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油断した隙に魔王にボコボコにされました

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私は王太子殿下が、こちらにスローモーションのように飛んでくるのを見ていた。


「殿下!」
私は殿下に駆け寄ろうとした。

「ちょっとエレ」
周りの静止を振り切って私は殿下に駆け寄る。

もう、周りも何も見えなかった。

殿下は血で真っ赤に染まっていた。

殿下は体中、傷だらけで血まみれだった。

「で、殿下!」
私は殿下を少し抱き起こして、声をかけるが、反応がない。

このままでは殿下が危ない!

そう思うともう何もかもがどうでも良かった。もう魔王も魔王から必死に隠れていることも関係なかった。愛しの殿下の命より大切なものなど何もなかった。

そして、
「ヒール!」
と私は右手を上げて呟いていたのだ。

私の手からキラキラした光が発して、それが殿下を包んだ。

そして、次の瞬間には傷は全て塞がっていた。

「良かった!」
私はほっとした。

そして、やっと私は周りに注意を向けた。

私はそこで怒り狂って立っているあの男が目に入った。

私の愛しの殿下を傷つけたおそらく魔王という名の男が。

私は男を睨みつけて、殿下をゆっくりと地面に置いた。そして立ち上がる。

私は完全に切れていた。

「貴様、何しやがる!」
男は叫ぶと私に対して闇の魔術で攻撃した来た。

「ヒール」
私はその攻撃を一瞬で弾き飛ばす。

「あんた、よくも私の王太子殿下に酷いことしてくれたわね」
「き、貴様、何奴だ」
男はうろたえて叫んでいた。

「ふん、もう許さない」
私は手をあげた。

「死ね」
男は叫ぶと私に闇魔術を仕掛けてきた。

「ヒール!」
私は叫ぶや、その闇魔術を弾き飛ばす。

そして、そのまま
「ヒール!」
と再度、叫んでいた。

次の瞬間に男は吹っ飛んでいた。

グウォーーン

大音量とともに校舎に突き刺さる。

私はゆっくりと男に向けて歩きだした。

「き、貴様、あの時のガキだな」
校舎から這い出てきた男は叫んでいた。

「おのれ、この魔王様に歯向かうとはいい度胸だ。俺様は10年前の俺様ではないぞ」
魔王と名乗った男は笑って言った。

「くらえ、超闇の一撃」
魔王は叫ぶと私に向かってより強力な闇魔術を発動した。魔王から放たれてた禍々しい黒い塊が私を襲う。

「リジェクト」
私は無効魔術を発動した。私に到達しようとしていた禍々しい塊が、一瞬にして霧散する。

「う、嘘だ。大聖女にさえ、効いたはずなのに」
魔王は慌てふためいた。

「ふんっ、能力が上がったのはあんただけじゃないわよ。それに、そもそも威力を上げるのに1文字だけ増やしても、どうしようもないのよ。もっと長くしないと」
私は手をあげた。

「はっ、何を言っている。詠唱の文字の長さなんて関係ないだろう!」
「スーパーヒール!」
私は魔王を無視して、それまでの何倍もの威力の聖魔術を発動した。

魔王は吹っ飛んでいた。そして、備品倉庫に突っ込むと瞬時に備品倉庫は爆発したように砕け散った。

しかし、相手は魔王だ。あんなんでは死んでいないはずだ。
私の予測通り、瓦礫の一角がゆっくりと立ち上がる。そこには傷だらけの魔王がいた。

「おのれ、もうこうなったら許さん」
魔王はプツッん切れたみたいだった。

「喰らえ、ウルトラスーパー超闇の一撃」
魔王が叫ぶと同時に凄まじい闇魔術が私に襲いかかった。毒々しい真っ黒な大量の闇の塊が渦を巻いて私を取り囲むように殺到してきた。ふんっ、私を真似て文字数増やしたみたいだが、アホだ。そんなんでうまくいくわけはなかろう。

「リジェクト!」
私が叫ぶと、まさに私に到達しようとしていた闇魔術が一瞬で消滅していた。魔王が渾身の力を込めた闇魔術が・・・・。

「う、嘘?」
魔王は呆然としていた。

余程今回の一撃に自信があったのだろう。レイモンド様と日々特訓して来た甲斐があった。

「じゃあ、今度は私の番ね」
私はそう言うと手をあげようとした。

「あっ、サラマンダーだ」
魔王が私の後ろを指差した。

「えっ?」
私は慌てて後ろを見た。私は馬鹿だった。魔王の言うことを信じるなんて。

そこには何もいなかった。

周りの生徒から悲鳴が上がる。
「後ろ!」
私はマリアンの言葉に後ろを振り返ろうとして思いっきり後頭部を殴られて地面に突っ込んでいた。

凄まじい衝撃だ。体全体が叩きつけられて、私はあまりの痛みにすぐには立てなかった。
くっそう、こんなことなら、武道とか体術とかもっとやっておけば良かった。
私は物理攻撃に弱すぎたのだ。まあ軟弱な眼鏡っ娘だから仕方がないのだけれど。そんな事を一瞬で後悔したが後の祭りだ。

私は魔王にボコボコにされた。

次は脇腹に衝撃を受けた。蹴り上げられたのだ。

「うぇ」
思わず胃の中のものを吐き出してしまう。

「汚えな」
魔王が何かほざいている。

次に髪を掴まれて顔を殴り飛ばされていた。

顔面に凄まじい衝撃を受けて私は一瞬てで気を失ってしまった。
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