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お嬢様付になる前に、私の件でお嬢様が延々怒られました。
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「山猿ですって!」
思わず怒って後ろを振り返るとそこには怒ったお嬢様がいたのだ。
何度も声をかけたのに、魔法の練習に夢中になっていた私は気づかなかったみたいだった。
「ちょっと、そこのあなた。ローズお嬢様になんて態度なの」
横の侍女が私に怒って言ってきた。ローズお嬢様ということはやっぱりこの侯爵家のお嬢様で、皆が言うには多少わがままだそうだ。それを怒らせたのならまずい!
「も、申し訳ありません」
私は慌てて頭を下げた。
やばい、いきなり侯爵家のお嬢様に嫌われたらこの家を追い出されてしまう。
私は青くなった。
「本当にロウギルから来た山猿は礼儀知らずね」
侍女に言われて私はムッとした。一応ロウギルは男爵家なのだ。お前みたいな平民風情に……いや違う。この家で働いている侍女の大半はお貴族様だ。彼女も私よりも上位貴族の娘かも知れない。実際に彼女、オードリー・ベンモアは子爵家令嬢だった。
「ロウギルはそんなに山の中なの?」
「別にそこまでは」
私がローズお嬢様に対してムッとして言うと
「お前、生意気よ。侍女の分際でその態度は」
「まあ、良いわ。山から出て来たばかりなのだから許してあげるわ」
「ローズお嬢様は御心が広いのですね」
「それよりもここは少し匂うわね」
「まあ、獣の匂いでしょうか。本当に臭いですね」
二人は笑ってくれた。
失礼な。私は今は毎日風呂には入っているのだ。おばあちゃんと一緒にいる時は偶にしか入らなかったけれど、そんなのは平民では普通のはずだった。
そして、二人は笑いながら去っていったのだ。
「ふんっ、ぴーちゃん、どう思う」
ムカついた私は部屋に帰って、調達したお菓子を食べてのんびりくつろいでいたぴーちゃんに抱きついたのだ。
「何がお嬢様よ。私より年下(経験年数)のくせに」
「ぴー」
「私に向かって臭いって何よ!」
「ぴー」
「あの侍女も侍女よ。お嬢様の威を借りるなんて、本当にムカつくわ。どう思うぴーちゃん?」
「ぴー」
「何か、適当に頷いていない?」
私がむっとして見ると、慌ててぴーちゃんは必死に首を振り出したんだけど……
散々文句を言って私は不満を解消したのだ。
そう、それだけでいいと思ったのだ。
そんな高貴なお嬢様が私に関係するとは思ってもいなかったのだ。
翌日いつものように、朝から皆で掃き掃除をして、昼前にロッテンマイヤーさんの所に行ったのだ。
今日はどれだけ注意されるのだろうと心配しながら。
その日も一時間みっちりと練習というか注意を受けた後だ。
「パトリシア。大分マシになりましたね」
ロッテンマイヤーさんに褒められたんだげと、あれだけ注意され続けては実感がわかない……
「あなたの試用期間は終わりです。今日からは別の任務についてもらいます」
ロッテンマイヤーさんはそう言って私を連れて行くんだげと。どこに行くんだろう?
二階の侯爵家のプライベートスペースに入って行くんだけど。これは何か最悪の予感しかしない!
「失礼します。ロッテンマイヤーです」
ロッテン・マイヤーさんが言った途端、中の空気がぴしっと固まるのが感じられた。
「どうぞ」
おずおずと扉を開けたのは昨日の侍女さんだ。
中に入った私はその中にいたローズお嬢様も若干緊張しているのが見えた。やっぱりロッテンマイヤーさんはこの屋敷では皆に恐れられているのだ。
「ローズお嬢様。お嬢様付の侍女をもう一人連れてまいりました」
ロッテンマイヤーさんが私を見て言ってくれたんだけど……
ええええ!
それだけは嫌だ!
でも、それは許されないだろう。
「ロウギル男爵家が四女のパトリシアと申します」
私はロッテンマイヤーさんの前で精一杯、丁寧にお辞儀をしたはずだ。
「えっ、この山猿を?」
そうた。断れ!この際山猿でも山姥でもなんでも良い!
私が念じた時だ。
「お嬢様!」
お嬢様が山猿と口を滑らせた瞬間、ロッテンマイヤーさんの叱責が飛んだのだ。
まずい!
「パトリシアは確かに侍女ですが、一応男爵家の令嬢です」
ロッテンマイヤーさんの叱責に一応は令嬢なんだ! 私は妙な所に感心した。
「そのご令嬢に、山猿とはどういうことですか?」
「すみません」
慌ててお嬢様がロッテンマイヤーさんに頭を下げてきた。
ロッテンマイヤーさんはお嬢様より強いのは良く判った。侍女長は例え、お嬢様とは言え、逆らってはいけない存在らしい。
でも、もう私がお嬢様の侍女になるのは決定事項なの?
そして、お嬢様は私のせいでまた延々怒られているんだけど……
でも、これってこれから私が仕える相手が私のせいで怒られているってまずいんじゃない!
