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聖女となって皆が言い寄ってきましたが、私の一番は王太子殿下です
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単なる魔力切れで気絶していただけなので、翌朝には私は当然元気になった。
朝から制服に着替えて、レイモンド様が直してくれた眼鏡もかける。
もう眼鏡はかける必要はないのだが、いきなり素顔を晒すのは恥ずかしいし、マリアンが言うには男よけだとか。
「あんたが素顔で歩くと皆寄ってきて鬱陶しくなるから」
とのことだったが、本当だろうか?
とりあえず、いつもの4人プラス、マリアン付きと思われる2人の女性騎士、名目上は聖女の護衛だそうだ、と食堂に向かう。
結局、学内の犠牲者はいなかった。魔王に傷つけられた者はすべて私のヒールで治ってしまったらしい。まあ、癒やし魔術と浄化魔術の違いもよく判っていなかったので、魔王を攻撃する片手間に癒やし魔術も発動していたみたいだった。
「何かエレに似て、聖魔術も超いい加減なんだけど」
マリアンにバカにされたのだが、
「皆治ったから、良いじゃない」
と私が言うと、
「そんないい加減でいいの?」
マリアンは切れるし、
「ほっほっほっほっ、今度の大聖女様はおおらかな方ですな」
見舞いに来られたレイモンド様にも笑われてしまった。
今後はレイモンド様と一緒になって聖魔術も練習するらしい。
まあ、もう影に隠れてコソコソやる必要もないもんね。
私の立ち位置はマリアン王女の側近となるらしい。まあ、詳しいことは聞いていないけど、教会に監禁されないのなら良いか、と思ってしまった私がいる。
何しろマリアンには幸福堂のケーキは折に触れて食べさせてくれると約束してもらったし・・・・・
そんなに安い聖女で良いのかとマリアンに呆れられたが・・・・
「エレ様、一生ついていきます」
ローズとクラリッサは私が聖女だと知って、現金なもので、あっさりとこの学園で男を探すよりも私といる事を取ったみたいだった。二人いわく、しがない商会よりも、私についていたほうが美味しそうという話だった。それに聖女についていたほうが、いい縁に巡り会えると二人が思っているのは確実だった。
「ワイルダー嬢!」
6人が女子寮を出た所で私は貴族の令息に捕まった。たしか、彼は高位貴族だったはずだ。そんな彼が何の用だろう?
「是非とも私のプレゼントをお受取りください」
そして、差し出された箱には何故か幸福堂と記されていた。
えっ、いきなり幸福堂のケーキ!
「ちょっと待った!」
その後ろから声がかかった。今度は確か侯爵令息だ。
「ワイルダー嬢、こちらは今王都内で有名な天国堂のプリンです。私のをお受け取りいただきたい」
侯爵令息が箱を差し出す。
えっ、天国堂のプリンって、ローズが食べに行きたいとこの前言っていたあのプリン!
私の目がキラリと光った。
「ちょっと待った」
男たちが次々に現れる。
えっ、なにこれ?
皆、手に何らかのお菓子と思われる包みを持っていた。
「はーい、皆さん。聖女様とお話するには私らを通してください」
私の前にローズとクラリッサが立つ。
「えええ!、お前ら、せっかくワイルダー嬢と直接話すチャンスを邪魔するのか」
「何を言っているんですか。チャンスなら今まで散々ありました。エレがちょっと素顔を見せたからって、今までブス眼鏡と馬鹿にしていたあなた方が急にそんな事言われても、聖女様は戸惑っていらっしゃいます」
マリアンが言ってくれる。
うーん、そうなんだけど、両方とも食べたい。
「はい、物はお預かりさせて頂きますので、聖女様がお話したい方は後ほどこちらから連絡させて頂きます」
「本当に連絡くれるのか」
侯爵令息が疑り深そうにマリアンに聞く。
「ふんっ、何をおっしゃっていらっしゃるのやら。もう聖女様の元には国中からプレゼントが集まりつつあります。別にそう言うおつもりならばそれでいいですけれど」
「いやいやそう言うわけでは」
「ローズ嬢、よろしくお願いしますよ」
男たちはローズとクラリッサにプレゼントを渡していく。
「ちょっと待ったーーーーー」
そこに場違いな声が聞こえて、王太子殿下が駆けてきた。
皆目が点になっている。
あの女に全く関心の無かった王太子殿下が、なんと大きな花束を抱えて駆けてきたのだ。
それもものすごく豪勢だ。
