25 / 82
お嬢様に婚約者が訪ねて来て、帰った後に私が流し目をしたと誤解されました
しおりを挟む
「パトリシア・ロウギル!」
やっとロッテンマイヤーさんの叱責から開放されて彼女が去った後、ローズお嬢様は私をきっと睨み据えたのだ。
まあ、私から見たらそうする仕草もとても可愛いのだけど、私の未来を考えると、これは良くない。
謝った方が良いんだろうか?
「あなた、良くも私をこんな目に合わせてくれたわね。それもロッテンマイヤーに言いつけるなんて」
お嬢様は怒って私に言うが、それは違うだろう! お嬢様が自らロッテンマイヤーさんに私を山猿と呼んだのに!
でも、私は怖くて反論できなかった。
「本当に最悪ですね。パトリシアは」
オードリーが更にローズお嬢様を焚き付けるんだけど。
「新入りのくせに、お嬢様に逆らってこの屋敷で生きていけると思うの?」
お嬢様付きのもう一人の年上のデリア・ロッジ伯爵令嬢が脅してくれた。
3対1だ。絶対に勝てない。
ここは日本人の得意技でやり過ごすしか無い。
「すみません。何でもやるので許してください!」
私は恥も外聞も殴り捨てて土下座して謝ったのだった。
「そう、判れば良いのよ」
ローズお嬢様は不敵な笑みを浮かべてくれたんだげと、これは碌でもないのでは無いかと私は恐怖に震えたのだ。
それからが大変だった。
まず、私はお嬢様の部屋を端から端まできれいに掃除させられたのだ。
一番大変なのは部屋の中を照らす魔法ランプ掃除だ。
ランプは魔力で照らす魔法ランプなのでそれ自体は燃えないので煤とかはつかないのだが、どうしても誇りとかはつく。ランプの裏とか結構汚れていた。
それをはしごを使って、一つずつ丁寧に掃除させられたのだ。
これがまたいくつもあって、なおかつはしごから落ちそうで怖いのだけど。
「パトリシア! ランプの端から端まで頑張って掃除するのよ!」
「埃一つ残したらダメだからね」
オードリーとデリアが注意してくれるんだけど。
やばい、落ちそう!
その間、3人は優雅にお茶してくれているんだけど……
ムカついたので3人のお茶の上にホコリを落としてやったのは秘密だ。
3人はかっふの中に浮かんだホコリを見て騒ぎ立てたが、これは紅茶の葉が最上級の葉である証拠だとか私の訳の解らない説明に却って喜んで飲んでいたんだけど……本当に馬鹿だ。
その上、洗濯も私が全てやらされたのだ。
「全部ちゃんと洗うのよ!」
オードリーとデリアが溜まっていた洗濯物を全てだしてくれたんだけど。その多いこと。それにこの二人は私が洗浄魔法を使えないのを知っていてやらせてくれたのだ。
なんて、ひどい奴らだ。
でもって、私って清浄魔法は出来ない。というか、魔法は一つも使えない。
こうなれば人力でやるしか無いと、男爵家でやっていたように手洗い、足洗したんだけど、あれええええ!
メイド服が色落ちして大変なことになってしまった。この家のメイド服は洗浄魔法仕様で、水洗いが想定されていなかったみたいで、完全に色落ちしてしまったのだ。
それにさらに悪いことに、お嬢様のお気に入りの真っ赤なドレスも色落ちしてしまったのだ。
私は青くなってしまった。
おそらく私の賃金では到底弁償出来ない額だ。
どうしよう。バレたらまずい!
私はない頭を必死に働かせたのだ。
「ちょっと、パトリシア! このメイド服、色が少しおかしくない!」
目ざといオードリーが文句を言ってきたんだけど。
「何かお嬢様の専属メイドのだけ、よく目立つように色が少し違うのが出来てきたみたいで」
私が必死に考えた言い訳をすると、
「えっ、そうなの」
「そう言われればこの色もいいわね」
何故か二人は騙されてくれたんだけど。
うっそ! こんなので騙されるの?
私は唖然としてしまった。
「パトリシア。私の赤いドレスはどこ?」
ついにお嬢様にも見つかってしまった。
「さあ、どこでしょう? それよりも王都では今、薄いピンクの色が流行っていると姉が言っていました。この色こそ、まさに王都で流行っているピンク色でございます」
「えっ、そうなの? あなた、田舎の出身なのに、王都の流行りまで知っているなんて!」
お嬢様は感激してくれたんだけど……うっそー
こんなので誤魔化せるの?
私は良心の呵責を感じつつ、主ら三人があまりにチョロいのに驚いた。
そして、にが笑いして誤魔化したのだった。
やっとロッテンマイヤーさんの叱責から開放されて彼女が去った後、ローズお嬢様は私をきっと睨み据えたのだ。
まあ、私から見たらそうする仕草もとても可愛いのだけど、私の未来を考えると、これは良くない。
謝った方が良いんだろうか?
