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マチルダの下にいたらいい男に会える可能性がなくなるのを危惧しました。

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私はすぐに連れて行こうとするマチルダに断ると寮に帰ってぴーちゃんを抱っこして連れて来たのだ。
同室のヘーゼルにはマチルダの屋敷に行くのがうらやましがられたが、私自身は前世の記憶もありあまりマチルダとは絡みたくなかったのに!

でも、馬車だまりで私を待っていた馬車は真っ白な超豪華な四頭立ての馬車だった。
馬も全部白馬なんだけど。白馬をこれだけ揃えるのも大変なのではとアラプール公爵家の財力に恐れいったのだ。
それも、四騎も騎士がついているんだけど。

「遅いわ!」
私が近づくと、マチルダが文句を言いながら自ら出迎えてくれた。
「御免なさい」
さっさと出てきたつもりだけれど、ここは謝っておいた。

「アンドレ」
マチルダが騎士の一人に合図すると一人のイケメン騎士が馬から下りて近付いてきた。

「マチルダ様の護衛隊長をしておりますアンドレ・ネインと申します」
わざわざ私みたいな下っぱ貴族令嬢に頭を下げてくれた。

「えっ、丁寧なごあいさつ、恐れ入ります。パトリシア・ロウギルと申します」
私もぺこりと頭を下げた。

「パティ、そこまで丁寧な態度は不要よ」
「何言っているのよ。私は高々、男爵家の末の令嬢よ。絶対にあなたの騎士様よりも身分は下よ」
私が言うが、全員驚いて私を見ていた。

「えっ、私、何かやった?」
慌てて、マチルダに聞くんだけど、なんでみんな驚いた顔をしているの?

「そらあ、皆驚いているわよ。何しろ、帝国の皇帝陛下ですら、私を怖れて私の顔見たら逃げていくんだから」
「えっ?」
「いやあ、お嬢様と対等に話される同年代のご令嬢を始めて見ましたので」
アンドレがさらりと言ってくれた。

「あっ、やっちゃった。申し訳ありません。マチルダ様」
私は慌てて、マチルダに頭を下げたんだけど。

「パティ。もういいから。皆にはあんたは友達だからって言ってあるから。問題ないわ」
「でも、帝国の大公爵家のご令嬢様にこんな態度取っていたら使用人の方々に殺されるんじゃないの?」
私が恐れて言うと

「そんな訳ないじゃない。私の意向は絶対よね」
アンドレに聞いてくれるんだけど。
「そもそも、お嬢様に無礼な事をしでかすものなど、帝国にはおりませんし、いても、お嬢様ご自身で制裁を加えられます。邪魔すると、後でお叱りを受けますので」
アンドレが不吉な事を言ってくれるんだけどそれってどういう意味よ。
マチルダにため口聞いたら、後でマチルダにしめられるんだろうか?
拘束して鞭打たれたりして……

私は怖れると同時にさああああっとマチルダから距離を置いたのだ。

「何怖れているのよ。あんたは私の昔からの友達よ。そんなことするわけないでしょ。皇帝陛下や、かつら宰相とか上位貴族の前だけ取り繕ってくれればいいわ」
かつら宰相って鉄拳宰相も彼女の前では形無しだ。

「でも、私はあなたの侍女になったんだけど」
「まあ、それも他人の前だけ気をつけてくれれば良いわ。うちの使用人の前では変な敬語は不要よ」
「本当に? 後で縛り首にしない?」
私が恐る恐る聞くと
「あんたね。あんた自身も最強だし、最強のペット連れているんだからやりたくでもできないわよ」
マチルダは言ってくれるんだけど、やりたくなることもあるのかと少しだけひやりとした。

「お前がピースケなのね」
私の不安は無視して、マチルダはぴーちゃんを見下ろしたんだけど。

「ぴっ」
とぴーちゃんはご機嫌斜めに無視した。
そうだ、ぴーちゃんをピースケ呼ばわりするマチルダなんて無視して良いぞ!

「まあ、何ていう、ペットなの。飼い主に似て生意気ね」
マチルダは文句を言ってくれるけれど、私もふんっとそっぽを向いてやったのだ。

私も強引なマチルダはムカつく。本来は寮で友達たくさん作るつもりだったのに!



馬車が動き出した後も私は機嫌は悪かった。

「パティ、あんた何に怒っているのよ?」
私のご機嫌斜めなのを気にしてマチルダが珍しく下から出て来た。

「そんなに、ブラッドと抱き合っていたかったの?」
「な訳けないでしょ。ブラッドは私が三分間無敵なのに目をつけて侯爵家の手駒にしたいだけよ」
私はきちんとマチルダに教えてあげたのだ。

「えっ?」
マチルダが目を点にしているんだけど、何でだ?

そして、その後私を残念な者でも見るように見るんだけど。

「な、何よ」
「まあ、パティは前世から恋愛に疎いものね」
「あんたに言われたくないわよ」
私がきっとして言うと、

「な、何か言った?」
私の言葉にムッとしてマチルダは言うんだけど。

「だって、私の事を言うけれど、あなたも付き合っていた男の子いなかったじゃない」
「ぐっ」
マチルダはお腹を押さえて呻いてくれるんだけど。
そうよ。マチルダも前世は恋人がいなかったはずなのだ。

「何言っているのよ。それは私のお眼鏡に敵う男がいなかっただけよ」
マチルダは負け惜しみ言ってくれるんだけど……

まあ、前世もそうだったが、男からしたら王太子殿下ですらマチルダに顎で使われるのだ。こんな恐ろしい、女を彼女なんかにしたいわけないのだ。
さっきも帝国の皇帝陛下ですらマチルダの前から恐れて逃げていくって言ったくらいだし。

でも、待って! そんなマチルダの侍女をして付き従っていたら、いい男なんて出会えないんじゃないの?
と言うか一緒に怖れられたりして……

ええええ!

今世は少しは期待していたのに! 

だって下っ端とはいえこれでも男爵家の令嬢だし、学園で出会いがあるかもと少しは期待していたのに!

これでまたお一人様決定なの!

私はショックを受けたのだった。


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彼氏が出来る予感がしないパティですが、次は皇子様視点の予定です。
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