私は麗しの王太子殿下が走って来られたのにまず驚いたが、そのお姿もとても様になっていた。
「エレイン嬢、どうか私の愛をお受取りください」
と花束を差し出されたのだ。
嘘ーーーーー。
それはいい香りのするお花だった。
今まで花束なんて誰からも受け取ったことがなかった。
それも私の憧れの愛しの王太子殿下からもらえるなんて。
「ありがとうございます!」
私は喜んで殿下の花を受け取った。嘘、憧れの殿下から愛の愛の花束受け取っちゃった。
そう思うと私は受け取った後に真っ赤になって固まってしまった。
「おい、あれはどういう事だ?」
「食い物しかつられないと聞いたワイルダー嬢が花束受け取っているぞ」
「それも満面の笑みを浮かべているじゃないか」
外野が騒ぎ出す。
「君たち。私は昔命を助けてもらったエレイン嬢をこの10年間ずうーっと探していたのだよ。それがやっと見つかったのだ。私は彼女を君たちに渡すつもりはない」
王太子殿下がおっしゃった。
えっ?それって、それって、ひょっとして愛の告白・・・・・・
私はもう頭が回らなかった。
「ちょっとお兄様、何言っているのよ。お兄様は、エレとくっつくことなんて絶対にないって豪語していたじゃない。それを何いけしゃあしゃあと」
でも、みんな、マリアンの言葉を途中から聞いていなかった。
「えっ、皆どうしたの?」
唖然として皆マリアンを凝視しているのに、マリアンが気づいて聞いてきた。
「マリアン、あなた王太子殿下の妹様だったの」
ローズが驚いて言った。
「えっ、うそ、いや、そんな事言った?」
マリアンは慌てた。
「そうだ、諸君に紹介しよう」
ここぞとばかりに王太子殿下が声をかけた。
「ちょ、ちょっとお兄様」
そう言ってマリアンは慌てて口をつぐんだがもう遅かった。
「うそ、マリアンは王女様だったんだ」
「ええええ!」
皆一斉にマリアンを見る。
「いや、今のは冗談で」
「そう彼女はマリアン・フィールド。私の腹違いの妹だ」
「お、お兄様!」
「彼女には今までエレイン嬢を探すのに協力してもらうために、身分を隠して学園生活をおくってくれていたのだ」
マリアンは絶句していた。
「ついでにいうとエレイン嬢は私と相思相愛だが、マリアンはまだそれと決まった男はいないぞ」
殿下の言葉に私と殿下の様子を見て、落胆していた男たちの目の色が変わった。
「王女殿下!」
「殿下良しければ私のプレゼントをお受取りください」
「マリアン様」
「いや、抜け駆けするな。殿下。よろしければ我が侯爵令息である私と」
「いや、一緒のクラスメートの縁で私と」
「外務大臣令息のこの私と」
皆一斉にマリアンを取り囲んだ。
「ちょっと、お兄様、覚えていなさいよ」
「ふんっ、もともとばらしたのはお前のほうじゃないか」
王太子殿下は笑って言った。何かその笑顔が少し怖いんですけど・・・・
「ちょっと皆押さないで」
マリアンは焦って叫んだ。
「殿下!」
「ぜひとも私と!」
「ちょっと無理」
マリアンはそう言うと男どもから逃げ出した。
「ちょっとまってください!」
「殿下!」
男たちが追いかけていく。
「殿下に話すのは私を通してください」
マリアンが王女だと知って、旨味が聖女よりも王女の方にあると見たのか、ローズもクラリッサも、マリアンを追いかけて行った。当然騎士たちもついて行った。
私は王太子殿下と二人きりになった。
「さあ、邪魔者達がいなくなったから、行こうか」
「えっ、でも」
私は真っ赤になったままだ。
「エレイン嬢。私はずうーっと君を探していたんだ。レイモンド爺の眼鏡に騙されたが、君を思っていたんだ。徐々に一歩ずつでいいから、まず友達からでもいいから関係を始めてくれないか」
私は殿下の真摯な目を見て到底断れなかった。
とりあえず、真っ赤になって頷いた。
残っていた女どもからキャーキャー悲鳴が上がる。
めちゃくちゃ恥ずかしいんですけど・・・・
「じゃあ行こうか」
殿下が腕を差し出してくれたけど、私は固まったまま、動けなかった。
「さあ」
殿下がいつの間にかサラリと私の腰に手を回してきた・・・・
嘘・・・・
動けなくなった私を殿下はゆっくりと腰に手を添えて、歩かせ始めた。
うそ、これメチャクチャ近いんですけど、これどう考えても友達の距離でないよね。
食堂までの道のりがとても長く感じられて私はもう一杯一杯だった。食堂に行くまでに私は精神を削り取られてしまった。
友だちからって言ったのに、こんなのあり?