「あなた、良くも私をこんな目に合わせてくれたわね。それもロッテンマイヤーに言いつけるなんて」
お嬢様は怒って私に言うが、それは違うだろう! お嬢様が自らロッテンマイヤーさんに私を山猿と呼んだのに!
でも、私は怖くて反論できなかった。
「本当に最悪ですね。パトリシアは」
オードリーが更にローズお嬢様を焚き付けるんだけど。
「新入りのくせに、お嬢様に逆らってこの屋敷で生きていけると思うの?」
お嬢様付きのもう一人の年上のデリア・ロッジ伯爵令嬢が脅してくれた。
3対1だ。絶対に勝てない。
ここは日本人の得意技でやり過ごすしか無い。
「すみません。何でもやるので許してください!」
私は恥も外聞も殴り捨てて土下座して謝ったのだった。
「そう、判れば良いのよ」
ローズお嬢様は不敵な笑みを浮かべてくれたんだげと、これは碌でもないのでは無いかと私は恐怖に震えたのだ。
それからが大変だった。
まず、私はお嬢様の部屋を端から端まできれいに掃除させられたのだ。
一番大変なのは部屋の中を照らす魔法ランプ掃除だ。
ランプは魔力で照らす魔法ランプなのでそれ自体は燃えないので煤とかはつかないのだが、どうしても誇りとかはつく。ランプの裏とか結構汚れていた。
それをはしごを使って、一つずつ丁寧に掃除させられたのだ。
これがまたいくつもあって、なおかつはしごから落ちそうで怖いのだけど。
「パトリシア! ランプの端から端まで頑張って掃除するのよ!」
「埃一つ残したらダメだからね」
オードリーとデリアが注意してくれるんだけど。
やばい、落ちそう!
その間、3人は優雅にお茶してくれているんだけど……
ムカついたので3人のお茶の上にホコリを落としてやったのは秘密だ。
3人はかっふの中に浮かんだホコリを見て騒ぎ立てたが、これは紅茶の葉が最上級の葉である証拠だとか私の訳の解らない説明に却って喜んで飲んでいたんだけど……本当に馬鹿だ。
その上、洗濯も私が全てやらされたのだ。
「全部ちゃんと洗うのよ!」
オードリーとデリアが溜まっていた洗濯物を全てだしてくれたんだけど。その多いこと。それにこの二人は私が洗浄魔法を使えないのを知っていてやらせてくれたのだ。
なんて、ひどい奴らだ。
でもって、私って清浄魔法は出来ない。というか、魔法は一つも使えない。
こうなれば人力でやるしか無いと、男爵家でやっていたように手洗い、足洗したんだけど、あれええええ!
メイド服が色落ちして大変なことになってしまった。この家のメイド服は洗浄魔法仕様で、水洗いが想定されていなかったみたいで、完全に色落ちしてしまったのだ。
それにさらに悪いことに、お嬢様のお気に入りの真っ赤なドレスも色落ちしてしまったのだ。
私は青くなってしまった。
おそらく私の賃金では到底弁償出来ない額だ。
どうしよう。バレたらまずい!
私はない頭を必死に働かせたのだ。
「ちょっと、パトリシア! このメイド服、色が少しおかしくない!」
目ざといオードリーが文句を言ってきたんだけど。
「何かお嬢様の専属メイドのだけ、よく目立つように色が少し違うのが出来てきたみたいで」
私が必死に考えた言い訳をすると、
「えっ、そうなの」
「そう言われればこの色もいいわね」
何故か二人は騙されてくれたんだけど。
うっそ! こんなので騙されるの?
私は唖然としてしまった。
「パトリシア。私の赤いドレスはどこ?」
ついにお嬢様にも見つかってしまった。
「さあ、どこでしょう? それよりも王都では今、薄いピンクの色が流行っていると姉が言っていました。この色こそ、まさに王都で流行っているピンク色でございます」
「えっ、そうなの? あなた、田舎の出身なのに、王都の流行りまで知っているなんて!」
お嬢様は感激してくれたんだけど……うっそー
こんなので誤魔化せるの?
私は良心の呵責を感じつつ、主ら三人があまりにチョロいのに驚いた。
そして、にが笑いして誤魔化したのだった。
10
私の絶賛発売中の書籍化作品はこちら
『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/302627913
7月5日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。

表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。
この次の新作はこちら
『転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/497818447
前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。もう二度と会う訳はないと思っていたのに……
お気に入りに追加
209
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

妹に婚約者を奪われたので妹の服を全部売りさばくことに決めました
常野夏子
恋愛
婚約者フレデリックを妹ジェシカに奪われたクラリッサ。
裏切りに打ちひしがれるも、やがて復讐を決意する。
ジェシカが莫大な資金を投じて集めた高級服の数々――それを全て売りさばき、彼女の誇りを粉々に砕くのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる