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エピローグ3 私をいじめていた面々は町田さんの前にひれ伏しました

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「何で私達がそんなことをしなければいけないのよ!」
私を虐めていた中心人物の山田さんは不満そうに反論したのだ。

こいつは馬鹿だと私は思った。並み居る教師や校長が町田さんの前では黙って聞いているのだ。普通はそんな事は許されないのにだ。でも、それが出来ているということは、この町田さんだけは絶対に逆らってはいけない存在なのだ。

それがわからないなんて!

「あっそう、じゃあ、あなたの親に言いつけてあげるわ。あなた、山田さんよね」
嬉々として町田さんは携帯を取り出すと皆の目の前で、山田さんの親に電話をしだしたのだ。

「えっ? ちょっと待ってよ」
慌てた山田さんだがもう遅かった。

「ああ、総務部の山田部長をお願いします。私ですか。山田さんの娘さんの友達で、娘さんの件で至急にお話ししたいことがありまして」
町田さんは平然と話しだしたのだ。

先生方もみんな唖然として、見ていることしかできなかった。

電話を代わった気配がして、町田さんは山田さんが私にいじめをしていて、今まさに私が自殺しそうになったことを怒涛のマシンガントークで話し出したのだ。

「娘さんのいじめが原因で藤崎さんが自殺していたら、親御さんのあなたも会社にいられなくなりますよね。でも、娘の山田さんはそれでも良いって言っているんですけど」
「えっ、いや、そんな事言っていないわよ」
山田さんが必死に言い訳しようとしたけれど、

「はああああ! 何言っているのよ。私がもみ消してあげようとしたのに、あなたはいらないって言い切ったんじゃない。あなたの親御さん、東証一部の商社にお勤めなんでしょう。商社勤務の部長の娘のいじめで相手が自殺、なんて、新聞沙汰になって御覧なさい。あなたの親御さんがそのまま会社にいられるなんて思っているの?」
もう、山田さんは顔面蒼白だった。電話口の横で聞いていた親御さんも真っ青になっているのは間違いなかった。それ以前に何故町田さんが山田さんの親の勤め先を知っていたか、私にはそちらの方が不思議だったが……

山田さんは町田さんから渡された電話で親から大声で怒られて泣き出した。

残りの私をいじめていた連中も蒼白になって、私に対してその場で土下座せんばかりに謝りだしたのだ。

私は唖然とするしかなかった。

「もし、次にまた、藤崎さんがいじめられているのが判ったら、今度は私があなた達の親に電話するからね」
町田さんの脅しにもう虐めていた連中は必死に頷いていた。

私には町田さんが女神のように、そして少しだけ、いやもう悪魔そのもののように見えたのだ。



そしてその翌日、何故か虐められていた私まで招集された公園掃除は大変だった。

ボランティアの簡単なゴミ集めだと思っていた私達は眼の前の光景に口を開けて驚くしかできなかったのだ。

眼の前の公園は大きな池と化していたのだ。
公園の横を流れている小川に大量の廃タイヤが放り込まれていて、それで川が詰まってしまって、水が大量に公園に流れ込んでいたのだ。

川の水がきれいな田舎ならいざ知らず、都会の川はどぶ川で、公園全体が泥の沼と化していたのだ。

そして、その池の前に、いかにも暴走族の兄ちゃんたちといった怖そうな人たちと、これも人相の悪そうな警察の白バイ隊の面々と私達が勢ぞろいしていたのだ。

警察の偉そうな人の号令の元、男たちが一斉にタイヤを取り出していく。

後で聞いたところによると暴走族の騒音に怒り狂った町田さんが、走る暴走族の前に大量の釘をばらまいてパンクさせたら、怒った暴走族が町田さんの家の横の川にパンクしたタイヤを放り込んで川を氾濫させたのだ。でも、反乱した水は高い位置にある町田さんの家にはいかずに、公園を水浸しにして、これまた怒り狂った町田さんのお父さんが警察に怒鳴り込んだというのが、真相らしい。
警察署長は町田さんのお父さんの後輩らしく、更に何か弱みを握られていたみたいで、大量の白バイ隊が即座に動員されて、暴走族の面々が集められたというわけだ。
何故かその周りには暴走族の保護者と思しき面々もいて、町田さんの事だから保護者も脅したのは間違いなかった。

結局、その掃除に土日は全てつぶれて、もうあまりの事に私達は言葉もなかった。

その掃除の間に私は虐められていた山田さんらとも仲良くなってしまった。というか、あまりに、町田さんのやる事が破天荒で、常識人である私達は被害者意識とか言うもので結ばれてしまったのだ。

なにしろ、それから中学にいる間中、私達は町田さんのやらかしたいろんな事に付き合わされたのだ。

中々貴重な体験をさせてもらったと今では思う。2度とやりたいとは思わないけれど。

それほど破天荒な事が多かったのだ。

そういえばあの後、町田さんはどうしたんだろう?

私は高校からは親の仕事の都合で転校して町田さんらとは別れたのだった。

私の人生の中で数少ない心温まる? 思い出だった。私の隣に町田さんがいてくれたらもっと有意義な? いや、少なくとも心休む暇もないほど波乱万丈の人生を送れたかもしれない、と思わず思ってしまったのだ。

**************************************

虐めも町田さんの破天荒な性格の前では弾き飛ばされてしまいました。
最初のざまー回です。

続きはどんどん更新予定です
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