王太子殿下に、なし崩し的に雪崩込まれる未来しか私には見えなかった。
でも私を見てくれる殿下の笑顔はとても素敵だ。
私は真っ赤になりながら、うつむいて殿下のリードで歩いていた。
まあ、なんとかなるか、
そこには憧れの殿下と一緒に歩けて喜んでいる私がいたのは秘密だ。
おしまい
*****************************************************************
ここまで読んで頂いて本当にありがとうございました。
これにて一応完結です。
これから閑話等もあげていこうかなと思いますので、お気に入り登録等もしておいて頂けると幸いです。
新作始めました
「王太子に婚約破棄されたので、ぶった斬りました!何を?!出来損ない令嬢の波乱万丈恋愛物語」
「貴様との婚約を破棄する!」学園の卒業パーティーにて皆の前で私は王太子に婚約破棄されてしまった。いくら私が出来損ないと言われているからといってそんな!普通は泣き叫ぶか、許してくれと懇願するかそんなところだと思うのだが、「ヤッターーーー。バンザーイ」私は喜びのあまり飛び上がっていた・・・・
私自身、剣は兄に相手にされず、魔術は姉の足元にも及ばない、辺境伯の出来損ないなのだ。でも、我が武の名門辺境伯の令嬢として、受けた辱めは相手をぶった斬って晴らします!出来損ないの私に出来るのかですって? そんなのやって見ないと判らないじゃない!
まあ、いつものキャラのような気が!
是非とも読んでください!
朝から制服に着替えて、レイモンド様が直してくれた眼鏡もかける。
もう眼鏡はかける必要はないのだが、いきなり素顔を晒すのは恥ずかしいし、マリアンが言うには男よけだとか。
「あんたが素顔で歩くと皆寄ってきて鬱陶しくなるから」
とのことだったが、本当だろうか?
とりあえず、いつもの4人プラス、マリアン付きと思われる2人の女性騎士、名目上は聖女の護衛だそうだ、と食堂に向かう。
結局、学内の犠牲者はいなかった。魔王に傷つけられた者はすべて私のヒールで治ってしまったらしい。まあ、癒やし魔術と浄化魔術の違いもよく判っていなかったので、魔王を攻撃する片手間に癒やし魔術も発動していたみたいだった。
「何かエレに似て、聖魔術も超いい加減なんだけど」
マリアンにバカにされたのだが、
「皆治ったから、良いじゃない」
と私が言うと、
「そんないい加減でいいの?」
マリアンは切れるし、
「ほっほっほっほっ、今度の大聖女様はおおらかな方ですな」
見舞いに来られたレイモンド様にも笑われてしまった。
今後はレイモンド様と一緒になって聖魔術も練習するらしい。
まあ、もう影に隠れてコソコソやる必要もないもんね。
私の立ち位置はマリアン王女の側近となるらしい。まあ、詳しいことは聞いていないけど、教会に監禁されないのなら良いか、と思ってしまった私がいる。
何しろマリアンには幸福堂のケーキは折に触れて食べさせてくれると約束してもらったし・・・・・
そんなに安い聖女で良いのかとマリアンに呆れられたが・・・・
「エレ様、一生ついていきます」
ローズとクラリッサは私が聖女だと知って、現金なもので、あっさりとこの学園で男を探すよりも私といる事を取ったみたいだった。二人いわく、しがない商会よりも、私についていたほうが美味しそうという話だった。それに聖女についていたほうが、いい縁に巡り会えると二人が思っているのは確実だった。
「ワイルダー嬢!」
6人が女子寮を出た所で私は貴族の令息に捕まった。たしか、彼は高位貴族だったはずだ。そんな彼が何の用だろう?
「是非とも私のプレゼントをお受取りください」
そして、差し出された箱には何故か幸福堂と記されていた。
えっ、いきなり幸福堂のケーキ!
