、皆その手の話で盛り上がってくれるんだけど。
姉の話や友達の話を。みんな興味津々で聞いてくれるんだけど、私はその手の話は苦手だ。
手持無沙汰で外を見たら、寝ていたぴーちゃんがもぞもぞしだした。

「まあ、その子可愛いですわね」
前の席のレイラが言ってくれた。
「そうなの。ぴーちゃんは可愛いでしょ」
私は褒められて嬉しくなって言った。

「何なら抱いてみる?」
「えっ、良いのですか?」
レイラに差し出してみる。

「レイラ、トカゲを抱くの?」
オードリーが言ってくれたが

「えっ、こんなにかわいいのに?」
レイラは差し出したぴーちゃんをぎゅっと胸に抱きしめてくれた。
この子胸がでかい。

「ぴーーーー」
何かぴーちゃんが顔を胸にすりすりして嬉しそうだ。私はムッとしてぴーちゃんを睨みつけたが、ぴーちゃんは知らん顔でレイラに抱かれていたのだ。



公園に着いたら早速お弁当だった。
皆、作って来た、大半は料理人が作ってくれたお弁当を広げていた。

何かフルコースの料理のお弁当を広げている組もあったが……
ローズの班だ。私達が男はお断りとつれなくしたので、ブラッドとジルはローズらと一緒の班になっていた。高位貴族組だ。
侯爵家の令嬢二人と辺境伯の令嬢二人に囲まれていた。
たまにこちらを二人は見て来たが私は当然無視した。


私はと言うと、

「ぴー様。これはどうですか」
「ぴー」
ぴーちゃんはオードリー以外の女の子にモテモテで、皆から食事を手ずからもらって喜んで食べていた。

私の所には全然帰って来ないんだけど……

この浮気者ピースケめ!
私は少し切れていた。

食事の後は散策の時間だった。


「この噴水の北側にユニコーンを見かけたという情報があるのよ」
マチルダが言い出した。なんか碌でも見ないような気がするんだけど。幸運のユニコーンがそう簡単に見つかるわけないじゃない、と私は思ったのだ。

「えっ、そうなんですの」
「せっかくだから行って見ましょうよ」
「でも、処女でないとユニコーンは出て来ないんでしょ」
ジャネットらの言葉にオードリーは心配そうに言うんだけど。
「大丈夫よ。パティも処女だと判ったんだし」
何かジャネットがとんでもないこと言ってくれるんだけど、お前らは大丈夫なのかよ!
私は言いたかった。まあ、お貴族様の令嬢は処女性が求められるから大丈夫なのかもしれないが。

「じゃあ、ユニコーン探しに北に行ってみよう」
マチルダの言葉に全員うきうきして歩き出したんだけど。
私は少しうんざりした。また、マチルダに付き合わされるんだけど、これは碌な事ではないと思うのだ。


歩いても歩いてもユニコーンは見つからなかった。
そう簡単に見つかるわけないのだ。

「もう、疲れましたわ」
「本当に」
皆がいい加減に疲れたので近くのベンチで休んでいた。

「やっぱり、パティは処女じゃないんじゃ」
「あのね。いい加減にしてよね」
私はジャネットの言葉を否定するんだけど。


「オードリー、顔が少し青いわよ。大丈夫?」
レイラの声がした。確かにオードリーは少し顔色が悪かった。

「いえ、何でもないわ」
そう言うと心配するレイラから離れて森の中に入って行ったのだ。

「ちょっと、オードリー、勝手に先行っちゃだめよ」
ジャネットが注意するが、

「キャーーーーー」
そこにオードリーの悲鳴が響き渡ったのだ。

「えっ」
「どうしたの?」
私達は慌てて、オードリーの元に向かった。

そこには魔物にのしかかられているオードリーがいたのだ。


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