上 下
15 / 82

監禁された私にぴーちゃんがどこからともなく食料を持ってきてくれました。

しおりを挟む
私はバーバラ様のネックレスが私の衣装棚の中にあったなんて信じられなかった。

というか絶対にそんな訳はない。私が勝手に持っていくわけはないではないか。

ネックレスは確かにバーバラ様の宝石入れの中に返したのだ。

しかし、カーラ様もバーバラ様もハナから信じてくれなかった。

みんな、スカーレットが言う通り、私がネックレスを盗ったと思ってくれたのだ。

何故、私がそんな事する必要があるのだ?

もしどうしても金が必要ならば、私の3分間無敵を使えば、銀行の金庫だって王宮の宝物庫だって、一瞬で中身を全ていただけるのだ。

そんなちゃちなダイヤ、いや、平民にとっては一生涯稼げるかどうかの金額だったが、のために、一生を棒に振る訳はないではないか!

でも、私が3分間だけは世界最強だというのは誰ひとり知らないことだ。

ここで皆に言う訳にはいかないし……

しかし、私の部屋からネックレスが出てきたということはどういう事なんだろうか?

ネックレスが一人で勝手に歩いてくるわけはない。足もないのだし……

誰かが持ってきたとしか考えられないのだ。

私ではないとすると、私の部屋に隠してあったと言い張ったスカーレットが怪しい。

でも、何でそんな事したんだろう?

私が盗った事にして何かスカーレットが得することがあるんだろうか?

そもそも今は掃除洗濯の仕事の大半を私がやっているのだ。

私が閉じ込められたら、誰がそれをやるのか? 消去法で考えたらそれを全てスカーレットがやらないといけないのだ。

それはスカーレットも避けたいはずだ。

だから私は何故スカーレットがこんな事をしたのかよく判らなかった。

カーラ様は私を騎士団に突き出すなんて言っているけれど、そうなった時はその時だ。

時が時なら縛り首とか言っていたけれど、そうなりそうになったら最後の手段で、3分間無敵を使うしか無い。出来たらそんなことはしたくなかった。


「グーーーー!」
あれやこれや悩んでいる時、盛大に私のお腹が鳴ったのだ。

考えたら今日の朝から何一つ食べていなかった。

そして、もう、今は夜だ。

私には食事は全く運ばれて来なかった。

どうしよう。このままだと餓死してしまう。

最悪3分間無敵を使って、ここを脱出するか?

でも、なんかそんなことで無敵になっていいのか? あのド派手な衣装にの魔法少女になるのは嫌だ!


考えたらここに来てから碌な事なかった。

今までおばあちゃんの家で生活していたほうが余程マシだった。

冤罪で処刑されそうになるなんて本当に最悪だ。それも朝早くから夜遅くまで馬車馬の如く働かされるし、これなら、まだ、前世のブラック企業の方がマシだった。

これなら、余程、転移で王都に移って仕事探したほうがまだマシなのではないか?

王都なら親切な人も多そうだ。


お人良いの私でも、そんな事を考えだした時だ。

天井裏の隙間が開いたのだ。

そして、ボトリと黄色い塊が落ちてきたのだ。

「ぎゃっ」
そいつは私をクッションにしてくれたんだけど……

「ぴーちゃん」
それは紙袋を咥えたぴーちゃんだった。

「ぴーーーー」
ぴーちゃんは私に紙袋を押し付けてくれた。

「えっ、開けろって?」
私は袋を開けると、なんとその中にはオレンジなどの果物とパンが入っていたのだ。

「えっ、ぴーちゃんありがとう」
どこからかぴーちゃんが取ってきてくれたのだろう。

私はその果物を皮ごとむしゃむしゃと食べたのだ。もうお腹が減って、皮まで食べられたのだ。

今ほどぴーちゃんが天使に見えたことはなかった。

やっと今日初めての食事だ。

そして、食べると人間は眠くなるのだ。

まあ、明日は明日の風が吹くと言うではないか?

お腹が膨れて私はあっさりと幸福になれたのだ。なんて単純なんだと思わないでもなかったが……

私は地下室に置かれたソファに横になるとあっという間に眠ってしまったのだ。

*******************************************************************

さて、冤罪をかけられたパティの運命や如何に?
でも、雑用全てやっていたパティがいないとどうなる?
続きは明朝です
しおりを挟む
script?guid=onここまで読んでいただいてありがとうございます。

私の絶賛発売中の書籍化作品はこちら
『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/302627913

7月5日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。



この次の新作はこちら
『転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/497818447

前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。もう二度と会う訳はないと思っていたのに……
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

【完結】殿下、自由にさせていただきます。

なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」  その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。  アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。  髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。  見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。  私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。  初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?  恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。  しかし、正騎士団は女人禁制。  故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。  晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。     身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。    そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。  これは、私の初恋が終わり。  僕として新たな人生を歩みだした話。  

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

妹に婚約者を奪われたので妹の服を全部売りさばくことに決めました

常野夏子
恋愛
婚約者フレデリックを妹ジェシカに奪われたクラリッサ。 裏切りに打ちひしがれるも、やがて復讐を決意する。 ジェシカが莫大な資金を投じて集めた高級服の数々――それを全て売りさばき、彼女の誇りを粉々に砕くのだ。

処理中です...