「ちょっと待った!」
その後ろから声がかかった。今度は確か侯爵令息だ。
「ワイルダー嬢、こちらは今王都内で有名な天国堂のプリンです。私のをお受け取りいただきたい」
侯爵令息が箱を差し出す。
えっ、天国堂のプリンって、ローズが食べに行きたいとこの前言っていたあのプリン!
私の目がキラリと光った。
「ちょっと待った」
男たちが次々に現れる。
えっ、なにこれ?
皆、手に何らかのお菓子と思われる包みを持っていた。
「はーい、皆さん。聖女様とお話するには私らを通してください」
私の前にローズとクラリッサが立つ。
「えええ!、お前ら、せっかくワイルダー嬢と直接話すチャンスを邪魔するのか」
「何を言っているんですか。チャンスなら今まで散々ありました。エレがちょっと素顔を見せたからって、今までブス眼鏡と馬鹿にしていたあなた方が急にそんな事言われても、聖女様は戸惑っていらっしゃいます」
マリアンが言ってくれる。
うーん、そうなんだけど、両方とも食べたい。
「はい、物はお預かりさせて頂きますので、聖女様がお話したい方は後ほどこちらから連絡させて頂きます」
「本当に連絡くれるのか」
侯爵令息が疑り深そうにマリアンに聞く。
「ふんっ、何をおっしゃっていらっしゃるのやら。もう聖女様の元には国中からプレゼントが集まりつつあります。別にそう言うおつもりならばそれでいいですけれど」
「いやいやそう言うわけでは」
「ローズ嬢、よろしくお願いしますよ」
男たちはローズとクラリッサにプレゼントを渡していく。
「ちょっと待ったーーーーー」
そこに場違いな声が聞こえて、王太子殿下が駆けてきた。
皆目が点になっている。
あの女に全く関心の無かった王太子殿下が、なんと大きな花束を抱えて駆けてきたのだ。
それもものすごく豪勢だ。
私は麗しの王太子殿下が走って来られたのにまず驚いたが、そのお姿もとても様になっていた。
「エレイン嬢、どうか私の愛をお受取りください」
と花束を差し出されたのだ。
嘘ーーーーー。
それはいい香りのするお花だった。
今まで花束なんて誰からも受け取ったことがなかった。
それも私の憧れの愛しの王太子殿下からもらえるなんて。
「ありがとうございます!」
私は喜んで殿下の花を受け取った。嘘、憧れの殿下から愛の愛の花束受け取っちゃった。
そう思うと私は受け取った後に真っ赤になって固まってしまった。
「おい、あれはどういう事だ?」
「食い物しかつられないと聞いたワイルダー嬢が花束受け取っているぞ」
「それも満面の笑みを浮かべているじゃないか」
外野が騒ぎ出す。
「君たち。私は昔命を助けてもらったエレイン嬢をこの10年間ずうーっと探していたのだよ。それがやっと見つかったのだ。私は彼女を君たちに渡すつもりはない」
王太子殿下がおっしゃった。
えっ?それって、それって、ひょっとして愛の告白・・・・・・
私はもう頭が回らなかった。
「ちょっとお兄様、何言っているのよ。お兄様は、エレとくっつくことなんて絶対にないって豪語していたじゃない。それを何いけしゃあしゃあと」
でも、みんな、マリアンの言葉を途中から聞いていなかった。
「えっ、皆どうしたの?」
唖然として皆マリアンを凝視しているのに、マリアンが気づいて聞いてきた。
「マリアン、あなた王太子殿下の妹様だったの」
ローズが驚いて言った。
「えっ、うそ、いや、そんな事言った?」
マリアンは慌てた。
「そうだ、諸君に紹介しよう」
ここぞとばかりに王太子殿下が声をかけた。
「ちょ、ちょっとお兄様」
そう言ってマリアンは慌てて口をつぐんだがもう遅かった。
「うそ、マリアンは王女様だったんだ」
「ええええ!」
皆一斉にマリアンを見る。
「いや、今のは冗談で」
「そう彼女はマリアン・フィールド。私の腹違いの妹だ」
「お、お兄様!」
「彼女には今までエレイン嬢を探すのに協力してもらうために、身分を隠して学園生活をおくってくれていたのだ」
マリアンは絶句していた。
「ついでにいうとエレイン嬢は私と相思相愛だが、マリアンはまだそれと決まった男はいないぞ」
殿下の言葉に私と殿下の様子を見て、落胆していた男たちの目の色が変わった。
「王女殿下!」
「殿下良しければ私のプレゼントをお受取りください」
「マリアン様」
「いや、抜け駆けするな。殿下。よろしければ我が侯爵令息である私と」