私はこれからのことを思うとゾッとしたのだ。
*********************************************************
さて、どうなるパティ。
続きは明朝です。
思わず怒って後ろを振り返るとそこには怒ったお嬢様がいたのだ。
何度も声をかけたのに、魔法の練習に夢中になっていた私は気づかなかったみたいだった。
「ちょっと、そこのあなた。ローズお嬢様になんて態度なの」
横の侍女が私に怒って言ってきた。ローズお嬢様ということはやっぱりこの侯爵家のお嬢様で、皆が言うには多少わがままだそうだ。それを怒らせたのならまずい!
「も、申し訳ありません」
私は慌てて頭を下げた。
やばい、いきなり侯爵家のお嬢様に嫌われたらこの家を追い出されてしまう。
私は青くなった。
「本当にロウギルから来た山猿は礼儀知らずね」
侍女に言われて私はムッとした。一応ロウギルは男爵家なのだ。お前みたいな平民風情に……いや違う。この家で働いている侍女の大半はお貴族様だ。彼女も私よりも上位貴族の娘かも知れない。実際に彼女、オードリー・ベンモアは子爵家令嬢だった。
「ロウギルはそんなに山の中なの?」
「別にそこまでは」
私がローズお嬢様に対してムッとして言うと
「お前、生意気よ。侍女の分際でその態度は」
「まあ、良いわ。山から出て来たばかりなのだから許してあげるわ」
「ローズお嬢様は御心が広いのですね」
「それよりもここは少し匂うわね」
「まあ、獣の匂いでしょうか。本当に臭いですね」
二人は笑ってくれた。
失礼な。私は今は毎日風呂には入っているのだ。おばあちゃんと一緒にいる時は偶にしか入らなかったけれど、そんなのは平民では普通のはずだった。
そして、二人は笑いながら去っていったのだ。
「ふんっ、ぴーちゃん、どう思う」
ムカついた私は部屋に帰って、調達したお菓子を食べてのんびりくつろいでいたぴーちゃんに抱きついたのだ。
「何がお嬢様よ。私より年下(経験年数)のくせに」
「ぴー」
「私に向かって臭いって何よ!」
「ぴー」
「あの侍女も侍女よ。お嬢様の威を借りるなんて、本当にムカつくわ。どう思うぴーちゃん?」
「ぴー」
「何か、適当に頷いていない?」
私がむっとして見ると、慌ててぴーちゃんは必死に首を振り出したんだけど……
散々文句を言って私は不満を解消したのだ。
そう、それだけでいいと思ったのだ。
そんな高貴なお嬢様が私に関係するとは思ってもいなかったのだ。
翌日いつものように、朝から皆で掃き掃除をして、昼前にロッテンマイヤーさんの所に行ったのだ。
今日はどれだけ注意されるのだろうと心配しながら。
その日も一時間みっちりと練習というか注意を受けた後だ。
「パトリシア。大分マシになりましたね」
ロッテンマイヤーさんに褒められたんだげと、あれだけ注意され続けては実感がわかない……
「あなたの試用期間は終わりです。今日からは別の任務についてもらいます」
ロッテンマイヤーさんはそう言って私を連れて行くんだげと。どこに行くんだろう?
二階の侯爵家のプライベートスペースに入って行くんだけど。これは何か最悪の予感しかしない!
「失礼します。ロッテンマイヤーです」
ロッテン・マイヤーさんが言った途端、中の空気がぴしっと固まるのが感じられた。
「どうぞ」
おずおずと扉を開けたのは昨日の侍女さんだ。
中に入った私はその中にいたローズお嬢様も若干緊張しているのが見えた。やっぱりロッテンマイヤーさんはこの屋敷では皆に恐れられているのだ。
「ローズお嬢様。お嬢様付の侍女をもう一人連れてまいりました」
ロッテンマイヤーさんが私を見て言ってくれたんだけど……
ええええ!
それだけは嫌だ!
でも、それは許されないだろう。
「ロウギル男爵家が四女のパトリシアと申します」
私はロッテンマイヤーさんの前で精一杯、丁寧にお辞儀をしたはずだ。
「えっ、この山猿を?」
そうた。断れ!この際山猿でも山姥でもなんでも良い!
私が念じた時だ。
「お嬢様!」
お嬢様が山猿と口を滑らせた瞬間、ロッテンマイヤーさんの叱責が飛んだのだ。
まずい!
「パトリシアは確かに侍女ですが、一応男爵家の令嬢です」
ロッテンマイヤーさんの叱責に一応は令嬢なんだ! 私は妙な所に感心した。
「そのご令嬢に、山猿とはどういうことですか?」
「すみません」
慌ててお嬢様がロッテンマイヤーさんに頭を下げてきた。
ロッテンマイヤーさんはお嬢様より強いのは良く判った。侍女長は例え、お嬢様とは言え、逆らってはいけない存在らしい。
でも、もう私がお嬢様の侍女になるのは決定事項なの?
そして、お嬢様は私のせいでまた延々怒られているんだけど……
でも、これってこれから私が仕える相手が私のせいで怒られているってまずいんじゃない!
私はこれからのことを思うとゾッとしたのだ。
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さて、どうなるパティ。
続きは明朝です。
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