「いや、一緒のクラスメートの縁で私と」
「外務大臣令息のこの私と」
皆一斉にマリアンを取り囲んだ。
「ちょっと、お兄様、覚えていなさいよ」
「ふんっ、もともとばらしたのはお前のほうじゃないか」
王太子殿下は笑って言った。何かその笑顔が少し怖いんですけど・・・・
「ちょっと皆押さないで」
マリアンは焦って叫んだ。
「殿下!」
「ぜひとも私と!」
「ちょっと無理」
マリアンはそう言うと男どもから逃げ出した。
「ちょっとまってください!」
「殿下!」
男たちが追いかけていく。
「殿下に話すのは私を通してください」
マリアンが王女だと知って、旨味が聖女よりも王女の方にあると見たのか、ローズもクラリッサも、マリアンを追いかけて行った。当然騎士たちもついて行った。
私は王太子殿下と二人きりになった。
「さあ、邪魔者達がいなくなったから、行こうか」
「えっ、でも」
私は真っ赤になったままだ。
「エレイン嬢。私はずうーっと君を探していたんだ。レイモンド爺の眼鏡に騙されたが、君を思っていたんだ。徐々に一歩ずつでいいから、まず友達からでもいいから関係を始めてくれないか」
私は殿下の真摯な目を見て到底断れなかった。
とりあえず、真っ赤になって頷いた。
残っていた女どもからキャーキャー悲鳴が上がる。
めちゃくちゃ恥ずかしいんですけど・・・・
「じゃあ行こうか」
殿下が腕を差し出してくれたけど、私は固まったまま、動けなかった。
「さあ」
殿下がいつの間にかサラリと私の腰に手を回してきた・・・・
嘘・・・・
動けなくなった私を殿下はゆっくりと腰に手を添えて、歩かせ始めた。
うそ、これメチャクチャ近いんですけど、これどう考えても友達の距離でないよね。
食堂までの道のりがとても長く感じられて私はもう一杯一杯だった。食堂に行くまでに私は精神を削り取られてしまった。
友だちからって言ったのに、こんなのあり?
王太子殿下に、なし崩し的に雪崩込まれる未来しか私には見えなかった。
でも私を見てくれる殿下の笑顔はとても素敵だ。
私は真っ赤になりながら、うつむいて殿下のリードで歩いていた。
まあ、なんとかなるか、
そこには憧れの殿下と一緒に歩けて喜んでいる私がいたのは秘密だ。
おしまい
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ここまで読んで頂いて本当にありがとうございました。
これにて一応完結です。
これから閑話等もあげていこうかなと思いますので、お気に入り登録等もしておいて頂けると幸いです。
新作始めました
「王太子に婚約破棄されたので、ぶった斬りました!何を?!出来損ない令嬢の波乱万丈恋愛物語」
「貴様との婚約を破棄する!」学園の卒業パーティーにて皆の前で私は王太子に婚約破棄されてしまった。いくら私が出来損ないと言われているからといってそんな!普通は泣き叫ぶか、許してくれと懇願するかそんなところだと思うのだが、「ヤッターーーー。バンザーイ」私は喜びのあまり飛び上がっていた・・・・
私自身、剣は兄に相手にされず、魔術は姉の足元にも及ばない、辺境伯の出来損ないなのだ。でも、我が武の名門辺境伯の令嬢として、受けた辱めは相手をぶった斬って晴らします!出来損ないの私に出来るのかですって? そんなのやって見ないと判らないじゃない!
まあ、いつものキャラのような気が!
是非とも読んでください!
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そうなると、ガラス窓の箱馬車になると思います。
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それ以上の人数となると幌馬車になると思います。
でも幌馬車は車体と車軸の間にサスペンションがないから、乗り心地は最悪になります。
あっても箱馬車のようなしなやかな足じゃないんで、5時間も乗ってられません!
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でも魔法あり、魔道具ありの世界観だから、素晴らしい馬車があるって思えばいいんですかねー?
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